スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

もーりんもも

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第44話 レベル確認と補給

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「ええと。ちょっと待ってください。ねえ、タツ。空腹が満たされていないっていうことは分かったけど、命に関わるようなことじゃないよね?」
「は、はい――」

 いや、ちょっと。そんな風にうつむかれると心配になるんですけど。
 図体がデカくて威圧的に見えるタツだけど、しょんぼりした感じが伝わってくる。

「なんていうか、まあ。まずは隣国に行って、とにかく人のいるところで落ち着いて話しませんか」
「はあん?」

 どうしてシモーネさんがキレるんです?

「だってほら、キュウに鉄を買ってやりたいし。あと――ええと。何か必要な物があるかもしれないし」
「何が必要なんじゃ?」
「え? ええと――まあ、店をのぞけば思い出すかも――」

 バン! バン!

 右、左と往復するように枝を振ってから、シモーネさんは枝を地面に叩きつけて俺を睨んだ。

「いったたた。ちょっとシモーネ様。なんですかいきなり。もうー」
「こやつも、お主の従魔じゃろうが。スライムは猫っ可愛がりするくせに。それに、火山に行けば鉱物なんぞゴロゴロしておるわ」

 ……う。確かに。
 痛いところを突かれた。
 そうだよね。可愛くないってだけで優しくしないっていうのはひどいよね。

 あー。俺って結構嫌な奴だったんだー。ごめんよー。


「タツ」

 タツがビクッと震えた。
 わー。こんな俺なんかを怖がらないでー。

「あー。たっちゃん。ええと、たっちゃんは生まれたばっかりだから、ちゃんと必要な栄養? をとらないといけなかったね」
「……え?」

 タツが両手の鉤爪を胸の前で合わせて俺を見下ろしている。
 ひぇっ。
 なんか火の玉でも投げられそうな感じに見えるんですけど――これも偏見だよねー。
 重ね重ね申し訳ない。

「え、えっと。シモーネ様。その火山なんですけど――」
「キュウ! キュウも早く行きたいでしゅ。いっぱい食べたいでしゅ」

 もうキュウったら。鉱物がたくさんあるっていうのを聞いていたんだね。

「ここからどれくらいかかるんです? 絶対に隣国へ行くより遠いですよね?」
「当たり前じゃ。人なんぞが近寄るところではないわ」

 ええーー!! 俺、人ですよ? あなたもですよね? 

「お、俺たち、そんなところにどうやって行くんです? 行っても大丈夫なんですか!?」

 シモーネさんは、ニヤリと薄笑いを浮かべてタツに視線を投げた。

「いい具合に成長したんじゃ。なんの問題もない」

 ま、さ、か……?

「シモーネ様。それって――」

 シモーネさんはニヤついたままはぐらかした。

「まあ、昼飯を食ってからじゃ」

 もうー。また勝手に決めて。



「そういや、キュウとタツはどれくらいレベル上がったのかな?」

 キュウが誇らしげに、うにょんと両手をバンザイして応えた。

「キュウ! たくさん上がったでしゅ。たっちゃんも一人でいっぱい倒したでしゅ」

 ほっほう。どれどれ。
 え? え? マジで? 
 君たちって、ご主人様を置いてけぼりにしてない?


 キュウはレベル31、タツはレベル11。すごっ!
 いや、ドラゴンなんだから強いんだろうけれども! レベル上がるの早くない?


 おいおい。もう完全に置いていかれてる俺。まあ、レベル上げやってないんですけど。





 じゃ念の為、満タンにしてやる? 


 魔力ポーションをコピペっと。今、十本だから、とりあえず倍の二十本に。
 えーと。まず俺の魔力を満タンにするには――ちょうど十本か。また十本一気飲みか。


「よっし。まずはキュウからにしよっか。チューチューする時間でしゅよー。おいで!」
「キュウ!」

 魔力と体力の補給の意思を汲み取って、キュウは勢いよく俺の腕の中に飛び込んできた。
 うっふっふ。
 俺の方からキュウにぶにゅっと顔を埋めて補充してやる。

 うーん。まだ慣れないけど、キュウが、ぷにょぷにょと嬉しそうに動いているのは分かる。

「キュウも満タンになったでしゅ」
「そっか。よしよし」

 念の為キュウのステータスを確認すると、魔力も体力もマックスになっていた。
 じゃ、次は。うっ。いやいや。怖くない。怖くないぞー。
 いや。やっぱ怖い。タツに魂を丸ごと吸われるようで怖い!

 でも、まだ今のステータスなら、マックスいってもまあ大丈夫か。
 どうする? 俺が翼の端っこにでも触るか?
 キュウと逆で俺が抱きしめられるようなのは、マジ勘弁!


「ええと。たっちゃん? ちょっとだけ翼に触るから、じっとしててね」
「はい」

 タツは消え入りそうな声で返事をした。体の大きさと声とが合ってないから、なんか変な感じ。

 俺が翼に手を伸ばすと、タツも翼を俺に伸ばした結果――俺はタツの鉤爪を握っていた。

 ひぃっ! いやいやいやいやいや。ここで悲鳴を上げるとタツが泣くから! 絶対にへこむから!

 やっとの思いで悲鳴を飲み込んで、「タツ。俺と繋がってるのを感じる? 俺から魔力と体力を吸い取ってごらん」と、頑張って優しく声をかけた。
 ものすごく上の方にあるタツの顔。その顔がぱあっと破顔した。
 ……あ。嬉しいんだね。すごく喜んでいるのが分かるよ。

「はいっ」

 珍しく元気よく返事をすると、タツは一度に思いっきり吸ったようで、俺の体の中からズンっと肉を削り取られるような感覚がした。

「うっ。えっとね。たっちゃん。次からはゆーっくり、ちょっとずつにしてもらえるかな」
「す、す、すみません! すみません! 気をつけます! ごめんなさい!」
「いやいや。叱った訳じゃないから。そんな、謝んなくていいから」
「……はい」

 あー。また落ち込ませちゃった。そんなつもりはないんだよー。うまくいかないな。



 ……で。結局、俺の魔力を満タンにするために、もう一度、コピペして七本を一気飲みをする。

 もう無理。疲れるー。しばらくはやりたくない。
 
 ヘロヘロの俺と違って、体力が有り余ってるキュウは、タツに体当たりをして遊んでる。満更でもなさそうなタツを見ていると、ちょっとだけ気持ちが和んだ。


<俺のステータス>
Lv:25
魔力:75,960/75,960
体力:19,950/22,600
属性:
スキル:虫眼鏡アイコン
アイテム:ゴミ箱、デリバリー館、ウィークリー+、ポケット漫画、緑マンガ、これでもかコミック、ユニーク、武将の湯、一休み、無地、洗濯屋、魔力ポーション(13)、体力ポーション(4)、72,102ギッフェ
装備品:短剣
契約魔獣:スライム、レッドドラゴン

<キュウのステータス>
Lv:31
魔力:78,770/78,770
体力:1,490/1,490
属性:水
スキル:感知、水球、氷刃、水結界、???

<タツのステータス>
Lv:11
魔力:3,060/3,060
体力:2,150/2,150
属性:火
スキル:レッドファイアー
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