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決勝戦
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ジョージ王太子とライルに盛大な応援の声が飛ぶ。ジョージに対しては少し女子の応援が多いようだ。
「いい試合にしよう」
ジョージがライルに手を差し出した。ライルはその手をギュッと力を入れて握った。ジョージの顔がかすかに歪んだ。
「挑発的で不敬だわ」
気づいたジョセフィンが不満そうだ。
「でも、気持ちはわかるな。挑発したら、本気で相手してくれるかもって、思っちゃう」
実力差がありすぎるのかもしれない。今までの試合ではジョージの弱点は見当たらなかった。ジョージの態度は弟子に余裕で稽古をつける師匠のようだった。
「でも、ライルは今までとは違うから。ライルが勝つ」
私の弟子が勝つ! ヴィオラは両の拳を握りしめた。
「始め」
ライルが仕掛ける。全力で駆け寄り、突くが、身体強化をかけていないようだ。
「何やってるの」
ヴィオラは呆れた。
ジョージはライルの剣をよけると、軽く自分の剣を振った。
キィン。
上から叩かれ、ライルの剣先が少し下がる。
すると、ジョージは後ろに下がった。今までの試合と同じように一気に終わらせるつもりはないらしい。ライルが体勢を戻すのを待っている。
「やはり、剣術だけでは勝てないか」
ライルは納得したように呟いた。それから、ヴィオラの方を見てぺこりと頭を下げた。
ヴィオラが無理だと言っていたのに身体強化なしで戦おうとしたことについては後で説教しよう。
ヴィオラはうなずいた。
ライルが身体強化を自分にかける。
ヴィオラと違って。ライルの身体強化は物理的にも大きくなったように見える。
そして、今度はゆっくりジョージに近づくと、真っ向から剣を振り下ろした。速度ではない力勝負。ジョージは難なく自分の剣で受け止めたが、剣がきしむ。一歩、後ろへ下がる。
この大会で初めてジョージが押された。
キャーと女子の悲鳴が上がる。
王太子はフッと笑顔を見せると、反撃に移った。今までとは違う。
面、小手、胴と順番に攻撃していく。まるで、剣道の模範演技を見ているようだ。
「これが正当な王家の剣」
ジョセフィンは感動して見ているが、きっと、『聖女は愛に囚われる』を作った人に剣道経験者がいたに違いない。
ただ、ライルも負けてはいない。すべて受け止めている。ジョージの攻撃が隙間なく続いているので反撃のチャンスは掴みづらいらしい。
ジョージの剣を受け続けているうちにいつのまにか、ライルは舞台の端まで来ていた。
場外を狙っている。
そう思った途端、今まで真正面からジョージの剣を受けていたライルが軽く受け流した。
勢い余って、舞台から落ちそうになるジョージの足元をライルが狙った。
際どいところでジョージが踏み止まる。
キャー。女子の悲鳴がまた、起きたが、今度はジョージの笑顔はなかった。歯を食いしばって剣を振るう。
すごい。ライルが王太子の本気を引き出した?
ライルが自由自在に攻める。途中で蹴りなどの体術も混ぜるようになってきた。
それでも、さすが、王太子と言うべきか、蹴りを一つ当てられただけで、それ以外はすべて受け流し、跳ね退けている。
しかも、ジョージはだんだん、笑顔になってきた。王太子らしい微笑みではない。ギラギラした笑顔だ。ライルも同じで二人から狂気が伝わってくるようだ。
延々と続く戦いに応援がいつのまにか、静かになっている。それなのに二人の剣は速くなっているような気がする。邪魔にならないように審判は舞台の外から見ている。
「終わる」
闘気が盛り上がったような気がした。
ガンッ。
二人の剣がそれぞれ、胴を斬ったように見えた。
一瞬、時間が止まったようだった。次の瞬間、二人はそれぞれ、反対方向に倒れた。
審判が慌てて、駆け寄り、二人の状態を確認する。
「両者、気絶のため、この試合、引き分け!」
ドッと歓声が上がる。
バタバタと二人が救急テントに運ばれてくる。
「ヴィオラさん、王太子の方の治療を」
治癒師の先生はヴィオラに指示を与えると自分はライルに向かおうとする。
でも、ヴィオラは弟子のライルの方が気になった。
「先生、まとめてやります」
そうだ。同時にすればいい。
二人の額に手を載せる。
「痛いの、痛いの、飛んでけー」
フルパワーの呪文だ。何だか、ちょっと、光ってしまった。
「ヴィ、ヴィオラさん、私の腰痛がなくなってるんですけど」
治癒師の先生が声を震わせている。
あれ、やり過ぎ?
