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第6章 戦いの始まり
6.3章 開戦準備
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小倉少佐は、計算機が解読した電文を読んで、直ちに報告すべき案件だと判断した。東京のアメリカ大使館に重要電文が送付されるとの報告を受けた前田少将は、軍令部総長に電話で説明するとともに、海軍大臣に緊急の面談を申し入れた。
永野総長は、前田少将から連絡を受けて、米内大臣のところに出向いた。前田少将が分析した情報の説明から打ち合わせが始まった。
「この電文において、重大な決意を伝える文書と言っているところが極めて重要です。決意という言葉を定義通り受け取れば、我が国と交渉を行うというよりも、アメリカ自身が決断したことを通告するという意味になります。最後通牒の可能性が高いと思わざるを得ません。しかも今まで諜報した情報から想定すると、アメリカ太平洋艦隊は戦うことを前提にして、戦力増強を進めていると考えられます」
さすがに米内大臣もうなずく。
「うむ。この電文で一気に開戦が近づいたと思う。我が国に通告文書を渡せば、アメリカはすぐにでも戦端を開く可能性があるぞ。連合艦隊の山本長官はじめ、指揮官に情報を伝える必要があるぞ。鎮守府や各地の守備隊にも連絡してくれ。但し、まだ戦争は始まっていない。開戦の可能性が極めて高いということをしっかりと伝えるが、交戦状態となるまでは、先制攻撃は控えてくれ。最初の引き金を引くのは、ルーズベルトでなければならない」
永野総長はあえて同意を求めた。
「このまま座して攻撃を受けるわけには行きません。この情報を直ちに部隊の指揮官に伝達する必要があります」
「ところで陸軍にもこの情報は入っているだろな?」
「もちろんです。対米情報の解読は陸軍参謀本部との共同作業です。重要情報は参謀本部長から陸軍大臣に報告が上がってます」
「なるほど、我々も海軍内で早急な連絡が必要だ。連合艦隊の山本君には、私から今までのいきさつも含めて伝えておく。鎮守府や各部隊の指揮官には軍令部から連絡してくれ」
軍令部総長は、大臣との打ち合わせを切り上げると軍令部に自分の命令を伝えた。
「伊藤次長、手分けして各地の鎮守府や部隊の指揮官に、米国から攻撃を受ける可能性があることを伝えるのだ。相手をたたき起こしてもかまわん」
……
連合艦隊旗艦の「大和」は柱島に停泊していた。旗艦停泊用のブイを経由して電話線がつながっている。米内大臣が、しばらく待っていると、山本長官につながった。
「海軍大臣の米内だ。先程、軍令部と参謀本部が協力して、米国の戦争開始に関する重要な情報を入手した。米国は我が国に対して、本気で戦争を仕掛けようと計画しているとのことだ。我が国に対して、宣戦布告文を手渡すための準備を始めた」
「情報の信憑性は大丈夫なのですよね?」
「ああ、この情報については極めて信頼度が高い。軍令部の『戦史研究』の結果と海外の諜報員が集めた複数の情報が同じ方向を示している。開戦の時期はまだ確かではないが、その時はかなり近いと予想している。1週間以内に開戦となってもおかしくはないぞ」
山本長官は「戦史研究」が暗号解読だとわかったが、あえて確認しなかった。
「了解です。直ちに麾下の艦隊に行動を開始するように命令します。戦闘が始まれば、躊躇せずに米国の太平洋艦隊と一戦を交えることになりますが、よろしいですね?」
「米艦隊が、どこで戦端を開くのかを具体的に示す情報はない。しかし、我が国の本土への直接攻撃の可能性は高い。奇襲を受けないように注意してくれ。但し、こちらが先に手を出すことは厳禁だ。宣戦布告を受領するか、あるいは米軍が攻撃してきた場合に限り反撃してよい」
「なんとも難しい条件が付いていますが、米艦隊の攻撃に対して警戒を開始します。私自身も『大和』に乗って太平洋に出ますよ」
「もちろん、陣頭指揮は連合艦隊司令長官の専権事項だ」
「アメリカ太平洋艦隊の最新状況を軍令部に問い合わせますがよろしいですね?」
「事態はこれからも刻々と変化するだろう。最新情報は軍令部が収集しているはずだ。軍令部からは、同時に各地の鎮守府にも連絡をしている。そちらとも連携してくれ」
……
山本大将は直ちに、連合艦隊司令部の参謀を招集した。
