蒼穹の裏方

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第12章 第二次ハワイ作戦

12.17章 一航戦、二航戦の戦い 日本軍の攻撃

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 一航戦を発艦した流星隊を率いていた村田少佐に上空の電探警戒機から通信が入ってきた。
「こちら警戒機1号機の篠崎です。1時方向に米軍編隊が近づいてきています。恐らく、敵戦闘機です。北方に迂回したほうが賢明です」

「了解した。我々は北に回避する。白根大尉、聞こえていたか?」

「白根です。聞こえています。我々はこのまま直進して、米戦闘機を引き付けます。その間に爆撃隊は北方から艦隊に接近してください」

 白根大尉は、搭乗機が烈風から橘花改に代わって、正直この機体に慣れたと言えるほどは飛んでいなかった。しかし、高性能の機体の特性を生かせば必ず勝てると信じていた。白根大尉の橘花改の編隊はそのまま直進して、迎撃戦闘機を右前方に発見した。直線翼のFHファントムが14機の編隊になって飛行してきた。その後方に飛行しているのは、30機程度のグラマンのF8Fベアキャットだ。

「こちらも全てジェット戦闘機だ。相手にとって不足はないぞ。飯塚大尉、後方のグラマン戦闘機を攻撃してくれ」
「了解」

 橘花改の編隊は、14機の白根大尉の部隊と後方の12機の飯塚大尉の編隊に分かれた。14機の編隊は前方のFHファントムの編隊に突き進んでいった。

 当初の想定通り、白根大尉はまずは噴進弾を発射することにした。
「前方の編隊に向けて、噴進弾を発射せよ。全弾発射だ」

 偶然だったが、米軍もほぼ同時に日本機の編隊にロケット弾を向けて発射した。発射煙を見て、とっさに白根大尉が叫ぶ。
「敵が噴進弾を発射した。回避せよ。繰り返す。噴進弾を避けろ」

 数発の爆発が起こるが、日本軍も米軍も発射の白煙を見て。ほとんどの機体は急旋回で回避した。旋回した後は、橘花改編隊は北方から東方向に回り込み、FHファントムは逆に南方から西方に旋回して互いに渦巻のように回り込む機動をしていた。

 FHファントムは旋回性能を生かして水平旋回を続けたが、橘花改はジェットエンジンの推力を生かして、一度上昇して高度を確保してから旋回降下した。高速の機体が小回りをするためのハイ・ヨーヨーの機動だ。上を押さえられたFHファントムは降下攻撃を恐れて、増速するために旋回から降下に入った。
「そのまま旋回を続けて回避すればいいものを。今更降下しても、高い所から加速しているこちらのほうが優速だ。しかも橘花改は後退翼だぞ」

 14機の橘花改は、降下により得た速度の優位性を生かして、ほぼ同数のFHファントムの背後に迫ると銃撃を開始した。8機のFHがどす黒い煙を噴き出して、機首を落として落ちてゆく。残ったFHも速度が橘花改に比べて50kmも低速なので降下を続けても逃げ切れない。二度目の攻撃を受けて、更に4機が撃墜された。

 後方のF8Fの編隊に向かった飯塚大尉は、2倍以上の敵編隊に対して、ひるむことなく正面から噴進弾を発射すると、噴進弾の飛翔経路も見ないでF8Fの上空へと上昇を開始した。大尉は、敵からもロケット弾射撃を受けると想定して、発射と同時に上昇して回避することを考えていたのだ。このため、F8Fが発射したロケット弾は全て日本戦闘機の下方を飛んでいくことになった。

 小型空母のインディペンデンスとベロー・ウッドはジェット機の運用ができないので、直衛戦闘機もプロペラ機の比率が大きい。F8Fが高度をとるよりも先に米戦闘機の上空に達した12機の橘花改は、一斉に降下攻撃した。これに対して、F8Fはプロペラ機固有の旋回性能を生かして回避するしかない。緩慢な旋回で回避しようとした経験の浅いパイロットの機体が、まず狙われた。7機のF8Fが煙を噴き出して落ちてゆく。

