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智広は、部室に置いてあるコーヒーメーカーから既に出来上がっているコーヒーをカップに注ぐとパイプ椅子に腰を下ろした。含みやすい温度になっていたのか息を吹きかけることなくそのままカップに口をつけ一口飲むと軽く息を吐いた。
「今から話すことは碧ちゃんにとってあまり気分のいい話ではないことだけは覚悟して欲しいんだ」
いつもとは違う雰囲気の智広に碧は一瞬躊躇うもしっかりとした意思を示すように頷いた。智広はその表情を目にすると今度は自分を落ち着かせる様にゆっくり息を吐くと話し始めた。
「今思えばかなり幼稚だったんだけど、うちの三兄弟の中で小学校受験失敗したの俺だけなんだ。まあ、親は別に攻めるわけでもなかったし兄弟格差もされなかった。両親、兄弟とも仲は悪くはなかったけどそれでもやっぱ優秀な上と下に挟まれて子どもながら結構くるものがあったんだ」
一度は中学受験も視野に入れてはみたものの、両親には何も言われなかったことから何も期待されていないと感じた智広はそのまま公立の中学校へと進学した。
当時の智広は小学生の時から同学年の女子生徒は勿論、女性教諭さらには母親たちからも人気があった。
中学に上がると更に生徒が増える分、日に日に人気が増しすぐに校内外でファンクラブが出来るほど過熱していったらしい。
日々をただぼんやりと過ごし自分に色目を使って近寄る異性には望み通りの態度を向け面白味のない生活を送っていた智広。そんな生活に辟易していたある日、智広のクラスに一人の転校生が現れた。
それまで騒めいた生徒たちだったが、担任教師が教室に入って来るや否や一気に空気が変わり、固定されたかのようにある一点へ視線を向けているのがまざまざと見受けられた。
教師の隣に凛として立つ斎藤真白と名乗る転校生は、中学三年生の女子生徒にしては背が高くすらりとした手足、名前の通り色白の透き通った肌、中学生とは思えないほどの大人びた表情。
正直、レベルの高い女の子が周りに寄り付き目の肥えた智広でさえも例外なく凝視してしまうほどだった。
「彼女、見た目がそんな感じだから中坊なんてイチコロでさ。“高嶺の花”って感じで最初は皆遠巻きで見てたもんだよ」
第一印象はそんな感じだったが、話してみると意外と男っぽい性格で女生徒からもやっかみなどなく真白はクラスにすんなり打ち解けていた。智広自身も普段相手にしている女の子とは違う雰囲気だったためか気付けば気兼ねなく話せる友人の一人になっていた。
いつも笑顔を振りまき男女共に人気のあった真白だったが、ふとした時に見せる憂いな表情が智広自身気にはなっていたものの訊ねることはしなかった。がある時、真白の腕に不自然な痣を見つけた智広は意を決して彼女に訊ねてみることにした。
「初めのうちは彼女、はぐらかしたりしてたんだけど俺が何度も聞くから諦めたのかぽつりぽつりと話してくれたんだ」
真白の話の内容は、幼い頃父親が死別。女手一つで育てる母親に数年後、再婚相手を紹介される。再婚相手の男性はとても良い人だったらしく家族関係は上手くいっていたものの弟と妹が産まれたことで生活が一変した。それまで優しく甘やかしていた義父は段々弟たちの方に愛情が移り格差をつけるようになった。挙句、少しでも口答えをすれば手をあげられることも・・・その間、母親は見て見ぬふりで家には自分の居場所がないと話していた。
親から関心を持たれない子・・・智広たちはその共通点から今まで以上に結び付きが強くなった。
「似た者同士、ていうのかな。親に関心を持たれない者同士でウマが合ったんだと思う。それに少し怖かった・・・彼女とそういう関係になってもし上手くいかなくなった時、今まで付き合った子たちみたいに離れることになるのが。今思えばクソだせー奴なんだけどそれだけ彼女とは今の関係を壊したくなかったんだ。それに彼女自身からも気になる男がいるような話も聞いていたから」
