今日でお別れします

なかな悠桃

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薄暗い生徒玄関に貴斗と残された碧は去り際に徳田が特大の爆弾を落としていったせいで尚更気まずく不穏な空気が辺り一面に漂っていた。

(徳田くんっ!!なんてことを)

彼がどういう意図で貴斗を挑発するようなことを言ったのか碧には全く想像はつかないがただ、今わかることは自身にとってこの現状がかなり危険だということは目の前の男を見れば一目瞭然だった。

「あ、...あのね」

碧が何を口にしていいかわからなかったが逆に沈黙が恐ろしく思わず貴斗に声をかけようとした時、貴斗はポケットからスマホを出しどこかに電話をかけだした。

「あー悪いけどさ、今なら大丈夫だから校門前まで来てくんない?...うん、了解。じゃあ頼むね」

誰と話していたのかはわからないが会話が終わると電話を切り制服のポケットにスマホをしまった。碧はその間固唾を呑んでいると貴斗が碧の傍まで歩み手を取りまた歩き出した。

「もう外暗いし歩いて帰るのは危ないから車で送るよ、今そこまで来てもらうよう言ったから」

「えっ、いっいいよ、そんな申し訳な「それすらも俺にはさせてくんないの?徳田アイツにはさせるのに」

目が周りに段々と慣れ視界がクリアになっていき立ち止まり振り向いた貴斗の表情が碧の瞳に映し出す。それはまるで射貫くような鋭く身震いするほど冷たい眼差しが碧を捕らえ身動きがとれず甘受する以外の選択肢は残されていなかった。

校門を出てしばらく行くと一台の高級車がハザードランプを光らせながら停車していた。
貴斗は後部座席に碧を乗せその後に自身も隣に乗り込んだ。車内は終始無言で貴斗は車窓から流れるライトアップされた街並みを眺めていた。ただ、碧の手は離さず強く握られたままで碧は何も話そうとしない貴斗に声をかける勇気もなく彼女も同じように外を眺めることしかできなかった。



「阿部くん、今って私ん家向かってもらってるんだよね?なんか道が違うっていうか...」

“阿部くんの家の方面だよね?”という言葉が脳内に浮かぶ中、しばらく走った車は静かに停車し運転手は速やかに降り後部座席のドアを開けた。

「ありがと」

感情が読みにくい口調で礼を言うと貴斗は車から降り、手を繋いだままの碧もまた必然的に降ろされた。貴斗は碧を引っ張るように無言のまま家の敷地に入って行く。碧にとってはもう踏み入れることはないと思っていた場所、懐かしさと苦しさが相俟って複雑な心境になっていた。

昔何度か二人で受験勉強をした母屋が見え貴斗は変わらず一言も話さないまま碧を室内に入れ二階へと上がる。

「ちょ、ちょっと阿部くん手放して!なんで...もう家に帰して!」

見覚えのある部屋のドアを開けるとそこは碧が知っていた中学生らしい部屋は跡形もなく、広々とした室内には何故かセミダブルのベッドと座り心地の良さそうなお洒落な黒の革張りのソファ、壁には65インチほどの大画面のテレビが掛けられ17歳の男子高校生の部屋とは思えない程のインテリアに様変わりされていた。

「あの頃とはだいぶイメチェンしたでしょ、とりあえず先に中入って」

「きゃっ」

貴斗は掴んだ碧の手首を引っ張り無理やり中へと引き入れる。貴斗も中に入ると碧が逃げないようにドアに背を凭れるような体勢で立っていた。碧は居心地悪そうに自身の腕を交差し両手で擦り視線を泳がせていた。

「阿部くん誤解してるかもしれないけど徳田くんとは何もないの、さっきのも彼の冗談で...」

碧は貴斗をなるべく刺激しないよう言葉を選びながら話していると「くっくっく...」貴斗は背中を丸め両腕で腹部を抱えるように笑い出した。

「じゃあさー、なんでキスマークのこと知ってんの?俺さ、碧が嫌がると思って釦外さないとわからないとこに付けたんだ。なのにあいつ知ってたよね、見せてよ

貴斗はたじろぐ碧の両肩を掴みそのまま後ろにあるベッドに押し倒した。馬乗りになった貴斗は自身が着ているブレザーとネクタイを脱ぎ捨てた。碧は貴斗がこれ以上近づけないように両脚をバタつかせ両手は振り回すように抵抗した。

「暴れんなって、確認するだけだろ」

貴斗は苛立つような声色で碧が着ているブレザーの釦を外し脱がせネクタイを解いた。スクールシャツを両手で引き千切るように引っ張ると釦が勢いよく一気に弾け飛んだ。

「いやーっ!ほんとやだっやだっ放して」

「あー、確かに濃いわ、だって俺そんな強く吸ってないからここまで濃くなるはずないんだよねー、何もないとか言っちゃって碧ちゃんは嘘吐きだねー」

弾けた釦はベッド、床へと飛びシャツははだけ柔肌がさらけ出された。碧はしとどに涙が溢れ出し眼尻から零れ伝った雫は耳やベッドシーツを濡らした。

「お願い...やめ、っんぐ!」

貴斗は片手で碧の両手を拘束すると激しく貪るように口唇を押し付けた。口腔内を縦横無尽に這入り込んだ貴斗の舌が碧を追い込み貴斗の唾液が混じり碧の口端から溢れ出し、くちゅ、ちゅぱ.......水音が厭らしく響き渡る。口唇が離れると耳の縁をなぞるようにゆっくり舐め上げられ碧はビクっと身震いした。貴斗の口唇と舌は顎、首筋に軽くキスや舌を這わせ鎖骨辺りに近づくと左右に紅い鬱血痕が鏤められていく。胸元に貴斗の熱い息がかかり碧は高まる感情から身体をビクつかせ身じろぐ。

「いっぱい俺の痕残すから」

貴斗は有言するかのように首と背中以外の上半身には貴斗から付けられた痕跡が数多く刻まれていった。

「碧、あの時より大人っぽくなったね...胸とかおっきくなってる」

「いやっ!ほんともう止めてっ!ねえってばっ」

懇願する碧に貴斗は恍惚な表情で身体を見下ろし、自由になっている手は碧の白いブラジャーをめくり上げると隠されていた双丘がずらされた勢いで震え現れた。碧は更に声を上げ暴れるが暴走した貴斗には全く耳には入っていなかった。貴斗は碧の片方の膨らんだ乳房を揉みしだき尖った小さな先端に口唇を当てキスをする。

「あの時は余裕なくて俺ばっかだったから今日は一緒に気持ちよくなろうね」

悪魔のような笑みをちらっと見せるとまた胸元に顔を戻した。舌先をちろちろとアイスを舐めるかのように動かすと先端がくにくにと四方八方に動いた。碧は様々な神経が貴斗に支配され翻弄されていく。誰にも届かない声が空虚に響き碧は流れる涙の跡を何度もつけゆっくりと目を閉じた。
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