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※過去編です
「碧ーっ、夏休みだからってダラダラしないの!受験生なんだからしっかりしなさいっ」
朝食も済みリビングのソファでアイスを食べながらテレビを見ていると出勤準備をする母に注意された。
「そうそう昨日おばあちゃん家からたくさん葡萄貰ったからあとでなっちゃんのお母さんに渡しに行って来て頂戴」
母はキッチンを指差しながら言い視線を向けると袋が置いてあった。
あっ、と思い出したかのように母が棚に置いてあった本をを取り出し、
「これ、今日までだったの忘れてて悪いけど図書館に返してきてほしいの...受験生なんだからついでに勉強でもしてらっしゃい」
「はい、はい」
テレビを見ながら生返事をするやる気のなさそうな娘にぶつぶつ文句を言いながら出勤して行った。
母が行ったのを確認し急いで部屋に戻り髪を纏めお気に入りの服に着替えた。姉の部屋にあるメイク道具を持ち出し念入りにメイクしお気に入りのウィッグをつけ、一階に戻り母に言付けられた葡萄を持って玄関を出た。
ピンポーン
数回チャイムを鳴らすとTシャツ、ハーフパンツ姿の男性がドアを開けた。
「おっ、おはよ、お母さんがなっちゃんのお母さんにって持ってきたんだけど...おばさんは?」
いつもなら出てくるはずの人物が対応しないのに疑問を持つと、
「あー、実は昨日じーちゃんが体調崩したみたいでばーちゃんだけだと大変だからって手伝いに二、三日居ないんだ」
なっちゃんこと、飯野夏樹は頭を掻きながら眠そうに欠伸をした。
「ってことは、おじさん今単身赴任だからなっちゃん一人?ご飯とか大丈夫なの?」
「まぁ、一応レトルトとか冷食あるし何とかなるだろ...ってか碧、デートか何か?朝からすげー気合入ってっけど」
上から下へと目線を動かす夏樹に緊張を隠そうと
「なっちゃんのエッチ!」
恥ずかしさを誤魔化すように手に持っていた葡萄の袋を夏樹の胸元に押し付けそっぽを向いた。
「い、いや、そういうわけじゃ...かわいい恰好してるし、なんか高校生の時の紅姉に似てるなって」
照れながら反論する夏樹に碧は思わず吹き出し笑ってしまった。
「なっちゃん、今日は出かけるの?」
「午前中だけ出かけて午後は家にいると思うけど。とりあえず宿題やろうかなって」
「そしたら数学教えてほしいんだけど駄目かな...なっちゃん数学得意でしょ?」
はにかみながら夏樹に視線を向けると、
「いいよ、俺なんかで良ければいくらでも!」
夏樹はニコっと笑みを浮かべ了承した。碧は心の中でガッツポーズをしながら時間の約束を交わし一旦家へと向かった。
階段を駆け上がり部屋に入るなりベッドにダイブしジタバタと悶えていた。
「ヤバい!ヤバい!嬉しすぎるーっ」
顔を手で抑えているとメイクしていたことを忘れていて慌てて鏡を見、崩れた場所を直した。
「もうちょっと目元のメイク大人っぽくした方がいいかな...」
鏡を見ながらメイクをし直した。姉の紅音がヘアメイクの仕事をしているため家には練習用のメイク道具などが揃えられ使い放題の状態となっていた。たまに姉の練習台になっていることもあり、見様見真似ではあるが同年代の子たちよりは上手にメイクができると碧は自負していた。
「...そう言えば、おばさんいないのか」
――――――――――
碧は母から頼まれた本を手に自転車で図書館へ向かった。自宅から駅二つ分あり着いた頃には額に汗を滲ませていた。
「中、涼しいー」
手を団扇代わりにし扇ぎながら館内に入り返却コーナーにいる職員に本を渡した。もう少し涼んでから帰ろうと中をブラブラ回ることにした。
(そう言えば、なっちゃん一人って言ってたっけ)
碧は料理本などがある棚に足を止め、自分でも出来そうな初心者向けの本を数冊手に取り座れそうな場所を探した。
(あそこの席、男子一人だし相席させてもらおっと)
普段の碧ならこういうことはしないのだが夏樹との約束で浮かれていたのか気が大きくなっていた。
目指す席に近づき、参考書などを広げ勉強している男子に声をかけた。
「すみません、ここ座ってもいいですか?」
声をかけられ座っていた男子が声の主の方に顔を上げた。
(うわっ、めちゃめちゃかっこいい男の子だな)
サラサラの髪が光に当たって少しダークブラウンに見え、眼鏡を掛けた表情は大人っぽくも見えたが少しタレ目な目元が幼くもうつしどちらとも言える顔立ちに碧は一瞬魅入ってしまった。
「どーぞ、あっでも後で連れが来るのでその間だけでもいいですか?直ぐには来ないと思うんで時間的には大丈夫だと思うけど」
優しそうに笑みを零し、テーブルいっぱいに広げていた参考書を自分の方に寄せてくれた。
「ありがとうございます、私も少ししたら帰るんで」
男の子が座っている斜め前に腰を下ろし先程持ってきた料理本をテーブルに置いた。
(うーん、何がいいかな...凝ったものはできないし、なっちゃんの好物って確か...)
パラパラとページを捲り考えていると斜め前から「ぷっ」と小さな吹き出し笑いが聞こえた。碧は何事かと顔を上げると、
「ごめんね、つい。凄い顔で眉間に皺寄せながら見てたから。なんか格好とミスマッチしてて」
碧はイケメン男子にそんな恥ずかしい顔を見られ一気に頬が熱くなり、
「しょ、初対面の女の子に失礼ね!」
むくれながら本で顔を隠した。
「だよね、ほんとごめん。なんか雰囲気と表情があまりにも違ったから」
手を合わせながら謝る男子に横目で見ながらふと閉じてある参考書の表紙に目をやった。
「...中三?」
碧が問いかけると不思議そうに頷いた。自分の学校の同学年男子とはえらい違いにびっくりしながら
「私も同じ中三だよ」
碧が答えると「えっ?!」おっきな声で叫んでしまい周りの人からチラチラと見られるはめになった。
男子は、「すみません」と小さな声で周りにペコりと小さく頭を下げ、こちらに向き直した。
「大人っぽいからてっきり高校生かと思ったよ。まさか同い年とは」
控えめの音量で話すイケメン男子にまじまじと見つめられ自分の頬が今以上に赤くなっているような気がした。
「せっかくだから名前聞いていい?僕は貴斗、阿部貴斗。君は?」
「私はあ...」
自分の名前を告げようとした時ふと窓に映った自分の姿を見つめ、
「紅音です」
その時何故か咄嗟に姉の名前を告げた。普段の碧はあまり目立つタイプではなく姉弟の中でもそうだった。特に姉は男女問わず誰とでも仲良くなれ容姿もおしゃれで可愛い。自分は真逆の存在...でも今、碧であってそうじゃない。目の前にいる貴斗は自分の事を知らない...なら彼の前だけでもいつもの自分じゃなく『紅音』のように振る舞いたい、そんな軽い気持ちから出た小さな嘘だった。
「紅音ちゃんか...家ってこの辺り?」
「ううん、駅二つくらい離れたとこ」
そっかーと貴斗は目線を下にし考え込みすぐに碧の方に向き直した。
「僕、夏休み中は結構ここに来てるんだ。もし紅音ちゃんが来れる日あったら一緒に勉強しない?同い年同士だからわからないとことか教え合えると効率いいと思うんだ」
貴斗は微笑みながら碧に尋ね、「うん、わかった」と頷くと、貴斗が「あっ」と小さく声を上げた。碧は振り向きその方向に目をやると三人組の中学生男子がキョロキョロと周りを見渡していた。
「あれってもしかして友だち?」
「そう、結構早く来ちゃった。僕のせいで本読めなかったね...ごめん」
申し訳なさそうに言う貴斗に慌てて、
「気にしないで、借りようと思ってたし。じゃ行くね、席ありがと」
碧は本を抱え立ち上がった。
「いつもこの時間にいるから」
そう告げられ碧は大きく頷き小さく手を振った。
貴斗は去ってゆく碧の背中を見つめ、少しもやつく感情が何なのかわからずにいた。
「碧ーっ、夏休みだからってダラダラしないの!受験生なんだからしっかりしなさいっ」
朝食も済みリビングのソファでアイスを食べながらテレビを見ていると出勤準備をする母に注意された。
「そうそう昨日おばあちゃん家からたくさん葡萄貰ったからあとでなっちゃんのお母さんに渡しに行って来て頂戴」
母はキッチンを指差しながら言い視線を向けると袋が置いてあった。
あっ、と思い出したかのように母が棚に置いてあった本をを取り出し、
「これ、今日までだったの忘れてて悪いけど図書館に返してきてほしいの...受験生なんだからついでに勉強でもしてらっしゃい」
「はい、はい」
テレビを見ながら生返事をするやる気のなさそうな娘にぶつぶつ文句を言いながら出勤して行った。
母が行ったのを確認し急いで部屋に戻り髪を纏めお気に入りの服に着替えた。姉の部屋にあるメイク道具を持ち出し念入りにメイクしお気に入りのウィッグをつけ、一階に戻り母に言付けられた葡萄を持って玄関を出た。
ピンポーン
数回チャイムを鳴らすとTシャツ、ハーフパンツ姿の男性がドアを開けた。
「おっ、おはよ、お母さんがなっちゃんのお母さんにって持ってきたんだけど...おばさんは?」
いつもなら出てくるはずの人物が対応しないのに疑問を持つと、
「あー、実は昨日じーちゃんが体調崩したみたいでばーちゃんだけだと大変だからって手伝いに二、三日居ないんだ」
なっちゃんこと、飯野夏樹は頭を掻きながら眠そうに欠伸をした。
「ってことは、おじさん今単身赴任だからなっちゃん一人?ご飯とか大丈夫なの?」
「まぁ、一応レトルトとか冷食あるし何とかなるだろ...ってか碧、デートか何か?朝からすげー気合入ってっけど」
上から下へと目線を動かす夏樹に緊張を隠そうと
「なっちゃんのエッチ!」
恥ずかしさを誤魔化すように手に持っていた葡萄の袋を夏樹の胸元に押し付けそっぽを向いた。
「い、いや、そういうわけじゃ...かわいい恰好してるし、なんか高校生の時の紅姉に似てるなって」
照れながら反論する夏樹に碧は思わず吹き出し笑ってしまった。
「なっちゃん、今日は出かけるの?」
「午前中だけ出かけて午後は家にいると思うけど。とりあえず宿題やろうかなって」
「そしたら数学教えてほしいんだけど駄目かな...なっちゃん数学得意でしょ?」
はにかみながら夏樹に視線を向けると、
「いいよ、俺なんかで良ければいくらでも!」
夏樹はニコっと笑みを浮かべ了承した。碧は心の中でガッツポーズをしながら時間の約束を交わし一旦家へと向かった。
階段を駆け上がり部屋に入るなりベッドにダイブしジタバタと悶えていた。
「ヤバい!ヤバい!嬉しすぎるーっ」
顔を手で抑えているとメイクしていたことを忘れていて慌てて鏡を見、崩れた場所を直した。
「もうちょっと目元のメイク大人っぽくした方がいいかな...」
鏡を見ながらメイクをし直した。姉の紅音がヘアメイクの仕事をしているため家には練習用のメイク道具などが揃えられ使い放題の状態となっていた。たまに姉の練習台になっていることもあり、見様見真似ではあるが同年代の子たちよりは上手にメイクができると碧は自負していた。
「...そう言えば、おばさんいないのか」
――――――――――
碧は母から頼まれた本を手に自転車で図書館へ向かった。自宅から駅二つ分あり着いた頃には額に汗を滲ませていた。
「中、涼しいー」
手を団扇代わりにし扇ぎながら館内に入り返却コーナーにいる職員に本を渡した。もう少し涼んでから帰ろうと中をブラブラ回ることにした。
(そう言えば、なっちゃん一人って言ってたっけ)
碧は料理本などがある棚に足を止め、自分でも出来そうな初心者向けの本を数冊手に取り座れそうな場所を探した。
(あそこの席、男子一人だし相席させてもらおっと)
普段の碧ならこういうことはしないのだが夏樹との約束で浮かれていたのか気が大きくなっていた。
目指す席に近づき、参考書などを広げ勉強している男子に声をかけた。
「すみません、ここ座ってもいいですか?」
声をかけられ座っていた男子が声の主の方に顔を上げた。
(うわっ、めちゃめちゃかっこいい男の子だな)
サラサラの髪が光に当たって少しダークブラウンに見え、眼鏡を掛けた表情は大人っぽくも見えたが少しタレ目な目元が幼くもうつしどちらとも言える顔立ちに碧は一瞬魅入ってしまった。
「どーぞ、あっでも後で連れが来るのでその間だけでもいいですか?直ぐには来ないと思うんで時間的には大丈夫だと思うけど」
優しそうに笑みを零し、テーブルいっぱいに広げていた参考書を自分の方に寄せてくれた。
「ありがとうございます、私も少ししたら帰るんで」
男の子が座っている斜め前に腰を下ろし先程持ってきた料理本をテーブルに置いた。
(うーん、何がいいかな...凝ったものはできないし、なっちゃんの好物って確か...)
パラパラとページを捲り考えていると斜め前から「ぷっ」と小さな吹き出し笑いが聞こえた。碧は何事かと顔を上げると、
「ごめんね、つい。凄い顔で眉間に皺寄せながら見てたから。なんか格好とミスマッチしてて」
碧はイケメン男子にそんな恥ずかしい顔を見られ一気に頬が熱くなり、
「しょ、初対面の女の子に失礼ね!」
むくれながら本で顔を隠した。
「だよね、ほんとごめん。なんか雰囲気と表情があまりにも違ったから」
手を合わせながら謝る男子に横目で見ながらふと閉じてある参考書の表紙に目をやった。
「...中三?」
碧が問いかけると不思議そうに頷いた。自分の学校の同学年男子とはえらい違いにびっくりしながら
「私も同じ中三だよ」
碧が答えると「えっ?!」おっきな声で叫んでしまい周りの人からチラチラと見られるはめになった。
男子は、「すみません」と小さな声で周りにペコりと小さく頭を下げ、こちらに向き直した。
「大人っぽいからてっきり高校生かと思ったよ。まさか同い年とは」
控えめの音量で話すイケメン男子にまじまじと見つめられ自分の頬が今以上に赤くなっているような気がした。
「せっかくだから名前聞いていい?僕は貴斗、阿部貴斗。君は?」
「私はあ...」
自分の名前を告げようとした時ふと窓に映った自分の姿を見つめ、
「紅音です」
その時何故か咄嗟に姉の名前を告げた。普段の碧はあまり目立つタイプではなく姉弟の中でもそうだった。特に姉は男女問わず誰とでも仲良くなれ容姿もおしゃれで可愛い。自分は真逆の存在...でも今、碧であってそうじゃない。目の前にいる貴斗は自分の事を知らない...なら彼の前だけでもいつもの自分じゃなく『紅音』のように振る舞いたい、そんな軽い気持ちから出た小さな嘘だった。
「紅音ちゃんか...家ってこの辺り?」
「ううん、駅二つくらい離れたとこ」
そっかーと貴斗は目線を下にし考え込みすぐに碧の方に向き直した。
「僕、夏休み中は結構ここに来てるんだ。もし紅音ちゃんが来れる日あったら一緒に勉強しない?同い年同士だからわからないとことか教え合えると効率いいと思うんだ」
貴斗は微笑みながら碧に尋ね、「うん、わかった」と頷くと、貴斗が「あっ」と小さく声を上げた。碧は振り向きその方向に目をやると三人組の中学生男子がキョロキョロと周りを見渡していた。
「あれってもしかして友だち?」
「そう、結構早く来ちゃった。僕のせいで本読めなかったね...ごめん」
申し訳なさそうに言う貴斗に慌てて、
「気にしないで、借りようと思ってたし。じゃ行くね、席ありがと」
碧は本を抱え立ち上がった。
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