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しおりを挟む全身に口づけられるたび身体を震わせるソフィアは、もはや目の前の男が与える刺激を待ち望む以外のことを考えられない。腹の奥に揺らめいていた熱い痛みは、すでに、この男を受け入れることができないもどかしさに変わっていた。
「あ、ああ、ん、ぅ」
男の手に引き裂かれたドレスがどれほど高価なものであったか、己がこの男とどのような関係にあったのか、己が何をせねばならないのか、全てを忘れて、ただ与えられる刺激に陶酔している。
すでにすべての衣服をはぎ取られたソフィアは、悩ましく息を吐いた男に己の腰が掴まれ、強い力で引き寄せられるのを感じた。寝台に寝そべったままその光景を見ていたソフィアは、彼女の両足が持ち上げられ、男の顔に寄せられていくことに気づき、僅かに理性を取り戻す。
「や、や……っ、あああっ、!」
唾液をたっぷりと纏った舌で彼女の秘所に隠された突起を嬲った男は、瞬時に腹を引き攣らせて身悶える悪女の腰を掴みなおした。
一切の容赦のない舌技で、ぬらついた突起に自身の唾液を擦りつける。
ぴたりと閉じられたソフィアの秘所を見下ろした男は、潔癖症の初心で生真面目な騎士とは似ても似つかない。今はただ目の前の獲物をいかにして捕食するかを嬉々として試す狩人だ。
「あ、あん、ああっ、んん、あ、あっ!」
ソフィアはろくな抵抗もできずに腹を引き攣らせ、ますます秘所から体液を分泌させている。
とろ、と熱い蜜がこぼれ落ちたとき、ソフィアの秘所をまじまじと見据えていたルイスが、僅かに頬を紅潮させながら夢中で秘められた泉にむしゃぶりついた。
「あっ……! ひっ、んんんっ、ああっ!」
唾液を塗り込めようとしているのか、それともその泉からしたたり落ちる彼女の愛液を飲みこもうとしているのか。
男は本能の赴くまま突起を舐めしゃぶり、ソフィアがあっけなく法悦に身体を痙攣させるのを見遣り、自身の指をたっぷりと舐めて唾液を纏わせてから躊躇いなくとろけきった蜜口に突き入れた。
「ひぅっ……! や、や、ぁっ……!!」
狭く窄まった中に押し入ると、たっぷりと濡れた蜜口がぐぷ、と淫らな音を立ててルイスの指先に食らいついてくる。まだ誰にも踏み荒らされていない乙女の秘密を暴いているかのような感覚に陥ったルイスは、金糸を振り乱して熱い呼吸を繰り返すソフィアの瞼が閉じられているのを見て、膣に指先を突き入れながら、その身体を抱き上げた。
後ろから抱え込むように拘束すれば、じとりと汗ばんだ彼女の背中が胸に触れる。そのときルイスは、初めて己が、服を脱ぐことさえも忘れて女の身体を貪っていた事実を思い返した。
ソフィアの身体はあまりにも小さい。ルイスは、自身の身体にすっぽりと隠れてしまう薄い身体を掻き抱いて、その項に齧りついた。
「っ、あ、っんん」
突如刺激を感じたソフィアは、痙攣を止めることもできず、身体をばたつかせている。ルイスは、無意識に逃げ出そうとするソフィアのあごを掴んで、咎めるようにその顔を己に向けさせた。
瞳が虚ろにルイスを見上げる。
赤い瞳は、許容範囲の超えた熱を孕んで、とろけきっていた。
瞳すら極上の果実に見える。
ルイスは初めて正面からその瞳を見たときに感じたことをもう一度思い出し、自嘲を隠すようにその口を塞ぐ。少し唾液を流しこめば、ソフィアは身体を震わせて、ますます蜜口に蜜を滴らせた。
これほどまでにも危うく匂い立つ果実なら、群がる男はごまんといるだろう。そうして、ソフィア・フローレンスは、己の野望を叶えるために必要な男を誘っているのだろうか。
快楽に表情を歪めて、いつもの涼やかな声さえも奪われた悪女を見下ろした男は、己の想像上で男を誘うソフィアの姿に眉を顰めた。
——ソフィア。
「……フローレンス」
乙女の名を囁きつつ、彼女の秘所から指を引きぬいた男が、早急に自身の下穿きを寛げた。
「っひ、」
ルイスは硬くそそり立つものを彼女の背に押し付けて、存在を示している。ソフィアはその熱の正体を察する思考能力さえも奪われ、ただ、か細い悲鳴を上げながら、因縁の男の顔を見上げた。
——ルイス・ブラッド。
己の名を熱く呼びあげる男の名前を思い返しつつ、ソフィアは今までに一度もその男の名を呼んだことがなかったためか、言葉を返すこともできず、ただ快楽の余韻に震えながら、顔を寄せてくる男の瞳を見つめた。
言葉もなく、ルイスの唇がソフィアに触れる。ただ触れ合うだけのキスは、あまりにもこの二人の境遇には不似合いだった。
「すぐに済ませる」
恫喝して攫いだした男の言葉にしては、あまりにも優しい。しかし、彼の声にソフィアが僅かな正気を取り戻しかけた瞬間、彼女の身体は再び寝台の上に押し付けられていた。