でも、王太子もライルも目を覚ましたからいいんじゃない?
なぜか、隣でジョセフィンがため息をついていた。
「いい試合にしよう」
ジョージがライルに手を差し出した。ライルはその手をギュッと力を入れて握った。ジョージの顔がかすかに歪んだ。
「挑発的で不敬だわ」
気づいたジョセフィンが不満そうだ。
「でも、気持ちはわかるな。挑発したら、本気で相手してくれるかもって、思っちゃう」
実力差がありすぎるのかもしれない。今までの試合ではジョージの弱点は見当たらなかった。ジョージの態度は弟子に余裕で稽古をつける師匠のようだった。
「でも、ライルは今までとは違うから。ライルが勝つ」
私の弟子が勝つ! ヴィオラは両の拳を握りしめた。
「始め」
ライルが仕掛ける。全力で駆け寄り、突くが、身体強化をかけていないようだ。
「何やってるの」
ヴィオラは呆れた。
ジョージはライルの剣をよけると、軽く自分の剣を振った。
キィン。
上から叩かれ、ライルの剣先が少し下がる。
すると、ジョージは後ろに下がった。今までの試合と同じように一気に終わらせるつもりはないらしい。ライルが体勢を戻すのを待っている。
「やはり、剣術だけでは勝てないか」
ライルは納得したように呟いた。それから、ヴィオラの方を見てぺこりと頭を下げた。
ヴィオラが無理だと言っていたのに身体強化なしで戦おうとしたことについては後で説教しよう。
ヴィオラはうなずいた。
ライルが身体強化を自分にかける。
ヴィオラと違って。ライルの身体強化は物理的にも大きくなったように見える。
そして、今度はゆっくりジョージに近づくと、真っ向から剣を振り下ろした。速度ではない力勝負。ジョージは難なく自分の剣で受け止めたが、剣がきしむ。一歩、後ろへ下がる。
この大会で初めてジョージが押された。
キャーと女子の悲鳴が上がる。
王太子はフッと笑顔を見せると、反撃に移った。今までとは違う。
面、小手、胴と順番に攻撃していく。まるで、剣道の模範演技を見ているようだ。
「これが正当な王家の剣」
ジョセフィンは感動して見ているが、きっと、『聖女は愛に囚われる』を作った人に剣道経験者がいたに違いない。
ただ、ライルも負けてはいない。すべて受け止めている。ジョージの攻撃が隙間なく続いているので反撃のチャンスは掴みづらいらしい。
ジョージの剣を受け続けているうちにいつのまにか、ライルは舞台の端まで来ていた。
場外を狙っている。
そう思った途端、今まで真正面からジョージの剣を受けていたライルが軽く受け流した。
勢い余って、舞台から落ちそうになるジョージの足元をライルが狙った。
際どいところでジョージが踏み止まる。
キャー。女子の悲鳴がまた、起きたが、今度はジョージの笑顔はなかった。歯を食いしばって剣を振るう。
すごい。ライルが王太子の本気を引き出した?
ライルが自由自在に攻める。途中で蹴りなどの体術も混ぜるようになってきた。
それでも、さすが、王太子と言うべきか、蹴りを一つ当てられただけで、それ以外はすべて受け流し、跳ね退けている。
しかも、ジョージはだんだん、笑顔になってきた。王太子らしい微笑みではない。ギラギラした笑顔だ。ライルも同じで二人から狂気が伝わってくるようだ。
延々と続く戦いに応援がいつのまにか、静かになっている。それなのに二人の剣は速くなっているような気がする。邪魔にならないように審判は舞台の外から見ている。
「終わる」
闘気が盛り上がったような気がした。
ガンッ。
二人の剣がそれぞれ、胴を斬ったように見えた。
一瞬、時間が止まったようだった。次の瞬間、二人はそれぞれ、反対方向に倒れた。
審判が慌てて、駆け寄り、二人の状態を確認する。
「両者、気絶のため、この試合、引き分け!」
ドッと歓声が上がる。
バタバタと二人が救急テントに運ばれてくる。
「ヴィオラさん、王太子の方の治療を」
治癒師の先生はヴィオラに指示を与えると自分はライルに向かおうとする。
でも、ヴィオラは弟子のライルの方が気になった。
「先生、まとめてやります」
そうだ。同時にすればいい。
二人の額に手を載せる。
「痛いの、痛いの、飛んでけー」
フルパワーの呪文だ。何だか、ちょっと、光ってしまった。
「ヴィ、ヴィオラさん、私の腰痛がなくなってるんですけど」
治癒師の先生が声を震わせている。
あれ、やり過ぎ?
でも、王太子もライルも目を覚ましたからいいんじゃない?
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