「最近になって、太平洋はかなり深刻な状況となっていたが、米国が我が国との戦争を準備しているとの確度の高い情報が入ってきた。すぐに米国から宣戦布告されてもおかしくないとのことで、米内大臣が直接私に連絡してきた。我が国本土に対して攻撃を仕掛けてくる可能性が高い」
長官の命令で、あらかじめ軍令部から情報を入手していた宇垣参謀長が状況を説明した。
「米海軍は5隻の空母と2隻の新型戦艦を太平洋にそろえたとの情報があります。パナマ経由で太平洋の戦力を強化したとのことです。これらの艦艇を中核として、真珠湾の太平洋艦隊も合わせて艦隊を編制するはずです。おそらく高速艦から構成される機動部隊により、攻撃してくるはずです」
「機動部隊となると、2隊から3隊を編制している可能性がある。攻撃日時を確定させる情報はないが、攻撃の開始時期はかなり近いだろう。1週間以内との予測もある。なお、大臣からくれぐれも、先に手を出すなと言われている。戦闘を行うのは、宣戦布告を受けて国家間が戦争状態になるか、相手から先制攻撃を受けた場合に限る」
山本長官の視線を感じて、宇垣参謀長が発言する。
「万が一、我が国の領土に米艦隊が接近してくるのであれば、それを見つけることが先決です。本土の航空部隊と、空母を出港させて、航空機による本土周辺への索敵をすぐにでも実施すべきです。よろしいですね?」
参謀長の意見は、当然の内容だ。その場のほとんどが納得したが、航空参謀の佐々木中佐だけは、素直にうなずかなかった。
「各基地の陸攻隊に、太平洋を索敵するように指示を出します。しかし、基地航空隊の一式陸攻で偵察するとなると、本土の陸攻隊については、基地配備が偏っていますので、北海道と東北の航空隊は太平洋側の基地への移動が必要になります。命令を発出しても時間を要する場合がありますので、了解願います」
そういわれてしまえば、了承するしかない。宇垣少将は憮然として答えた。
「むろん必要なことはやるしかない。直ちに準備に取り掛かるように命令してくれ」
黒島主席参謀が、話題を変えることを示すために片手をあげて説明を始めた。
「米国の攻撃目標に関してですが、5隻もの空母を有しているとなれば、帝都への攻撃の可能性を否定できないと考えます。他の地域は多少手薄になっても、東京への攻撃だけは防がねばなりません。そこで、本土の沖合で索敵を行う空母の配置ですが、一航戦を房総半島の東側、二航戦を伊豆半島の南側として、関東を防衛する配置とします。五航戦は紀伊半島の南、四航戦については、四国の南方で西日本と九州への備えとします」
山本長官はすぐに了承した。
「帝都が攻撃されるようなことになれば、とり返しがつかない。その配置でよいだろう。時間をかけて検討すれば、もっと良い案があるかもしれないが、そんな猶予はない。とにかくできる限り早期に警戒網を構築するぞ。泊地からは、空母機動部隊を優先して出港させてくれ」
最後に思い出したことを宇垣参謀長が発言した。
「我が国の沖合では、小型船が警戒しています。本土から500海里(926km)前後の海域で哨戒をしているはずです。何か発見したらすぐに我々のところに連絡が来るように、軍令部と鎮守府に依頼しましょう。空母が艦載機を発進させるにしても、300海里(556km)以内に接近しなければなりません。哨戒線の内側に必ず踏み込むはずです」
……
太平洋艦隊司令のキンメル長官は、部下と情勢分析をしていた。
「ハルゼーの艦隊は、予定通り行動しているかね?」
参謀のレイトン中佐が答える。
「無線封止のため詳しい情報は入っていませんが、何も言ってこないということは、問題が発生していないということです。合衆国から日本への最後通牒も、予定通りの日時に発出されるでしょう。攻撃計画を変更する必要はありません」
キンメル大将は黙ってうなずきながら、別の質問をした。
「日本海軍の行動はわかっているか? 特にヤマモトの艦隊の状況について知りたい」
暗号分析を行ってきたロシュフォード中佐が答える。
「数日前までは、日本の連合艦隊は艦隊行動をしていないことは確認済みです。旗艦の『ヤマト』も呉の沖合のハシラジマに停泊していました。今後の行動予定については不明です。日本の暗号は、1年以上前から解読が不可能になっています。そのため、現状では諜報員からの報告など、わずかな情報に頼っているので、詳しいことはわかりません」
「日本側の知恵者が、暗号の弱点に気がついて改良したのだろう。そういえば、偽電はどうなっている」
