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威
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しおりを挟む幼い頃から共にいた、かけがえのない、心から信用していた威の暴挙。
砕けた心の平静は「犯人が分からない自分」と「許す事が出来ない自分」とに分かたれた。
「…だからオレが汚れて…威が苦しめばいいって………」
「…………ご…め………ごめん…」
葉人が心身のバランスを失ってなお認めたくなかった凶行に対しての謝罪の仕方を威は何も思いつかず、譫言の様にそう囁いた。
「いっぱい…苦しめば、いい…」
髪に絡んだ枯草を指で払い、呻く。
「こん…な、事に、なるとは…思わなくて…」
ただ、
ただ、
身の内に荒れ狂う想いを遂げたくて…
繰り返し、悪夢にも似た夢を見て、
繰り返し、悠哉を抱いても、
繰り返し、DVDを観て宥めても…
何をしても飢えは癒やされず、傍らで無邪気に笑う葉人に対する恋情は募っていった。
「……どうして…あんな事を……」
そう尋ねるも、答えなんてわかりきっている。
「好きだから」
簡潔すぎてそれ以上言葉が続かない程、その一言しかなかった。
「……っ」
ぎゅっと葉人の拳に力がこもる。
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