龍は精霊の愛し子を愛でる

林 業

文字の大きさ
6 / 24

しおりを挟む
アレクサンドラはお城で養母様とお茶を楽しむ。
これも花嫁修業の一環だと養母様が呼んでくれる。
楽しい特訓。
社交会に出ないのに何が必要なのかと思ったが、旦那様が疲れたときに美味しいお茶を知っていることで淹れてあげれる。と言われたらやる気が上がる。
後お菓子が美味しい。
「!」
「あら。気に入った?アレク。絶対好きだと思ったのよ」
楽しそうに笑う養母様。
大きく頷くが、サンムーンは苦手だろうなぁとお茶を飲む。
「私は嫌い」
最近反抗気味の義妹。
最近は勉強や、礼儀作法などの勉強で忙しく、ストレスが溜まっているんのだろう。
だが本当に苦手な味だったらしい。
砂糖を入れようとしているので止めてミルクを足すよう促す。
こっちが合う。と。
先日養母様に教わったことだが彼女は素直に見ている。
そして一口、口に運び、これは好きとむくれながら飲んでいる。
「この間教えたことを復習していたのね。さすがね」
養母様に褒められて照れる。

そして素直ではないが優しい義妹の頭を撫でれば機嫌が良くなっていく。
今日も髪型が綺麗に整えられているのを褒めれば満面の笑顔。
「ねぇ、アレク兄様。たまに孤児院言っているけど楽しい?」
何度も縦に頷けば、そっかぁと呟く。
子供たちが可愛いと体も使ってアピール。
羨ましそうに呟かれて、養母様が先に釘を刺す。
「貴方行くにはもう少し竜化をコントロールできるようになってからよ」
「わかってるわよ」

竜人族は人と変わらぬ姿ともう一つ、竜になれる竜化という姿がある。
変化の魔法のような物らしいが、小さい頃からどちらでもなれるよう訓練するらしい。
早くて六歳。
遅くて十五歳までには訓練を終えるらしい。
彼女は今十歳。
そろそろ終えてもいいが、反抗期もあって感情に引っ張られてしまうらしい。
第一次成長期は、犬サイズの大きさへ。
第二次成長期で見上げるほどの竜に変化するらしい。
その兆候としては成長痛か、酷いと高熱が出るらしい。

万が一勝手に竜化してしまい、コントロールができないと、竜の力に引っ張られて暴走してしまう。
まだ見たことがないし見たくとも死ぬからやめとけと誰もが止める。
特に王族は力が強いので注意が必要なのだという。
サンムーンの竜化はかっこよく、養母様は美しく気高い。
義妹は養母様に近い雰囲気だが愛らしい。
本人が目指す養母様のようにはまだ先の話だろう。
竜人族の寿命は長く、養母様みたいになるにはまだ幼すぎる。

唐突に今度市場があるのを思い出す。
精霊たちが気に入りお土産を所望することもある市場。
サンムーンとのデートで行きたいと思っていたのだが、仕事が立て込むことが多い。
義妹たちと行くのもいいかと提案してみる。
「今度、一緒、に朝の、マルシェ、行く?」
「いいの!」
嬉しそうに立ち上がり、喋ってくれたと嬉しそうにしている。
こくこくと頷けば、約束と笑ってくれる。
だが養母様は不安げ。
「アレク。ちょっと危険じゃないかしら」
「養母様。ちょっと、だけ」
懇願するように告げれば、仕方がないわねぇと溜息。
「お母様はアレク兄様に弱いんだから」
そう言いながらも嬉しそうにしている。
服はどれにしようか、髪型は、と張り切る。
そして屋台に並ぶお肉の種類を呟いてどれがいいかと計算している。
最近はマナーも叩き込まれているらしいのだが淑女には遠そうな呟き。
「護衛を団長にお願いしないといけないわねぇ」
養母様に自分がすると胸を叩く。
不安そうな養母様だが、お願いしようかしら。と笑う。




お茶会を終えてすぐ義妹と手を繋ぎ、共に騎士団練習場に来る。
義弟が鍛錬中なのに気付き、その相手をサンムーンが行っている。
「あ」
義弟を転がしたかと思うとサンムーンがやってくる。
嬉しそうに抱きしめようとしてくるが、人の目があると抱きつけないと顔を赤らめつつ首を振る。
寂しそうにしながら視線を合わせてくる。
「アレク。どうしました?王女様も」
「こ、んど。マルシェ、に行こうと、思う。一緒に、護衛してくれる人、欲しいなって」
義妹の手を握りながら告げれば、なるほどとサンムーンが頷く。
「な。姉上。ずるい。僕もアレク兄上と行きたい!」
怪我なく、叫びながら走ってくる義弟に、義妹を見る。
彼女の息抜きなので彼女に判断を委ねる。
それに気づいたのか胸を張る。
蛇足だが彼女の胸については成長段階だろう。
ただそれを突っ込める存在は今はいない。

