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「何固まってんのよ」
母親の言葉で我に返り男を見つめた。男はちょっと困ったようにハニかんだ笑顔を向け今度は身体ごと碧に向き直した。
「...た、ただいま.....なんで家になっちゃんが?」
「さっき家の前で偶然会って。ほら、先週末になっちゃん久々に帰って来てたし立ち話もなんだから久しぶりに家に来てもらっちゃったのよ、それより益々イケメンになったと思わない?ビックリしちゃったー」
何も知らないとはいえ能天気な母親の余計な言動に碧は心で盛大な舌打ちをしながら“一難去ってまた一難”の言葉が脳内を駆け巡っていた。
「あっ、そーだ帰って来た早々悪いんだけど食器用の洗剤買い忘れちゃったから近くのドラッグストア行って買ってきてくれない?」
お願いしてきているのにもかかわらず此方の承諾を聞くことなく母親からお金を手渡されてしまった。
「俺もそろそろ帰ります、コーヒーご馳走様でした」
「いーえ、またいつでも寄っていいからね、お母さんも寂しがってたからたまには帰って来てあげてね」
「はい、それまで親父とお袋のこと宜しくお願いします」
ソファから立ち上がり軽く頭を下げ夏樹はリビングのドアの前で立ち尽くす碧に視線を移した。それに気が付いた碧は気まずそうに咄嗟に目線を逸らした。
「碧も早く行ってきて」
母親に急かされ折角帰って来たのにまた玄関に追いやられてしまい溜息をつきながらまた靴を履く羽目になった。
「じゃあ、おばさんも身体に気を付けて」
夏樹は笑顔で碧の母親に軽く会釈し碧と共に外へ出た。
「...じゃあ、私買い物あるから...勉強頑張ってね」
碧が視線を逸らしながら作り笑顔で夏樹に告げ立ち去ろうとした瞬間腕を力強く掴まれ驚きで身動きが取れず固まってしまった。
「少し話さないか?」
☆☆☆
母親に頼まれた買い物を済ませ二人は家の近くの公園へと足を運んだ。碧はあの日以来ここへはできるだけ避けるようにしていた場所でまさかその原因を作った人物とまたこの場所へ来ることになるとは思いもせず深い溜息を吐いた。
「はい、コレ」
「ありがと...」
ベンチに座る碧に夏樹は近くの自販機から購入したミルクティーのペットボトルを手渡した。夏樹も碧の隣に座り缶コーヒーを一口含んだ。互いに何から切り出せばいいかわからずしばし沈黙が続いたが口火を切るように夏樹は言葉を選びながら話し出した。
「ごめんな、“話かけるな”って言われてたのに...ほんとごめん...でもこのまま関係がなくなるのはどうしても嫌だった、勝手だよな...俺、碧にいっぱい酷いことしたのに............実はさっきの偶然じゃないんだ、ずっと外で碧を待ってた。そしたら先におばさんに会っちゃって...家に入れてもらえるなんて思ってもみなかったから俺としては渡りに舟だったんだけどな」
複雑な笑みを溢しながら夏樹はまた一口コーヒーを含み、碧も黙ったままミルクティーを一口飲んだ。
「俺、あの時碧から告白されて初めて気づいたんだ...碧は俺にとってかわいい妹としか見てなくて...」
「...なっちゃん、もういいよ。あの時はいろんなことがあって一杯一杯だったけど今は良い想い出...」
そう言いかけた時、この前の紅音の言葉を思い出した。
『...あお、我慢しちゃ駄目だよ』
『自分に素直になって相手と話し合ってもし決裂したとしても相手も自分も互いに思ってることはわかるし進めなかった前に一歩前進できると思うの、あおがもし前に進みたいなら辛いかもしれないけど一つ一つゆっくり解決していけばいいから』
碧は目を閉じ深呼吸をし隣に座る夏樹に身体を向け見つめた。
「良い想い出なんて嘘!なっちゃんとのことは黒歴史になるんじゃないかって思う位トラウマになってるよ!高校の時だってそんなに会わなかったけど偶に見かけると辛かった...大好きだった紅姉ともしばらく話せなかったし......でもそれでも嫌いにはなれなかった...なっちゃんが紅姉のこと好きでも私のこと対象じゃなくても嫌いに...なれなかった...だから私...ちゃんと振られたい、それで前に進みたい」
碧の真剣な表情に夏樹も軽く深呼吸しベンチから立ち上がり碧が座る正面へ立ち顏をしっかり見ながら口を開いた。
「俺は今でも紅姉が好きなんだ...だから碧の気持ちには応えられない、ごめん」
頭を下げる夏樹を涙で瞳が赤くなりながらもじっと見つめ碧は口角を上げ微笑んだ。
「ありがと。私はもう大丈夫だよ、だから顏上げて」
夏樹は碧に言われゆっくり上げると碧は手の甲で涙を拭きながら立ち上がり夏樹の身体を包み込むように抱き締めた。夏樹もまた碧をそっと抱き締め互いに何も言わず暖かな時間が包み込んでいた。
