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第47話 火山だ! 祠だ!
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……改めて思う。
車よりも新幹線よりも飛行機がだんぜん速い。
そしてドラゴンは、体感だと飛行機よりも、ずっとずっと速い。
「ぎゃあーーっ!!」
しばらくして風に慣れると、周囲を見渡す余裕がでてきた。
すんごいスピードで周りの景色が流れていく。高い山も深い森もひとっ飛び。
これって、歩きの何倍の速さなんだろう。
「シモーネ様。ドラゴンってこんなに高いところを、ものすごいスピードで飛べるんですね」
つい感動して、思わず隣に座っているシモーネさんに話しかけてしまった。
おでこ全開のシモーネさんは童顔丸出しだな。
「シモーネさんはドラゴンでしょっちゅう飛ばれていたんですよね?」
「はあん?」
あれ? ドラゴンで移動するって言ってなかったっけ?
枝をこっちに向けられると変な緊張が走るんでやめてください。
隣に座っているシモーネさんは、本当に体が小さい。そんな枝なんかより、なんかこう、もっと可愛らしい花とかが似合うと思うんだけどなー。
よく送別会とかで渡している小さいブーケに入っている丸いやつ。なんだっけ? マリーゴールド? 違うな。ガーベラ?
とにかく。そういうお花を持ってニッコリ笑ってればいいのに。
「何をニヤニヤ笑っておるんじゃ!」
「待って。待ってください。ここで体勢を崩すと命に関わりますから! そ、そんなことより、目当ての火山って、あとどれくらいですか? 今日中には着きますか?」
「ふむ。こやつは大したやつじゃ。生まれて間もないというのに、さすがはレッドドラゴンじゃ。この調子ならもうすぐ見えてくるわ」
お。タツ褒められたぞ。
「ええと。ちなみに祠って洞窟みたいな感じですか? 火山の手前にありますよね?」
ゲームとかだと、だいたいそうだよね。祠から火山に繋がっていたりとかするよね?
「知らん。行ってみるまで分からんわ」
「ええっ? シモーネさん行ったことないんですか?!」
「ワシは火山なんぞに用がないからな。それに祠はいろんなところにあるんじゃ」
シモーネさんはそう言うと枝をギュッと握ったので、慌てて黙った。
そうですよねー。
普通は火山なんか目指さないですよねー。
「おい!」
「わー。すみませんでした。そうですよね。おっしゃる通りだと思います」
よかったー。枝は飛んでこなかった。
「何を言っとるんじゃ。あれじゃ。あれを見ろ」
へ?
もしかして。あの高い山ですか?
うわー。頂上は雲に隠れて見えないけど、富士山みたいに急にポツンとそびえたってる。
周囲はただの荒れ地で、木も草も生えていない。なんか逆に怖いんですけど。
「ふむ。こりゃ祠じゃないな。頂上に力が集結しておる」
シモーネさんはそう言うけど、俺は何も感じない。頂上も見えないし。
「おいっ。頂上に近づいたたら、その周りをゆっくりと一周するんじゃ」
「はいっ」
……もう。シモーネさんは俺たちのリーダーですか!
タツも二つ返事で言うことを聞くし。
別にいいんですけど。
タツは目指す場所がはっきりしたことで、スピードを上げた。
なんか、もうGを感じる気がするんですけど!
――とか思ってると、雲に突っ込んだ。
え? 周りが見えないって不安じゃないの?
「タツ。雲の中なのに、方向が分かるの?」
「はい。大丈夫です。もうすぐ着きますから」
バン!
ええっ?! ここで来る? 何も見えないところから横っ腹に衝撃が。
「バカかお主は。レッドドラゴンじゃぞ。目をつぶったって着けるわ」
「それなら、そう言ってくれればいいじゃないですか。どうして、そう手が出るんですかー」
「ふん」
「ふん」じゃないでしょ! もう。
「あ! あそこですね」
それでもやっぱりレッドドラゴンの生息地なのか、タツの声が弾んでいるのが分かる。
帰って来られた嬉しさ?