それからも互いの悩みなど打ち明けたりされたりと二人だけの会話を共有するもののやはり恋心などは一切生まれることは無かった。その間も智広には異性の影がチラつき付き合っては別れてを繰り返すもののやはり彼女とだけはそういった関係には至らなかった。
「まあ、亜子の前で言うのは気が引けるんだけど、亜子と出逢う前は女性関連ほんとクズで。付き合ってもすぐ別れるし・・・中学の時も真白から『まーた、別れたのー?この前年上の女子高校生と付き合ったばっかじゃない!智広、いい加減にしないとほんといつか痛い目みるからね!!』・・・なんて言われる始末で・・・」
智広は当時を振り返りながら気まずそうな表情で亜子を一瞥するも彼女は、無関心といった表情で近くに置いてあった城特集の雑誌に目を通していた。
「・・・まあ、そんな感じで俺と数人の男友だち、そして彼女は同じ高校に入学し関係は続くことになった。そこで俺は入学式の日、亜子と出逢った。衝撃的だったなー、あんな気持ち。その時亜子に一目惚れし・・・って、まあこの話はまた別の機会に」
デレた表情の智広に呆れ溜息を吐く亜子たちのやり取りの姿に一瞬、心が解れた碧は思わず口元を弛めた。
「そっからは俺、心入れ替えて女性関係を絶ったんだ。亜子と出逢ってこのままじゃいけないって思ったしこれ以上クズな男と認識されたくなかった」
智広はそれまでいた女性関係を一気に精算し、最後に斎藤真白にもこのことを伝えたらしい。
「今まで改まって好きな女の子、しかも片想いなんて話したことなかったから彼女にだけはしっかりと俺の想いを伝えたかったんだ」
※※(回想)※※
『あははは、智広どうしちゃったの?まあ、その彼女今までにないタイプっぽいから物珍しいだけなんじゃないの?それにまだ付き合ってもないんでしょ?それなのになんで私と二人で会うのも制限されなきゃいけないの?』
誰もいない教室、智広に呼び出されていた真白は、彼からの話を聞き終わるといつもの見慣れた笑顔を浮かべながらも明らかに不機嫌さを滲ませ軽く詰め寄った。
『まあ、今まで“来る者拒まず去る者追わず”だったし、感情が伴わない付き合いばっかで別れても正直何とも思わなかった。でも、彼女にはそういった不純な俺を見られるのが初めて嫌だと思ったんだ・・・多分初めて女性を好きになったんだと思う。だから複数で遊ぶ分にはこれまで通りだけど二人きりとかは・・・今日限りにしたいな、って思ってる。それにそっちだって変な噂が立って折角軌道に乗りかかってるモデル活動に今後支障出ても困るだろ?』
『・・・まあ・・・そうね。・・・わかったわ』
何かを言いかけようとした仕草を見せるも真白は言葉を呑み込み智広の提案を了承した。そんな彼女の表情に気付くことのなかった智広は真白の返事に安堵し軽く息を吐いた。
『ありがと。でも、もし義父さんたちのことで何かあれば遠慮なく相談してくれていいから』
『うん・・・でも今度から智広の家に気兼ねなく勝手に遊びにいけなくなるのはそれはそれで寂しいな。その彼女と上手くいっても偶には遊んでよっ!』
真白は智広の右頬を軽く摘まみニカッと笑顔を向けるとつられて智広も複雑な笑みを返し小さく頷いた。
智広は真白に初恋を話せた嬉しさから彼女がどんな想いの中笑顔で話を聞いているのか、その深淵に潜む彼女の沈んだ仄暗さにこの時気付くことはなかった。
※※(回想終了)※※
「その話から数週間後、仕事の多忙を理由に高校を自主退学したって人伝で聞いたんだ。俺らの学校もそれなりにレベルは高かったしいくら学校から許可されてたとはいえ出席日数が足りないと進級が厳しくなるのも確かで・・・ただ今までは俺に何でも話す子だったから当時は何も相談されなかったことがショックだった」
真白に連絡しようにも事務所の意向なのか今まで使われていたはずの彼女の携帯番号やメッセージアプリのアカウントは消され此方からの連絡は一切取れなくなっていた。
