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第二九七話 シャルロッタ 一六歳 純真なる天使 〇七
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「神滅魔法……聖痕の乙女!」
「う、あ……なんだこれは……!」
わたくしの言葉に合わせ出現した巨大な女性像……銀色に鈍く光るその表面に亀裂が走ったかと思うと、扉が開け放たれると同時に、凄まじい数の鎖が虚空より伸びると怯えて動けなくなっているフェリピニアーダへと容赦なく巻きつく。
必死に抵抗しようとして身を捩るが黒い鎖はびくともしない……魔力に溢れた六情の悪魔が万全の状態であればこの鎖を引きちぎることもできたかもしれない。
だが、強制進化から無理やり元の姿へと戻った今のフェリピニアーダは完全に弱りきっている……復活までには相当な時間が必要だろうし、今すぐにどうにかできるならすでに姿を消していただろう。
「……知らない? 異世界では結構有名な拷問具なのよ?」
「バカな! このようなものを魔法で再現するだと?」
「……この聖痕の乙女に引き摺り込まれたものは魂ごと虚空の中で肉体を差し貫かれ消滅する」
「く……い、いやじゃ! 妾は第二階位……そして天使にまで進化したフェリピニアーダじゃぞ……!」
「うるせーな、さっさと滅びろこのゴミカスが」
「い、いやじゃあああああああああッ!」
聖痕の乙女に巻き取られたフェリピニアーダが虚空の中へと引き摺り込まれていく……それと同時に像の内部に突き出した無数の針が彼女の肉体を一気に刺し貫く。
そして差し貫かれた六情の悪魔はすぐに絶命することなく差し貫かれた傷から大量の血液を吹き出しながら悶え苦しむ。
元が拷問具だからな……しかも一撃で死なないような場所を狙って刺し貫く結構エグい構造になっている。
そんな様子を実地見つめていると、必死にもがきながら徐々に閉まる扉の中からフェリピニアーダはわたくしに視線を向けると叫び始めた。
「クギャハ……妾を倒していい気になっておるようだが……貴様は訓戒者筆頭の恐ろしさを知らぬ……」
「訓戒者筆頭?」
「カハハハハ! お主は強いだろうが、一〇〇〇年の時を経てこの王国に巣食いし我らの指導者……彼の方には決して勝てんよ!」
「闇征く者……か?」
「ウヒイイイ! 痛い! 痛い! この痛み決して忘れんぞシャルロッタ・インテリペリ……貴様が冥界へと落ちるその時に妾がお主を嘲笑ってやる……」
「……そんな時が来ればいいわね……閉門せよ」
「ヒャハハハハアハハハハハハ!」
徐々に閉まっていく聖痕の乙女の扉の奥で、フェリピニアーダは狂ったような笑い声を上げ続ける。
ガシャーン! という大きな音を立てて完全に扉が閉まった聖痕の乙女は徐々にその姿を空気のように溶け込ませていく。
まだ耳に残っている狂ったような笑い声が完全に消え去るまで、わたくしは先ほどまで空に浮かんでいた女性像の付近をじっと見上げていた。
フェリピニアーダとの戦いは短かったが、なんだか永遠に戦っている気分だったな……ホッと胸を撫で下ろすとわたくしは流石に立っていられなくなり、がっくりと腰を下ろすがそんなわたくしへと話しかける声が聞こえた。
「……ほ、本当に凄まじい力を……持っていたのね……」
「ソフィーヤ様……! い、今すぐ傷を……」
「……いや、もう私は……ダメそうね……」
その声で我に帰るとわたくしはすぐに彼女の元へと必死に駆け寄る……すでに足腰にはあまり力が入らない、そりゃそうだ訓戒者と六情の悪魔相手に連戦を続けたのだから。
だが、それでも今目の前で消え入ろうとする命を見捨てることはできない、わたくしは元勇者なのだから……彼女の顔色は失血で青白くなっており、話すことすらもはや辛い状況なのだろう。
まずい、このままでは彼女が死んでしまう……わたくしはすぐに彼女を救うと決めて、優しく彼女を抱き抱えるが、それだけでもぼたぼたと大量の血液が地面を、わたくしの衣服を汚していく。
彼女の腹部を貫く不滅を瞬時に虚空へと収納すると、すぐに修復をかけて傷を塞いでいく……だが確実に傷を塞いだにも関わらずソフィーヤ様の顔色は元に戻らない。
なんでだ?! 修復をかけたのだから失血もある程度までは戻るはずだ……焦って彼女の顔を見ると、それまでに見たどんな彼女よりも柔らかく優しく微笑んでいた。
「……いいの、もう魂自体に傷が入ってしまったみたい……傷じゃない……」
「そ、そんなはずは……これで何人も直してきたんですよ、だから……!」
「悪魔との融合……天使への変化……そして元へと戻った私……人間の肉体には……もう」