「真珠湾に空母が停泊しているように欺瞞する無線は、今も定期的に打電しています。あまりに頻度を増やすと、かえって日本側に気づかれる可能性もありますので、数日に一度程度にしています」
キンメル大将は無意識に窓の外を眺めた。湾内にはかご型マストの戦艦が並んでいるのがよく見えた。今回は出番がないが、ハルゼーの作戦が成功すれば、彼女たちが活躍する場面もあるだろう。
……
重要文書を解読してからは、海軍は臨戦体制に移行していた。そのため、我々も帰ることができずに、情報研究所に留まっていた。目ざとく我々を見つけた小倉少佐が、さっそく新たな仕事を要求するためにやってきた。
「米国で収集した諜報情報から、太平洋での空母や戦艦の想定戦力が明らかになっている。その戦力を前提条件として、米軍はどのような作戦を実行するのか、図演と同じように計算機に答えを出してもらいたい。図上演習を行う場合に比べて、いくつかの条件や評価の係数などは変更する必要があるだろう。君たちの協力により、数時間以内にその変更を終わらせたい。緊迫している国際情勢を考慮すると、すぐにでも答えが欲しいのだ。前提とする兵力については、こちらで準備した彼我の数値情報を教える。君たちが変更した条件と合わせてすぐにも模擬作戦の計算を始めたい」
時間の制約があるので、できることは限られている。それでも赤軍の作戦目的を青軍の兵力削減に変更した。加えて、図上演習時の経験から、青軍の被害を軽減することをもっと重視するように条件を変えた。軍令部から教えられた彼我の戦力などを最後に入力して計算を開始させた。一旦、我々は寝ることにしたが、人間が休んでいても、計算機は夜中でも計算を続けてくれる。4時間後、様子を見にいくとプログラムは実行完了間近だった。
早朝には、私たちは計算機が出した結果をまとめて少佐に報告することができた。
「小倉少佐、答えが出ました。当たり前ですが、赤軍にとっては、宣戦布告をしてから青軍の準備が整わないうちに攻撃できれば、被害が少なく戦果が大きくなるという結果です。つまり、開戦したならば、青軍が迎撃準備を終える前に、できる限り速やかに青軍の根拠地を攻撃することが、最も合理的な作戦になります。布告文を渡す時間と攻撃開始をぴったりと合わせることはできないので、数時間以内が最も危険だと思われます。赤軍の攻撃対象は青軍艦隊の根拠地になっています」
「なるほど。冷静に考えれば、当然の結果だな。宣戦布告文書を日本側に渡したならば、直ちに攻撃が始まっても遅くないということか。攻撃の目標は、直接戦力を大きくそぎ落とせるところということであれば、艦隊の泊地が狙われるという結果だな。いきなり奇襲を受けるようなことになれば、被害はかなり大きくなるだろう。奇襲を避けるために、すぐに報告を上げる」
我々が小倉少佐に計算機の計算結果を報告した日の夜には、米国の重大な決意文書が、米国の駐日大使館に届き始めた。暗号化された文書の内容は「オモイカネ三型改」により直ちに解読されていった。
……
米内大臣は、米国との間の状況が緊迫してからは、海軍省に泊まり込んでいた。
「大臣、お休みのところ申し訳ありません。緊急事態です」
肩を揺さぶられて、目を覚ますと秘書官の杉江中佐だった。すぐに仮眠用の長椅子から跳ね起きた。
「何事かね?」
「東京の米大使館に重大な文書がアメリカ本国から届いたとのことです。軍令部で『戦史』を解析した結果なので間違いありません」
「『戦史』分析が示している内容は何かね?」
「宣戦布告文がワシントンからアメリカ大使館に入電しています」
米内大臣は一気に眠気が覚めた。
「夜間になって送付ということは、明日朝には、その文書を我が国に正式に提出するつもりだということか。こうしちゃおれんぞ。明日になれば、我が国とアメリカの戦争が始まることになる」
「軍令部から連絡が入っています。説明のために、総長がこちらに向かっています」
1時間後には、海軍省の会議室に、米内大臣と永野総長に加えて、福留少将、前田少将が揃っていた。前田少将が米国大使館宛の電文の解読結果を説明する。
「これが、我々が解読した文書です。外交的な交渉を中止して、やむを得ず開戦するとの内容が記述されています。陸軍側でも参謀本部から同じ内容を陸軍大臣に伝えているはずです。なお総理大臣と外務大臣には、伊藤次長が報告に行っています」
永野総長が、説明を続けた。
