11 / 54
旅行
しおりを挟む
夏休みも終わりに近づいている八月下旬、目覚ましのアラームでいつもより早く目を覚ました。
今日は彼女との約束通り花火を見に広島へ行く。
早朝に岡山駅のすぐ目の前にある桃太郎像で待ち合わせをした。
僕が待ち合わせ十分前に行った時には、彼女は既に桃太郎像の前に到着していた。
まだ集合時間前とはいえ先に来ていた彼女に申し訳ない気持ちになって、待ち合わせ場所の桃太郎像の前まで早足に歩いて彼女に声を掛ける。
「おはよう。ごめん結構待たせた?」
彼女は「おはよう私もさっき着いた所」と言ってからわざとらしく「普通は男の子が先に待っていて、僕も今来た所とか言うんだけどね」と彼女は揶揄ってくる。
世間的には男女平等と言われているが、未だに価値観をアップデート出来てない僕は男性の方が先に待つのが当たり前と思ってしまうので、その事を失念していた僕はとりあえず急いで彼女に謝罪する。
すると彼女は冗談だと笑い「ごめんね。待ち合わせ時間より早いから問題ないよ」とフォローしてくれる。
それでも彼女も昔から繰り返されるやり取りに憧れのようなものを持っていたようで次からはもう少し早めに来て待たせないようにしようと心の中でひっそりと決意した。
会って早々に僕を揶揄ってご満悦な彼女を見ると、夏休みなので当然ながら制服ではなく私服姿で、病院の時と学校でしか会った事が無く何気に私服姿は初めて見る。
正直かなり似合っているけど言葉にするのは気恥ずかしく、僕は何も言えなかった。
彼女の今日の服装はハイウエストのワイドパンツにふんわりとしたホワイトのトップスだった。
そこに日除けの麦わら帽子とサングラスで、特徴的な髪と瞳を隠すようにしている。
ファッションに疎い僕でも、ぱっと見でかなりオシャレな事がわかる着こなしで、人の少ない時間帯でも既に結構な視線を集めている。
そんな彼女の隣を歩くと思うと、適当なブランドでマネキンを参考にして服を選んでいる僕としては、彼女に恥ずかしい思いをさせていないか不安になった。
すると彼女は、いつもより気持ち大き目の声でこちらの気後れを吹き飛ばすように声をかけてくれた。
「じゃあ、早速だけど旅の醍醐味を探しに行こうか」
お互いに待ち合わせの時間より早めに到着していたので、新幹線の時間までかなり余裕がある。駅の二階へエスカレーターで上ると駅弁を買う為にコンビニではなく、売店の並ぶ駅の弁当売り場へとやってくる。
「やっぱり旅行と言えばまずは駅弁だよね」
彼女はじっくり吟味を重ねて時間ぎりぎりまで悩んだ末に駅弁を購入し、新幹線に乗るために駅のホームへと迷惑にならない程度に早歩きで向かう。
新幹線の窓からの景色を眺めつつ、駅で買った駅弁を食べていると彼女が隣でいつもより楽しそうな声で話しかけてくる。
「私は広島なんて行くのは中学校の研修以来だけど篁君は?」
僕も中学校の研修以来だったので同じように答えた。
「僕も中学生の時に平和学習の研修の時に来て以来かな」
「篁君は転校して中学の時は元々この辺りの学校じゃなかったって言っていたと思うけど、地域が違っても案外みんな似たような時期に同じ所に行くよね」
「うん。広島に行くか長崎に行くかの違いだから西日本の近畿地方と中国地方の学校は大概の場合は広島に行くと思うよ」
「近いからね」
お弁当を食べ終え雑談をしているうちに、新幹線が到着して思ったより早く広島に着いた。
そこから公共交通機関を使い観光をしながら中学校の時以来の厳島神社へ行くために、フェリーに乗りこんだ。
宮島に着く頃には僕も彼女も朝が早かった事もあって真夏の日差しと気温でかなりぐったりしていた。
流石の彼女も暑さがキツイのか、朝の元気な姿は見る影もない。
昼過ぎに着いた僕らは神社へ向かう前にお店で休憩と昼食を兼ねて、目星をつけていたネットで人気の学生にも優しいリーズナブルなお店に入る事にした。
今日は彼女との約束通り花火を見に広島へ行く。
早朝に岡山駅のすぐ目の前にある桃太郎像で待ち合わせをした。
僕が待ち合わせ十分前に行った時には、彼女は既に桃太郎像の前に到着していた。
まだ集合時間前とはいえ先に来ていた彼女に申し訳ない気持ちになって、待ち合わせ場所の桃太郎像の前まで早足に歩いて彼女に声を掛ける。
「おはよう。ごめん結構待たせた?」
彼女は「おはよう私もさっき着いた所」と言ってからわざとらしく「普通は男の子が先に待っていて、僕も今来た所とか言うんだけどね」と彼女は揶揄ってくる。
世間的には男女平等と言われているが、未だに価値観をアップデート出来てない僕は男性の方が先に待つのが当たり前と思ってしまうので、その事を失念していた僕はとりあえず急いで彼女に謝罪する。