「旋回戦に持ち込まれないように注意しろ。背後につかれても、降下して速度で引き離せ」

 飯塚大尉は、乱戦の接近戦になってジェット戦闘機の速度による優位性が失われるのを警戒していた。

 戦闘機同士の戦いが行われている間に、北方から米艦隊に接近した流星隊は、水平線に艦隊のマストを認めた。

 すぐに空母上空に留まっていた米軍戦闘機が向かってきた。空母搭載機のFHファントムやF8Fベアキャットは、迎撃戦闘のために艦隊よりも前面に出て、橘花改や烈風改と戦闘していた。このため、オアフ島から飛来した戦闘機が艦隊の直上を警戒していた。

 ヒッカム基地から飛来したP-47サンダーボルトがレーダーに誘導されて攻撃隊に向かってきた。オアフ島北方で二式大艇がばら撒いた電波攪乱紙にだまされて出撃したが、戻って補給も終わらせた機体が、やっとのことで空母の上空に飛来したのだ。42機のP-47に対して、流星隊の上空で警戒していた20機の烈風改が降下してゆく。烈風改は米戦闘機に向けて一斉に噴進弾を発射した。

 P-47戦闘機隊を率いて先頭を飛行していたカービー中佐は、烈風改の攻撃に気づいた。
「日本の戦闘機が2時方向から降下してくるぞ。攻撃態勢に入っている。各機、回避せよ。繰り返す、そのまま飛行するな。全力で回避せよ」

 隊長の命令に瞬時に反応して急降下に入った機体はそれほど多くはなかった。アメリカ本土での訓練が終わってすぐにハワイに送り込まれたこの部隊は、実戦経験がまだ不足していた。

 先制攻撃として烈風改から発射された360発の噴進弾は、P-47編隊の右翼側を包むように下方に飛行していって20発以上が、近接信管の反応で爆発した。回避の遅れた15機のP-47があっけなく墜落してゆく。烈風改はそのままP-47の上空から編隊を抜けてゆくと、水平飛行に移った。結果的に、急旋回降下して噴進弾を回避したP-47とは同じ高度となって、互いに後方をとるために旋回戦となった。

 しかし、この高度でのP-47の最大速度は、5分制限の緊急出力でも430マイル/時(692km/h)だった。烈風改のほうが50km/h以上優速で、しかも上昇力でも旋回性能でも烈風改が優れていた。そのため、数で圧倒的に有利でも、戦闘で背後をとられたのは、いずれもP-47だった。撃たれ強いP-47は、背後からの一連射には耐えたが、二連射を浴びてから落ちてゆく。得意の急降下で逃げようとするが、降下速度がのってくるまでは、烈風改のほうが加速もよく優速だ。逃げ切る前に更に数機が堕とされた。

 流星は、烈風改とP-47の戦闘域の北側を飛行して、艦隊に接近していった。ところが、陸軍航空隊に配備が始まっていた12機のP-80シューティングスターが流星隊を迎撃してきた。流星隊の村田少佐は、あらかじめ戦闘機隊との戦いになった場合に、空戦を行う搭乗員を選抜していた。いずれも、爆撃隊であっても空戦経験のある搭乗員だ。8機の流星が誘導弾を投下してP-80に向かっていった。

 英国開発のジェットエンジンを国産化して搭載した初期型のP-80の性能は、この高度で505マイル/時(813km)で外部兵装を投下した流星の最大速度435ノット(806km/h)とそれほど差はない。但し、軽量の単発機であるP-80が、加速や旋回性などの運動性能は勝っていた。

 さすがに、爆撃機の流星の操縦員は戦闘機のように、いきなり旋回戦を挑むようなことはしない。ダイブ・アンド・ズームの上昇と降下による垂直面での戦闘が開始された。それでも、3機の流星が撃墜された。P-80は2機が銃撃により被弾して急降下で退避していった。空戦機動を繰り返していると、戦いは次第に低空へと移っていった。