「あんたが私の荷物持ちごえいとしてくるなら許してあげるわよ」

悔しそうな義弟だがわかったとぼやく。
なんだかんだで一緒に遊べると喜んでいる。

「私が行くしかないんですね」
何処か嬉しそうなサンムーン。
彼を見上げれば金の瞳が狙っていたように輝く。
この国ではさほど珍しくない金の瞳と、成長段階で色が抜けたという銀色の髪色。
色が抜けるのは珍しくないがここまで抜けるのは早々無いらしい。

サンムーンが来てくれるならデートだと喜んでしまう。
何時も忙しい人だから、誘うのも申し訳なかった。
ただ、彼一人だけだとそんな雰囲気はないのはわかる。
「一人、だけ、は、危ない」
「わかってる。何人か連れていくよ」

優しく髪の毛にキスをしてくる。
可愛い弟妹たちを危険な目に合わせたくないと微笑む。

後でお出かけ用の書類を用意して、帰ったら精霊たちにも頼んでおこうと準備を整える。

弟妹たちは私達がアレク兄様を守るのよ。と張り切っている。
サンムーンは子供はいいですよねぇと暖かく見つめる。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

【完結】僕の異世界転生先は卵で生まれて捨てられた竜でした

エウラ
BL
どうしてこうなったのか。 僕は今、卵の中。ここに生まれる前の記憶がある。 なんとなく異世界転生したんだと思うけど、捨てられたっぽい? 孵る前に死んじゃうよ!と思ったら誰かに助けられたみたい。 僕、頑張って大きくなって恩返しするからね! 天然記念物的な竜に転生した僕が、助けて育ててくれたエルフなお兄さんと旅をしながらのんびり過ごす話になる予定。 突発的に書き出したので先は分かりませんが短い予定です。 不定期投稿です。 本編完結で、番外編を更新予定です。不定期です。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

もう一度、その腕に

結衣可
BL
もう一度、その腕に

【完結】Restartー僕は異世界で人生をやり直すー

エウラ
BL
───僕の人生、最悪だった。 生まれた家は名家で資産家。でも跡取りが僕だけだったから厳しく育てられ、教育係という名の監視がついて一日中気が休まることはない。 それでも唯々諾々と家のために従った。 そんなある日、母が病気で亡くなって直ぐに父が後妻と子供を連れて来た。僕より一つ下の少年だった。 父はその子を跡取りに決め、僕は捨てられた。 ヤケになって家を飛び出した先に知らない森が見えて・・・。 僕はこの世界で人生を再始動(リスタート)する事にした。 不定期更新です。 以前少し投稿したものを設定変更しました。 ジャンルを恋愛からBLに変更しました。 また後で変更とかあるかも。 完結しました。

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

『君を幸せにする』と毎日プロポーズしてくるチート宮廷魔術師に、飽きられるためにOKしたら、なぜか溺愛が止まらない。

春凪アラシ
BL
「君を一生幸せにする」――その言葉が、これほど厄介だなんて思わなかった。 チート宮廷魔術師×うさぎ獣人の道具屋。
毎朝押しかけてプロポーズしてくる天才宮廷魔術師・シグに、うんざりしながらも返事をしてしまったうさぎ獣人の道具屋である俺・トア。 
でもこれは恋人になるためじゃない、“一目惚れの幻想を崩し、幻滅させて諦めさせる作戦”のはずだった。 ……なのに、なんでコイツ、飽きることなく俺の元に来るんだよ? 
“うさぎ獣人らしくない俺”に、どうしてそんな真っ直ぐな目を向けるんだ――? 見た目も性格も不釣り合いなふたりが織りなす、ちょっと不器用な異種族BL。 同じ世界観の「「世界一美しい僕が、初恋の一目惚れ軍人に振られました」僕の辞書に諦めはないので全力で振り向かせます」を投稿してます!トアも出てくるので良かったらご覧ください✨

無愛想な氷の貴公子は臆病な僕だけを逃さない~十年の片想いが溶かされるまで~

たら昆布
BL
執着ヤンデレ攻め×一途受け

婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される

田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた! なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。 婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?! 従者×悪役令息

処理中です...