今日でお別れします

なかな悠桃

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あまりの衝撃に目を何度もぱちくりさせながら笑顔を向ける貴斗を凝視した。

「・・・いやいや、何それ。そんなの無理に決まってるでしょ」

「えー、碧ちゃん自信ないのー?俺は全問で碧は7問正解だけでいいのにー」

頬杖をつきニヤニヤし煽るような視線と言葉に、碧は感情を逆なでられるも彼の誘導に乗らないよう冷静を装いながら彼を見つめ言葉を返す。

「そういうわけじゃないけど・・・もし私も貴斗も条件クリア、それかどっちも駄目だったらどうするの?」

「うーん、そうだなー。じゃあこうしよっか。まず、俺が全問正解で碧が7問いかなかったら勿論これは俺の勝ち。もし、俺も碧も全クリしたら俺の負けってことにしよっか。どっちも駄目は、どちらも罰はなし。それならいいでしょ?俺は全問正解でも碧の解答次第では負けるんだから。あと、俺が負けた時の罰ゲームも考えといてよ。何でもいいよー♪」

「何でも?・・・そしたら“次のテストまで学校や外で過度なスキンシップを取らない”ってのはどう?」

「・・・・・・絶対勝つ」

どの教科も貴斗の方が成績は当たり前だが上になるため、ハンデとして彼が唯一苦手な漢文を選択し問題文を解いていく。

(私も漢文は苦手だけどこれくらいしか勝てそうなのないしなー)






互いに問題を解き終わるとそれぞれ解答用紙を交換し、採点をした。

「えっとー、阿部貴斗くんの点数はですねー・・・・・・10点満点で・・・・・・9.5点でしたーー。ざんねーん」

「はっ?なんで!?しかも9.5ってどういうこと!?」

「最後のここ、“。”が抜けてます。よって-0.5点分引かせてもらいました」

「えー、それくらい見逃してよー。そもそも俺、苦手なのに全問正解ってスゴくない!?・・・はあ、ちなみに碧は6点でした。何カ所か飛ばして訳してる部分と使役の使い方がちょっと違うのがあったかな。まあほとんど見直せばわかるとこだし本番テストはちゃんと確認した方がいいよ。これでミスって点数落とすのは勿体無いから」

「あー、確認すればする程よくわかんなくなっちゃうんだよね。結局、二人とも全問正解とはならなかったね」

ホッとしたような残念だったような複雑な感情が湧き上がる中、貴斗の心底がっかりしたような様子に思わず含み笑いをしてしまった。

「なんだよー、笑うなよー」

唇を尖らせるように突き出し、不貞腐れた表情を碧に向け何度も溜息を吐きながら自分の間違いの場所を指先で何度も叩いては溜息を繰り返していた。

あまりにも落胆した態度に碧は少し不憫に思い、貴斗の傍へ近づくと両手で彼の両頬を優しく包み軽く唇を重ねた。時間にして数秒もないくらいの軽いキスだったが、自分からこういったことをあまりしないからか心臓がバクバクと高鳴り顔が見る見る紅く火照り出した。

「ぷっ、なんでやった本人がそんな顔真っ赤にしてんの?」

「だって・・・。貴斗、すごいテンション下がってるから・・・これで元に戻んないかなと思って」

「・・・そっか、慰めてくれたのね。でもさー、そんなんじゃあ戻んないよ。こうじゃなきゃ」

今度は貴斗が片手で碧の頬に触れそのまま引き寄せると唇を重ねる。啄むようなキスから次第に深く甘い煽情的なものへと変わってゆく。

「んっ・・・はッん・・・ん」

何度も角度を変えながら咥内を犯し舌を絡め合わせる。ぴちゃぴちゃと水音が響き碧の身体を痺れさせた。もう何度もしているのにいまだに貴斗から与えられるキスは身体中が熱を帯び溶けそうになる。キスに夢中になっているとトップスの裾へ貴斗の手が背後から入り込み、驚きから身体をビクつかせた。

「ちょっと何やっ「ごめん、無理。止まんない」

「え?あ、貴斗っ!?」

片手で軽々とホック部分を外し碧をベッドへと押し倒した。トップスのボタンシャツを器用に片手で外しながら再び唇を塞いだ。

「んーーっ・・・んっ・・・んーーー!」

碧はボタンを外す貴斗の手を押さえながらもう片方の手で身体を押し返す。しかし、全くビクともしない貴斗に碧は半ば諦め手の力を緩めた。

「はあ、はあ・・・これじゃあ、さっきの罰ゲームより難易度上がってるんだけど」

呆れが露骨に現れた表情で見上げる碧にカサついた笑みを浮かべながら碧を見下ろし見つめる貴斗は、彼女の前髪を横へ流し軽く口づけした。

「碧の傍にいるだけで我慢できないんだから仕方ないだろ・・・碧の嫌がることはしたくないけど・・・でも・・・」

(弱々しい貴斗を見ることが最近多くなった気がするな・・・こんなこと言ったら怒りそうだけど何だか可愛い)

しょんぼりした貴斗が仔犬に見え、碧は噴き出してしまいそうになるのを咄嗟に我慢した。

「貴斗・・・、私だって貴斗と一緒にいたらくっ付いていたいって思うし離れたくないよ。でも、外とか学校とかは・・・やっぱり恥ずかしいし、そういうのじゃなければ・・・」