 日本の流星とアメリカのシューティングスター(流星)によるジェット機同士の空戦は、アメリカの流星が優位の戦いとなった。それでも日本の流星は与えられた任務を達成していた。ジェット機同士の戦闘が展開されている間に、他の流星はアメリカ機動部隊への攻撃を開始することができたのだ。

 米軍第30.1任務部隊は、今まで多数の戦艦や巡洋艦などの大型艦が撃沈された影響で、艦隊の駆逐艦の比率が多くなっていた。

 空母レキシントンⅡの前方に重巡サンフランシスコが航行していたが、それ以外は駆逐艦が輪形陣を構成していた。空母インディペンデンスには、重巡ニューオーリンズが随伴していたが、残りは駆逐艦による護衛だった。同様に、空母ベロー・ウッドには、軽巡モントピリアと駆逐艦が輪形陣を構成していた。

 レキシントンⅡを護衛していた第23駆逐戦隊のアーレイ・バーク大佐は、日本機が接近しているとの報告を受けた。
「北西方向から日本軍機が接近してきます。高速なのでジェット機のようです」

「日本機はレーダーの妨害をしてくるぞ。妨害されたら光学照準に変える準備をしておけ。5インチ砲の信管はタイマー信管だ。5インチ砲は日本機が射程に入ったら射撃開始してよい」

 流星隊は、最も北方を航行していたベロー・ウッドの輪形陣に対して攻撃を開始した。8機の流星が電波攪乱紙を散布しながら接近していった。しかし光学照準に切り替えた激しい対空砲火により1機が撃墜された。

 残った流星が機関砲の射程範囲よりも手前で、誘導弾を投下した。7発の赤外線誘導弾は尾部の推進剤に点火すると一気に加速して、ベロー・ウッドの上空から落下してきた。しかし、小型空母の4本煙突の赤外線をとらえられたのは2発のみだった。1発が後部飛行甲板を直撃して、1弾が右舷側の艦橋への命中弾となった。命中した80番弾頭は甲板を次々に貫通して艦底で爆発した。船体底部で爆発した80弾頭の300kgの炸薬が全機関を破壊した。次の瞬間、右舷の艦橋が跡形もなく吹き飛んだ。右舷の爆発が船殻に大きな亀裂を発生させて、大規模な浸水が始まった。ベロー・ウッドは急速に右舷へと傾斜していった。

 ベロー・ウッドを狙って投下された1発は、激しく排煙を上げて全速航行していたモントピリアの赤外線を探知した。赤外線誘導弾は、巡洋艦の2本煙突の間に狙いすましたように命中した。2インチ(51mm)装甲を簡単に破って、艦底まで貫通してから80番が爆発した。機関が停止して、艦底の亀裂から浸水が始まると急速に沈みだした。

 駆逐艦チャールズ・オースバーンの艦橋から、誘導弾が降下ルートを変えて軽巡の煙突付近に命中するのを見ていたバーク大佐は、それが赤外誘導だと気がついた。
「レイノルズ少佐、あの誘導爆弾は赤外線を狙ってくるようだ。何かいい対策はないか?」

「赤外線は発熱する物体から出ています。高温で燃えるものを打ち出すことができれば……」

 既に、彼の駆逐艦も対空射撃を開始している。時間の余裕はない。駆逐艦長の少佐がまだ話している間に、バーク大佐は大声で命令した。
「星弾だ。スターシェルを上空に打ち上げろ。戦隊の全艦に命令だ。大至急、空母の真上を外して照明弾を打ち上げろ」

 この命令が実行される前に、8機の流星からインディペンデンスに向けて誘導弾が投下された。対空砲で被害を受けた1機を除く7機が投弾に成功した。誘導弾はインディペンデンスに2発が命中した。右舷側の至近を航行していたニューオーリンズにも2発が命中した。2隻ともに船体内で爆発した80番弾頭により、缶室と機関室が破壊されて、船底から浸水が始まった。機関部の発電機も停止して排水もできない。