「まず間違いなく、明日になればこの文書が、我が国の外相に提出される。それを受け取れば、我が国とアメリカとの戦争が開始されることになる。軍令部の電子計算機による作戦分析によれば、布告文を手渡してからできるだけ早い時刻に攻撃を開始するだろうとのことだ」
海軍大臣はしばらく考え込んでいた。
「アメリカは国際法違反だと後になって非難されないために、手順を守ろうとしている。国際的な非難を避けるために、文書を手交してからすぐにも戦闘を開始するのではないか。その順序が変わることはない」
総長が答える。
「我々も同じ意見だ。1時間ないし2時間の余裕をみていれば、宣戦布告と戦闘開始の順序が入れ替わることはないだろう。各地の鎮守府と連合艦隊司令部には、明日にでも攻撃が始まる可能性が高いことを伝えた。『大和』は、昨日、太平洋に出港したが、無線でこの情報を伝えている」
「大臣として、今から広田外相に面談に行ってくる。可能であればその後に総理大臣にも会うつもりだ。明日の午前にはアメリカの大使から文書を受け取ることになるだろう。受け取ったならば、即座に連絡するから、各部隊にすぐに伝達してほしい。開戦の号砲が鳴ったならば、それ以降は、こちらから米軍に対して先制攻撃をするのも許されるからな」
……
鎮守府長官の豊田大将に、参謀長の中島少将が連絡に来た。
「軍令部総長名で緊急電です。夜が明けたら、米国が我が国に宣戦布告することが判明したとのことです。これは推測ではなく、確定情報です。アメリカと我が国が戦争状態となれば、まず海軍の艦艇や基地を攻撃してくることが想定されると通知してきています」
「昨日、開戦が濃厚との連絡を受けていたが、今夜になって確実になったということか。私の想定よりもかなり早かったな。攻撃目標に呉は間違いなく含まれているだろう。航空隊には機材の発進準備を済ませておくように伝えてあるな?」
「軍令部からの注意が、事前に通告されていますので、航空基地は準備に取り掛かっています。敵機の攻撃を探知したら、迎撃機も攻撃機も発進可能です」
……
太平洋上を航行する「大和」にも、軍令部からの電文が届けられた。夜明けが近いにもかかわらず、山本長官以下の司令部要員が集まっていた。
最初の暗号電は、永野総長名で、夜が明ければ、米国が日本に間違いなく宣戦布告するとの連絡だった。次の電文は、軍令部第一部からだった。宣戦布告が受理されれば、米国は時をおかずに本土を攻撃してくる可能性が高い。文書を手渡した時刻から数時間以内に海軍基地や艦艇が攻撃を受ける可能性が極めて高いので、それを迎撃せよとの指示だ。
宣戦布告予定との連絡を聞いて、宇垣参謀長が慌てて口を開いた。
「我が軍の基地や艦艇への攻撃を仕掛けてくる想定については同意です。但し、情勢の変化が急だったので、横須賀や柱島、佐世保にも、まだ停泊中の艦艇が残っています。動ける艦は即刻脱出するように命令を伝えます。時間が惜しい。通信参謀、退避命令をすぐに伝えてくれ」
慌てて、通信参謀の和田中佐が無線室に向けて走っていった。
宇垣参謀長は、見通しが甘かったことを後悔していた。昨日のうちに、直ちに泊地への攻撃が始まると真剣に考えていれば、停泊中の艦艇の退避命令をもっと早く出せただろう。軍艦は、ディーゼルを除いてボイラーの蒸気圧が上がらなければ、動くことはできない。今から命令しても、火を落としている艦が走り始めるまでには、しばらく時間がかかるのだ。
一息ついたところで、黒島参謀が状況説明を開始した。
「現在のところ、迎撃可能なのは、4つの空母部隊とその護衛艦隊、それに小沢中将の率いる第七戦隊、我々の第一戦隊の部隊となります。加えて、近藤中将の第四戦隊が水雷戦隊とともに、佐多岬沖まで脱出したとの連絡が入っています。当面、この海上戦力と本土基地の航空部隊で米艦隊を迎え撃ちます」
山本長官が質問する。
「空母部隊と陸攻の索敵については、異論はない。第七戦隊と第四戦隊の部隊はどこで待ち構えたら良いと思うかね?」
黒島参謀が答える。
「小沢中将の部隊は、既に紀伊半島沖に達していますので、南南西方向に進出して五航戦と合流させます。近藤中将の部隊は、東南方向に進んで四航戦と合流させたいと考えます」
山本長官がゆっくりと見回した。
「部隊の行動についてはそれでいいだろう。米軍がどこにやってくるかまだわからない。状況の変化に合わせて、臨機応変に対応する。宣戦布告をしたならば、即刻攻撃をしてくるだろうという、軍令部の見方に私も賛成だ。おそらく、今日は日が昇ってから、日本で一番長い一日になるぞ。みんな心していてくれ」
