未来の王妃として幸せを紡ぐ

林 業

文字の大きさ
3 / 25
まだ未熟な

3

しおりを挟む
兄たちはかれこれ一時間ほど打ち合っている。
凄いなぁと眺めていれば、リーマンが見てくる。
「こい。イネス」
声を上げながら木剣を振るう。


だが反対に転がされる。
「さぁ。どんどん打ち込んで来い」
起き上がって何度も打ち込む。



訓練後、体を井戸水で簡単に綺麗にしてからお茶会を始める。
兄たちはがっつかないように必死にお菓子を前に耐えながらお茶とお菓子をゆっくりと食べる。
課せられた内容は一時間はお菓子をもたせるように。とのこと。

「先生。お帰り、明日と伺ってましたが、何かありましたか?」
「予定より早く工程を終えたので戻ってきただけですよ。美味しいお菓子も手に入りました。好みにあいますか?」
美味しいです。と兄二人は声を揃えている。
「それと、皇子からお手紙頂きましたよ。婚約者に渡すようにと」
なんでだろう。と思い開ける。

「イネス、クラヴェロ様
遅くなりましたがお誕生日おめでとうございます。
 王位第一継承者リアム、リヴォルタより」

という簡単な内容。
初めて見る婚約者直筆だろう文字。
少々歪だが、読めなくもない。
今までは代筆でを送って来ていた手紙。
「えっと?私の誕生日は先月ですが」
「ご存じなかったみたいですね。先月帰郷したときに陛下からお伝えしたのを聞き取ったみたいですよ」
「今更だろ?」
兄が聞き返すが、イネスは首を捻る。

「何時もは代理者が送ってきてくださっていたような」
「お祝いの手紙を直接書いて送って来たと始めて知って、対抗心を燃やしているだけですよ。お気になさらず。どうしますか?」
見つめてくる瞳に手紙を見下ろしてから頷く。
試されていると知って、答えを返す。
「お礼の文を送っておきます。婚約者候補とはいえ頂いたのですから候補者としてお礼をします」
「よろ、こびますかね?まぁいいでしょう。そうしてください。次の帰郷時に陛下に渡しておきましょう」
「後添削も一緒にお願いします」
「それと半年後の春の祭りのときに一度登城するようにと陛下から。先程お父上にもお話させて頂いています」
羨ましいと兄たちが見てくる。
「婚約者候補とはいえ顔を合わせておこうと陛下が申しておりました」
「そういえば、一度も行ったことないですね」
父母は度々行っていたが、まだ社交界に出る時期でもないからとお留守番していた。
そろそろ長兄がそういう時期ではあるが、田舎の領地。
往復で一ヶ月はかかる。
その道のりを兄たちは耐えれるのかと眺める。
主に馬車に乗ってじっとしていられるかどうか。

「謁見はイネス様とご両親と私が参ります。王都観光にはお兄様たちも行きますよ」

やったーと二人は大喜び。
「イネス様はもちろん、お二人も、社交界に出る服を用意しなければなりませんからね」
まじかーと落胆中の二人。
「我が家にもお抱えの裁縫師が居ます」
イネスがすごく腕がいいんです。と褒めて、我が事のごとく話す。
「せっかくなので王都のお抱えで、二着ほど用意しておけば陛下に謁見時でも迷わず選べます。流行もありますが、今回選ぶのは流行問わない無難なものを用意します」
リーマンは落ち着きのない二人を見てから聞く。
「ちなみに裁縫師はどんなお方ですか?」
「優しいです。サイズを図る間、兄たちとじっとしてたら飴玉くれます。細工が見事です。こういった訓練着も仕立ててくれました」
えっへん三人が自慢するように見せる。
「お母様の服を優先で仕立ててます」
「今度仕立て時に同行しても?どれほどの腕前か」
「はい。父上に伺っておきます」
嬉しそうに笑うイネスに、いい腕前の裁縫師であれば、選ばれた場合の結婚式で、裁縫を任せるのもいいのかもしれないと考える。
イネスが仰々しい結婚式の間、緊張ほぐせるものとして。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしてこんな拍手喝采

ソラ
BL
ヤクザ×高校生

君の恋人

risashy
BL
朝賀千尋(あさか ちひろ)は一番の親友である茅野怜(かやの れい)に片思いをしていた。 伝えるつもりもなかった気持ちを思い余って告げてしまった朝賀。 もう終わりだ、友達でさえいられない、と思っていたのに、茅野は「付き合おう」と答えてくれて——。 不器用な二人がすれ違いながら心を通わせていくお話。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

フードコートの天使

美浪
BL
西山暁には本気の片思いをして告白をする事も出来ずに音信不通になってしまった相手がいる。 あれから5年。 大手ファストフードチェーン店SSSバーガーに就職した。今は店長でブルーローズショッピングモール店に勤務中。 そんなある日・・・。あの日の君がフードコートに居た。 それは間違いなく俺の大好きで忘れられないジュンだった。 ・・・・・・・・・・・・ 大濠純、食品会社勤務。 5年前に犯した過ちから自ら疎遠にしてしまった片思いの相手。 ずっと忘れない人。アキラさん。 左遷先はブルーローズショッピングモール。そこに彼は居た。 まだ怒っているかもしれない彼に俺は意を決して挨拶をした・・・。 ・・・・・・・・・・・・ 両片思いを2人の視点でそれぞれ展開して行こうと思っています。

ジャスミン茶は、君のかおり

霧瀬 渓
BL
アルファとオメガにランクのあるオメガバース世界。 大学2年の高位アルファ高遠裕二は、新入生の三ツ橋鷹也を助けた。 裕二の部活後輩となった鷹也は、新歓の数日後、放火でアパートを焼け出されてしまう。 困った鷹也に、裕二が条件付きで同居を申し出てくれた。 その条件は、恋人のフリをして虫除けになることだった。

学園の俺様と、辺境地の僕

そらうみ
BL
この国の三大貴族の一つであるルーン・ホワイトが、何故か僕に構ってくる。学園生活を平穏に過ごしたいだけなのに、ルーンのせいで僕は皆の注目の的となってしまった。卒業すれば関わることもなくなるのに、ルーンは一体…何を考えているんだ? 【全12話になります。よろしくお願いします。】

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

あなたのいちばんすきなひと

名衛 澄
BL
亜食有誠(あじきゆうせい)は幼なじみの与木実晴(よぎみはる)に好意を寄せている。 ある日、有誠が冗談のつもりで実晴に付き合おうかと提案したところ、まさかのOKをもらってしまった。 有誠が混乱している間にお付き合いが始まってしまうが、実晴の態度はいつもと変わらない。 俺のことを好きでもないくせに、なぜ付き合う気になったんだ。 実晴の考えていることがわからず、不安に苛まれる有誠。 そんなとき、実晴の元カノから実晴との復縁に協力してほしいと相談を受ける。 また友人に、幼なじみに戻ったとしても、実晴のとなりにいたい。 自分の気持ちを隠して実晴との"恋人ごっこ"の関係を続ける有誠は―― 隠れ執着攻め×不器用一生懸命受けの、学園青春ストーリー。

処理中です...