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第九〇話 シャルロッタ 一五歳 暴力の悪魔 二一
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「サルヨバドス……ああ、疫病の悪魔のことか、そうねわたくしが倒しましたわよ?」
わたくしの答えに満足そうに頷く闇征く者……二年前わたくしとクリスが婚約の面談をした後、彼にかけられた呪いを解除するためにわたくしは王都の地下水路に潜んでいた疫病の悪魔を倒した。
そのままにしているとクリスが死んでしまう可能性もあったし、王都において悪魔が活動しているなどという状況は耐え難いものがあったからだ。
前世でも近くに混沌の眷属がいる、というのは身の危険を感じる出来事だったし、悪事を働いているのであればそれをどうにかしなきゃいけないのが勇者の責務とも言ってもいいだろう。
「ああ、あの汚物を倒した事など気にしているわけではないぞ? むしろあのおかげで君という魂を見つけた、という点でありがたいと思った」
「……へえ? でもわたくし別に勇者とかではございませんのよ?」
「クフフッ! そうだな私としても勇者の器はクリストフェル・マルムスティーン……君の婚約者だと思っている」
「あら、クリ……クリストフェル殿下が勇者であることはあなた方も認める事実なのね? でもお仲間はわたくしを勇者と認定していたわよ?」
「……あくまでもクリストフェルはこの世界における勇者の器という注釈はつけるがね」
意外だな……嘘つけお前が勇者だろ! とか突っ込まれるのかと思ってたのにすんなりとクリスが勇者の器だと明言している。
今のわたくしが見せている能力をお父様や普通の人に見せたら勇者認定さちゃいそうなものだけど……まあ、前世は異世界の勇者なんだけどさ、わたくし。
だが、そんなわたくしの表情の変化を見て、仮面の下で引き攣った笑い声をあげた闇征く者は、仮面の下に光る不気味で暗く赤い瞳を光らせる。
「……だが、君は神々の盟約を破った存在、それゆえに我々訓戒者は君に対して警告する」
「警告? 第一わたくしは盟約など破ってはおりませんわよ?」
「……これ以上我々のやることに手を出すな女神の使徒、次は本気の殺し合いとなるだろう……」
闇征く者の周りにブワッ! と闇の気配が広がる……その気配が強く大きく膨れ上がり、まるで強風のように吹き荒れたのち、気がつくと訓戒者達の姿が煙のように消えてしまっている。
見逃してもらった? 違うな……逃げたと言ってもいいだろう、とはいえ今の状況下でわたくしが全力を出して、互角だったかそれとも……いや、どんな状況でも負ける気にはならない、負けてはいけないという強い意志がわたくしの中に渦巻いている。
勇者であった頃から絶対的な自信と、自負とそして責任感のようなものを感じている……勇者は負けない、負けてはいけない、負けられない……それがわたくしを前へと進めるのだ。
「……しかし、あれだけの強者が彷徨いているというのもおかしな世界ですわね、ここは……」
「シャルロッタ様……」
エルネットさんの声でわたくしは我に返ると、ユルと「赤竜の息吹」へと微笑む。
みんなボロボロだ、エルネットさんに至っては多分数ヶ月は冒険者として活動できないくらいの怪我だし、残りのメンバーも怪我だらけで治療が必要な状況だ。
治療の加護も肝心のエミリオさんが相当に弱ってるので、これはもう治療院に入って入院だろうな……。
「……申し訳ないですわ、わたくしの見立てが甘すぎました……まさか悪魔以上の存在まで出てくるとは……」
「い、いえ……それよりも一緒に戦った人がいるんです、その人を見ませんでしたか?」
「……ここにくる前に看取りました、残念ですが……」
「そ、そうですか……そうか……準男爵……」