「……そ、そんな……ダメですよ、ソフィーヤ様はいつも勝ち気で……気が強くて……」
わたくしは何度も彼女の肉体に修復をかけるが、どんどん命の火が消えていくのがわかってしまう……わたくしは完全に混乱していた。
あの時ソフィーヤ様は自らの意思で悪魔の支配を脱却した……正直に言えば最初はあまり好きになれない人だなと思っていたが、あの時の彼女は確実に聖女を体現した意志の強さを見せてくれた。
本物の聖女だ……それだけの資格がある人なのだ、そんな人をここで死なせるわけにはいかない……わたくしは震える手で彼女の体を温めようとさすりながら何度も修復をかけていく。
だめだ、死ぬな……わたくしの視界が涙で歪むが、そんなわたくしを見てソフィーヤ様が驚いたような表情を浮かべると、苦笑して小さな声で呟く。
「……やめてよ、私あなたのこと……殺そうとしたのよ?」
「貴女の言葉でわたくしはあの悪魔を倒すことができました……貴女の意思がわたくしを動かしました……だから死なないでください……」
「……本当に優しいわね、だからクリストフェル様も……」
少し荒い息のままソフィーヤ様は軽くため息をつくと、わたくしが必死に体を温めようとする手を軽く握ってから柔らかく微笑んだ。
その手の冷たさからどんどん命の火が彼女から失われていくのがわかる……どうすればいい? どうすれば命を救えるのだ。
わたくしがボロボロと涙をこぼしながら彼女の手を握ると、ソフィーヤ様は力なくその手を再び握り返してから血まみれの手でわたくしの頬をそっと撫でる。
「……何であんなに嫌いだったのかしら……今じゃこんなに可愛いって思えるのに」
「……ダメです……気持ちを強く……!」
「……でもダメよ、私貴女のこと嫌いだって言い続けたんだもの……だから憎まれた方が……」
「ソフィーヤ様ッ! 目を開けて!」
「……もう眠い……ごめんね泥棒猫ちゃん……今度は貴女と……友……」
その言葉と同時にソフィーヤ様の全身から力が抜ける……がっくりと腕の中で消えていく命がわたくしの喉の奥から声にならない呻き声を絞り出していく。
確かに全力で戦った……だけど殺したいと思ったわけじゃない、できれば元に戻したいと思っていた……戻せるとも、勇者としての力で救えるのだと。
プリムローズ様のように救えると思ってたんだ……わたくしは冷たくなった彼女の亡骸を抱えながら、溢れ出る涙を堪えられずに声を上げずに泣き続けた。
その時彼女の体から光がふわりと浮き出ていく……それは美しく純白に輝く光、神聖な力と魂を載せてふわりと空へと舞い上がっていく。
涙で濡れた目でわたくしはその光が空へと舞い上がっていくのをじっと見つめ、そしてポツリと消えゆく光がふとわたくしに語りかけたような気がして再び彼女の亡骸に顔を埋めた。
『……シャルロッタ・インテリペリ……クリストフェル殿下をよろしくね……』
「……戦闘の音が消えたな……ご無事なのだろうか……」
それまでクラカト丘陵を責め立てていた第一王子派の軍勢の中で、唯一混乱を治め整然と隊列を組んでいた神聖騎士団騎士隊長ディル・アトキンスはそれまでの異変が嘘のように静まり返った丘陵へと視線を向ける。
あの時ソフィーヤ嬢は戦場に向かうと宣言すると、神聖騎士団を前に撤退の号令をかけていた……『貴女たちはお父様の大事な騎士、私と共に戦う必要はありません』と。
それまで少し不気味な雰囲気を醸し出していたはずの彼女は、優しく微笑みまさに慈愛の女神のような表情で彼らへと別れを告げていた。
「死ぬ気だったのかもしれない……いや、そんなことは……」
ディルは懐に忍ばせたソフィーヤ嬢が渡してきた書状のあたりをそっと撫でる……これを父へと渡せと、彼女は真剣な眼差しで手渡してきた。
思えばあの時すでにソフィーヤ嬢は死ぬ覚悟を決めたのかもしれない……幼少期から素晴らしい司祭としての力量を発揮し、聖女としての才覚を見せていた。
多少わがままで制御の効かない部分はあったものの、公爵家の令嬢としては及第点であり社交の場においても高位貴族の風格を漂わせる素晴らしい淑女でもあった。
だからこそ……神聖騎士団はハルフォード公爵家の令嬢のために身を粉にして戦っていた。
彼らが怪我をした際には親身になって治療にあたっていた姿を彼らは全て覚えており、少し我儘だが愛すべき聖女のために命をかけていたのだ。
確かに彼女は騎士団の預かり知らぬところで人を犠牲にしていた……だが、それが本心だったのか、それとも何者かに操られてそうしたのかはすでにもうわからない。
ディルは意気消沈しながらも整然と隊列を組んで王都へと撤退していく神聖騎士団の騎士たちを叱咤しつつ、必ず皆の元へと戻るであろう聖女ソフィーヤ・ハルフォードのために祈りを捧げた。