一瞬、その場は静まり返ったが、参謀たちはすぐに米軍への迎撃準備をするために散っていった。
永野総長は、前田少将から連絡を受けて、米内大臣のところに出向いた。前田少将が分析した情報の説明から打ち合わせが始まった。
「この電文において、重大な決意を伝える文書と言っているところが極めて重要です。決意という言葉を定義通り受け取れば、我が国と交渉を行うというよりも、アメリカ自身が決断したことを通告するという意味になります。最後通牒の可能性が高いと思わざるを得ません。しかも今まで諜報した情報から想定すると、アメリカ太平洋艦隊は戦うことを前提にして、戦力増強を進めていると考えられます」
さすがに米内大臣もうなずく。
「うむ。この電文で一気に開戦が近づいたと思う。我が国に通告文書を渡せば、アメリカはすぐにでも戦端を開く可能性があるぞ。連合艦隊の山本長官はじめ、指揮官に情報を伝える必要があるぞ。鎮守府や各地の守備隊にも連絡してくれ。但し、まだ戦争は始まっていない。開戦の可能性が極めて高いということをしっかりと伝えるが、交戦状態となるまでは、先制攻撃は控えてくれ。最初の引き金を引くのは、ルーズベルトでなければならない」
永野総長はあえて同意を求めた。
「このまま座して攻撃を受けるわけには行きません。この情報を直ちに部隊の指揮官に伝達する必要があります」
「ところで陸軍にもこの情報は入っているだろな?」
「もちろんです。対米情報の解読は陸軍参謀本部との共同作業です。重要情報は参謀本部長から陸軍大臣に報告が上がってます」
「なるほど、我々も海軍内で早急な連絡が必要だ。連合艦隊の山本君には、私から今までのいきさつも含めて伝えておく。鎮守府や各部隊の指揮官には軍令部から連絡してくれ」
軍令部総長は、大臣との打ち合わせを切り上げると軍令部に自分の命令を伝えた。
「伊藤次長、手分けして各地の鎮守府や部隊の指揮官に、米国から攻撃を受ける可能性があることを伝えるのだ。相手をたたき起こしてもかまわん」
……
連合艦隊旗艦の「大和」は柱島に停泊していた。旗艦停泊用のブイを経由して電話線がつながっている。米内大臣が、しばらく待っていると、山本長官につながった。
「海軍大臣の米内だ。先程、軍令部と参謀本部が協力して、米国の戦争開始に関する重要な情報を入手した。米国は我が国に対して、本気で戦争を仕掛けようと計画しているとのことだ。我が国に対して、宣戦布告文を手渡すための準備を始めた」
「情報の信憑性は大丈夫なのですよね?」
「ああ、この情報については極めて信頼度が高い。軍令部の『戦史研究』の結果と海外の諜報員が集めた複数の情報が同じ方向を示している。開戦の時期はまだ確かではないが、その時はかなり近いと予想している。1週間以内に開戦となってもおかしくはないぞ」
山本長官は「戦史研究」が暗号解読だとわかったが、あえて確認しなかった。
「了解です。直ちに麾下の艦隊に行動を開始するように命令します。戦闘が始まれば、躊躇せずに米国の太平洋艦隊と一戦を交えることになりますが、よろしいですね?」
「米艦隊が、どこで戦端を開くのかを具体的に示す情報はない。しかし、我が国の本土への直接攻撃の可能性は高い。奇襲を受けないように注意してくれ。但し、こちらが先に手を出すことは厳禁だ。宣戦布告を受領するか、あるいは米軍が攻撃してきた場合に限り反撃してよい」
「なんとも難しい条件が付いていますが、米艦隊の攻撃に対して警戒を開始します。私自身も『大和』に乗って太平洋に出ますよ」
「もちろん、陣頭指揮は連合艦隊司令長官の専権事項だ」
「アメリカ太平洋艦隊の最新状況を軍令部に問い合わせますがよろしいですね?」
「事態はこれからも刻々と変化するだろう。最新情報は軍令部が収集しているはずだ。軍令部からは、同時に各地の鎮守府にも連絡をしている。そちらとも連携してくれ」
……
山本大将は直ちに、連合艦隊司令部の参謀を招集した。
「最近になって、太平洋はかなり深刻な状況となっていたが、米国が我が国との戦争を準備しているとの確度の高い情報が入ってきた。すぐに米国から宣戦布告されてもおかしくないとのことで、米内大臣が直接私に連絡してきた。我が国本土に対して攻撃を仕掛けてくる可能性が高い」
長官の命令で、あらかじめ軍令部から情報を入手していた宇垣参謀長が状況を説明した。