☆☆☆
「そろそろ帰んなきゃ」
「そうだな、おばさん心配するな」
碧はゆっくり夏樹から離れ顏を見上げると目を細め微笑む表情で見つめられ一瞬胸の高鳴りを感じながらも更に一歩下がり距離をとった。
二人は他愛もない話をしながら互いの家へと向かって歩いていると夏樹は数十メートル先にある碧の自宅の玄関先に誰かいるのが見え足を止めた。
「碧の家の前に誰かいるよ」
夏樹を見ていた視線をその言葉に誘導されるよう言われた方へと視線を動かすとその瞬間、碧の身体は夏樹が部屋に居た時とは比べ物にならない程心臓を鷲掴みされたかのように苦しさで呼吸がままならないほどになってしまった。
「碧?」
夏樹が碧の表情を不思議そうに見ているとその人物は此方に気付き二人の元へと一歩一歩近づいてきた。
それと並行するように碧の心拍数はどんどん上昇し震え出す身体を必死に押さえつけた。
「こんにちは、ってもうこんばんはに近いかな?」
「...なんで貴方がここに」
碧は冷静な振りをしながら目の前でニコニコと微笑む人物に問いかけた。
「えー、なんか棘のある言い方だねー。折角碧ちゃんに会いにここまで来たのにー」
「碧と同じ制服ってことは同級生?」
夏樹が碧に問いかけるように聞くとすかさず碧が喋る前に一歩足を踏み出し夏樹の前に立った。
「阿部貴斗って言います、桐野碧さんとは同じクラスです」
夏樹は笑みこそ浮かべる貴斗の瞳に一瞬映った仄暗さに無意識ながら怯んだ。
「実は俺の友だちが間違って碧ちゃんのノート持ってきちゃったみたいで代わりにそれを渡しに」
「...明日でも良かったのに」
「でもコレ今日宿題出てて明日またノート提出しなきゃいけないよ」
「......」
「とりあえず碧はノート貰ったら?阿部くんだってわざわざ届けに来てくれたんだし」
貴斗のペースから抜け出せず困っていると隣にいる夏樹から助け舟を出され碧は貴斗からノートを手渡された。
「...ありがと」
「いーえ」貴斗はいつもの調子で応えると碧の耳元へ唇を近づけ、
「猶予はあげたからね」
夏樹には聞こえない小さな声で告げるとすぐさま離れ「じゃあ明日学校でねー」と手を振りながら二人の前から離れて行った。
「...なんか随分かっこいい同級生だね、見た目派手な感じだけどわざわざ届けてくれたり優しいね」
そんな夏樹の言葉は全く耳に入らず碧は先ほどの貴斗の言葉に戦々恐々としカタカタと身震いが止まらなかった。
母親の言葉で我に返り男を見つめた。男はちょっと困ったようにハニかんだ笑顔を向け今度は身体ごと碧に向き直した。
「...た、ただいま.....なんで家になっちゃんが?」
「さっき家の前で偶然会って。ほら、先週末になっちゃん久々に帰って来てたし立ち話もなんだから久しぶりに家に来てもらっちゃったのよ、それより益々イケメンになったと思わない?ビックリしちゃったー」
何も知らないとはいえ能天気な母親の余計な言動に碧は心で盛大な舌打ちをしながら“一難去ってまた一難”の言葉が脳内を駆け巡っていた。
「あっ、そーだ帰って来た早々悪いんだけど食器用の洗剤買い忘れちゃったから近くのドラッグストア行って買ってきてくれない?」
お願いしてきているのにもかかわらず此方の承諾を聞くことなく母親からお金を手渡されてしまった。
「俺もそろそろ帰ります、コーヒーご馳走様でした」
「いーえ、またいつでも寄っていいからね、お母さんも寂しがってたからたまには帰って来てあげてね」
「はい、それまで親父とお袋のこと宜しくお願いします」
ソファから立ち上がり軽く頭を下げ夏樹はリビングのドアの前で立ち尽くす碧に視線を移した。それに気が付いた碧は気まずそうに咄嗟に目線を逸らした。
「碧も早く行ってきて」
母親に急かされ折角帰って来たのにまた玄関に追いやられてしまい溜息をつきながらまた靴を履く羽目になった。
「じゃあ、おばさんも身体に気を付けて」
夏樹は笑顔で碧の母親に軽く会釈し碧と共に外へ出た。
「...じゃあ、私買い物あるから...勉強頑張ってね」
碧が視線を逸らしながら作り笑顔で夏樹に告げ立ち去ろうとした瞬間腕を力強く掴まれ驚きで身動きが取れず固まってしまった。
「少し話さないか?」
☆☆☆
母親に頼まれた買い物を済ませ二人は家の近くの公園へと足を運んだ。碧はあの日以来ここへはできるだけ避けるようにしていた場所でまさかその原因を作った人物とまたこの場所へ来ることになるとは思いもせず深い溜息を吐いた。
「はい、コレ」
「ありがと...」
ベンチに座る碧に夏樹は近くの自販機から購入したミルクティーのペットボトルを手渡した。夏樹も碧の隣に座り缶コーヒーを一口含んだ。互いに何から切り出せばいいかわからずしばし沈黙が続いたが口火を切るように夏樹は言葉を選びながら話し出した。