エルネットさんが少し目頭を押さえて地面へと視線を落とす……あの老人、名前は聞けていなかったがどうやら「赤竜の息吹」と共に悪魔と戦い、そして命を落としたのだということがそこで理解できた。
確かに引き裂かれていたが、彼の着用していた鎧には紋章なども入っていたな……そうかこのあたりにある村を収めている貴族だったのか。
とすると貴族としての責務はきちんと果たした、ということなのだろうな……サウンドガーデン公爵家がどう判断するかわからないが、少なくともその家族に対してインテリペリ辺境伯家からも何かを伝える必要があるだろうな。
「良い戦士でしたのね……わたくしからも彼のご家族へと謝意を伝えましょう、ユル……周りはどう?」
「敵対的な反応はありません、それよりシャル……そろそろ戻らねばまずいです」
「……ここから戻られるのですか?」
エミリオさんがポカンとした表情でわたくしとユルへと問いかける。
そう、わたくしはかなり無理やりこの場所へと来ているので、自宅にしている邸宅の部屋にはパペットゴーレムの身代わり君しか残していない。
ちなみに身代わり君はパッと見は少し大きめの人形で、わたくしの髪の毛を編み込んだ銀色の髪が特徴になっている。
パペットゴーレムは通常の土で作られるクレイゴーレムと違い、人形そのものを依代として動かすもので戦闘能力は最低レベルに低く、家事などを手伝うために生み出されるものだ。
「身代わりを置いてるのですけど、魔力の供給が途切れるとわたくしが抜け出しているのがバレてしまいますからね」
「そんなことができるのですか……そ、そういえばどうやってここへ?」
「笛を鳴らしていただきましたでしょ? 吹き鳴らすとその場所がマークされるようになってまして……」
「そ、それであの笛を吹けと……でもあんな音で届くものなのですか?」
エミリオさんの言葉にわたくしとユルがはて? という顔で首を傾げる……音が出た? あの笛音が出ないはずなのに?
何せあの笛自体は露店で子供が作っていた小さな木の笛で、自分でも吹いてみたがまともに音が出るようなものではなかったのだ。
何かコツなどでもあるのかもしれないが、どちらにせよ脆すぎて魔力を放出した後は崩壊してしまうだろうし、確かめる術はないかもな。
うーん、まだまだ勇者としての経験にない不測の事態というか、理解し難い状況なども多く遭遇するな……まあ今はみんなの命があることを喜んだほうがいいだろう。
「魔力を伝達するのですが、それを空気中に波として載せます……前世でよく使い捨ての道具として使っておりましたわ、でも……みなさんが無事で本当に良かったです」
「……つまり……悪魔が……出現していた……と……」
「……はい父上、歴史上でも珍しい悪魔の出現、その災厄を彼らが押しとどめてくれました」
息子であるミハエル・サウンドーガーデンと、包帯だらけで衛兵に肩を支えられながら報告を行なっている「赤竜の息吹」リーダー、エルネットの顔を交互に見ながらサウンドガーデン公爵家当主ジェイソン・サウンドガーデンがピクピクと震える。
ミハエルと血が繋がっていると思えるのは、少し神経質そうな表情と髪色……もともと文官を志していたという細身の体が震える。
まさかそんな化け物が領内で暴れているとは考えていなかったジェイソンのこめかみに汗が流れ、拳を椅子の肘置きへと叩きつけた。
甘すぎた……大したことのない魔物であるように都合よく考えていたこともあり、ミハエルが何かがおかしいと警告を発してもまともに取り合おうとはしていなかったのだ。
「……息子よ……お前が正しかったのだな……私の判断ミスということか」
「いえ……悪魔の出現は予想を超えております、父上の責任ではございません、ただ……」
ミハエルは父親へと一度視線を向けた後に、列席する寄子貴族たちへと感情の籠っていない冷たい視線を向ける。
少なくともミハエルが領内に入ってから、危険性や異常を訴えた時に軍隊を派遣できていれば無駄な被害は出なかったかもしれないのに。