それからしばらくが経過しうだるような暑さが少しずつ和らぎだした頃、普段あまり話し掛けてこない貴斗が気怠そうに話し掛けてきた。
『兄貴のセフレか知んないけどあの女、しつこいから家の出入り出禁にして欲しいんだけど』
「初め、貴斗が何を言ってるのか全く理解出来なかったんだ。その頃にはもうそういった類の女の子はいなかったし身に覚えもなかった。ましてや俺の知らないところで勝手に家を出入りしてるなんて・・・。だから聞いたんだ、その女の特徴を・・・」
更に面倒くさそうに特徴を伝える貴斗に智広は信じられない気持ちで一杯だった。確かに以前は自宅に何度か遊びに来ていたし智広が居ない時でも勝手に部屋に入り込んでいることもあった。しかし、あの日を境に彼女とは疎遠になり連絡先も取れない状況下。何より弟、貴斗と繋がりがあったのさえ聞かされるまで気付きもしなかった。
貴斗の話によれば俺と彼女はセフレ関係だが、最近なかなか会ってくれないから代わりに貴斗が暇つぶしの相手をしてくれ・・・そんな言い回しで言い寄ってきたらしい。勿論、面倒事に巻き込まれたくなかったのか当時の貴斗は何度も断ったらしいが・・・。
『智広ともそうだけどお互いただ性欲満たすだけの割り切った関係なんだから軽く考えればいいのよ。それにキミ、中学生でしょ?そういうの興味あるんじゃない?』
いくら貴斗とはいえ、年上でしかも目を引くような容姿の女性に後腐れのない関係を提案されればふらっといくのも理解出来る。それからは敢えてかどうかは不明だが、智広のいない時間を見計らっては何度か母屋や貴斗の部屋を出入りし身体の関係を重ねていた。しかし段々自分に執着するようになった彼女を疎ましく思うようになり埒が明かなくなった貴斗は不本意ながらも智広を頼る運びとなった。
まさか自分の弟と・・・!?自分が知っている彼女とあまりにもかけ離れすぎて当初智広は弟からの言葉とはいえ、俄に信じ難く困惑が隠せなかった。
そして、この衝撃的な内容を聞かされた数週間後、ある事件が学校中を騒がせる自体が起きた。
「今から話すことは碧ちゃんにとってあまり気分のいい話ではないことだけは覚悟して欲しいんだ」
いつもとは違う雰囲気の智広に碧は一瞬躊躇うもしっかりとした意思を示すように頷いた。智広はその表情を目にすると今度は自分を落ち着かせる様にゆっくり息を吐くと話し始めた。
「今思えばかなり幼稚だったんだけど、うちの三兄弟の中で小学校受験失敗したの俺だけなんだ。まあ、親は別に攻めるわけでもなかったし兄弟格差もされなかった。両親、兄弟とも仲は悪くはなかったけどそれでもやっぱ優秀な上と下に挟まれて子どもながら結構くるものがあったんだ」
一度は中学受験も視野に入れてはみたものの、両親には何も言われなかったことから何も期待されていないと感じた智広はそのまま公立の中学校へと進学した。
当時の智広は小学生の時から同学年の女子生徒は勿論、女性教諭さらには母親たちからも人気があった。
中学に上がると更に生徒が増える分、日に日に人気が増しすぐに校内外でファンクラブが出来るほど過熱していったらしい。
日々をただぼんやりと過ごし自分に色目を使って近寄る異性には望み通りの態度を向け面白味のない生活を送っていた智広。そんな生活に辟易していたある日、智広のクラスに一人の転校生が現れた。
それまで騒めいた生徒たちだったが、担任教師が教室に入って来るや否や一気に空気が変わり、固定されたかのようにある一点へ視線を向けているのがまざまざと見受けられた。
教師の隣に凛として立つ斎藤真白と名乗る転校生は、中学三年生の女子生徒にしては背が高くすらりとした手足、名前の通り色白の透き通った肌、中学生とは思えないほどの大人びた表情。
正直、レベルの高い女の子が周りに寄り付き目の肥えた智広でさえも例外なく凝視してしまうほどだった。
