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許せない
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しおりを挟む「ど、どうし……っ」
はっとなって未だ乱れたままだった襟元をぎゅっとかき寄せる。
するとその行動に、威は眉間に皺を寄せて俯いた。
「ソレ…が………葉の答えなんだな?」
答え…と胸中で呟き、それが威の恋人になるならないの事なのだと思い至った瞬間い体が跳ねた。
「ちが…」
「違うなら…なんでわざわざ、俺にあいつとこれから寝るって連絡をするんだ」
苦悩を映した表情がさらに苦々しいものへと変わり、苦痛の滲ませた威が自分の顔を覆って呻く。
「どうしてなんだ…葉は俺の事、好きだって言ってくれただろ!?」
「頼むっ聞いてくれ!」
「何を!何をなんだっ!?…こうやって、他にも何人と寝たって言いたいのか?」
「なんで…ッなんでそうなるんだ!」
「俺が苦しまないとでも思ったのかっ!?気にしないとでも思ったのかっ」
ダンっと叩かれたマンションの塀が立てた音が、夜の空気に響いて初めて深夜なのだと思い至り、葉人は身を縮めるように声を潜めた。
「そん…そんな訳ないだろ……それにオレは寝たくて寝たわ…け、じゃ……」
否定しようとした言葉はか細くなって消えた。
すべてがそうだとは言えない。
ましてやついさっきまで行っていた事は、記憶にあろうとなかろうと無理矢理とは程遠い。
しかも悠哉は自分から誘った…と言った。
「………俺が、こうやって傍に居るのが鬱陶しいか?」
「そんな事!思ってないっ!」
「そうならそうと、はっきり言えばいい。それを葉が望むなら、その通りに……する…」
弱々しく消えて言った言葉に、葉人は首を振ることだけで応える。
「俺の気持ちに応えないのは………俺の事を…嫌いだからか?」
違う…と答えようとした葉人の歯がガチリと鳴った。
「うん」
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