もしかしたらここで生まれていたかもしれないんだもんね。
雲が切れて頂上が見えた。
タツが少しだけ距離をとって旋回を始めた。
あれ? あれ? あれれ? 俺の見間違いかな?
「もう一周じゃ」
そ、そうですよね。もう一回よーく見てみよう。
ふぇ?
「えーーっ!! なんですかあれは!?」
頂上のただならぬ気配の正体って、あれだったんですか?
でも、あの様子は、どう見ても普通じゃないですよね?
いやいやいやいや。
それじゃあ控えめ過ぎる。
絶対におかしい! 変! 変ですよね? 異世界から来た俺でも分かりますよ。
あの鉄格子みたいなのって、檻じゃないですかー!
それでその鉄格子を掴んでいる鉤爪の主は、でっかいドラゴンじゃないですかー!
なんでドラゴンを閉じ込めておけるんですか? ドラゴンの炎でも焼き切れないような頑丈な素材で出来てるんですか?
それに鉄格子の中にいるっていうことは、それこそ凶暴すぎて手に負えないとか、なんかとんでもない悪さをしたってことじゃないですか?
「タツ! すぐにここを離れて!」
「え?」
「お主はバカか! いいからあそこに降りるんじゃ」
「いーやーだー!!」
「やかましいっ! 降りるんじゃ!」
「は、はいっ」
どうしてタツはシモーネさんの言うことをきくの? 俺とおんなじへなちょこだから、強いやつには逆らえないの?
タツが旋回をやめて、一直線に檻を目指して下降すると、タツめがけて――いや、俺たちめがけて、檻の中にいる巨体のドラゴンが大きな口を開けて炎を吐いた。
あ、これ、アニメとか映画で見たやつだ。
ん? こういう回想って、もしかして走馬灯?
「うわー! 死ぬー! 死ぬー!」
車よりも新幹線よりも飛行機がだんぜん速い。
そしてドラゴンは、体感だと飛行機よりも、ずっとずっと速い。
「ぎゃあーーっ!!」
しばらくして風に慣れると、周囲を見渡す余裕がでてきた。
すんごいスピードで周りの景色が流れていく。高い山も深い森もひとっ飛び。
これって、歩きの何倍の速さなんだろう。
「シモーネ様。ドラゴンってこんなに高いところを、ものすごいスピードで飛べるんですね」
つい感動して、思わず隣に座っているシモーネさんに話しかけてしまった。
おでこ全開のシモーネさんは童顔丸出しだな。
「シモーネさんはドラゴンでしょっちゅう飛ばれていたんですよね?」
「はあん?」
あれ? ドラゴンで移動するって言ってなかったっけ?
枝をこっちに向けられると変な緊張が走るんでやめてください。
隣に座っているシモーネさんは、本当に体が小さい。そんな枝なんかより、なんかこう、もっと可愛らしい花とかが似合うと思うんだけどなー。
よく送別会とかで渡している小さいブーケに入っている丸いやつ。なんだっけ? マリーゴールド? 違うな。ガーベラ?
とにかく。そういうお花を持ってニッコリ笑ってればいいのに。
「何をニヤニヤ笑っておるんじゃ!」
「待って。待ってください。ここで体勢を崩すと命に関わりますから! そ、そんなことより、目当ての火山って、あとどれくらいですか? 今日中には着きますか?」
「ふむ。こやつは大したやつじゃ。生まれて間もないというのに、さすがはレッドドラゴンじゃ。この調子ならもうすぐ見えてくるわ」
お。タツ褒められたぞ。
「ええと。ちなみに祠って洞窟みたいな感じですか? 火山の手前にありますよね?」
ゲームとかだと、だいたいそうだよね。祠から火山に繋がっていたりとかするよね?