「彼女、見た目がそんな感じだから中坊なんてイチコロでさ。“高嶺の花”って感じで最初は皆遠巻きで見てたもんだよ」
第一印象はそんな感じだったが、話してみると意外と男っぽい性格で女生徒からもやっかみなどなく真白はクラスにすんなり打ち解けていた。智広自身も普段相手にしている女の子とは違う雰囲気だったためか気付けば気兼ねなく話せる友人の一人になっていた。
いつも笑顔を振りまき男女共に人気のあった真白だったが、ふとした時に見せる憂いな表情が智広自身気にはなっていたものの訊ねることはしなかった。がある時、真白の腕に不自然な痣を見つけた智広は意を決して彼女に訊ねてみることにした。
「初めのうちは彼女、はぐらかしたりしてたんだけど俺が何度も聞くから諦めたのかぽつりぽつりと話してくれたんだ」
真白の話の内容は、幼い頃父親が死別。女手一つで育てる母親に数年後、再婚相手を紹介される。再婚相手の男性はとても良い人だったらしく家族関係は上手くいっていたものの弟と妹が産まれたことで生活が一変した。それまで優しく甘やかしていた義父は段々弟たちの方に愛情が移り格差をつけるようになった。挙句、少しでも口答えをすれば手をあげられることも・・・その間、母親は見て見ぬふりで家には自分の居場所がないと話していた。
親から関心を持たれない子・・・智広たちはその共通点から今まで以上に結び付きが強くなった。
「似た者同士、ていうのかな。親に関心を持たれない者同士でウマが合ったんだと思う。それに少し怖かった・・・彼女とそういう関係になってもし上手くいかなくなった時、今まで付き合った子たちみたいに離れることになるのが。今思えばクソだせー奴なんだけどそれだけ彼女とは今の関係を壊したくなかったんだ。それに彼女自身からも気になる男がいるような話も聞いていたから」
それからも互いの悩みなど打ち明けたりされたりと二人だけの会話を共有するもののやはり恋心などは一切生まれることは無かった。その間も智広には異性の影がチラつき付き合っては別れてを繰り返すもののやはり彼女とだけはそういった関係には至らなかった。
「まあ、亜子の前で言うのは気が引けるんだけど、亜子と出逢う前は女性関連ほんとクズで。付き合ってもすぐ別れるし・・・中学の時も真白から『まーた、別れたのー?この前年上の女子高校生と付き合ったばっかじゃない!智広、いい加減にしないとほんといつか痛い目みるからね!!』・・・なんて言われる始末で・・・」
智広は当時を振り返りながら気まずそうな表情で亜子を一瞥するも彼女は、無関心といった表情で近くに置いてあった城特集の雑誌に目を通していた。
「・・・まあ、そんな感じで俺と数人の男友だち、そして彼女は同じ高校に入学し関係は続くことになった。そこで俺は入学式の日、亜子と出逢った。衝撃的だったなー、あんな気持ち。その時亜子に一目惚れし・・・って、まあこの話はまた別の機会に」
デレた表情の智広に呆れ溜息を吐く亜子たちのやり取りの姿に一瞬、心が解れた碧は思わず口元を弛めた。
「そっからは俺、心入れ替えて女性関係を絶ったんだ。亜子と出逢ってこのままじゃいけないって思ったしこれ以上クズな男と認識されたくなかった」
智広はそれまでいた女性関係を一気に精算し、最後に斎藤真白にもこのことを伝えたらしい。
「今まで改まって好きな女の子、しかも片想いなんて話したことなかったから彼女にだけはしっかりと俺の想いを伝えたかったんだ」
※※(回想)※※
『あははは、智広どうしちゃったの?まあ、その彼女今までにないタイプっぽいから物珍しいだけなんじゃないの?それにまだ付き合ってもないんでしょ?それなのになんで私と二人で会うのも制限されなきゃいけないの?』
誰もいない教室、智広に呼び出されていた真白は、彼からの話を聞き終わるといつもの見慣れた笑顔を浮かべながらも明らかに不機嫌さを滲ませ軽く詰め寄った。
