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第42話 「無地」アプリでお買い物
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森の中へ消えて行くキュウとタツの後ろ姿を見ていたら、どっと疲れがやってきた。
まだ一日は始まったばかりなのに。
あ。忘れてた……。
馬車で移動しなきゃいけないんだった。俺、レベル上げしてきていいよって、二匹を行かせちゃった。
来るっ、と思って身構えたけど、いつものバシンは来なかった。あれ? いいの?
「シモーネさん。なんかすみません。あいつら森へ入っちゃったんですけど。昼には帰ってきますかね? 戻ったらすぐに出発しましょう!」
できるだけ明るく声をかけたのに、シモーネさんは無言でジロリとにらんでから、「昼じゃと?」と一言だけ返して、馬を連れてどこかへ行ってしまった。
馬は、自分より小さなシモーネさんのいうことを大人しく聞いている。すごっ。
そうだよね。馬の面倒も見なきゃだよね。
……はあ。こんな調子で無事に隣国まで行けるのかな。
あいつらが昼に戻る保証はないし。俺は何をしようかな。
あっ! 昨日は浮かれてはしゃいで洗濯もしてないんだった。
どうしよっかなー。
武将の湯に行って洗うか。あそこでゴロゴロしてキュウたちが帰ってくる頃まで待てばいいし。
あ。でもいい加減、洗剤とか、その他もろもろ買い物したいんだよね。
なんかいいアプリないかな。
……。
……。
うおおっ! あるじゃん! あるじゃん!
確か、「無地」アプリが魔力50,000だったはず!
今の俺ならダウンロードできる!
「うっひゃっひゃっ」
ああ、変な笑い声が漏れるほどに、アドレナリンが体を駆け巡っているよ。
無地って、生活用品が結構揃っていたよね。タオルとか食器とか文具とか色々。
もう買いまくってやるぜ!
「いっひっひっ」
ドラえもんがポケットから道具を出す時の音が、効果音として脳内に響いた。
「ステータスオープン!」
早速、「無地」を検索すると、やっぱり50,000だった。
いくぞ。いくぞ。ポチッ。
ふぁっ。今回はちょっとだけぐいんときたな。
でもでも。
あったー。「無地」アイコンゲットだぜー!
「やったー! これで一通りの物は買えるー!」
ああまた俺、飛び跳ねてそこら中を周ってる。バカみたいだけど、テンションが上がってやめられない!
「ふー!」
あ、なんかフラフラする。バカみたいにクルクル回ったせいかな。
――で。
まずは商品が地面の上に落ちないように、馬車の荷台に移動する。
それから思いつく限りの物をポチポチ買っていくんだ。
「まずは、忘れないうちに洗濯洗剤と。あ、やっぱりあった! となるとハンガーとかも欲しいな。うーん。あるある。うわあ。すごい品揃え」
もう目につくものは買ってしまえ。
荷台に敷くラグ。体を包んでくれそうなビーズクッションと、もう一個普通のクッション。薄いクッションも。それに膝掛け。ティッシュ。飴にクッキーにチョコバウム。
それとドリンク! いちいち注文するの面倒なんだよね。
あー無地だとボトル飲料になるのか。とりあえずお茶を10本。
でへへへ。
ついついニヤけちゃう。ま、一旦終了。わー。荷台の上がすごいことになってる。
まずはラグを敷いて、クッションを置く。俺用の大きなやつと、キュウのための薄いやつ。タツはなんとなくいらない気がして買ってない。拗ねるかな? ま、拗ねたら買ってやればいっか。
ティッシュも使うから横に置いて。お菓子もいるな。
膝掛けは今はいいか――となると。どこにしまう?
俺、アイテムボックスとか持ってないんだよね。でも、武器みたいにそのまま保管できないかな?
「ステータスオープン」
試しに飴を押し込んでみた。――入らない。
うーん。
……ん?
おっほ! いいこと思いついた。
食べ終わったゴミを捨てるみたいに、「ゴミ箱」に飴を押し込むと、入った。
「やったー」
ゴミ箱を見ると、飴が入ってる。その飴をタップして、「元に戻す」をタップ。
ぽとんと、飴がラグの上に落ちた。
やっぱり! ゴミ箱に捨てたファイルを復活させるのと同じだ。
俺、いっつもゴミ箱がパンパンになるくらいファイルを入れちゃってたんだよな。そっから、もういらないと思って捨てたやつを、たまに復活させて使ってたんだよね。
ま、ゴミと一緒に保管しちゃうことになるけど。たまに持ち物を取り出してから、「空にする」をタップすればいいだけだもんね。
ふっふー。解決。解決。すぐに取り出せるから、使わない物はひとまずしまっちゃえ。
それで。次は洗濯か。
前に調べたっけ? まだだっけ?
