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第7章 珊瑚海海戦
7.7章 珊瑚海の戦い その後
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5月8日の朝になると、五航戦の空母は、ソロモン海と珊瑚海周辺に偵察機を出して、怪しい艦艇がいないかを確認していた。珊瑚海には、攻撃すべき目標がもはや存在しないことがあらためて確認できた。
原少将が井上中将への報告を指示する。
「高橋君、モレスビー攻略部隊に偵察の結果を報告してくれ。我々は、この海域から西方に移動する。ポートモレスビー上陸作戦の航空支援の任務も移動してから行うことを井上中将に連絡してくれ」
ポートモレスビーへの上陸は予定通り5月10日から開始された。ラバウル戦闘機隊は滑走路の整備が終わったラエの基地に進出して、ポートモレスビーの上空に戦闘機の傘を提供した。五航戦からも戦闘機隊と爆撃隊を派遣する。P-39やP-40を中心とした米陸軍機との戦闘も発生したが、烈風と零戦の性能の前に敵の戦闘機は消耗していった。ラバウルの銀河と一式陸攻は米軍基地を攻撃した。続いて、ポートモレスビー周辺の米軍とオーストラリア軍に爆撃を行った。五航戦からも入れ替わり攻撃隊が発進して、上陸支援の爆撃を行った。10日後、井上中将はポートモレスビー上陸作戦の成功を宣言した。
珊瑚海の戦いでは、翔鶴の大破と引き換えにサラトガとワスプ及び、ノースカロライナを撃沈して、海の戦闘には大きな勝利を得た。しかもポートモレスビー上陸作戦も予定通り成功させることができた。
……
草鹿少将は航空機を乗り継いで一足早く、戻ってくると今回の戦いでの米軍の変化について連合艦隊司令部に報告していた。
「まず、米海軍の航空機ですが、新型の雷撃機が登場しています。ずんぐりした胴体に恐らく2,000馬力級の空冷発動機を付けて、飛行性能も向上しています。後部に12.7mmの動力銃座を備えていて、しかも胴体の下面にも後方を向いた機銃が備えられて、戦闘機が反撃を受けました。偵察型では主翼に電探のアンテナを搭載していることが目撃されています。戦闘機は2機種の2,000馬力級戦闘機が登場しています。1機種はF4Uと呼ばれる本土防空戦でも出てきた戦闘機です。もうひとつは新型のグラマンで、こちらも本土の戦いでも出てきています。早くも2,000馬力級の戦闘機が多数出てきたことから、米海軍は急速に新型機に機体を入れ替えています。更に、本土空襲時と同様に我が軍の噴進弾攻撃を米軍もまねてきました。戦闘機の噴進弾攻撃で空母の対空砲が被害を受けました」
宇垣参謀長が質問の有無を確認する。一人の士官が質問した。
「新型の雷撃機は容易に落とせないのですか? それと新型戦闘機への対抗策が、我が軍にも必要なのではありませんか?」
「グラマンの新型雷撃機は多数を既に撃墜しています。零戦や烈風の火力が有効ですが、速度と防弾は向上しているとのことです。一部の搭乗員は、烈風の20mm機銃であれば一撃で撃墜できると主張しています。新型の戦闘機は、烈風であれば、性能は互角以上なので対応が可能とのことです。零戦では苦戦します。我々も新型機の配備を急ぐ必要があります。噴進弾攻撃については、戦闘機の迎撃と高射砲で落とすしかありません。降下攻撃に入られれば、全ての噴進弾を回避するのは不可能です。28連装噴進砲は、敵機を撃墜することはできませんでしたが、狙いを外すことはできました。降下攻撃への対抗策として装備を進めるべきです。秋月型は今回も防空で活躍しました。特型駆逐艦を改造してもよいので、同様の装備をした艦艇をもっと数をそろえるべきです」
草鹿少将が続けて艦艇について説明をする。
「サラトガですが、斜め飛行甲板を装備していました。以前潜水艦で被害を受けた時の修理時に改修したようです。今後の米空母には斜め甲板が装備されると考えて間違いないでしょう。ノースカロライナ級の戦艦ですが、40センチ砲の9門で、副砲と兼用の高角砲が連装10門という装備は、我々が事前に得た情報と同じです。また、40mm機関砲が新たに備えられています。我が軍の一式と同じ40mm機関砲を2連装または4連装にして装備しているのが目撃されています。また、防空専用の軽巡洋艦が活躍しています。アトランタ級であると思われますが、高角砲を16門搭載しており、護衛に大きな力を発揮しています。これらの対空砲火は攻撃隊にとって大きな脅威になるはずでした。ところが、二式艦偵に装備した妨害電波の放射装置により、高射砲の命中率を低下させることに成功しました。この装置がなければ、我が軍の攻撃隊は大きな被害を受けたと想定されます」
磯部参謀が質問する。
「今回使った妨害電波装置は今後も有効に使えるでしょうか?」