瞳を潤ませ手を伸ばし指先を貴斗の頬へ触れると目を細め笑う碧に、貴斗は眩暈を起こしたかのような仕草をし目元を押さえた。

「あお・・・はあー、そんな可愛いこと言って後悔しないでね」

碧の言葉に何かのスイッチが入ってしまったのか貴斗の表情は一変し、情欲的な熱が碧の身体に襲い掛かる。

気付けば釦は全て外されブラジャーと同時に腕から抜き取られた。何度見られても恥ずかしさは変わりなく碧はすぐさま両手で胸元を隠した。

「こーら、隠すなって」

貴斗に優しく両腕を掴まれ碧の抵抗はあっさりベッドのシーツに縫い留められた。

「ううッ・・・んッ・・・はァッ・・・」

貴斗は先端を舌先で愛撫しそのまま口の中へと含み吸い上げた。軽く電気が入ったような痺れに碧は小さく仰け反った。キモチ良さの感覚が貴斗に触れられるたび増していき自分ではもう快楽を制止するコントロールは利かなくなっていた。

「ちょっとだけ腰あげてもらっていい?」

貴斗の指が胸元から腹部へ優しく滑らせスカートのファスナーに手をやりゆっくりと下ろした。
掠れた声色で貴斗に催促された碧は小さく頷き腰を上げた。スカートを抜き取られベッド下へと落とされる。ショーツ一枚になり恥ずかしさから両膝を擦り合わせているとそれに気づいた貴斗は一気に碧の両脚を大きく開き、その間へと自身の身体を滑らせた。

「ほら、そんなことするから意地悪しちゃうんだろ」

昂奮した表情でニヤリと微笑むと貴斗は、碧の両膝裏を掴み押し上げ腰浮かせるとそのまま下着越しから舌を這わせた。

「うッ・・・あっ、それ、イヤ・・・んッ♡あァッ・・・」

直接ではない感覚にもどかしさはあるものの、生温かい舌の感触は生地からも伝わりビクビクと震わせながらも碧は羞恥から涕が溢れ首を左右に振った。

「あっち・・・」

パーカーを乱暴に脱ぎ捨てると引き締まった上半身が現れた。薄っすら汗でしっとりした皮膚が逆に情欲さを煽り、彼を見上げる碧は恍惚な表情で見つめていた。

「あー、もうヤバいかも・・・いい?」

その言葉に頷くと、碧のショーツを掴もうとした刹那、碧の手が貴斗の動きを阻止した。

「電気・・・あとカーテンも」

「暗いと何にも見えないよ?」

「じゃあシない」

「・・・わかりました」

貴斗は一旦ベッドから降りるとルームライトを消し、開いていたカーテンを閉めた。全く見えないわけではないが、薄暗くなった室内に多少の恥ずかしさが消えホッとしているとカチャカチャと金属音が聞こえ貴斗がベルトを外しているのが想像できた。

見えない中での聴覚の刺激は逆に煽り、碧の心臓の鼓動をなお一層速めた。ギシッ、とベッドの軋み音が鳴り貴斗が戻って来たのが理解出来た。

「脱がすよ」

再びショーツに手が伸びそのままスルスルと脚から離れ身体から抜き取られた。

れても・・・いい?」

貴斗の掠れた甘い声色に碧の心臓は更に高鳴りが大きくなり息が苦しくなる。

「う、ん・・・」

上擦った声で返事をすると、貴斗は自身を宛がい膣口に擦りつけると何度もスライドし溢れる蜜液を絡ませる。そのたびに小さな先端を掠められ、碧は自然と腰が浮きビクビクと身体が揺れた。

「はッ・・・くっ・・・ふッ・・・」

ゆっくりと挿入する熱く硬い切先が肉壁を押し広げ膣内を犯してゆく。貴斗の漏れ出る切なげな声があまりにも甘美で碧の脳内は考える力を失っていた。

この前学校は、激しく出来なかったから手加減しないよ♡」

ゆるゆると腰を動かしていた動きから一転、一気に押し込み深奥へと穿つ。

「ひゃッ!んっ・・・あ、まっ・・・あぁ、んッ・・・あッ、」
(あの時だって十分激しかったんですけどっ!?)

「エッロい声・・・ヤベーな、すぐイキそ」

碧の反論は声に出すことなく代わりに甘く淫らな嬌声だけが室内へと響かせた。

「はッ・・・ん・・・ふッ・・・ッ、あ・・・」

貴斗は小さく息を洩らしながら碧をきつく抱き締めると更に腰を何度も打ち付けた。皮膚同士がぶつかる破裂音と共に結合部から聞こえる、ぐちゅくちゅと淫靡な水音が厭らしく更に貴斗を煽った。碧も貴斗から与えられる熱に身体中が蕩け、彼にしがみつくとキスを強請ねだった。

(キモチ・・・いい・・・もう、何も考えられない・・・)

碧は貴斗の熱を激しく何度も打ち付けられ下腹部が痙攣するような感覚に襲われ、外の音など全く気付かなかった。まさか自分たちがいる場所へ近づく人物がいるなんて頭にもなかった。
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