未来の王妃として幸せを紡ぐ

林 業

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まだ未熟な

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今日は久々に平和な休日だったと安堵していれば、背後から物をぶつけられ、僅かな声を上げる。

背中で動く何かに、察しがつく前に兄がそれを掴み、ぎろりと背後を睨む。
それから投げ返す。
「ぎゃああ」
叫び声に、平和な日常が終わりを向かえる。
「おい!俺の弟に何のようだ」
長兄が威嚇し、思わず次兄の背後へ隠れる。
自分が出ればますます面倒事になるのは長年の経験からわかっている。
持っていた本を思わず抱きしめ直す。
「アーケロン」
「おい。イネス。後ろに隠れてないで出てこいよ」
「出なくていい」
そちらのほうがいいのかと出ようとするが、次兄に止められる。

幼い顔立ちにしっかり日に焼けた色黒の顔。
無邪気なのか農民の服から見える手足や、服の膝や肘は何度も修復しているのだろうが、ほとんど擦り切れている。
領民の子供が一人、アーケロンが眺めてくる。
「なんで隠れるんだ!俺がわざわざ来てやったんだぞ」
「そういう問題か!お前が投げた虫は毒虫だぞ!イネスに何かあったら責任取れるのか」
「はぁ?噛まれるならそいつの責任だろ?俺は見せてやろうと思って」
「あ」
兄が何かに気づいて黙る。
なんだよと叫んだアーロンが僅かな悲鳴を上げる。

「未来の王妃に何をしているのか伺っても?」
ニコニコ笑うマッチョ、もとい、イネスの教師、リーマンがアーケロンが頭を掴んで、押さえている。

王妃教育講師兼王家剣術指南役であるリーマンは何かと鍛えているらしい。
なのでマッチョで、兄たちが懐くのもわかる。


次兄がすかさずチクる。
「せんせー。こいつが、イネスに毒虫を投げました」
「なるほど」
兄を見たリーマンが兄も震える目でアーケロンを見下ろす。
「ひぃいい」
助けてと目で訴えてくるが兄たちは視線を反らして、自分は帰ってくださいと訴える。



アーケロンが逃げるように帰っていくとリーマンが兄二人に頭を撫でる。
「いい騎士たちです。あなた達のような勇敢な未来の領収がいれば領地の守りは完璧です。後は賢くなければ、お嫁さんも来ませんし、相手への攻撃も後手に回りますので明日からのお勉強もさらにがんばりましょう」
「はいっ」
二人は胸を張り、それからイネスを見る。
「王妃は護られるのも仕事です。良く耐えましたね。賢くなりました。とはいえ、実力行使に出たときのための武術もしっかり体や術を鍛えましょうね」
「はい。ところで、先生」
「なんでしょう」
目線を落として、言っていいのか考えてから顔を上げる。
じっと見てくれる姿に待っていると慌てて告げる。
「嫌いって言葉、アーケロンにも使ってはいけませんか?」
「あそこまでされたらいいかもしれませんが、下手に使いすぎると逆効果になります。ここぞ。というところで使いましょう。ダメージが大きいですよ?」
「はい!」
どの状況ならいいかと考える。
それに気づいたのかそれでいいんですと頭を撫でられる。
「言葉って怖いな」
「うん。怖い」
そんな二人を見た兄二人が囁き合う。
「それより、お菓子を買ってきたんです。お昼は外で?気持ちよかったですか?」
楽しかったと兄弟と口々に話す。
「では、お菓子は今日のお茶の時間で出しましょう。そこでお話としましょう。この後は暇ですか?でしたら剣の打ち合いに付き合ってください」

やる。と兄二人が張り切る。
    
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