ま、いっか。コインランドリーを検索してみよう。
おっほ!
「洗濯屋」なるアプリを発見! 魔力900だ。じゃ、早速。ポチッ。
今度はヒュンって感じで、体感はほぼなし。
どうやって使うんだろ?
試しに下着を洗濯屋アプリに押し当ててみると、吸い込まれるように消えた。
ええっと? 洗濯が開始されたってこと? コースも選んでないし、乾燥の要否も選んでないんだけど。
ま、待つしかないか。
……あ。 コインランドリーが使えるなら、洗濯洗剤いらなかったなー。ああ無駄遣いしちゃった。
ドーン!
突然、地響きと共に大きな音が聞こえた。
「ちょっ、今度は何?」
荷台から降りて辺りを見回すと、遠くの木々が土埃に包まれている。
あそこで戦ってるってこと?
――え?
「おいおいおいおいおい。何してる? 何してるんだ?」
木々や土埃もろとも、ぐるりと数十メートル四方を丸ごと覆ったシャボン玉のような膜が現れた。
あれって――キュウの技? 大きさが異常だけど、前に見たやつに似てる。
い、いつの間にあんな巨大なものを出せるようになってんの!
さっき森に入ったばっかなのに、どこまで成長してんの!?
「キュウが面倒見るでしゅ」
あんな可愛いこと言って、ぷにょん、ぷにょん、って飛び跳ねていた子が!
……!!!! なんじゃありゃー!
「――ひ」
あの、木々の上を飛んでるやつって。あれって――。
「ぅおいっ!」
どうツッコんでいいのやら。
タツのやつ――!
朝見送った時は、っていうか、生まれた時はほんの三十センチほどだったのに。
どうして今は、ドラゴンの子どもって分かるくらい大きくなってんの!!
<俺のステータス>
Lv:25
魔力:25,060/75,960
体力:21,980/22,600
属性:
スキル:虫眼鏡アイコン
アイテム:ゴミ箱、デリバリー館、ウィークリー+、ポケット漫画、緑マンガ、これでもかコミック、ユニーク、武将の湯、一休み、無地、洗濯屋、魔力ポーション(10)、体力ポーション(4)、72,102ギッフェ
装備品:短剣
契約魔獣:スライム、レッドドラゴン
まだ一日は始まったばかりなのに。
あ。忘れてた……。
馬車で移動しなきゃいけないんだった。俺、レベル上げしてきていいよって、二匹を行かせちゃった。
来るっ、と思って身構えたけど、いつものバシンは来なかった。あれ? いいの?
「シモーネさん。なんかすみません。あいつら森へ入っちゃったんですけど。昼には帰ってきますかね? 戻ったらすぐに出発しましょう!」
できるだけ明るく声をかけたのに、シモーネさんは無言でジロリとにらんでから、「昼じゃと?」と一言だけ返して、馬を連れてどこかへ行ってしまった。
馬は、自分より小さなシモーネさんのいうことを大人しく聞いている。すごっ。
そうだよね。馬の面倒も見なきゃだよね。
……はあ。こんな調子で無事に隣国まで行けるのかな。
あいつらが昼に戻る保証はないし。俺は何をしようかな。
あっ! 昨日は浮かれてはしゃいで洗濯もしてないんだった。
どうしよっかなー。
武将の湯に行って洗うか。あそこでゴロゴロしてキュウたちが帰ってくる頃まで待てばいいし。
あ。でもいい加減、洗剤とか、その他もろもろ買い物したいんだよね。
なんかいいアプリないかな。
……。
……。
うおおっ! あるじゃん! あるじゃん!
確か、「無地」アプリが魔力50,000だったはず!
今の俺ならダウンロードできる!
「うっひゃっひゃっ」
ああ、変な笑い声が漏れるほどに、アドレナリンが体を駆け巡っているよ。
無地って、生活用品が結構揃っていたよね。タオルとか食器とか文具とか色々。
もう買いまくってやるぜ!
「いっひっひっ」
ドラえもんがポケットから道具を出す時の音が、効果音として脳内に響いた。
「ステータスオープン!」
早速、「無地」を検索すると、やっぱり50,000だった。
いくぞ。いくぞ。ポチッ。
ふぁっ。今回はちょっとだけぐいんときたな。
でもでも。
あったー。「無地」アイコンゲットだぜー!
「やったー! これで一通りの物は買えるー!」
ああまた俺、飛び跳ねてそこら中を周ってる。バカみたいだけど、テンションが上がってやめられない!