「米海軍は5隻の空母と2隻の新型戦艦を太平洋にそろえたとの情報があります。パナマ経由で太平洋の戦力を強化したとのことです。これらの艦艇を中核として、真珠湾の太平洋艦隊も合わせて艦隊を編制するはずです。おそらく高速艦から構成される機動部隊により、攻撃してくるはずです」
「機動部隊となると、2隊から3隊を編制している可能性がある。攻撃日時を確定させる情報はないが、攻撃の開始時期はかなり近いだろう。1週間以内との予測もある。なお、大臣からくれぐれも、先に手を出すなと言われている。戦闘を行うのは、宣戦布告を受けて国家間が戦争状態になるか、相手から先制攻撃を受けた場合に限る」
山本長官の視線を感じて、宇垣参謀長が発言する。
「万が一、我が国の領土に米艦隊が接近してくるのであれば、それを見つけることが先決です。本土の航空部隊と、空母を出港させて、航空機による本土周辺への索敵をすぐにでも実施すべきです。よろしいですね?」
参謀長の意見は、当然の内容だ。その場のほとんどが納得したが、航空参謀の佐々木中佐だけは、素直にうなずかなかった。
「各基地の陸攻隊に、太平洋を索敵するように指示を出します。しかし、基地航空隊の一式陸攻で偵察するとなると、本土の陸攻隊については、基地配備が偏っていますので、北海道と東北の航空隊は太平洋側の基地への移動が必要になります。命令を発出しても時間を要する場合がありますので、了解願います」
そういわれてしまえば、了承するしかない。宇垣少将は憮然として答えた。
「むろん必要なことはやるしかない。直ちに準備に取り掛かるように命令してくれ」
黒島主席参謀が、話題を変えることを示すために片手をあげて説明を始めた。
「米国の攻撃目標に関してですが、5隻もの空母を有しているとなれば、帝都への攻撃の可能性を否定できないと考えます。他の地域は多少手薄になっても、東京への攻撃だけは防がねばなりません。そこで、本土の沖合で索敵を行う空母の配置ですが、一航戦を房総半島の東側、二航戦を伊豆半島の南側として、関東を防衛する配置とします。五航戦は紀伊半島の南、四航戦については、四国の南方で西日本と九州への備えとします」
山本長官はすぐに了承した。
「帝都が攻撃されるようなことになれば、とり返しがつかない。その配置でよいだろう。時間をかけて検討すれば、もっと良い案があるかもしれないが、そんな猶予はない。とにかくできる限り早期に警戒網を構築するぞ。泊地からは、空母機動部隊を優先して出港させてくれ」
最後に思い出したことを宇垣参謀長が発言した。
「我が国の沖合では、小型船が警戒しています。本土から500海里(926km)前後の海域で哨戒をしているはずです。何か発見したらすぐに我々のところに連絡が来るように、軍令部と鎮守府に依頼しましょう。空母が艦載機を発進させるにしても、300海里(556km)以内に接近しなければなりません。哨戒線の内側に必ず踏み込むはずです」
……
太平洋艦隊司令のキンメル長官は、部下と情勢分析をしていた。
「ハルゼーの艦隊は、予定通り行動しているかね?」
参謀のレイトン中佐が答える。
「無線封止のため詳しい情報は入っていませんが、何も言ってこないということは、問題が発生していないということです。合衆国から日本への最後通牒も、予定通りの日時に発出されるでしょう。攻撃計画を変更する必要はありません」
キンメル大将は黙ってうなずきながら、別の質問をした。
「日本海軍の行動はわかっているか? 特にヤマモトの艦隊の状況について知りたい」
暗号分析を行ってきたロシュフォード中佐が答える。
「数日前までは、日本の連合艦隊は艦隊行動をしていないことは確認済みです。旗艦の『ヤマト』も呉の沖合のハシラジマに停泊していました。今後の行動予定については不明です。日本の暗号は、1年以上前から解読が不可能になっています。そのため、現状では諜報員からの報告など、わずかな情報に頼っているので、詳しいことはわかりません」
「日本側の知恵者が、暗号の弱点に気がついて改良したのだろう。そういえば、偽電はどうなっている」
「真珠湾に空母が停泊しているように欺瞞する無線は、今も定期的に打電しています。あまりに頻度を増やすと、かえって日本側に気づかれる可能性もありますので、数日に一度程度にしています」
キンメル大将は無意識に窓の外を眺めた。湾内にはかご型マストの戦艦が並んでいるのがよく見えた。今回は出番がないが、ハルゼーの作戦が成功すれば、彼女たちが活躍する場面もあるだろう。