すると彼女は冗談だと笑い「ごめんね。待ち合わせ時間より早いから問題ないよ」とフォローしてくれる。
それでも彼女も昔から繰り返されるやり取りに憧れのようなものを持っていたようで次からはもう少し早めに来て待たせないようにしようと心の中でひっそりと決意した。
会って早々に僕を揶揄ってご満悦な彼女を見ると、夏休みなので当然ながら制服ではなく私服姿で、病院の時と学校でしか会った事が無く何気に私服姿は初めて見る。
正直かなり似合っているけど言葉にするのは気恥ずかしく、僕は何も言えなかった。
彼女の今日の服装はハイウエストのワイドパンツにふんわりとしたホワイトのトップスだった。
そこに日除けの麦わら帽子とサングラスで、特徴的な髪と瞳を隠すようにしている。
ファッションに疎い僕でも、ぱっと見でかなりオシャレな事がわかる着こなしで、人の少ない時間帯でも既に結構な視線を集めている。
そんな彼女の隣を歩くと思うと、適当なブランドでマネキンを参考にして服を選んでいる僕としては、彼女に恥ずかしい思いをさせていないか不安になった。
すると彼女は、いつもより気持ち大き目の声でこちらの気後れを吹き飛ばすように声をかけてくれた。
「じゃあ、早速だけど旅の醍醐味を探しに行こうか」
お互いに待ち合わせの時間より早めに到着していたので、新幹線の時間までかなり余裕がある。駅の二階へエスカレーターで上ると駅弁を買う為にコンビニではなく、売店の並ぶ駅の弁当売り場へとやってくる。
「やっぱり旅行と言えばまずは駅弁だよね」
彼女はじっくり吟味を重ねて時間ぎりぎりまで悩んだ末に駅弁を購入し、新幹線に乗るために駅のホームへと迷惑にならない程度に早歩きで向かう。
新幹線の窓からの景色を眺めつつ、駅で買った駅弁を食べていると彼女が隣でいつもより楽しそうな声で話しかけてくる。
「私は広島なんて行くのは中学校の研修以来だけど篁君は?」
僕も中学校の研修以来だったので同じように答えた。
「僕も中学生の時に平和学習の研修の時に来て以来かな」
「篁君は転校して中学の時は元々この辺りの学校じゃなかったって言っていたと思うけど、地域が違っても案外みんな似たような時期に同じ所に行くよね」
「うん。広島に行くか長崎に行くかの違いだから西日本の近畿地方と中国地方の学校は大概の場合は広島に行くと思うよ」
「近いからね」
お弁当を食べ終え雑談をしているうちに、新幹線が到着して思ったより早く広島に着いた。
そこから公共交通機関を使い観光をしながら中学校の時以来の厳島神社へ行くために、フェリーに乗りこんだ。
宮島に着く頃には僕も彼女も朝が早かった事もあって真夏の日差しと気温でかなりぐったりしていた。
流石の彼女も暑さがキツイのか、朝の元気な姿は見る影もない。
昼過ぎに着いた僕らは神社へ向かう前にお店で休憩と昼食を兼ねて、目星をつけていたネットで人気の学生にも優しいリーズナブルなお店に入る事にした。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
無表情いとこの隠れた欲望
春密まつり
恋愛
大学生で21歳の梓は、6歳年上のいとこの雪哉と一緒に暮らすことになった。
小さい頃よく遊んでくれたお兄さんは社会人になりかっこよく成長していて戸惑いがち。
緊張しながらも仲良く暮らせそうだと思った矢先、転んだ拍子にキスをしてしまう。
それから雪哉の態度が変わり――。
こじらせ女子の恋愛事情
あさの紅茶
恋愛
過去の恋愛の失敗を未だに引きずるこじらせアラサー女子の私、仁科真知(26)
そんな私のことをずっと好きだったと言う同期の宗田優くん(26)
いやいや、宗田くんには私なんかより、若くて可愛い可憐ちゃん(女子力高め)の方がお似合いだよ。
なんて自らまたこじらせる残念な私。
「俺はずっと好きだけど?」
「仁科の返事を待ってるんだよね」
宗田くんのまっすぐな瞳に耐えきれなくて逃げ出してしまった。
これ以上こじらせたくないから、神様どうか私に勇気をください。
*******************
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
俺様御曹司に飼われました
馬村 はくあ
恋愛
新入社員の心海が、与えられた社宅に行くと先住民が!?
「俺に飼われてみる?」
自分の家だと言い張る先住民に出された条件は、カノジョになること。
しぶしぶ受け入れてみるけど、俺様だけど優しいそんな彼にいつしか惹かれていって……
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる