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20XX年。ゲーム革命が起き、VRMMOが当たり前になった時代。私はその真っ只中で暮らしている。
ピピピピッ、と目覚まし時計が鳴った。
「んー……よく寝た」
伸びをしながらアラームを止める。
今日から大学は長期休みに入る。何をして過ごそうか、ぼんやり考えて――すぐにため息が出た。
VRは、もう当たり前すぎた。
周りの友達も、SNSも、広告も、どこを見てもVRの話題ばかり。だからこそ逆に、私は興味を持てなかった。
それに、うちの親は昔から干渉が多い。
「どこに行くの?」「誰といるの?」「ちゃんとしなさい」
正しいことを言っているのは分かる。でも、その“正しさ”が息苦しかった。
「……どうしようかな。あっ、そういえば昨日、麻希から何か言われた気がする」
思い出そうとしても、ちゃんと聞いていなかった気がする。
私はスマホを手に取り、麻希とのメッセージを開いた。
『今話題のVRMMO、一緒にやらない?』
「……VRMMO?」
画面を見つめる。
気になって、私はそのまま検索をかけた。
RuneSphere Online(ルーンスフィア・オンライン)。
掲示板を開くと、目に飛び込んできたのは大きな文字だった。
――あなたが求める自由を。
その言葉が、なぜだか胸に刺さった。
気づけば私はスクロールしていた。
多種族、多職種。戦闘だけじゃない。
探索、採集、制作、生活――プレイヤーの選択次第で、できることは無限に広がるらしい。
「……自由」
口に出すと、少しだけ喉が渇いた。
今の私に一番足りないものだ。
だからこそ、余計に惹かれてしまう。
「よし……決めた」
私はスマホを握り直し、麻希にメッセージを送った。
――麻希。私もゲーム、やることにしたよ!
すぐに返信が来る。
――瑞希、ほんとに!? 楽しみだね! 始めたら教えて!
「もちろん」
短く返して、私は立ち上がった。
最近のゲームはほとんど触っていない。でも、なんとかなる気がした。
ゲーム機の電源を入れ、ホーム画面を開く。
ルーンスフィア・オンラインを選択し、ダウンロードを開始する。
「早く……」
待っているだけなのに落ち着かない。
心臓が少し速くなっているのが分かる。
その時。
「瑞希、ちょっと」
背後から声がして、私は肩を震わせた。
振り返ると母が立っていた。
「なに?」
できるだけ普通に返したつもりだった。
けれど、母の視線はゲーム画面に向いている。
「またゲーム? 休みなんだから、もっと――」
言いかけた母の声が、いつもより遠くに聞こえた。
「……今日だけ」
自分の声が、思ったよりはっきり響いた。
「今日だけは、私の好きにさせて」
母が一瞬、言葉を失う。
私はその沈黙が怖くて、でも目を逸らせなかった。
母は小さくため息をつく。
「……ごはんはちゃんと食べてね」
「うん」
母が部屋を出ていく。
扉が閉まる音が、やけに大きかった。
私は息を吐き、画面に向き直る。
《ダウンロード完了》
表示が切り替わり、ロゴが浮かび上がる。
澄んだ音が鳴り、画面の中央にもう一度、あの言葉が出た。
――あなたが求める自由を。
私はヘッドセットを手に取った。
装着すると、視界がふっと暗くなる。
次の瞬間、光が広がった。
「……すごい」
現実の部屋の輪郭が消えていく。
代わりに、見たこともない空が目の前に広がっていた。
《ログインしますか?》
迷う理由はなかった。
「ログイン」
指先で選択した瞬間、世界が音を立てて動き出す。
――ここから先は、誰にも干渉されない。
少なくとも、この世界の中では。
ピピピピッ、と目覚まし時計が鳴った。
「んー……よく寝た」
伸びをしながらアラームを止める。
今日から大学は長期休みに入る。何をして過ごそうか、ぼんやり考えて――すぐにため息が出た。
VRは、もう当たり前すぎた。
周りの友達も、SNSも、広告も、どこを見てもVRの話題ばかり。だからこそ逆に、私は興味を持てなかった。
それに、うちの親は昔から干渉が多い。
「どこに行くの?」「誰といるの?」「ちゃんとしなさい」
正しいことを言っているのは分かる。でも、その“正しさ”が息苦しかった。
「……どうしようかな。あっ、そういえば昨日、麻希から何か言われた気がする」
思い出そうとしても、ちゃんと聞いていなかった気がする。
私はスマホを手に取り、麻希とのメッセージを開いた。
『今話題のVRMMO、一緒にやらない?』
「……VRMMO?」
画面を見つめる。
気になって、私はそのまま検索をかけた。
RuneSphere Online(ルーンスフィア・オンライン)。
掲示板を開くと、目に飛び込んできたのは大きな文字だった。
――あなたが求める自由を。
その言葉が、なぜだか胸に刺さった。
気づけば私はスクロールしていた。
多種族、多職種。戦闘だけじゃない。
探索、採集、制作、生活――プレイヤーの選択次第で、できることは無限に広がるらしい。
「……自由」
口に出すと、少しだけ喉が渇いた。
今の私に一番足りないものだ。
だからこそ、余計に惹かれてしまう。
「よし……決めた」
私はスマホを握り直し、麻希にメッセージを送った。
――麻希。私もゲーム、やることにしたよ!
すぐに返信が来る。
――瑞希、ほんとに!? 楽しみだね! 始めたら教えて!
「もちろん」
短く返して、私は立ち上がった。
最近のゲームはほとんど触っていない。でも、なんとかなる気がした。
ゲーム機の電源を入れ、ホーム画面を開く。
ルーンスフィア・オンラインを選択し、ダウンロードを開始する。
「早く……」
待っているだけなのに落ち着かない。
心臓が少し速くなっているのが分かる。
その時。
「瑞希、ちょっと」
背後から声がして、私は肩を震わせた。
振り返ると母が立っていた。
「なに?」
できるだけ普通に返したつもりだった。
けれど、母の視線はゲーム画面に向いている。
「またゲーム? 休みなんだから、もっと――」
言いかけた母の声が、いつもより遠くに聞こえた。
「……今日だけ」
自分の声が、思ったよりはっきり響いた。
「今日だけは、私の好きにさせて」
母が一瞬、言葉を失う。
私はその沈黙が怖くて、でも目を逸らせなかった。
母は小さくため息をつく。
「……ごはんはちゃんと食べてね」
「うん」
母が部屋を出ていく。
扉が閉まる音が、やけに大きかった。
私は息を吐き、画面に向き直る。
《ダウンロード完了》
表示が切り替わり、ロゴが浮かび上がる。
澄んだ音が鳴り、画面の中央にもう一度、あの言葉が出た。
――あなたが求める自由を。
私はヘッドセットを手に取った。
装着すると、視界がふっと暗くなる。
次の瞬間、光が広がった。
「……すごい」
現実の部屋の輪郭が消えていく。
代わりに、見たこともない空が目の前に広がっていた。
《ログインしますか?》
迷う理由はなかった。
「ログイン」
指先で選択した瞬間、世界が音を立てて動き出す。
――ここから先は、誰にも干渉されない。
少なくとも、この世界の中では。
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