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8章
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第63話『ぎこちない同居と、受け入れるということ』
*
「……た、ただいまっ!」
久しぶりのしろくま通り。
町の空は、王都よりもどこか丸くて、やわらかい。
でも、町の人々の視線が――少しだけ違っていた。
「リィナちゃん、おかえり!」
「……その子が、王都から来た魔物?」
小さくうなずくリィナの横に立つ、黒いフードの魔物――ユル。
姿は小さいが、どこか存在感があり、目元の銀の瞳が印象的。
(そっか、ユルは“今までと違う魔物”なんだ)
*
「ぴぴ(まぁ見てな、後輩)」「モル、ピノは“すごい魔物”!」
先輩風を吹かせるピノとモル。
けれどユルは無反応。人との接し方はおろか、ピノたちとの距離感すら読めていない。
リィナはそんな様子を、心配そうに見ていた。
「……ユル、ベッドはこっちね。お腹すいたら言ってね。
お話、無理にしなくてもいいけど、してくれたらうれしいな」
ユルは答えない。ただ静かに影をにじませ、ベッドの下に溶けるように隠れた。
(……まだ、怖いんだ)
*
その夜、リィナはノートにこう書いた。
《“まあるく迎える”って、思ってたよりずっとむずかしい。
待ってるだけじゃ、届かない気がする。でも、押しつけたくはない》
*
翌日。町の広場。
ピノが氷菓子を配りながら、子どもたちに大人気。
モルも「いらっしゃいませ!」を覚え、看板を持って立っていた。
ユルは、遠くからそれを見ていた。
誰とも話さず、誰とも目を合わせず。
けれど――ほんの一瞬だけ、リィナが手渡した小さなクッキーに、手を伸ばした。
(……食べた)
リィナの胸が、そっとあたたかくなる。
(ありがとう、ユル。……“始まり”だね)
*
「……た、ただいまっ!」
久しぶりのしろくま通り。
町の空は、王都よりもどこか丸くて、やわらかい。
でも、町の人々の視線が――少しだけ違っていた。
「リィナちゃん、おかえり!」
「……その子が、王都から来た魔物?」
小さくうなずくリィナの横に立つ、黒いフードの魔物――ユル。
姿は小さいが、どこか存在感があり、目元の銀の瞳が印象的。
(そっか、ユルは“今までと違う魔物”なんだ)
*
「ぴぴ(まぁ見てな、後輩)」「モル、ピノは“すごい魔物”!」
先輩風を吹かせるピノとモル。
けれどユルは無反応。人との接し方はおろか、ピノたちとの距離感すら読めていない。
リィナはそんな様子を、心配そうに見ていた。
「……ユル、ベッドはこっちね。お腹すいたら言ってね。
お話、無理にしなくてもいいけど、してくれたらうれしいな」
ユルは答えない。ただ静かに影をにじませ、ベッドの下に溶けるように隠れた。
(……まだ、怖いんだ)
*
その夜、リィナはノートにこう書いた。
《“まあるく迎える”って、思ってたよりずっとむずかしい。
待ってるだけじゃ、届かない気がする。でも、押しつけたくはない》
*
翌日。町の広場。
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モルも「いらっしゃいませ!」を覚え、看板を持って立っていた。
ユルは、遠くからそれを見ていた。
誰とも話さず、誰とも目を合わせず。
けれど――ほんの一瞬だけ、リィナが手渡した小さなクッキーに、手を伸ばした。
(……食べた)
リィナの胸が、そっとあたたかくなる。
(ありがとう、ユル。……“始まり”だね)
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