スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

もーりんもも

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第36話 高級ホテルを楽しもう(客室)

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 さあ、いよいよ客室だ。
 エレベーターホールの廊下を曲がると、ずらっと客室のドアが並んでいた。

 とりあえずは、中に入れるかどうかの確認だから一番近いドアにしよう。ノブを軽く握って少し下へ押し下げる。
 下がった!

 キーは入らないんだ。ってことは……。
 全部の客室が使い放題ってことだー! スッゲー! 


 せっかくドアが開いたので、部屋に入ってみる。


「うおおーー!!」

 これが叫ばずにいられるか! なんじゃこりゃー!!
 広いなんてもんじゃない。ドラマで見たことのある金持ちの家のリビングが五個くらい繋がった感じ? とにかく、超、超広い!!


「うおおーー!!」

 なんかもう。叫び声を止めることができなくなってる。

「キュウッ!」

 キュウも俺と一緒に叫び声を上げ始めた。

 シモーネさんは、一瞬だけ、「お主らはバカか」と言いたそうな顔をしたけど、すぐに澄ました顔をして自分の興奮を隠すことに全力を注いでいる。
 でも、そんな真っ赤な顔じゃバレバレですけどね。


 長い長いリビングを走り抜けてドアを開けると、ドーンと巨大なベッドが部屋の真ん中に!
 
 「うおおー!」と叫びながらダイブ! しちゃうよねダイブ!

 いいい感じに跳ね返される。ああこの感覚。宮殿のとは違う現代的なベッドだ。懐かしい。
 いやいや。俺の部屋のベッドよりも硬い感じが高級っぽい。この反発の感じががすごくいい。

 お! 枕元のシーツが少しだけめくられている。
 これはもしや……。

 一流ホテルだとターンダウンのサービスというのがあって、ぎゅうっと折り込まれれているシーツを三分の一ほど抜いて、ベッドに入りやすいように折り返してくれるって聞いたことがある。


「キュウ! キュキュッ! よしつねー。キュウはよしつねみたいに、ぶよん、ぶよん、しないでしゅ」
「あっはっはっ。そりゃキュウは軽いから弾まないよ。でもこのシーツ気持ちいいだろう?」

 キュウは俺みたいにバウンドしたかったらしい。

「気持ちいいでしゅ。すべすべでしゅ」
「スベスベなのはキュウもだけどね! あっはっはっは」

 あー。大富豪になったみたい。きっもっちいいー!
 俺がベッドの上にうつ伏せになって足をバタバタさせていると、キュウも自分で、ぼよん、ぼよん、と一緒に跳ねた。

「楽しいでしゅ。よしつねも、もっとバンバンするでしゅ」

 もっと弾ませろってか? あはははは!



「お主ら何が面白くてそんな真似をしておるんじゃ」
「ええ? シモーヌ様には分からないんですか? そっちのベッドに乗っかって、ちょっと弾んでみてくださいよ」
「ふん。くだらん!」

 シモーヌさんはそう言いつつも、「ふん!」としかめっ面をしながらベッドに立ったまま上がると、軽くジャンプした。
 でも期待したほどの揺れはない。

 そっか。キュウと一緒だね。軽過ぎたみたい。残念!

「じゃ、俺がゆするんで、こっちにきてキュウと一緒に――」

 バン! バン!

 シモーヌさんがベッドから下りると俺の背中に枝を叩きつけた。

「嘘でしょう! なんで?!」
「うるさい!」

 もう。すぐ機嫌を損ねるんだからー。それとも照れ隠し?


 キュウはもうベッドに飽きたようで、今度はふかふかの絨毯の感触を確かめるように、床を飛び跳ねている。

 ふっふー。それより、こういう部屋にはどういうアメニティがあるんだろう?
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