冷たい視線を向けながら拳をぎゅっと握りしめるミハエル、そして……そんな当主と二人を見ながら、ザワザワと騒ぎ始めるサウンドガーデン公爵領の貴族達。
彼らに一度視線を向けた後、エルネットは少し辛そうな顔ながらも、一度胸に手を当ててからジェイソンへと報告する。
「閣下、領内で襲撃を受けた村落の被害は甚大ですが悪魔は滅ぼしております……私どもに協力を申し出て命を落とされたトビアス・エドガイ準男爵の家族に多大なる恩賞を」
「そ、そうだな……準男爵とはいえ領民を守ったエドガイ準男爵家の功績を認め、王家へ陞爵の申請を出そう……それと彼には幼い孫がおったな?」
「は、はい……まだ運営ができるような年齢ではないと聞いておりますが」
「領民を守った英雄の家族だぞ……エドガイ準男爵は戦でも活躍した武人だった、成長すれば素晴らしい騎士になるだろう……異論はないな!」
当主ジェイソンの言葉に列席していた貴族達が一斉に跪き恭順の意を示す。
彼自身の思惑はどうあれ、当主の実の息子ミハエルの行動によりイングウェイ王国最強の冒険者である「赤竜の息吹」を味方に引き入れ、悪魔を打ち滅ぼすことに成功した。
被害は甚大であったと言っても辺境に位置する平民が犠牲者の大半……復興のために新しい領民を入植させ、村を再建する事業は大きな利益と利権を生み出すだろう。
「……辺境地域における被害は大きい、だが我々はこの事件を教訓として領地の安全と対策を強化しなければならない! より一層領内における綱紀粛正、そして軍事能力の向上を図り2度とこの悲劇を起こしてはならないのだ!」
エルネットはミハエルと視線が合うとニコリと笑う……だがその表情はどことなく空虚で、何か言いたいことがあるもののようにも思えたがミハエルにはそれが何を意味しているのかわからない。
一度ため息をつくと、痛む体を衛兵に支えてもらいながらエルネットは退席していく……本当に死闘を尽くした結果なのだろう、あの怪我では数ヶ月は冒険者として活動することは難しい。
彼とその仲間にも多大な恩賞を支払う必要があるだろう、そして彼らを貸し出してくれた辺境の翡翠姫、シャルロッタ・インテリペリにも礼を伝えねばならないだろう。
約束があったな……とミハエルは一人の少女の顔を思い返す、青色の髪をしたあの平民の少女。
「ターヤ・メイヘムと仲良くなれ……か、あの女もおかしなことを言い出すものだ、だが……約束は約束だな」
わたくしの答えに満足そうに頷く闇征く者……二年前わたくしとクリスが婚約の面談をした後、彼にかけられた呪いを解除するためにわたくしは王都の地下水路に潜んでいた疫病の悪魔を倒した。
そのままにしているとクリスが死んでしまう可能性もあったし、王都において悪魔が活動しているなどという状況は耐え難いものがあったからだ。
前世でも近くに混沌の眷属がいる、というのは身の危険を感じる出来事だったし、悪事を働いているのであればそれをどうにかしなきゃいけないのが勇者の責務とも言ってもいいだろう。
「ああ、あの汚物を倒した事など気にしているわけではないぞ? むしろあのおかげで君という魂を見つけた、という点でありがたいと思った」
「……へえ? でもわたくし別に勇者とかではございませんのよ?」
「クフフッ! そうだな私としても勇者の器はクリストフェル・マルムスティーン……君の婚約者だと思っている」
「あら、クリ……クリストフェル殿下が勇者であることはあなた方も認める事実なのね? でもお仲間はわたくしを勇者と認定していたわよ?」
「……あくまでもクリストフェルはこの世界における勇者の器という注釈はつけるがね」
意外だな……嘘つけお前が勇者だろ! とか突っ込まれるのかと思ってたのにすんなりとクリスが勇者の器だと明言している。
今のわたくしが見せている能力をお父様や普通の人に見せたら勇者認定さちゃいそうなものだけど……まあ、前世は異世界の勇者なんだけどさ、わたくし。
だが、そんなわたくしの表情の変化を見て、仮面の下で引き攣った笑い声をあげた闇征く者は、仮面の下に光る不気味で暗く赤い瞳を光らせる。
「……だが、君は神々の盟約を破った存在、それゆえに我々訓戒者は君に対して警告する」
「警告? 第一わたくしは盟約など破ってはおりませんわよ?」
「……これ以上我々のやることに手を出すな女神の使徒、次は本気の殺し合いとなるだろう……」
闇征く者の周りにブワッ! と闇の気配が広がる……その気配が強く大きく膨れ上がり、まるで強風のように吹き荒れたのち、気がつくと訓戒者達の姿が煙のように消えてしまっている。
見逃してもらった? 違うな……逃げたと言ってもいいだろう、とはいえ今の状況下でわたくしが全力を出して、互角だったかそれとも……いや、どんな状況でも負ける気にはならない、負けてはいけないという強い意志がわたくしの中に渦巻いている。
勇者であった頃から絶対的な自信と、自負とそして責任感のようなものを感じている……勇者は負けない、負けてはいけない、負けられない……それがわたくしを前へと進めるのだ。
「……しかし、あれだけの強者が彷徨いているというのもおかしな世界ですわね、ここは……」
「シャルロッタ様……」
エルネットさんの声でわたくしは我に返ると、ユルと「赤竜の息吹」へと微笑む。
みんなボロボロだ、エルネットさんに至っては多分数ヶ月は冒険者として活動できないくらいの怪我だし、残りのメンバーも怪我だらけで治療が必要な状況だ。
治療の加護も肝心のエミリオさんが相当に弱ってるので、これはもう治療院に入って入院だろうな……。
「……申し訳ないですわ、わたくしの見立てが甘すぎました……まさか悪魔以上の存在まで出てくるとは……」
「い、いえ……それよりも一緒に戦った人がいるんです、その人を見ませんでしたか?」
「……ここにくる前に看取りました、残念ですが……」
「そ、そうですか……そうか……準男爵……」
エルネットさんが少し目頭を押さえて地面へと視線を落とす……あの老人、名前は聞けていなかったがどうやら「赤竜の息吹」と共に悪魔と戦い、そして命を落としたのだということがそこで理解できた。
確かに引き裂かれていたが、彼の着用していた鎧には紋章なども入っていたな……そうかこのあたりにある村を収めている貴族だったのか。
とすると貴族としての責務はきちんと果たした、ということなのだろうな……サウンドガーデン公爵家がどう判断するかわからないが、少なくともその家族に対してインテリペリ辺境伯家からも何かを伝える必要があるだろうな。
「良い戦士でしたのね……わたくしからも彼のご家族へと謝意を伝えましょう、ユル……周りはどう?」
「敵対的な反応はありません、それよりシャル……そろそろ戻らねばまずいです」
「……ここから戻られるのですか?」
エミリオさんがポカンとした表情でわたくしとユルへと問いかける。
そう、わたくしはかなり無理やりこの場所へと来ているので、自宅にしている邸宅の部屋にはパペットゴーレムの身代わり君しか残していない。
ちなみに身代わり君はパッと見は少し大きめの人形で、わたくしの髪の毛を編み込んだ銀色の髪が特徴になっている。
パペットゴーレムは通常の土で作られるクレイゴーレムと違い、人形そのものを依代として動かすもので戦闘能力は最低レベルに低く、家事などを手伝うために生み出されるものだ。
「身代わりを置いてるのですけど、魔力の供給が途切れるとわたくしが抜け出しているのがバレてしまいますからね」
「そんなことができるのですか……そ、そういえばどうやってここへ?」
「笛を鳴らしていただきましたでしょ? 吹き鳴らすとその場所がマークされるようになってまして……」
「そ、それであの笛を吹けと……でもあんな音で届くものなのですか?」
エミリオさんの言葉にわたくしとユルがはて? という顔で首を傾げる……音が出た? あの笛音が出ないはずなのに?