「米軍は複数の種類の電探を使用していますから、それに対応した電波妨害装置をもっと開発すべきです。今回は有効に使えましたが、電探の周波数変更は可能ですので、次回は妨害された電探の波長を変えてくるでしょう。我々はその変化を追いかけられるような装置を開発しなければなりません。また、我が軍の秋月型は同様に電探による射撃管制を行っていますが、米軍からこれに妨害をかけてくることも想定されます。敵が同じことをしてきた場合、どのように対処するかの検討が必要です」
黙って聞いていた山本長官が口を開く。
「今後の我々の作戦が成功するために何が必要だと君は考えるかね?」
「まずは、新型機の増強です。帝都防空で活躍した新型ジェット戦闘機と爆撃機を全面的に配備すべきです。電探装備機ももっと必要です。現状では、新型機は2倍以上の数の働きをしてくれているものと思います。また、電波をもっと応用することが必要です。今回の作戦でも敵の電探の妨害は、味方の被害縮小に有効でした。電探と逆探以外に妨害電波や電波による誘導などもっと幅広く電波を利用してゆくべきです。明らかに我が国はこの点では遅れています」
一息ついて草鹿少将は周りを見渡した。
「それと空母です。今回の戦いでも空母の有効性は証明されましたが、ニューギニアでの戦いで島嶼における上陸作戦でも空母は非常に有効に活用できています。潜水艦からの攻撃に対する輸送船団の護衛でも、空母の有無により結果が大きく違っています。小型でもいいから、もっと数を増やすべきです。例えば、水上機母艦や商船など空母に改装できるだけの大きさを有する船はまだあるはずです。一刻も早く空母への改修に着手すべきです」
「うむ、よくわかった。新型機は航空本部だな。空母の緊急の増勢には私も全面的に賛成だ。要求するのは、艦政本部になるが、連合艦隊からもこの船は空母に改修して構わないというように候補を出してみよう。電波の利用については技研に要求するが、正直私にもよくわからないところがある。艦政本部第三部の名和少将に依頼しよう。彼が電波兵器を取りまとめているはずだ。彼に取りまとめを依頼するとともに、技研の伊藤中佐などもっと技術を知っている人物に権限を与えて開発を進めるように要求してみよう。その方が新しいものが早くできるだろう」
山本長官は宇垣参謀長に向き直った。
「草鹿君の報告はよくわかった。私の名前で軍令部と、艦政本部、航空本部に連合艦隊として意見書を出す。特に電波の応用拡大と既存艦艇の空母への改修については、司令部で直ぐに要求書類をまとめてくれ。草鹿君、ご苦労だった、しばらく休んでくれ」
山本長官の発言によりこの会議は終了となった。
原少将が井上中将への報告を指示する。
「高橋君、モレスビー攻略部隊に偵察の結果を報告してくれ。我々は、この海域から西方に移動する。ポートモレスビー上陸作戦の航空支援の任務も移動してから行うことを井上中将に連絡してくれ」
ポートモレスビーへの上陸は予定通り5月10日から開始された。ラバウル戦闘機隊は滑走路の整備が終わったラエの基地に進出して、ポートモレスビーの上空に戦闘機の傘を提供した。五航戦からも戦闘機隊と爆撃隊を派遣する。P-39やP-40を中心とした米陸軍機との戦闘も発生したが、烈風と零戦の性能の前に敵の戦闘機は消耗していった。ラバウルの銀河と一式陸攻は米軍基地を攻撃した。続いて、ポートモレスビー周辺の米軍とオーストラリア軍に爆撃を行った。五航戦からも入れ替わり攻撃隊が発進して、上陸支援の爆撃を行った。10日後、井上中将はポートモレスビー上陸作戦の成功を宣言した。
珊瑚海の戦いでは、翔鶴の大破と引き換えにサラトガとワスプ及び、ノースカロライナを撃沈して、海の戦闘には大きな勝利を得た。しかもポートモレスビー上陸作戦も予定通り成功させることができた。
……
草鹿少将は航空機を乗り継いで一足早く、戻ってくると今回の戦いでの米軍の変化について連合艦隊司令部に報告していた。
「まず、米海軍の航空機ですが、新型の雷撃機が登場しています。ずんぐりした胴体に恐らく2,000馬力級の空冷発動機を付けて、飛行性能も向上しています。後部に12.7mmの動力銃座を備えていて、しかも胴体の下面にも後方を向いた機銃が備えられて、戦闘機が反撃を受けました。偵察型では主翼に電探のアンテナを搭載していることが目撃されています。戦闘機は2機種の2,000馬力級戦闘機が登場しています。1機種はF4Uと呼ばれる本土防空戦でも出てきた戦闘機です。もうひとつは新型のグラマンで、こちらも本土の戦いでも出てきています。早くも2,000馬力級の戦闘機が多数出てきたことから、米海軍は急速に新型機に機体を入れ替えています。更に、本土空襲時と同様に我が軍の噴進弾攻撃を米軍もまねてきました。戦闘機の噴進弾攻撃で空母の対空砲が被害を受けました」
