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生徒会
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「か、可愛い! 抱きしめていい?」
興奮して尋ねているのは生徒会の一員、アネモネ様。思わず、様を付けたくなる、栗色の豊かな巻き毛でグラマーな美女だ。
「いえ、結構です」
ブランは前足を差し出し、ピシリと断った。
「えー。ねえ、ちょっとだけでいいから」
アネモネ様が体をよじると、胸が揺れる。年齢を聞いたら、十七歳だって。
ヴィオラはどう考えても五年後の自分がそんな成長をとげるとは思えなかった。
「私を抱いていいのはヴィオラだけだから」
何だか、語弊のある言い方をするドラゴンだ。
「ふむ、従魔契約をしているのにヴィオラと呼び捨てにするのだな」
ジョージ王太子がブランをじっくり眺める。
「主人のマナーがなっていないからですわ」
ジョセフィンが口をはさむと、ジョセフィンの従魔、マオルが大きくうなずく。
「あの、ブランよりはマシだと思うのですが」
ヴィオラがおそるおそる言うと、ジョセフィンは扇子で口元を隠した。
「努力は認めますけど、まだまだ、合格点は出せませんわ」
まあ、認めてもらえたのなら、いいかとヴィオラはのんきに考える。
「先輩方はどんな魔獣と契約しているんですか?」
従魔契約できた生徒はお互いの絆を深めるため、常に一緒に行動するようにミューラー先生から言われている。ただ、絆が深まった後は離れていても、一瞬で召喚できるらしい。
「ボルガ」
アネモネ様が呼ぶと、足元に茶色の毛並みの狼のような魔獣が現れた。
「も、もしかして、フェンリル?」
憧れのモフモフだ。
「あ、あの、触っていいですか?」
「いきなり、頼むのは失礼ですよ」
ヴィオラは思わず、手をワキワキさせながら頼んで、すぐにジョセフィンから注意されてしまった。
「構わないわよ。その代わりにブランを触らせもらえるならね」
アネモネ様の言葉にヴィオラは素早く空中のブランを捕まえた。
「大人しくしてね」
ブランは顔をしかめながらもうなずいた。
ヴィオラはブランをそのまま、アネモネ様に渡すと、ボルガに向かった。
「さわらせてくださいね」
「どうぞ」
と言われたとたんに顔からモフモフの中にダイブする。
「ああ、最高」
「ジョセフィンさん、すごいですよ」
モフモフしながら、顔を上げると、ジョセフィンさんがうらやましそうな顔をしていたので、声をかける。
「ジョセフィンさんも構わないわよ」
アネモネ様はブランを抱きしめ、優しく撫でながら言った。断っていたくせに気持ちいいのか、ブランは目を細めている。
「私にはマオルがいるから」
「ジョセフィン様」
感動したようにマオルがジョセフィンにヒシと抱きついた。
「あの、そろそろ、生徒会の仕事をしませんか」
イアンが言った。
「そうだね、そのままでいいから聞いてくれるかな」
ジョージ王太子の言葉に遠慮なく、ヴィオラはモフモフ活動を続けた。
「来月の武闘会だが、イアンがすでに出場者のリストをまとめてくれている」
作業分担の決定などが進んで行く。
ヴィオラは不思議な気持ちだった。
本当に悪役令嬢のルートから脱却できたのかもしれない。
ヒロインのアリアナはどうしているのだろう。
ゲームの美麗なスチルを思い起こして、気づいた。スチルではジョージ王太子もイアンももっと、大きかった。今より五歳ぐらい、上の姿だったような。
生徒会のメンバーにもアネモネ様のような歳上の方はいなかった。というか、攻略対象者だらけだった。
つまり、まだ、乙女ゲームはスタートしていない? 開始はアネモネ様たちが卒業してから?
そうだ、アリアナは途中で入学してくるんだった。だから、最初、ハーモニー学園に馴染めず、苦労したんだった。
つまり、今、悪役令嬢になる心配は無い?
ヴィオラはホッとした。
そして、嬉しくなって、いろんな作業の担当に手を挙げてしまった。
興奮して尋ねているのは生徒会の一員、アネモネ様。思わず、様を付けたくなる、栗色の豊かな巻き毛でグラマーな美女だ。
「いえ、結構です」
ブランは前足を差し出し、ピシリと断った。
「えー。ねえ、ちょっとだけでいいから」
アネモネ様が体をよじると、胸が揺れる。年齢を聞いたら、十七歳だって。
ヴィオラはどう考えても五年後の自分がそんな成長をとげるとは思えなかった。
「私を抱いていいのはヴィオラだけだから」
何だか、語弊のある言い方をするドラゴンだ。
「ふむ、従魔契約をしているのにヴィオラと呼び捨てにするのだな」
ジョージ王太子がブランをじっくり眺める。
「主人のマナーがなっていないからですわ」
ジョセフィンが口をはさむと、ジョセフィンの従魔、マオルが大きくうなずく。
「あの、ブランよりはマシだと思うのですが」
ヴィオラがおそるおそる言うと、ジョセフィンは扇子で口元を隠した。
「努力は認めますけど、まだまだ、合格点は出せませんわ」
まあ、認めてもらえたのなら、いいかとヴィオラはのんきに考える。
「先輩方はどんな魔獣と契約しているんですか?」
従魔契約できた生徒はお互いの絆を深めるため、常に一緒に行動するようにミューラー先生から言われている。ただ、絆が深まった後は離れていても、一瞬で召喚できるらしい。
「ボルガ」
アネモネ様が呼ぶと、足元に茶色の毛並みの狼のような魔獣が現れた。
「も、もしかして、フェンリル?」
憧れのモフモフだ。
「あ、あの、触っていいですか?」
「いきなり、頼むのは失礼ですよ」
ヴィオラは思わず、手をワキワキさせながら頼んで、すぐにジョセフィンから注意されてしまった。
「構わないわよ。その代わりにブランを触らせもらえるならね」
アネモネ様の言葉にヴィオラは素早く空中のブランを捕まえた。
「大人しくしてね」
ブランは顔をしかめながらもうなずいた。
ヴィオラはブランをそのまま、アネモネ様に渡すと、ボルガに向かった。
「さわらせてくださいね」
「どうぞ」
と言われたとたんに顔からモフモフの中にダイブする。
「ああ、最高」
「ジョセフィンさん、すごいですよ」
モフモフしながら、顔を上げると、ジョセフィンさんがうらやましそうな顔をしていたので、声をかける。
「ジョセフィンさんも構わないわよ」
アネモネ様はブランを抱きしめ、優しく撫でながら言った。断っていたくせに気持ちいいのか、ブランは目を細めている。
「私にはマオルがいるから」
「ジョセフィン様」
感動したようにマオルがジョセフィンにヒシと抱きついた。
「あの、そろそろ、生徒会の仕事をしませんか」
イアンが言った。
「そうだね、そのままでいいから聞いてくれるかな」
ジョージ王太子の言葉に遠慮なく、ヴィオラはモフモフ活動を続けた。
「来月の武闘会だが、イアンがすでに出場者のリストをまとめてくれている」
作業分担の決定などが進んで行く。
ヴィオラは不思議な気持ちだった。
本当に悪役令嬢のルートから脱却できたのかもしれない。
ヒロインのアリアナはどうしているのだろう。
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つまり、まだ、乙女ゲームはスタートしていない? 開始はアネモネ様たちが卒業してから?
そうだ、アリアナは途中で入学してくるんだった。だから、最初、ハーモニー学園に馴染めず、苦労したんだった。
つまり、今、悪役令嬢になる心配は無い?
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