「ふー!」
あ、なんかフラフラする。バカみたいにクルクル回ったせいかな。
――で。
まずは商品が地面の上に落ちないように、馬車の荷台に移動する。
それから思いつく限りの物をポチポチ買っていくんだ。
「まずは、忘れないうちに洗濯洗剤と。あ、やっぱりあった! となるとハンガーとかも欲しいな。うーん。あるある。うわあ。すごい品揃え」
もう目につくものは買ってしまえ。
荷台に敷くラグ。体を包んでくれそうなビーズクッションと、もう一個普通のクッション。薄いクッションも。それに膝掛け。ティッシュ。飴にクッキーにチョコバウム。
それとドリンク! いちいち注文するの面倒なんだよね。
あー無地だとボトル飲料になるのか。とりあえずお茶を10本。
でへへへ。
ついついニヤけちゃう。ま、一旦終了。わー。荷台の上がすごいことになってる。
まずはラグを敷いて、クッションを置く。俺用の大きなやつと、キュウのための薄いやつ。タツはなんとなくいらない気がして買ってない。拗ねるかな? ま、拗ねたら買ってやればいっか。
ティッシュも使うから横に置いて。お菓子もいるな。
膝掛けは今はいいか――となると。どこにしまう?
俺、アイテムボックスとか持ってないんだよね。でも、武器みたいにそのまま保管できないかな?
「ステータスオープン」
試しに飴を押し込んでみた。――入らない。
うーん。
……ん?
おっほ! いいこと思いついた。
食べ終わったゴミを捨てるみたいに、「ゴミ箱」に飴を押し込むと、入った。
「やったー」
ゴミ箱を見ると、飴が入ってる。その飴をタップして、「元に戻す」をタップ。
ぽとんと、飴がラグの上に落ちた。
やっぱり! ゴミ箱に捨てたファイルを復活させるのと同じだ。
俺、いっつもゴミ箱がパンパンになるくらいファイルを入れちゃってたんだよな。そっから、もういらないと思って捨てたやつを、たまに復活させて使ってたんだよね。
ま、ゴミと一緒に保管しちゃうことになるけど。たまに持ち物を取り出してから、「空にする」をタップすればいいだけだもんね。
ふっふー。解決。解決。すぐに取り出せるから、使わない物はひとまずしまっちゃえ。
それで。次は洗濯か。
前に調べたっけ? まだだっけ?
ま、いっか。コインランドリーを検索してみよう。
おっほ!
「洗濯屋」なるアプリを発見! 魔力900だ。じゃ、早速。ポチッ。
今度はヒュンって感じで、体感はほぼなし。
どうやって使うんだろ?
試しに下着を洗濯屋アプリに押し当ててみると、吸い込まれるように消えた。
ええっと? 洗濯が開始されたってこと? コースも選んでないし、乾燥の要否も選んでないんだけど。
ま、待つしかないか。
……あ。 コインランドリーが使えるなら、洗濯洗剤いらなかったなー。ああ無駄遣いしちゃった。
ドーン!
突然、地響きと共に大きな音が聞こえた。
「ちょっ、今度は何?」
荷台から降りて辺りを見回すと、遠くの木々が土埃に包まれている。
あそこで戦ってるってこと?
――え?
「おいおいおいおいおい。何してる? 何してるんだ?」
木々や土埃もろとも、ぐるりと数十メートル四方を丸ごと覆ったシャボン玉のような膜が現れた。
あれって――キュウの技? 大きさが異常だけど、前に見たやつに似てる。
い、いつの間にあんな巨大なものを出せるようになってんの!
さっき森に入ったばっかなのに、どこまで成長してんの!?
「キュウが面倒見るでしゅ」
あんな可愛いこと言って、ぷにょん、ぷにょん、って飛び跳ねていた子が!
……!!!! なんじゃありゃー!
「――ひ」
あの、木々の上を飛んでるやつって。あれって――。
「ぅおいっ!」
どうツッコんでいいのやら。
タツのやつ――!
朝見送った時は、っていうか、生まれた時はほんの三十センチほどだったのに。
どうして今は、ドラゴンの子どもって分かるくらい大きくなってんの!!
<俺のステータス>
Lv:25
魔力:25,060/75,960
体力:21,980/22,600
属性:
スキル:虫眼鏡アイコン
アイテム:ゴミ箱、デリバリー館、ウィークリー+、ポケット漫画、緑マンガ、これでもかコミック、ユニーク、武将の湯、一休み、無地、洗濯屋、魔力ポーション(10)、体力ポーション(4)、72,102ギッフェ
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契約魔獣:スライム、レッドドラゴン
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