『まあ、今まで“来る者拒まず去る者追わず”だったし、感情が伴わない付き合いばっかで別れても正直何とも思わなかった。でも、彼女にはそういった不純な俺を見られるのが初めて嫌だと思ったんだ・・・多分初めて女性を好きになったんだと思う。だから複数で遊ぶ分にはこれまで通りだけど二人きりとかは・・・今日限りにしたいな、って思ってる。それにそっちだって変な噂が立って折角軌道に乗りかかってるモデル活動に今後支障出ても困るだろ?』
『・・・まあ・・・そうね。・・・わかったわ』
何かを言いかけようとした仕草を見せるも真白は言葉を呑み込み智広の提案を了承した。そんな彼女の表情に気付くことのなかった智広は真白の返事に安堵し軽く息を吐いた。
『ありがと。でも、もし義父さんたちのことで何かあれば遠慮なく相談してくれていいから』
『うん・・・でも今度から智広の家に気兼ねなく勝手に遊びにいけなくなるのはそれはそれで寂しいな。その彼女と上手くいっても偶には遊んでよっ!』
真白は智広の右頬を軽く摘まみニカッと笑顔を向けるとつられて智広も複雑な笑みを返し小さく頷いた。
智広は真白に初恋を話せた嬉しさから彼女がどんな想いの中笑顔で話を聞いているのか、その深淵に潜む彼女の沈んだ仄暗さにこの時気付くことはなかった。
※※(回想終了)※※
「その話から数週間後、仕事の多忙を理由に高校を自主退学したって人伝で聞いたんだ。俺らの学校もそれなりにレベルは高かったしいくら学校から許可されてたとはいえ出席日数が足りないと進級が厳しくなるのも確かで・・・ただ今までは俺に何でも話す子だったから当時は何も相談されなかったことがショックだった」
真白に連絡しようにも事務所の意向なのか今まで使われていたはずの彼女の携帯番号やメッセージアプリのアカウントは消され此方からの連絡は一切取れなくなっていた。
それからしばらくが経過しうだるような暑さが少しずつ和らぎだした頃、普段あまり話し掛けてこない貴斗が気怠そうに話し掛けてきた。
『兄貴のセフレか知んないけどあの女、しつこいから家の出入り出禁にして欲しいんだけど』
「初め、貴斗が何を言ってるのか全く理解出来なかったんだ。その頃にはもうそういった類の女の子はいなかったし身に覚えもなかった。ましてや俺の知らないところで勝手に家を出入りしてるなんて・・・。だから聞いたんだ、その女の特徴を・・・」
更に面倒くさそうに特徴を伝える貴斗に智広は信じられない気持ちで一杯だった。確かに以前は自宅に何度か遊びに来ていたし智広が居ない時でも勝手に部屋に入り込んでいることもあった。しかし、あの日を境に彼女とは疎遠になり連絡先も取れない状況下。何より弟、貴斗と繋がりがあったのさえ聞かされるまで気付きもしなかった。
貴斗の話によれば俺と彼女はセフレ関係だが、最近なかなか会ってくれないから代わりに貴斗が暇つぶしの相手をしてくれ・・・そんな言い回しで言い寄ってきたらしい。勿論、面倒事に巻き込まれたくなかったのか当時の貴斗は何度も断ったらしいが・・・。
『智広ともそうだけどお互いただ性欲満たすだけの割り切った関係なんだから軽く考えればいいのよ。それにキミ、中学生でしょ?そういうの興味あるんじゃない?』
いくら貴斗とはいえ、年上でしかも目を引くような容姿の女性に後腐れのない関係を提案されればふらっといくのも理解出来る。それからは敢えてかどうかは不明だが、智広のいない時間を見計らっては何度か母屋や貴斗の部屋を出入りし身体の関係を重ねていた。しかし段々自分に執着するようになった彼女を疎ましく思うようになり埒が明かなくなった貴斗は不本意ながらも智広を頼る運びとなった。
まさか自分の弟と・・・!?自分が知っている彼女とあまりにもかけ離れすぎて当初智広は弟からの言葉とはいえ、俄に信じ難く困惑が隠せなかった。
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