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第一話 婚約破棄された悪役令息の行く末は、
03-2.
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「縁を切ると言ったら、縁を切る! 自分の息子の不始末くらい自分でさせろ!」
父親は激高していた。
* * *
伯爵夫妻が帰宅した後、アレンは父親に呼び出されていた。
内容は想像できる。次の婚約についてだろう。
「父上、アレンです」
「入れ」
「失礼します」
執務室に入っていく。
アレンは父親の机の上に山になっている求婚状にぞっとした。有能物件が残ったと思われたのだろう。求婚状は男女関係なく送られてきている。
「シリル・アッシャー大公閣下の噂を知っているか?」
父親から問われたのは想い人の黒い噂についてだった。
「冷酷無慈悲の大公でしょう」
「そうだ。なんでも、何人もの婚約者が破棄されてきたことから、悪名がついたらしい」
「そうですか」
アレンはシリルの元婚約者と会ったことがある。
すると、誰もが納得をするのだ。アレンのような美しさがなければ、大公に近づくことすらも許されないのだと勝手に納得して去って行ってしまう。
「そのシリル・アッシャーから熱心な求婚状が届いた」
「シリルから!?」
「お前は面識があったな。仲が悪いと認識していたが、上手いことやるではないか」
父親は葉巻に火をつける。
隣国から取り寄せた葉巻の匂いがアレンは苦手だった。
「シリル・アッシャーと婚約を結んできた」
「本当ですか」
「あぁ。もちろん、喜んで嫁いでくれるだろう?」
父親の言葉にアレンは頷いた。
天にも昇る思いだった。長年の片思いが実を結ぶ可能性が浮上してきたのだ。
「なんとしてでも、大公の子どもを産め。それがお前の役目だ」
「はい。父上」
「そうすれば、次期大公は侯爵家の血を継ぐ者になる」
父親の目論見通りに事が運べば、大公家には公爵家の血が流れることになる。そうなれば、大公家が独占している権利の横流しもありえる。
父親の目的はそれだった。
それには気づいていたものの、アレンは嬉しくてしかたがなかった。
父親は激高していた。
* * *
伯爵夫妻が帰宅した後、アレンは父親に呼び出されていた。
内容は想像できる。次の婚約についてだろう。
「父上、アレンです」
「入れ」
「失礼します」
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アレンは父親の机の上に山になっている求婚状にぞっとした。有能物件が残ったと思われたのだろう。求婚状は男女関係なく送られてきている。
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父親から問われたのは想い人の黒い噂についてだった。
「冷酷無慈悲の大公でしょう」
「そうだ。なんでも、何人もの婚約者が破棄されてきたことから、悪名がついたらしい」
「そうですか」
アレンはシリルの元婚約者と会ったことがある。
すると、誰もが納得をするのだ。アレンのような美しさがなければ、大公に近づくことすらも許されないのだと勝手に納得して去って行ってしまう。
「そのシリル・アッシャーから熱心な求婚状が届いた」
「シリルから!?」
「お前は面識があったな。仲が悪いと認識していたが、上手いことやるではないか」
父親は葉巻に火をつける。
隣国から取り寄せた葉巻の匂いがアレンは苦手だった。
「シリル・アッシャーと婚約を結んできた」
「本当ですか」
「あぁ。もちろん、喜んで嫁いでくれるだろう?」
父親の言葉にアレンは頷いた。
天にも昇る思いだった。長年の片思いが実を結ぶ可能性が浮上してきたのだ。
「なんとしてでも、大公の子どもを産め。それがお前の役目だ」
「はい。父上」
「そうすれば、次期大公は侯爵家の血を継ぐ者になる」
父親の目論見通りに事が運べば、大公家には公爵家の血が流れることになる。そうなれば、大公家が独占している権利の横流しもありえる。
父親の目的はそれだった。
それには気づいていたものの、アレンは嬉しくてしかたがなかった。
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