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クリスマスともなると街全体が活気に溢れ、至る所からクリスマスに関連したBGMが流れてきた。
「どこ向かってるかだけでも教えて欲しいんですけど...」
「んっ?まあ、歩いてればわかるから」
そう言われ他愛もない話をしながら数十分が経ち、気づけば見慣れた建物付近を歩いていた。
「なんで昨日のホテルに?」
碧の質問に笑顔を向け無言で施設内へと入っていく。出入口には姿勢のいいドアマンが立っており、スマートな立ち振る舞いでスッとドアを開け柔らかな表情と共に碧たちに頭を下げ出迎えた。昨日は、余裕がなかったせいで見落としていたが、ロビーの中心部には見上げるほどの豪華なクリスマスツリーが飾られており、宿泊者たちなのか入れ代わり立ち代わりその場所でスマホ片手に写真を撮っている光景が目に入った。
怪訝な表情の碧にロビーで待つよう告げると慣れた様子で貴斗はフロントへ向かって行った。フロントスタッフに自身の名を伝えていると支配人と思わしきスラッとした中年男性が現れ貴斗に頭を下げていた。
暫く彼らが話をしている光景を眺めていると話が終わったのか、貴斗が振り返り碧が待つロビーへと向かって来た。
「じゃ、行こっか」
何事もなく碧の手を引きエレベーターへと向かうが、碧は全く行動が読めず貴斗の歩みを止めようと彼のダウンジャケットの裾を引っ張った。
「ちょっと待ってってば。なんの説明もないし、どういうこと?...しかもなんでルームキー?」
「あぁ...俺の母親とここのオーナーが知り合いってのは聞いてるよね?昨日のフェアに俺が参加する条件としてここのスイート一室押さえてもらったんだ。まっ、泊まれないのは残念だけど、それはもう少ししてからのお楽しみにとっておくよ」
「へっ?...スイートって...っあ、待っ」
ニカっと笑みを溢し貴斗は再び歩みだし混乱した表情の碧の手を引き共にエレベーターに乗り込んだ。自分たちしか乗り込んでいないエレベーター内で混乱から無言のまま碧は普段利用したことのない光る階数の数字のボタンを眺めながら固唾を呑む。
指定された最上階に到着したことを示す音が鳴り、エレベーターの扉が静かに開いた。貴斗の手にはルームキーが握られ部屋の番号が書かれた場所の前へと着いた。貴斗がドア横の壁にあるキーセンサーへ翳すとカチャ、と解錠音が聞こえた。
「どうぞ」
貴斗はドアを大きく開け碧を先に中へ入室させた。部屋に入るなり目の前には壁一面の窓ガラスが映り、高層ビルなどのパノラマビューが拡がっていた。壁端には2メートル近くある煌びやかな巨大クリスマスツリーが飾られ、窓の中央部には陣取るように70インチほどある液晶テレビが鎮座。両脇には三人掛けの落ち着いた色合いのソファが左右に置かれゆったりと寛ぎながら鑑賞出来る配置になっていた。
その付近にはクリスマスカラーのクロスで覆われたテーブルがセットされフライドチキンやローストビーフ、二人分のクリスマスケーキとノンアルコールのシャンパンとグラスが並べられていた。他にもハイティースタンドには一口サイズのサンドイッチ、スコーンやマカロン、多種多様なフルーツが華やかに置かれていた。
まるで御伽噺に出てくるプリンセスが味わうような雰囲気に圧倒された碧は、無意識に手に持っていた鞄を床に落とし動けず無意識に口をポカンと開け固まってしまっていた。その様子に含み笑いをしながら背後からふわりと優しく包み込むように貴斗が碧を抱き締めた。
「ほんとはどっか行くのもいいかなとは思ったんだけど、やっぱ初めてのクリスマスデートだしなんか想い出に残してもらいたくて。ちょっと背伸びしすぎたかな?」
照れ臭そうに笑う貴斗に碧は振り向き思いっきり顔を貴斗の胸元に押し付け抱きついた。
「なんかお姫様になった気分だよ。嬉しい...ありがと。でも私は、貴斗と一緒にいられるなら何だっていいんだよ」
碧は感極まった表情で滲んだ視界のまま見上げると貴斗の顔が直ぐ傍にあり、そのまま互いの唇がゆっくりと重なった。啄むようなキスは次第に激しさを纏い貪るように奪われる。厭らしいくらいの粘着性のあるリップ音が部屋に響き、碧は膝から崩れ落ちそうになり咄嗟に貴斗のダウンジャケットを力いっぱい握り締めた。
「あの日からずっと...ずっと忘れられなかった。他人にこんな苦しくて、愛おしい想いになんてなったことなかった。...碧、俺のことまた好きになってくれてありがとう。傍にいてくれてありがとう...好きだよ」
名残惜しそうに唇が離れ、瞑っていた目蓋を開けると自分の視界が滲んでいるせいなのか、碧には貴斗の瞳が笑っているのに泣いているように映った。
「酷いこと言って貴斗をいっぱい傷つけたのに私のこと待っていてくれてありがとう。好きでいてくれてありがとう。私も貴斗が大好きだよ」
碧の濁りのない破顔を目にした貴斗は、見上げるように顔を天井に向け大きな掌で目元を押さえると大きく切なげに溜息を吐き刹那、碧をきつく抱きしめ唇を塞いだ。
「もう絶対離さないし逃がさないから覚悟して...はあ、俺もう我慢できねーかも」
「えっ?って、わっ!!」
「どこ向かってるかだけでも教えて欲しいんですけど...」
「んっ?まあ、歩いてればわかるから」
そう言われ他愛もない話をしながら数十分が経ち、気づけば見慣れた建物付近を歩いていた。
「なんで昨日のホテルに?」
碧の質問に笑顔を向け無言で施設内へと入っていく。出入口には姿勢のいいドアマンが立っており、スマートな立ち振る舞いでスッとドアを開け柔らかな表情と共に碧たちに頭を下げ出迎えた。昨日は、余裕がなかったせいで見落としていたが、ロビーの中心部には見上げるほどの豪華なクリスマスツリーが飾られており、宿泊者たちなのか入れ代わり立ち代わりその場所でスマホ片手に写真を撮っている光景が目に入った。
怪訝な表情の碧にロビーで待つよう告げると慣れた様子で貴斗はフロントへ向かって行った。フロントスタッフに自身の名を伝えていると支配人と思わしきスラッとした中年男性が現れ貴斗に頭を下げていた。
暫く彼らが話をしている光景を眺めていると話が終わったのか、貴斗が振り返り碧が待つロビーへと向かって来た。
「じゃ、行こっか」
何事もなく碧の手を引きエレベーターへと向かうが、碧は全く行動が読めず貴斗の歩みを止めようと彼のダウンジャケットの裾を引っ張った。
「ちょっと待ってってば。なんの説明もないし、どういうこと?...しかもなんでルームキー?」
「あぁ...俺の母親とここのオーナーが知り合いってのは聞いてるよね?昨日のフェアに俺が参加する条件としてここのスイート一室押さえてもらったんだ。まっ、泊まれないのは残念だけど、それはもう少ししてからのお楽しみにとっておくよ」
「へっ?...スイートって...っあ、待っ」
ニカっと笑みを溢し貴斗は再び歩みだし混乱した表情の碧の手を引き共にエレベーターに乗り込んだ。自分たちしか乗り込んでいないエレベーター内で混乱から無言のまま碧は普段利用したことのない光る階数の数字のボタンを眺めながら固唾を呑む。
指定された最上階に到着したことを示す音が鳴り、エレベーターの扉が静かに開いた。貴斗の手にはルームキーが握られ部屋の番号が書かれた場所の前へと着いた。貴斗がドア横の壁にあるキーセンサーへ翳すとカチャ、と解錠音が聞こえた。
「どうぞ」
貴斗はドアを大きく開け碧を先に中へ入室させた。部屋に入るなり目の前には壁一面の窓ガラスが映り、高層ビルなどのパノラマビューが拡がっていた。壁端には2メートル近くある煌びやかな巨大クリスマスツリーが飾られ、窓の中央部には陣取るように70インチほどある液晶テレビが鎮座。両脇には三人掛けの落ち着いた色合いのソファが左右に置かれゆったりと寛ぎながら鑑賞出来る配置になっていた。
その付近にはクリスマスカラーのクロスで覆われたテーブルがセットされフライドチキンやローストビーフ、二人分のクリスマスケーキとノンアルコールのシャンパンとグラスが並べられていた。他にもハイティースタンドには一口サイズのサンドイッチ、スコーンやマカロン、多種多様なフルーツが華やかに置かれていた。
まるで御伽噺に出てくるプリンセスが味わうような雰囲気に圧倒された碧は、無意識に手に持っていた鞄を床に落とし動けず無意識に口をポカンと開け固まってしまっていた。その様子に含み笑いをしながら背後からふわりと優しく包み込むように貴斗が碧を抱き締めた。
「ほんとはどっか行くのもいいかなとは思ったんだけど、やっぱ初めてのクリスマスデートだしなんか想い出に残してもらいたくて。ちょっと背伸びしすぎたかな?」
照れ臭そうに笑う貴斗に碧は振り向き思いっきり顔を貴斗の胸元に押し付け抱きついた。
「なんかお姫様になった気分だよ。嬉しい...ありがと。でも私は、貴斗と一緒にいられるなら何だっていいんだよ」
碧は感極まった表情で滲んだ視界のまま見上げると貴斗の顔が直ぐ傍にあり、そのまま互いの唇がゆっくりと重なった。啄むようなキスは次第に激しさを纏い貪るように奪われる。厭らしいくらいの粘着性のあるリップ音が部屋に響き、碧は膝から崩れ落ちそうになり咄嗟に貴斗のダウンジャケットを力いっぱい握り締めた。
「あの日からずっと...ずっと忘れられなかった。他人にこんな苦しくて、愛おしい想いになんてなったことなかった。...碧、俺のことまた好きになってくれてありがとう。傍にいてくれてありがとう...好きだよ」
名残惜しそうに唇が離れ、瞑っていた目蓋を開けると自分の視界が滲んでいるせいなのか、碧には貴斗の瞳が笑っているのに泣いているように映った。
「酷いこと言って貴斗をいっぱい傷つけたのに私のこと待っていてくれてありがとう。好きでいてくれてありがとう。私も貴斗が大好きだよ」
碧の濁りのない破顔を目にした貴斗は、見上げるように顔を天井に向け大きな掌で目元を押さえると大きく切なげに溜息を吐き刹那、碧をきつく抱きしめ唇を塞いだ。
「もう絶対離さないし逃がさないから覚悟して...はあ、俺もう我慢できねーかも」
「えっ?って、わっ!!」
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