精霊の神子は海人族を愛でる

林 業

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メロパールの素晴らしいところを告げたまではよかった。
そして、暗殺をやめろと告げた瞬間、腹部に痛みが走り、そして思わず踞る。
咳き込んでいれば、再び腹部に衝撃があり、息を飲む。

ふと過る記憶。
足に繋がれた鎖とひたすら暴言と暴力を受けた映像が頭を過り、体がひたすら自分を守るために体を丸め、小刻みに震える手足。
そして目の前に広げられる蔵書をひたすら覚えさせられ書き写さすよう命じられている。
その男の顔は目の前の小太りの男。

けれどすぐにメロパールを思いだし、震える体を耐えながら口にする。
「めろ、ぱーる」
殺すなんて許さないと見る。
失うことは世界の損失も同じだ。
大袈裟かもしれないが俺にとってはそれだけ大事な事柄。
「まぁ、どっちにしてももう遅いだろうな」
「すでに死んでいるでしょう。あぁ、そうだ。その者の首を持ってきてもらいましょうか」
笑顔が、メローパルの可愛い笑顔が消える。
ダメだと手を伸ばして彼らを殺さなきゃと首に向ける。
どんな手を使ってでもメロパールを守る。
守りたい。
その手を踏み潰されて、思わず出そうになる声を歯を食いしばって耐える。

「貴様にはこれからも精霊と契約をさせて協力な魔法使いを産んでもらわないとな」

骨が折れると言わんばかりに踏みつけ骨が軋む音がする。

奴らの懐から取り出す枷に、そんな恐怖よりメロパールに会えなくなるのは嫌だと睨む。
「帰ったら躾し直す必要が」

何かを言葉にする前に御者がいきなり馬を止める。
その衝撃に揺らぐ二人。
二人は乱暴だと御者を睨んで暴言に向かう。
そのため踏まれていた体から足が離れる。
叫ぶ二人に、御者の向こう側には二人の人影。
そのうちの一人が一瞬で距離を詰めるのが見える。
その人並み以上の動きをする光景に驚き、しかし彼は怯える馬の手綱を握って馬を離す。
その怪力だけです遠慮なく馬車の箱を谷底へと振り落とす。

片手で振り回して馬車の箱はまるで、振り回して、手放した玩具にように落ちていく。

「あ、中、全部、人族。死んじゃう。お願い」

聞き覚えのある声と歌声。
体を浮き上がるのを感じ、ほとんど衝撃がないまま落ちる。
唐突に起こる衝撃。
目の前の二人はそこまで衝撃が緩和されていなかったのか気絶している。
気絶だけで済んでいいほうだと、脱出を考える。
馬車から這い出てメロパールと呟きながら必死に街の方角を探る。
その前にと目の前の男二人を見下ろして手を首に回す。

殺すという殺意と共に力を込める寸前で、手首を捕まれて持ち主を睨む。

何処か見覚えのある風貌の男。
メロパールの母親に似ていると気づくのは早かった。

「メロパールの母親の弟に当たる者だ」
「はじめまして。久しぶり。僕、の旦那様」
腕を組んで見せつけてくる先日教会に来ていた彼。

メロパールと同じように腕組をしたい欲望が芽生え、殺意が消えていく。

そこで我を取り戻し、メロパールを思い出して男を睨む。
頼むから殺さ出てくれ。
そう睨む。
「メロー君、生きてる、リバちゃん、守って、くれてる」
辿々しくも告げられた言葉に、力が抜ける。
けれど会わなきゃと、ふらつく足に力を込める。
しかしその横で男が竜へと変化し、そして自分と彼を連れて空に浮き上がる。
思わず背後を見れば、馬車の近くには竜になった男と同じ制服の軍人。
部下に任せとけと心配していた彼に声をかけている。

無事な彼の姿を見れるならなんだってすると必死に精霊に祈りを捧げる。
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