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第43話 目的地変更
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もう、何がなんだか……。勘弁してくれーい!
尋常じゃないこととは無縁でいたいのよー。
キュウもそうだったけど、タツの成長のスピードはバグってる。
あっ。
今、タツがトリケラトプスに炎を吐いて丸焦げにしたのが見えた。遠目からでも分かるほどに業火を浴びせた。
……こ、怖いんですけど。
「あやつら派手にやっておるのう」
シモーネさんが帰ってきた!
「シモーネ様! あれ! あんなのどうかしてます! 今すぐやめさせたいんですけど!」
「まあな。あやつら、魔物どもをおもちゃのように蹴散らしておるのう。あそこまで力の差があると、いたぶっておるようにしか見えんな」
「だーかーらー。キュウにそんなことさせたくないんです。どうしたら止められますか?」
「お主はバカか」
「はい! もう、俺、バカなんで! 教えてください!」
「ふん」
へ? 「ふん」てどういうことです?
あんまり魔物を倒し過ぎて、キュウがタツみたいにでっかくなったらどうしよう!
「あやつらはお前の支配下にあるんじゃ。お前が好きに命じればよかろうが」
「へ?」
どうやって? ここから叫んでも、俺の声が届くはずがないと思うけど。
まあ一応。
「おーい! キュウ! 帰っておいでー」
ふう。やっぱ無理です。
「シモーネ様。声が届かない時はどうすればいいんですか?」
バシン!
シモーネさんは枝を一振りしてから応えた。
「バカ者が」
ええーっ? こんなに丁寧に聞いたのに? 上から見下ろしているのが気に入りませんか?
あれか。子どもに話す時みたいに、膝をついて目線を同じ高さに――ってやつか。
もしかしたらと思って、しゃがんでシモーネさんの目と同じ高さに合わせた。
間近で見ると、(黙ってさえいれば)可愛らしい金髪美少女なんだけどな――目つき以外は。
じゃあ、もう一回改めて聞こうかと思ったところに、「帰ったでしゅ」という可愛らしい声が聞こえた。
立ち上がると、キュウが飛びついてきたので抱きとめてやる。
「お帰りー。ちょうど呼びに行こうかと思ってたんだよ」
「よしつねが呼んだから帰ってきたでしゅ」
「キュウ……!」
ああ。俺たちは繋がってるんだね。俺が伝えたいって思う言葉はキュウには聞こえるだね!
あー。そっか、タツ。お前にもね。
それにしてもタツ。
お前、視界から消すことができないくらいの存在感を放ってるね。
「か、帰りました――です」
いや、キュウの喋り方は真似しなくていいから。
……タツ。……お前。三メートルは超えてるよね?
ぶるんぶるんと頭を振って、胸に抱えたキュウに尋ねる。
「ねえキュウ。たっちゃんはどうしてこんなに大きくなったの?」
キュウは少し斜めに体を傾けると、パチンと瞬きをするように、目を大きく見開いて言った。
「えっと。全部食べたでしゅ」
「食べた?」
「はいでしゅ。やっつけた魔物を全部食べたでしゅ。キュウが溶かしちゃったの以外、全部食べたでしゅ」
「ひぃっ」
あれを? トリケラトプスとか諸々をだよね?
「ご、ごめんなさい。そんなつもりはなかったのに気がついたら食べていたんです。もうしません。もうしませんから許してください。うっ。うっ」
うわあー。タツがしょんぼりを通り越して、土下座する勢いで謝ってるよー。
えー? どうして? ちょっとびっくりしただけじゃない。
俺、パワハラじみたことしてないよね?
「ドラゴンなんじゃ。そんなの当たり前じゃ」
シモーネさんが、「ふん。ものを知らん奴じゃ」とかぶつぶつ言いながら横目で俺たちを見ている。
「ご、ごめんなさい。こんなになっちゃって。ぼく……」
え? 泣いちゃう? 泣いちゃうの?
「キュッキュウ!」
キュウが腕の中から飛び出して、ものすごい勢いでタツに体当たりしまくっている。
もしかして、慰めてる?
いや。どう見ても面白がってる。というか、嬉しがってる?
まあ、ぶつかれる体積が増えたんだもんね。
ギューーーーン。
地の底から響くような低音が、タツの方から聞こえた。
「す、すみません! すみません!」
いや、そんな謝らなくても……。
それに今のって、もしかして腹の虫が鳴る音?
「え? まだ食べ足りないってこと? もっと魔物が必要なの?」
「いえっ。そ、そんな――」
シモーネさんが枝でタツの体をつつきながら話に入ってきた。何を確かめているんだろう。
「火じゃ。火が足りんのんじゃ。こやつは元々火山に生息しておるんじゃからな。レッドドラゴンは溶岩を食って育つと聞いたことがある」
「え? ええーーーー!!」
お、お前、溶岩なんて飲むの? 溶岩を飲んでも平気なの? 粘膜やられないの?
マグマが産湯って……。
「ここから一番近い火山は――そうじゃのう。あっちじゃな」
ちょっと! シモーネさん! なに勝手に決めてんの!