 ほぼ同時に、10機の流星がレキシントンⅡに向かっていった。その瞬間、第23駆逐戦隊の4隻の駆逐艦から星弾が発射された。輪形陣の上空に20発の星弾が落下傘でゆらゆら揺れながら落ちてきた。10発の誘導弾がレキシントンIIをめがけて飛行してゆく間に、星弾は更に3倍以上に数を増やした。結果的に照明弾が発する赤外線で照準を邪魔された9発は、レキシントンⅡから離れた海上に落下した。1発だけが空母の煙突からの赤外線をとらえたが、右舷後部の至近弾となっただけだった。

 上空で攻撃戦果を観察していた村田少佐は、1発も命中しない異常事態をすぐに察した。
「誘導弾攻撃を一時停止せよ、少し待て」

 後席の星飛曹長が話しかける。
「さかんに照明弾が上空で燃えて光っていますね」

「上空で燃えているのか。そうかわかったぞ。あれは米軍にとっての三式弾なのだ。赤外線避けだ」

 日本海軍の赤外線誘導弾には、陸上目標や停泊した目標への攻撃を考慮して、赤外線誘導を無効化することが可能となっていた。その場合は、無誘導の通常の80番4号爆弾と同じになる。
「全機、赤外線誘導を停止しろ。通常の急降下爆撃を行う」

 村田機を先頭にして、まだ投下していなかった機体が急降下を開始した。このような場合は彗星のほうが安定して急降下が可能で命中率が良いが、そんなことは言っていられない。

 12機の流星が6機毎の2群に分かれて爆撃を開始した。最初の6機がダイブブレーキを下げて急降下を始めると、5インチ砲に加えて40mm機関砲の射撃が始まる。2機が機関銃か高射砲弾の直撃でバラバラになりながら落ちてゆく。投下された4発のうちの1発がレキシントンⅡの甲板中央部に命中した。

 1弾が命中する以前に、次の6機編隊が急降下を始めていた。最初の1群を狙っていた対空砲は再照準するのに時間がかかった。1機が撃墜されたが、5発の投弾に成功した。1発が船体の後部に命中した。さすがの大型空母も2発の80番弾頭の爆発により、ボイラーと機関が半数停止する損害を受けて、20ノット以下へと速度が落ちていった。亀裂が生じた舷側から所々で浸水も始まる。

 一方、二航戦から発艦した烈風改と彗星の編隊は、米艦隊の南西から接近していた。第30.1任務部隊の南側には、ヒッカム陸軍基地を離陸してきた60機以上のP-51ムスタングが待ち構えていた。攻撃隊長の江草少佐に電探警戒機から、それを知らせる通話が入ってくる。
「電探警戒1号機です。米艦隊の南側に米戦闘機の編隊。南西に進むと正面から迎撃される恐れあり」

「了解、攻撃隊は東の方向に迂回する」

 次いで、飛龍戦闘機隊の能野大尉が応答した。
「我々戦闘機隊はこのまま米戦闘機群に直進します。その間に米艦隊を攻撃してください」

 烈風改の編隊は、P-51の編隊を認めて、左翼から回り込んでいった。右側に彗星隊が飛行していることを考慮して、反対側に引き込もうとしたのだ。しかし、旋回の途中でP-51の編隊はロケット弾を発射してきた。側面からの攻撃で4機の烈風改が撃墜された。烈風改も即座に噴進弾を発射した。P-51編隊は3機が撃墜されたが、30機の烈風改に比べて60機のP-51は圧倒的に数が多い。

 烈風改は速度で40km/h程度、優れているものの、P-51を攻撃しようとすると、後方に他の機体が迫って射撃可能な位置までなかなか接近できない。一方、P-51は2機で1機の烈風改を相手にすることができた。1機のP-51が追尾して、それを烈風改が回避しようと旋回すると別のP-51が先回りして攻撃することが可能だ。次第にP-51が有利になってゆく。