「知らん。行ってみるまで分からんわ」
「ええっ? シモーネさん行ったことないんですか?!」
「ワシは火山なんぞに用がないからな。それに祠はいろんなところにあるんじゃ」
シモーネさんはそう言うと枝をギュッと握ったので、慌てて黙った。
そうですよねー。
普通は火山なんか目指さないですよねー。
「おい!」
「わー。すみませんでした。そうですよね。おっしゃる通りだと思います」
よかったー。枝は飛んでこなかった。
「何を言っとるんじゃ。あれじゃ。あれを見ろ」
へ?
もしかして。あの高い山ですか?
うわー。頂上は雲に隠れて見えないけど、富士山みたいに急にポツンとそびえたってる。
周囲はただの荒れ地で、木も草も生えていない。なんか逆に怖いんですけど。
「ふむ。こりゃ祠じゃないな。頂上に力が集結しておる」
シモーネさんはそう言うけど、俺は何も感じない。頂上も見えないし。
「おいっ。頂上に近づいたたら、その周りをゆっくりと一周するんじゃ」
「はいっ」
……もう。シモーネさんは俺たちのリーダーですか!
タツも二つ返事で言うことを聞くし。
別にいいんですけど。
タツは目指す場所がはっきりしたことで、スピードを上げた。
なんか、もうGを感じる気がするんですけど!
――とか思ってると、雲に突っ込んだ。
え? 周りが見えないって不安じゃないの?
「タツ。雲の中なのに、方向が分かるの?」
「はい。大丈夫です。もうすぐ着きますから」
バン!
ええっ?! ここで来る? 何も見えないところから横っ腹に衝撃が。
「バカかお主は。レッドドラゴンじゃぞ。目をつぶったって着けるわ」
「それなら、そう言ってくれればいいじゃないですか。どうして、そう手が出るんですかー」
「ふん」
「ふん」じゃないでしょ! もう。
「あ! あそこですね」
それでもやっぱりレッドドラゴンの生息地なのか、タツの声が弾んでいるのが分かる。
帰って来られた嬉しさ?
もしかしたらここで生まれていたかもしれないんだもんね。
雲が切れて頂上が見えた。
タツが少しだけ距離をとって旋回を始めた。
あれ? あれ? あれれ? 俺の見間違いかな?
「もう一周じゃ」
そ、そうですよね。もう一回よーく見てみよう。
ふぇ?
「えーーっ!! なんですかあれは!?」
頂上のただならぬ気配の正体って、あれだったんですか?
でも、あの様子は、どう見ても普通じゃないですよね?
いやいやいやいや。
それじゃあ控えめ過ぎる。
絶対におかしい! 変! 変ですよね? 異世界から来た俺でも分かりますよ。
あの鉄格子みたいなのって、檻じゃないですかー!
それでその鉄格子を掴んでいる鉤爪の主は、でっかいドラゴンじゃないですかー!
なんでドラゴンを閉じ込めておけるんですか? ドラゴンの炎でも焼き切れないような頑丈な素材で出来てるんですか?
それに鉄格子の中にいるっていうことは、それこそ凶暴すぎて手に負えないとか、なんかとんでもない悪さをしたってことじゃないですか?
「タツ! すぐにここを離れて!」
「え?」
「お主はバカか! いいからあそこに降りるんじゃ」
「いーやーだー!!」
「やかましいっ! 降りるんじゃ!」
「は、はいっ」
どうしてタツはシモーネさんの言うことをきくの? 俺とおんなじへなちょこだから、強いやつには逆らえないの?
タツが旋回をやめて、一直線に檻を目指して下降すると、タツめがけて――いや、俺たちめがけて、檻の中にいる巨体のドラゴンが大きな口を開けて炎を吐いた。
あ、これ、アニメとか映画で見たやつだ。
ん? こういう回想って、もしかして走馬灯?
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