尋常じゃないこととは無縁でいたいのよー。
キュウもそうだったけど、タツの成長のスピードはバグってる。
あっ。
今、タツがトリケラトプスに炎を吐いて丸焦げにしたのが見えた。遠目からでも分かるほどに業火を浴びせた。
……こ、怖いんですけど。
「あやつら派手にやっておるのう」
シモーネさんが帰ってきた!
「シモーネ様! あれ! あんなのどうかしてます! 今すぐやめさせたいんですけど!」
「まあな。あやつら、魔物どもをおもちゃのように蹴散らしておるのう。あそこまで力の差があると、いたぶっておるようにしか見えんな」
「だーかーらー。キュウにそんなことさせたくないんです。どうしたら止められますか?」
「お主はバカか」
「はい! もう、俺、バカなんで! 教えてください!」
「ふん」
へ? 「ふん」てどういうことです?
あんまり魔物を倒し過ぎて、キュウがタツみたいにでっかくなったらどうしよう!
「あやつらはお前の支配下にあるんじゃ。お前が好きに命じればよかろうが」
「へ?」
どうやって? ここから叫んでも、俺の声が届くはずがないと思うけど。
まあ一応。
「おーい! キュウ! 帰っておいでー」
ふう。やっぱ無理です。
「シモーネ様。声が届かない時はどうすればいいんですか?」
バシン!
シモーネさんは枝を一振りしてから応えた。
「バカ者が」
ええーっ? こんなに丁寧に聞いたのに? 上から見下ろしているのが気に入りませんか?
あれか。子どもに話す時みたいに、膝をついて目線を同じ高さに――ってやつか。
もしかしたらと思って、しゃがんでシモーネさんの目と同じ高さに合わせた。
間近で見ると、(黙ってさえいれば)可愛らしい金髪美少女なんだけどな――目つき以外は。
じゃあ、もう一回改めて聞こうかと思ったところに、「帰ったでしゅ」という可愛らしい声が聞こえた。
立ち上がると、キュウが飛びついてきたので抱きとめてやる。
「お帰りー。ちょうど呼びに行こうかと思ってたんだよ」
「よしつねが呼んだから帰ってきたでしゅ」
「キュウ……!」
ああ。俺たちは繋がってるんだね。俺が伝えたいって思う言葉はキュウには聞こえるだね!
あー。そっか、タツ。お前にもね。
それにしてもタツ。
お前、視界から消すことができないくらいの存在感を放ってるね。
「か、帰りました――です」
いや、キュウの喋り方は真似しなくていいから。
……タツ。……お前。三メートルは超えてるよね?
ぶるんぶるんと頭を振って、胸に抱えたキュウに尋ねる。
「ねえキュウ。たっちゃんはどうしてこんなに大きくなったの?」
キュウは少し斜めに体を傾けると、パチンと瞬きをするように、目を大きく見開いて言った。
「えっと。全部食べたでしゅ」
「食べた?」
「はいでしゅ。やっつけた魔物を全部食べたでしゅ。キュウが溶かしちゃったの以外、全部食べたでしゅ」
「ひぃっ」
あれを? トリケラトプスとか諸々をだよね?
「ご、ごめんなさい。そんなつもりはなかったのに気がついたら食べていたんです。もうしません。もうしませんから許してください。うっ。うっ」
うわあー。タツがしょんぼりを通り越して、土下座する勢いで謝ってるよー。
えー? どうして? ちょっとびっくりしただけじゃない。
俺、パワハラじみたことしてないよね?
「ドラゴンなんじゃ。そんなの当たり前じゃ」
シモーネさんが、「ふん。ものを知らん奴じゃ」とかぶつぶつ言いながら横目で俺たちを見ている。
「ご、ごめんなさい。こんなになっちゃって。ぼく……」
え? 泣いちゃう? 泣いちゃうの?
「キュッキュウ!」
キュウが腕の中から飛び出して、ものすごい勢いでタツに体当たりしまくっている。
もしかして、慰めてる?
いや。どう見ても面白がってる。というか、嬉しがってる?
まあ、ぶつかれる体積が増えたんだもんね。
ギューーーーン。
地の底から響くような低音が、タツの方から聞こえた。
「す、すみません! すみません!」
いや、そんな謝らなくても……。
それに今のって、もしかして腹の虫が鳴る音?
「え? まだ食べ足りないってこと? もっと魔物が必要なの?」
「いえっ。そ、そんな――」
シモーネさんが枝でタツの体をつつきながら話に入ってきた。何を確かめているんだろう。
「火じゃ。火が足りんのんじゃ。こやつは元々火山に生息しておるんじゃからな。レッドドラゴンは溶岩を食って育つと聞いたことがある」
「え? ええーーーー!!」
お、お前、溶岩なんて飲むの? 溶岩を飲んでも平気なの? 粘膜やられないの?
マグマが産湯って……。
「ここから一番近い火山は――そうじゃのう。あっちじゃな」
ちょっと! シモーネさん! なに勝手に決めてんの!
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