何せあの笛自体は露店で子供が作っていた小さな木の笛で、自分でも吹いてみたがまともに音が出るようなものではなかったのだ。
何かコツなどでもあるのかもしれないが、どちらにせよ脆すぎて魔力を放出した後は崩壊してしまうだろうし、確かめる術はないかもな。
うーん、まだまだ勇者としての経験にない不測の事態というか、理解し難い状況なども多く遭遇するな……まあ今はみんなの命があることを喜んだほうがいいだろう。
「魔力を伝達するのですが、それを空気中に波として載せます……前世でよく使い捨ての道具として使っておりましたわ、でも……みなさんが無事で本当に良かったです」
「……つまり……悪魔が……出現していた……と……」
「……はい父上、歴史上でも珍しい悪魔の出現、その災厄を彼らが押しとどめてくれました」
息子であるミハエル・サウンドーガーデンと、包帯だらけで衛兵に肩を支えられながら報告を行なっている「赤竜の息吹」リーダー、エルネットの顔を交互に見ながらサウンドガーデン公爵家当主ジェイソン・サウンドガーデンがピクピクと震える。
ミハエルと血が繋がっていると思えるのは、少し神経質そうな表情と髪色……もともと文官を志していたという細身の体が震える。
まさかそんな化け物が領内で暴れているとは考えていなかったジェイソンのこめかみに汗が流れ、拳を椅子の肘置きへと叩きつけた。
甘すぎた……大したことのない魔物であるように都合よく考えていたこともあり、ミハエルが何かがおかしいと警告を発してもまともに取り合おうとはしていなかったのだ。
「……息子よ……お前が正しかったのだな……私の判断ミスということか」
「いえ……悪魔の出現は予想を超えております、父上の責任ではございません、ただ……」
ミハエルは父親へと一度視線を向けた後に、列席する寄子貴族たちへと感情の籠っていない冷たい視線を向ける。
少なくともミハエルが領内に入ってから、危険性や異常を訴えた時に軍隊を派遣できていれば無駄な被害は出なかったかもしれないのに。
冷たい視線を向けながら拳をぎゅっと握りしめるミハエル、そして……そんな当主と二人を見ながら、ザワザワと騒ぎ始めるサウンドガーデン公爵領の貴族達。
彼らに一度視線を向けた後、エルネットは少し辛そうな顔ながらも、一度胸に手を当ててからジェイソンへと報告する。
「閣下、領内で襲撃を受けた村落の被害は甚大ですが悪魔は滅ぼしております……私どもに協力を申し出て命を落とされたトビアス・エドガイ準男爵の家族に多大なる恩賞を」
「そ、そうだな……準男爵とはいえ領民を守ったエドガイ準男爵家の功績を認め、王家へ陞爵の申請を出そう……それと彼には幼い孫がおったな?」
「は、はい……まだ運営ができるような年齢ではないと聞いておりますが」
「領民を守った英雄の家族だぞ……エドガイ準男爵は戦でも活躍した武人だった、成長すれば素晴らしい騎士になるだろう……異論はないな!」
当主ジェイソンの言葉に列席していた貴族達が一斉に跪き恭順の意を示す。
彼自身の思惑はどうあれ、当主の実の息子ミハエルの行動によりイングウェイ王国最強の冒険者である「赤竜の息吹」を味方に引き入れ、悪魔を打ち滅ぼすことに成功した。
被害は甚大であったと言っても辺境に位置する平民が犠牲者の大半……復興のために新しい領民を入植させ、村を再建する事業は大きな利益と利権を生み出すだろう。
「……辺境地域における被害は大きい、だが我々はこの事件を教訓として領地の安全と対策を強化しなければならない! より一層領内における綱紀粛正、そして軍事能力の向上を図り2度とこの悲劇を起こしてはならないのだ!」
エルネットはミハエルと視線が合うとニコリと笑う……だがその表情はどことなく空虚で、何か言いたいことがあるもののようにも思えたがミハエルにはそれが何を意味しているのかわからない。
一度ため息をつくと、痛む体を衛兵に支えてもらいながらエルネットは退席していく……本当に死闘を尽くした結果なのだろう、あの怪我では数ヶ月は冒険者として活動することは難しい。
彼とその仲間にも多大な恩賞を支払う必要があるだろう、そして彼らを貸し出してくれた辺境の翡翠姫、シャルロッタ・インテリペリにも礼を伝えねばならないだろう。
約束があったな……とミハエルは一人の少女の顔を思い返す、青色の髪をしたあの平民の少女。
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