「ごめんな、“話かけるな”って言われてたのに...ほんとごめん...でもこのまま関係がなくなるのはどうしても嫌だった、勝手だよな...俺、碧にいっぱい酷いことしたのに............実はさっきの偶然じゃないんだ、ずっと外で碧を待ってた。そしたら先におばさんに会っちゃって...家に入れてもらえるなんて思ってもみなかったから俺としては渡りに舟だったんだけどな」
複雑な笑みを溢しながら夏樹はまた一口コーヒーを含み、碧も黙ったままミルクティーを一口飲んだ。
「俺、あの時碧から告白されて初めて気づいたんだ...碧は俺にとってかわいい妹としか見てなくて...」
「...なっちゃん、もういいよ。あの時はいろんなことがあって一杯一杯だったけど今は良い想い出...」
そう言いかけた時、この前の紅音の言葉を思い出した。
『...あお、我慢しちゃ駄目だよ』
『自分に素直になって相手と話し合ってもし決裂したとしても相手も自分も互いに思ってることはわかるし進めなかった前に一歩前進できると思うの、あおがもし前に進みたいなら辛いかもしれないけど一つ一つゆっくり解決していけばいいから』
碧は目を閉じ深呼吸をし隣に座る夏樹に身体を向け見つめた。
「良い想い出なんて嘘!なっちゃんとのことは黒歴史になるんじゃないかって思う位トラウマになってるよ!高校の時だってそんなに会わなかったけど偶に見かけると辛かった...大好きだった紅姉ともしばらく話せなかったし......でもそれでも嫌いにはなれなかった...なっちゃんが紅姉のこと好きでも私のこと対象じゃなくても嫌いに...なれなかった...だから私...ちゃんと振られたい、それで前に進みたい」
碧の真剣な表情に夏樹も軽く深呼吸しベンチから立ち上がり碧が座る正面へ立ち顏をしっかり見ながら口を開いた。
「俺は今でも紅姉が好きなんだ...だから碧の気持ちには応えられない、ごめん」
頭を下げる夏樹を涙で瞳が赤くなりながらもじっと見つめ碧は口角を上げ微笑んだ。
「ありがと。私はもう大丈夫だよ、だから顏上げて」
夏樹は碧に言われゆっくり上げると碧は手の甲で涙を拭きながら立ち上がり夏樹の身体を包み込むように抱き締めた。夏樹もまた碧をそっと抱き締め互いに何も言わず暖かな時間が包み込んでいた。
☆☆☆
「そろそろ帰んなきゃ」
「そうだな、おばさん心配するな」
碧はゆっくり夏樹から離れ顏を見上げると目を細め微笑む表情で見つめられ一瞬胸の高鳴りを感じながらも更に一歩下がり距離をとった。
二人は他愛もない話をしながら互いの家へと向かって歩いていると夏樹は数十メートル先にある碧の自宅の玄関先に誰かいるのが見え足を止めた。
「碧の家の前に誰かいるよ」
夏樹を見ていた視線をその言葉に誘導されるよう言われた方へと視線を動かすとその瞬間、碧の身体は夏樹が部屋に居た時とは比べ物にならない程心臓を鷲掴みされたかのように苦しさで呼吸がままならないほどになってしまった。
「碧?」
夏樹が碧の表情を不思議そうに見ているとその人物は此方に気付き二人の元へと一歩一歩近づいてきた。
それと並行するように碧の心拍数はどんどん上昇し震え出す身体を必死に押さえつけた。
「こんにちは、ってもうこんばんはに近いかな?」
「...なんで貴方がここに」
碧は冷静な振りをしながら目の前でニコニコと微笑む人物に問いかけた。
「えー、なんか棘のある言い方だねー。折角碧ちゃんに会いにここまで来たのにー」
「碧と同じ制服ってことは同級生?」
夏樹が碧に問いかけるように聞くとすかさず碧が喋る前に一歩足を踏み出し夏樹の前に立った。
「阿部貴斗って言います、桐野碧さんとは同じクラスです」
夏樹は笑みこそ浮かべる貴斗の瞳に一瞬映った仄暗さに無意識ながら怯んだ。
「実は俺の友だちが間違って碧ちゃんのノート持ってきちゃったみたいで代わりにそれを渡しに」
「...明日でも良かったのに」
「でもコレ今日宿題出てて明日またノート提出しなきゃいけないよ」
「......」
「とりあえず碧はノート貰ったら?阿部くんだってわざわざ届けに来てくれたんだし」
貴斗のペースから抜け出せず困っていると隣にいる夏樹から助け舟を出され碧は貴斗からノートを手渡された。
「...ありがと」
「いーえ」貴斗はいつもの調子で応えると碧の耳元へ唇を近づけ、
「猶予はあげたからね」
夏樹には聞こえない小さな声で告げるとすぐさま離れ「じゃあ明日学校でねー」と手を振りながら二人の前から離れて行った。
「...なんか随分かっこいい同級生だね、見た目派手な感じだけどわざわざ届けてくれたり優しいね」
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