精霊の神子は海人族を愛でる

林 業

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子供たちに勉強を教える。
今の時間帯は計算問題。
年齢は幅広く、計算問題はそれぞれ、参考書を用意してある。
早く終わる子もいれば、中々終わらない子もいる。
教えあっている姿もある。
そんな姿を優しく見守る。
時々受ける質問に分かってもらうために言葉を考えながら伝える。

そんな穏やかな時間に水を差す人物。
乱暴にドアが開いたと同時に声が響く。
「冒険の話を聞きたい子はいるか!」
男女二人組に思わず額を押さえる。
聞きたーいと叫ぶ子供たちに乱入者は満足げ。
男は申し訳なさそうに頭を下げている。
男は鬼と呼ばれる種族らしく頭に刺々しい角が二本生えている。
その二人に期待している子供たちに致し方がないと告げる。
「では片付けを終えた子から、外に行って話を聞きましょうか」
やったと我先に片付けを始め、出ていく。

義姉とその仲間たちが語る話。
それを聞くたびに魔族たちにも生活があるんだと思い直す。
そして何処か心踊ってしまう。
もし、もっと武技が上手なら冒険者になりたかったと思う。
話上手だと子供たちに紛れて拍手する。
いい部分も悪い部分も交えて話をするので子供たちの将来を考えれば、彼女たちの体験談は貴重である。
なので止めにくい。
そして彼女らの会話の中で記憶を取り戻す術があればとも願ってしまう。
それでちゃんと身元が判ればメロパールにも同棲を終えて、結婚を申し出れるのにと思う。

子供たちを見送る最中でメロパールが姿を現す。
「リヴァ姉ちゃん」
「やっ」
うわぁと嫌そうな顔をしているメロパール。
だが、一瞬の間に羽交い締めにされていて、ぎぶぅうと叫んでいる。
彼女がわざわざ子供たちへ話をしに来るのは子供たちのためでもあるし、逃げるだろう弟、メロパールを確保するためでもある。
出会ってすぐに技をかけられていたらそりゃあ自分でも逃げる。
彼女は竜人族の血が多く流れているので仕方がないスキンシップかもしれない。
それに、頑丈な弟にしかしていない。
そして人族の自分にはしてこないので分別ある大人であることは確かだが。
場所をわきまえてほしい。
「アクアぁ」
片付けを終えた頃に開放されたメロパールが抱きついてくる。
すがる恋人を慰めながら片付けを終える。
帰るからと引き剥がすが背後から抱きついたまま。
ちなみに過去、何度か助けようとはした。
だがこの幸せものめ。と逆に長くなったので止めるのはやめている。
「今日はお泊りですか?」
「そう。父さん達に、結婚の報告しとこうと思ってね」
相方と隣の男性を示し、やっとかと考える。


とはいえ結婚してもしばらくは冒険者を止めないだろうことは想像に難くない。
メロパールは新しく兄貴ができると大喜びしている。

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