もう演じなくて結構です

梨丸

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3 演じなくて結構ですよ

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 ルーカス様から話しかけてくれたのはいつぶりだろうか。
 少し喜んでいる自分に嫌気がさす。
 ルーカス様は私のことを愛してなどいないのに。




 セリーヌは庭の薔薇園で薔薇を愛でていた。
 婚約破棄したらもう見れないのかな、などと考えながら。

 そんな時、「セリーヌ」といきなり声をかけられた。
 セリーヌが驚いて振り向くと、そこにはルーカスがいた。

 「ルーカス様、覚悟は決まったのですか?」

 ルーカスはセリーヌの目をしっかりと見て、こう言った。

 「決まっていない」と。
 セリーヌは少し驚いていた。
 ルーカスは基本的にセリーヌと目を合わせたがらなかったし、はっきりとものをいう事がなかったからだ。

 ルーカスはそれに続け、こう言った。


 「セリーヌ、好きだ」


 セリーヌは呆れていた。
 私のことは愛していないくせにそんなことが言えるのね。

 「わざわざ演じなくて結構ですよ」
 「え?」

 ルーカスは驚いた表情を見せた。
 セリーヌが何を言っているのか理解できない、と言っているかのように。

 「だから、婚約者を演じるのはやめましょう!」

 セリーヌがそんなルーカスに説明するように付け足した。
 ルーカスは呆然としている。

 「それでは、失礼します」

 セリーヌは微笑み、立ち去った。
 ルーカスはただただ、立ち尽くしていた。


 歩きながら、セリーヌは感情を揺らしていた。

 ルーカス様の言葉が頭を埋め尽くす。
 「セリーヌ、好きだ」
 こんなこと、今まで言ってはくれなかった。

 ルーカスの言葉を振り払うようにセリーヌは頭を振った。
 

 何が好き、だ。
 初めに私を拒否したのは貴方のくせに。




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