……
重要文書を解読してからは、海軍は臨戦体制に移行していた。そのため、我々も帰ることができずに、情報研究所に留まっていた。目ざとく我々を見つけた小倉少佐が、さっそく新たな仕事を要求するためにやってきた。
「米国で収集した諜報情報から、太平洋での空母や戦艦の想定戦力が明らかになっている。その戦力を前提条件として、米軍はどのような作戦を実行するのか、図演と同じように計算機に答えを出してもらいたい。図上演習を行う場合に比べて、いくつかの条件や評価の係数などは変更する必要があるだろう。君たちの協力により、数時間以内にその変更を終わらせたい。緊迫している国際情勢を考慮すると、すぐにでも答えが欲しいのだ。前提とする兵力については、こちらで準備した彼我の数値情報を教える。君たちが変更した条件と合わせてすぐにも模擬作戦の計算を始めたい」
時間の制約があるので、できることは限られている。それでも赤軍の作戦目的を青軍の兵力削減に変更した。加えて、図上演習時の経験から、青軍の被害を軽減することをもっと重視するように条件を変えた。軍令部から教えられた彼我の戦力などを最後に入力して計算を開始させた。一旦、我々は寝ることにしたが、人間が休んでいても、計算機は夜中でも計算を続けてくれる。4時間後、様子を見にいくとプログラムは実行完了間近だった。
早朝には、私たちは計算機が出した結果をまとめて少佐に報告することができた。
「小倉少佐、答えが出ました。当たり前ですが、赤軍にとっては、宣戦布告をしてから青軍の準備が整わないうちに攻撃できれば、被害が少なく戦果が大きくなるという結果です。つまり、開戦したならば、青軍が迎撃準備を終える前に、できる限り速やかに青軍の根拠地を攻撃することが、最も合理的な作戦になります。布告文を渡す時間と攻撃開始をぴったりと合わせることはできないので、数時間以内が最も危険だと思われます。赤軍の攻撃対象は青軍艦隊の根拠地になっています」
「なるほど。冷静に考えれば、当然の結果だな。宣戦布告文書を日本側に渡したならば、直ちに攻撃が始まっても遅くないということか。攻撃の目標は、直接戦力を大きくそぎ落とせるところということであれば、艦隊の泊地が狙われるという結果だな。いきなり奇襲を受けるようなことになれば、被害はかなり大きくなるだろう。奇襲を避けるために、すぐに報告を上げる」
我々が小倉少佐に計算機の計算結果を報告した日の夜には、米国の重大な決意文書が、米国の駐日大使館に届き始めた。暗号化された文書の内容は「オモイカネ三型改」により直ちに解読されていった。
……
米内大臣は、米国との間の状況が緊迫してからは、海軍省に泊まり込んでいた。
「大臣、お休みのところ申し訳ありません。緊急事態です」
肩を揺さぶられて、目を覚ますと秘書官の杉江中佐だった。すぐに仮眠用の長椅子から跳ね起きた。
「何事かね?」
「東京の米大使館に重大な文書がアメリカ本国から届いたとのことです。軍令部で『戦史』を解析した結果なので間違いありません」
「『戦史』分析が示している内容は何かね?」
「宣戦布告文がワシントンからアメリカ大使館に入電しています」
米内大臣は一気に眠気が覚めた。
「夜間になって送付ということは、明日朝には、その文書を我が国に正式に提出するつもりだということか。こうしちゃおれんぞ。明日になれば、我が国とアメリカの戦争が始まることになる」
「軍令部から連絡が入っています。説明のために、総長がこちらに向かっています」
1時間後には、海軍省の会議室に、米内大臣と永野総長に加えて、福留少将、前田少将が揃っていた。前田少将が米国大使館宛の電文の解読結果を説明する。
「これが、我々が解読した文書です。外交的な交渉を中止して、やむを得ず開戦するとの内容が記述されています。陸軍側でも参謀本部から同じ内容を陸軍大臣に伝えているはずです。なお総理大臣と外務大臣には、伊藤次長が報告に行っています」
永野総長が、説明を続けた。
「まず間違いなく、明日になればこの文書が、我が国の外相に提出される。それを受け取れば、我が国とアメリカとの戦争が開始されることになる。軍令部の電子計算機による作戦分析によれば、布告文を手渡してからできるだけ早い時刻に攻撃を開始するだろうとのことだ」
海軍大臣はしばらく考え込んでいた。