間髪入れずに両足を持ち上げられる。突如押し倒されたソフィアは、じくじくと熱に焼かれる己の腹の奥が、確かにこの男の熱を欲しているのを感じていた。
「や、」
か細い拒絶が聞き入れられることはない。
ソフィアの両足を己の肩にかけた男は、躊躇いなく逞しい剛直の切先を彼女の秘所に触れさせ、予告することもなく、一気に突き入れた。
「っ、ひああっ!?」
「……っく」
「ひ、ぅ、っ……! あっ、」
ルイスはソフィアの心を示すかのように侵入を拒む膣の締め付けに眉を顰めながらも、ひたすら腰を打ちつけた。
たっぷりと濡れそぼった秘所はきつく締め付けながらもルイスを奥へと誘っていく。小さな腹は、ルイスの剛直に擦られるたびひくひくと痙攣していた。男を誘う雌の匂いにあてられた男は、匂い立つ女の首筋に歯を突き立て、過ぎる快楽を受け流す。
すぐにでも吐精してやればいい。頭では理解しているはずが、ルイスの身体は、一秒でも長くこの女の腹を暴こうと無駄な足掻きを続けている。
細腰を掴んで限界まで引き寄せれば、奥の奥まで暴かれたソフィアが、はくはくと呼吸を壊しながら発情しきった猫のように鳴いた。
「やっ、あ、あん、んっ、や、やら、あっ、ああ!?」
過ぎる快楽に混乱するソフィアは、ついにその瞳から涙をこぼしてしまった。
赤目からこぼれ落ちる涙は、宝石のようだ。その粒が眦に流れるよりも先に舌で舐めとったルイスが、たまらず囁く。
「ソフィア」
「っ、あっ、や、なん、で……っ、ひぁ」
強烈に記憶に残る男の声が、誰かの名を呼んだ。それが己の物であると認識したとき、ソフィアは信じがたい思いで瞼を持ち上げた。
「あんっ、ふ、あ」
その視線が絡んだ瞬間、ソフィアの腹の奥を蹂躙していた怒張が、いっそう硬く膨らんだ。
「や、おっ……き、っひぁああ!」
ごちゅん、と卑猥な音を立てて切っ先が壁に擦られる。意識が飛びそうなほどに甘い陶酔に襲われたソフィアは、食い入るように己の顔を見つめてくる獣人から目を反らすこともできず、快楽に落ちる。
「ソフィア」
「あっ、あん、んんっ! あ、あぅ、」
「ソフィア」
なぜ、これほどまでも熱く、己の名前が呼ばれているのか。理解しがたい現象に混乱しながら、男の激しい律動に揺さぶられ、乙女が散らされていく。
「……っ、貴女の一番奥に出す」
「や、っああああああああああっ!」
「ソフィア、っ!」
隠しきれない熱を孕んだ声がソフィアの耳元に囁いた瞬間、彼女は己の腹に滞留していた熱が激しく弾けるのを感じ、全身を反らせて深い酩酊に押し上げられた。
獣人の体液を欲する呪いなど、何と不便なものだろうか。
ソフィアは自身にかけられた呪いの秘密に呆れつつ、指先一つ動かすことのできない身体で必死に呼吸を繰り返している。
ルイス・ブラッドが何を考えているのか、全く理解できない。まだ覚束ない思考能力では、何を考えようと悪手になる。
察したソフィアは、どうにかこの部屋から逃げ出す術を思考していた。
「っん、」
ソフィアを掻き抱きながら精を放った男が、ずるりと自身を引き抜いて、息を呑んだ。
「……どういうことだ」
ソフィアの蜜口からは、彼女の蜜と、白濁した精がとろりと流れ出てくる。流れ出た体液が濡らしたシーツには、そのほかに、血のような赤い色の染みが散らばっていた。
ソフィア・フローレンスは、まごうことなき乙女であったのだ。
その事実に気づいたルイスは、己の背筋に激しい欲情が迸るのを感じた。彼は獣人でありながら、血の匂いを察することもできないほど、過ぎる興奮に我を失っていたのだ。
一方、問われたソフィアは、声を発する気力さえもなく、ぐったりと瞼を下した。
——眠ってはいけないわ。
まず、この男の頭を魔法でいじって、全てを忘れさせる必要がある。服を修復して、誰にも見られることなくこの部屋から出なければならない。普段ならばそう難しい魔法でもないが、呪いに侵された身体は、すっかり魔力を失っていた。
「フローレンス」
説明を求める騎士の声を聞きながら、ソフィアは抗いがたい眠気に襲われていた。
たった今無体を働いた相手が激しく体力を消耗していることを察したルイスは、急く心を押さえて押し黙る。
見たところ、ソフィアは呪いによる全身の苦しみから解き放たれたようだ。ルイスはしばらく、まじまじとその姿を見つめて、すぐに乾いたタオルをソフィアの身体の上に乗せた。
「少し休め」
どうしてこれほどまでに、優しい声で囁くことができるのか。因縁の相手に囁かれたソフィアは、疲れきった頭でひっそりと思いながら、とうとう理解することもできず、己の意思に反して意識を途切れさせた。
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