宇垣参謀長が質問の有無を確認する。一人の士官が質問した。
「新型の雷撃機は容易に落とせないのですか? それと新型戦闘機への対抗策が、我が軍にも必要なのではありませんか?」
「グラマンの新型雷撃機は多数を既に撃墜しています。零戦や烈風の火力が有効ですが、速度と防弾は向上しているとのことです。一部の搭乗員は、烈風の20mm機銃であれば一撃で撃墜できると主張しています。新型の戦闘機は、烈風であれば、性能は互角以上なので対応が可能とのことです。零戦では苦戦します。我々も新型機の配備を急ぐ必要があります。噴進弾攻撃については、戦闘機の迎撃と高射砲で落とすしかありません。降下攻撃に入られれば、全ての噴進弾を回避するのは不可能です。28連装噴進砲は、敵機を撃墜することはできませんでしたが、狙いを外すことはできました。降下攻撃への対抗策として装備を進めるべきです。秋月型は今回も防空で活躍しました。特型駆逐艦を改造してもよいので、同様の装備をした艦艇をもっと数をそろえるべきです」
草鹿少将が続けて艦艇について説明をする。
「サラトガですが、斜め飛行甲板を装備していました。以前潜水艦で被害を受けた時の修理時に改修したようです。今後の米空母には斜め甲板が装備されると考えて間違いないでしょう。ノースカロライナ級の戦艦ですが、40センチ砲の9門で、副砲と兼用の高角砲が連装10門という装備は、我々が事前に得た情報と同じです。また、40mm機関砲が新たに備えられています。我が軍の一式と同じ40mm機関砲を2連装または4連装にして装備しているのが目撃されています。また、防空専用の軽巡洋艦が活躍しています。アトランタ級であると思われますが、高角砲を16門搭載しており、護衛に大きな力を発揮しています。これらの対空砲火は攻撃隊にとって大きな脅威になるはずでした。ところが、二式艦偵に装備した妨害電波の放射装置により、高射砲の命中率を低下させることに成功しました。この装置がなければ、我が軍の攻撃隊は大きな被害を受けたと想定されます」
磯部参謀が質問する。
「今回使った妨害電波装置は今後も有効に使えるでしょうか?」
「米軍は複数の種類の電探を使用していますから、それに対応した電波妨害装置をもっと開発すべきです。今回は有効に使えましたが、電探の周波数変更は可能ですので、次回は妨害された電探の波長を変えてくるでしょう。我々はその変化を追いかけられるような装置を開発しなければなりません。また、我が軍の秋月型は同様に電探による射撃管制を行っていますが、米軍からこれに妨害をかけてくることも想定されます。敵が同じことをしてきた場合、どのように対処するかの検討が必要です」
黙って聞いていた山本長官が口を開く。
「今後の我々の作戦が成功するために何が必要だと君は考えるかね?」
「まずは、新型機の増強です。帝都防空で活躍した新型ジェット戦闘機と爆撃機を全面的に配備すべきです。電探装備機ももっと必要です。現状では、新型機は2倍以上の数の働きをしてくれているものと思います。また、電波をもっと応用することが必要です。今回の作戦でも敵の電探の妨害は、味方の被害縮小に有効でした。電探と逆探以外に妨害電波や電波による誘導などもっと幅広く電波を利用してゆくべきです。明らかに我が国はこの点では遅れています」
一息ついて草鹿少将は周りを見渡した。
「それと空母です。今回の戦いでも空母の有効性は証明されましたが、ニューギニアでの戦いで島嶼における上陸作戦でも空母は非常に有効に活用できています。潜水艦からの攻撃に対する輸送船団の護衛でも、空母の有無により結果が大きく違っています。小型でもいいから、もっと数を増やすべきです。例えば、水上機母艦や商船など空母に改装できるだけの大きさを有する船はまだあるはずです。一刻も早く空母への改修に着手すべきです」
「うむ、よくわかった。新型機は航空本部だな。空母の緊急の増勢には私も全面的に賛成だ。要求するのは、艦政本部になるが、連合艦隊からもこの船は空母に改修して構わないというように候補を出してみよう。電波の利用については技研に要求するが、正直私にもよくわからないところがある。艦政本部第三部の名和少将に依頼しよう。彼が電波兵器を取りまとめているはずだ。彼に取りまとめを依頼するとともに、技研の伊藤中佐などもっと技術を知っている人物に権限を与えて開発を進めるように要求してみよう。その方が新しいものが早くできるだろう」
山本長官は宇垣参謀長に向き直った。
「草鹿君の報告はよくわかった。私の名前で軍令部と、艦政本部、航空本部に連合艦隊として意見書を出す。特に電波の応用拡大と既存艦艇の空母への改修については、司令部で直ぐに要求書類をまとめてくれ。草鹿君、ご苦労だった、しばらく休んでくれ」
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