スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

もーりんもも

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第34話 宿なしでも大丈夫。高級ホテルに泊まろう

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 キュウを抱っこして、俺の太ももに抱きついているシモーネさんと一緒にエントランスの自動ドアの前に立つと、ウイーンとドアが開いた。

 ドアが開いたと思ったら、馬車の側に立っていた。

「ほう。こりゃ面白いの」

 シモーネさんも感心しているけど、なるほど。そういうことね。営業時間内なら出たり入ったりできるってことね。


「ほれ。フードをかぶって荷台に乗るんじゃ。人に見られんようにな」

 シモーネさんはそれだけ言うと、御者台に座った。

「よしつね。キュウもフード欲しいでしゅ。よしつねと一緒に乗るでしゅ」
「キュウ! ああそうだな。一緒に乗りたいな。うーん。ユニークのキッズ向けで、なんかいいのあるかも」

「バカかお主は! さっさと鞄でもポケットでもいいからスライムをしまって乗るんじゃ!」
「はいはい」

 シモーネさんはうるさいでしゅねー。ねー?

「何か言ったか?」

 おっほ! 絶対に聞こえていないはずだし、顔も見ていないのに!

「い、いいえ。乗ります。はい。乗ります!」


 今って何時くらいなんだろう。武将の湯を出る前に時計を見ておくんだった。
 昼過ぎに門を出て、遅めの昼ごはんを食べて――ええと、三時くらいかな。いや四時かも。

 チェックインって四時くらいからだっけ? 三時のところもあったっけ?
 でもま。シモーネさんの気の済むまで馬車で進まないと降ろしてくれそうにないし。
 しばらく我慢かな。それまでは荷台でチビチビ、ポーションを飲んでおこう。



 多分、二時間くらいは経ったと思う。尻の痛みと日差しの陰り具合でそう思った。
 シモーネさんが馬車を止めた。

「今日はこの辺までじゃな。お主、先程のところで寝るつもりじゃったな」

 ふっふー。ちっちっちっ。

「もっといいところにご案内しますよ」
「はん?」
「よしつねー。どこでしゅか?」
「ふっかふかの床に清潔なお布団があるところだよ」
「楽しみでしゅー。早く行きたいでしゅ! キュウ!」

 俺も!

「ステータスオープン!」

 さあ。いよいよ使う時がきましたよ。一休み! いざっ!


「へえ。やっぱりトップ画面はそのままなんだ。ビジネスホテルくらいしか使ったことないけど、ここじゃ五つ星ホテルでも老舗旅館でも使いたい放題だからなー。ふっふー」

 どうしよう。何て検索しよう。最高級ホテルってどこだ?
 いや。やっぱ畳の方がいいかな? 旅館か? 旅館の方が分かんないな。有名な旅館とか知らないし。

 とりあえず。東京で、高い順にソート。

「ひいっ」

「どうしたんじゃ! 行けなくなったのか?」
「ちが――違います。なんかすごいことに」

 588,000円! 一泊で?! 室料のみなのに?!

 なんだこのゴージャスな部屋は。写真が豪華すぎて怖い。現実世界なら絶対に近寄れない。

 でも――今は違う。
 マナーなんか知らなくったって誰にも笑われないんだから、行くしかないでしょう!

「シモーネさん。行きますよ」
「お? おう」

 ポチッ。
 押した瞬間、目の前の光景が変わった。


「うわあっ」

 ぎゃー。すごいー! 凄すぎるー! こっわ! マジでこっわ!

「よしつねー。滑るでしゅー。キュッキュウ!!」


 俺とシモーネさんが呆然と立ち尽くしているのに、キュウはツルツルの床を楽しんでいた。

<俺のステータス>
Lv:25
魔力:75,960/75,960
体力:21,980/22,600
属性:
スキル:虫眼鏡アイコン
アイテム:ゴミ箱、デリバリー館、ウィークリー+、ポケット漫画、緑マンガ、これでもかコミック、ユニーク、武将の湯、一休み、魔力ポーション(10)、体力ポーション(4)、72,102ギッフェ
装備品:短剣
契約魔獣:スライム

<キュウのステータス>
Lv:28
魔力:47,560/47,560
体力:1,090/1,090
属性:水
スキル:感知、水球、氷刃、水結界、???
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