「アメリカは国際法違反だと後になって非難されないために、手順を守ろうとしている。国際的な非難を避けるために、文書を手交してからすぐにも戦闘を開始するのではないか。その順序が変わることはない」
総長が答える。
「我々も同じ意見だ。1時間ないし2時間の余裕をみていれば、宣戦布告と戦闘開始の順序が入れ替わることはないだろう。各地の鎮守府と連合艦隊司令部には、明日にでも攻撃が始まる可能性が高いことを伝えた。『大和』は、昨日、太平洋に出港したが、無線でこの情報を伝えている」
「大臣として、今から広田外相に面談に行ってくる。可能であればその後に総理大臣にも会うつもりだ。明日の午前にはアメリカの大使から文書を受け取ることになるだろう。受け取ったならば、即座に連絡するから、各部隊にすぐに伝達してほしい。開戦の号砲が鳴ったならば、それ以降は、こちらから米軍に対して先制攻撃をするのも許されるからな」
……
鎮守府長官の豊田大将に、参謀長の中島少将が連絡に来た。
「軍令部総長名で緊急電です。夜が明けたら、米国が我が国に宣戦布告することが判明したとのことです。これは推測ではなく、確定情報です。アメリカと我が国が戦争状態となれば、まず海軍の艦艇や基地を攻撃してくることが想定されると通知してきています」
「昨日、開戦が濃厚との連絡を受けていたが、今夜になって確実になったということか。私の想定よりもかなり早かったな。攻撃目標に呉は間違いなく含まれているだろう。航空隊には機材の発進準備を済ませておくように伝えてあるな?」
「軍令部からの注意が、事前に通告されていますので、航空基地は準備に取り掛かっています。敵機の攻撃を探知したら、迎撃機も攻撃機も発進可能です」
……
太平洋上を航行する「大和」にも、軍令部からの電文が届けられた。夜明けが近いにもかかわらず、山本長官以下の司令部要員が集まっていた。
最初の暗号電は、永野総長名で、夜が明ければ、米国が日本に間違いなく宣戦布告するとの連絡だった。次の電文は、軍令部第一部からだった。宣戦布告が受理されれば、米国は時をおかずに本土を攻撃してくる可能性が高い。文書を手渡した時刻から数時間以内に海軍基地や艦艇が攻撃を受ける可能性が極めて高いので、それを迎撃せよとの指示だ。
宣戦布告予定との連絡を聞いて、宇垣参謀長が慌てて口を開いた。
「我が軍の基地や艦艇への攻撃を仕掛けてくる想定については同意です。但し、情勢の変化が急だったので、横須賀や柱島、佐世保にも、まだ停泊中の艦艇が残っています。動ける艦は即刻脱出するように命令を伝えます。時間が惜しい。通信参謀、退避命令をすぐに伝えてくれ」
慌てて、通信参謀の和田中佐が無線室に向けて走っていった。
宇垣参謀長は、見通しが甘かったことを後悔していた。昨日のうちに、直ちに泊地への攻撃が始まると真剣に考えていれば、停泊中の艦艇の退避命令をもっと早く出せただろう。軍艦は、ディーゼルを除いてボイラーの蒸気圧が上がらなければ、動くことはできない。今から命令しても、火を落としている艦が走り始めるまでには、しばらく時間がかかるのだ。
一息ついたところで、黒島参謀が状況説明を開始した。
「現在のところ、迎撃可能なのは、4つの空母部隊とその護衛艦隊、それに小沢中将の率いる第七戦隊、我々の第一戦隊の部隊となります。加えて、近藤中将の第四戦隊が水雷戦隊とともに、佐多岬沖まで脱出したとの連絡が入っています。当面、この海上戦力と本土基地の航空部隊で米艦隊を迎え撃ちます」
山本長官が質問する。
「空母部隊と陸攻の索敵については、異論はない。第七戦隊と第四戦隊の部隊はどこで待ち構えたら良いと思うかね?」
黒島参謀が答える。
「小沢中将の部隊は、既に紀伊半島沖に達していますので、南南西方向に進出して五航戦と合流させます。近藤中将の部隊は、東南方向に進んで四航戦と合流させたいと考えます」
山本長官がゆっくりと見回した。
「部隊の行動についてはそれでいいだろう。米軍がどこにやってくるかまだわからない。状況の変化に合わせて、臨機応変に対応する。宣戦布告をしたならば、即刻攻撃をしてくるだろうという、軍令部の見方に私も賛成だ。おそらく、今日は日が昇ってから、日本で一番長い一日になるぞ。みんな心していてくれ」
一瞬、その場は静まり返ったが、参謀たちはすぐに米軍への迎撃準備をするために散っていった。
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