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第三話 手段は選ばない
05-2.
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「疑われることもないでしょう」
「どういうこと?」
「私たちは疑われることをしておりませんから。ご安心ください。楊充媛様。あなた様は宦官たちの調査から外れます」
蘭玲の言葉の意図がわからなかった。
……どういうことなの。
実行犯は郭 春燕のはずだ。
それなのに疑われないとはどういうことだろうか。
……騒がしくなっているというのに。
劉帆が謎の死を遂げたことにより、後宮中は慌ただしかった。宦官は忙しなく動き回り、妃賓の宮の調査を次から次へと行っていく。
充媛宮も周囲に合わせるように騒がしくなっていた。
呪術に関わる者が多いからこそ、死因に気づいた者もいるのだろう。
中庭では疑われそうな呪術にまつわる本を焼き始めている。枯れ葉の落ちる時期だ。なにかを燃やしていたところで疑われることはないだろう。
「子涵を連れて来てちょうだい」
可馨は疲れた様子だった。
傍に置いていないと気が気じゃなかった。
「かしこまりました」
蘭玲は頭を下げて部屋から出ていく。
中庭で女官と一緒になって本を燃やしている子涵を迎えに行ったのだろう。
部屋に一人残った可馨は考える。
……雹華の部屋を移したのは気が早かったか。
生後三か月になる娘の部屋を移動した。
それは梓豪が決めたことだった。真夜中に泣かれては眠りにつけないという自分勝手な言い分ではあったものの、皇帝の言うことは絶対だ。
……女官に任せてはいるけど。
世話係を部屋付きにした。
しかし、それだけでは安心できなかった。
なぜかわからない。得体のしれない不安感が付きまとう。
……私の目が届くところにいてほしい。
二人ともかわいい我が子だ。
手放すつもりはない。
通路を駆けてくる足音がする。母親に呼ばれていると知った子涵が蘭玲を引き連れて向かってきている足音だろう。その足音に安心感を覚える。
いつも大人しい子の足音だ。それが妙に心を安心させた。
「どういうこと?」
「私たちは疑われることをしておりませんから。ご安心ください。楊充媛様。あなた様は宦官たちの調査から外れます」
蘭玲の言葉の意図がわからなかった。
……どういうことなの。
実行犯は郭 春燕のはずだ。
それなのに疑われないとはどういうことだろうか。
……騒がしくなっているというのに。
劉帆が謎の死を遂げたことにより、後宮中は慌ただしかった。宦官は忙しなく動き回り、妃賓の宮の調査を次から次へと行っていく。
充媛宮も周囲に合わせるように騒がしくなっていた。
呪術に関わる者が多いからこそ、死因に気づいた者もいるのだろう。
中庭では疑われそうな呪術にまつわる本を焼き始めている。枯れ葉の落ちる時期だ。なにかを燃やしていたところで疑われることはないだろう。
「子涵を連れて来てちょうだい」
可馨は疲れた様子だった。
傍に置いていないと気が気じゃなかった。
「かしこまりました」
蘭玲は頭を下げて部屋から出ていく。
中庭で女官と一緒になって本を燃やしている子涵を迎えに行ったのだろう。
部屋に一人残った可馨は考える。
……雹華の部屋を移したのは気が早かったか。
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しかし、それだけでは安心できなかった。
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……私の目が届くところにいてほしい。
二人ともかわいい我が子だ。
手放すつもりはない。
通路を駆けてくる足音がする。母親に呼ばれていると知った子涵が蘭玲を引き連れて向かってきている足音だろう。その足音に安心感を覚える。
いつも大人しい子の足音だ。それが妙に心を安心させた。
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