 東側に回って攻撃を開始しようとしていた彗星隊も、米軍のレーダーが接近をとらえていた。烈風改と戦っていたマクドナルド大尉は、無線の呼びかけに気がついた。
「第23駆逐戦隊のバークだ。艦隊の東側から日本軍の編隊が接近している。これを聞いた戦闘機隊は、至急迎撃してくれ。空母は損傷を受けて指揮が行えない状態だ」

 乱戦の中から、マクドナルド大尉を先頭とする8機のP-51が抜け出して東方の彗星の編隊に向かっていった。
「陸軍航空隊のマクドナルドだ。40機以上のジュディ(彗星)編隊を確認した、友軍機の応援を求む」

 8機のP-51は編隊の左翼側から接近するとたちまち6機の彗星を撃墜した。更に、前方を飛行していた編隊に攻撃を加えて3機を撃墜した。やがて、5機のP-51が応援に現れたが、4機の烈風改も一緒に飛行してくる。攻撃を受けた彗星隊の江草少佐が戦闘機を呼んだのだ。烈風とP-51の空戦が始まる。しかし、P-51の数が多い。2機の彗星が撃墜された。

 米軍戦闘機が攻撃してきても、ここまで来たら強行突破するしかない。既に米艦隊は見えているのだ。損害を受けていなかった31機の彗星が高空と低空に分かれて攻撃を開始した。

 江草少佐が艦隊上空に達した時には、空母ベロー・ウッドは横転して沈みつつあった。軽巡モントピリアの姿は既に海上になかった。空母インディペンデンスと重巡ニューオーリンズは海上に傾いて停止していた。レキシントンⅡも被害を受けて、船体後部の破孔から煙を吐き出しながら15ノットで航行していた。重巡サンフランシスコと周りの駆逐艦もレキシントンⅡの速度に合わせて航行していた。

 14機の彗星が上空から接近していた。既に村田少佐から、照明弾による赤外線の欺瞞については、連絡が来ていた。電波攪乱紙を散布するが、米艦隊も既に高射砲弾は欺瞞を受けやすい電波の近接信管から時限信管に切り替え済みだ。

 彗星隊が急降下態勢に入るまでに高射砲射撃で2機が撃墜された。降下途中で機関砲と高射砲により更に2機が撃墜された。10発の爆弾を投下して、2発を命中させた。

 爆撃と同時に、11機の雷撃装備の彗星が低空から迫ってきた。雷撃コースに入って直線飛行に移ったところを狙われて、2機が撃墜された。9本の魚雷が投下されて、低速で航行するレキシントンⅡの左舷側に3本が命中した。2発の80番弾頭と3本の魚雷の命中により、さすがの大型空母も完全に海上に停止すると、左舷の大破孔から浸水して急速に左舷に傾きだした。

 残った6機の雷撃機は、停止していたベロー・ウッドを狙った。対空砲火もまばらで、投下された6本のうちの2本が命中した。1本はニューオーリンズに命中した。電気も動力も停止して、破孔からの浸水を止める手段もなくなって、2隻共にあっという間に沈んでいった。

 米海軍最後の機動部隊が壊滅することにより、この日の日米機動部隊の戦いは幕を下ろした。

 ……

 長官室から出てきたマクモリス少将にレイトン少佐が尋ねた。
「戦いの状況を報告してから、何か長官からの指示はありましたか?」

 マクモリス少将が首を横に振った。
「しばらく一人にしてほしいとのことだ。無理もない。入念に準備してきた艦隊が、全て壊滅させられたのだからな」

「これからどうなるのでしょうか?」

「日本軍の作戦目的は、艦隊を全滅させることではない。ハワイ侵攻に対して邪魔な艦隊をつぶしただけだ。次はこの島自身が攻撃されるだろう。我々にはこの島を守る義務がある。君も最後まで投げだすな」

 マクモリス少将は、自分自身に語りかけるように話した後は、窓の外の真珠湾を見つめていた。
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