「……女神よ、我らがお嬢様が無事に本懐を遂げられるように……お守りください」
「う、あ……なんだこれは……!」
わたくしの言葉に合わせ出現した巨大な女性像……銀色に鈍く光るその表面に亀裂が走ったかと思うと、扉が開け放たれると同時に、凄まじい数の鎖が虚空より伸びると怯えて動けなくなっているフェリピニアーダへと容赦なく巻きつく。
必死に抵抗しようとして身を捩るが黒い鎖はびくともしない……魔力に溢れた六情の悪魔が万全の状態であればこの鎖を引きちぎることもできたかもしれない。
だが、強制進化から無理やり元の姿へと戻った今のフェリピニアーダは完全に弱りきっている……復活までには相当な時間が必要だろうし、今すぐにどうにかできるならすでに姿を消していただろう。
「……知らない? 異世界では結構有名な拷問具なのよ?」
「バカな! このようなものを魔法で再現するだと?」
「……この聖痕の乙女に引き摺り込まれたものは魂ごと虚空の中で肉体を差し貫かれ消滅する」
「く……い、いやじゃ! 妾は第二階位……そして天使にまで進化したフェリピニアーダじゃぞ……!」
「うるせーな、さっさと滅びろこのゴミカスが」
「い、いやじゃあああああああああッ!」
聖痕の乙女に巻き取られたフェリピニアーダが虚空の中へと引き摺り込まれていく……それと同時に像の内部に突き出した無数の針が彼女の肉体を一気に刺し貫く。
そして差し貫かれた六情の悪魔はすぐに絶命することなく差し貫かれた傷から大量の血液を吹き出しながら悶え苦しむ。
元が拷問具だからな……しかも一撃で死なないような場所を狙って刺し貫く結構エグい構造になっている。
そんな様子を実地見つめていると、必死にもがきながら徐々に閉まる扉の中からフェリピニアーダはわたくしに視線を向けると叫び始めた。
「クギャハ……妾を倒していい気になっておるようだが……貴様は訓戒者筆頭の恐ろしさを知らぬ……」
「訓戒者筆頭?」
「カハハハハ! お主は強いだろうが、一〇〇〇年の時を経てこの王国に巣食いし我らの指導者……彼の方には決して勝てんよ!」
「闇征く者……か?」
「ウヒイイイ! 痛い! 痛い! この痛み決して忘れんぞシャルロッタ・インテリペリ……貴様が冥界へと落ちるその時に妾がお主を嘲笑ってやる……」
「……そんな時が来ればいいわね……閉門せよ」
「ヒャハハハハアハハハハハハ!」
徐々に閉まっていく聖痕の乙女の扉の奥で、フェリピニアーダは狂ったような笑い声を上げ続ける。
ガシャーン! という大きな音を立てて完全に扉が閉まった聖痕の乙女は徐々にその姿を空気のように溶け込ませていく。
まだ耳に残っている狂ったような笑い声が完全に消え去るまで、わたくしは先ほどまで空に浮かんでいた女性像の付近をじっと見上げていた。
フェリピニアーダとの戦いは短かったが、なんだか永遠に戦っている気分だったな……ホッと胸を撫で下ろすとわたくしは流石に立っていられなくなり、がっくりと腰を下ろすがそんなわたくしへと話しかける声が聞こえた。
「……ほ、本当に凄まじい力を……持っていたのね……」
「ソフィーヤ様……! い、今すぐ傷を……」
「……いや、もう私は……ダメそうね……」
その声で我に帰るとわたくしはすぐに彼女の元へと必死に駆け寄る……すでに足腰にはあまり力が入らない、そりゃそうだ訓戒者と六情の悪魔相手に連戦を続けたのだから。
だが、それでも今目の前で消え入ろうとする命を見捨てることはできない、わたくしは元勇者なのだから……彼女の顔色は失血で青白くなっており、話すことすらもはや辛い状況なのだろう。
まずい、このままでは彼女が死んでしまう……わたくしはすぐに彼女を救うと決めて、優しく彼女を抱き抱えるが、それだけでもぼたぼたと大量の血液が地面を、わたくしの衣服を汚していく。
彼女の腹部を貫く不滅を瞬時に虚空へと収納すると、すぐに修復をかけて傷を塞いでいく……だが確実に傷を塞いだにも関わらずソフィーヤ様の顔色は元に戻らない。
なんでだ?! 修復をかけたのだから失血もある程度までは戻るはずだ……焦って彼女の顔を見ると、それまでに見たどんな彼女よりも柔らかく優しく微笑んでいた。
「……いいの、もう魂自体に傷が入ってしまったみたい……傷じゃない……」
「そ、そんなはずは……これで何人も直してきたんですよ、だから……!」
「悪魔との融合……天使への変化……そして元へと戻った私……人間の肉体には……もう」
「……そ、そんな……ダメですよ、ソフィーヤ様はいつも勝ち気で……気が強くて……」
わたくしは何度も彼女の肉体に修復をかけるが、どんどん命の火が消えていくのがわかってしまう……わたくしは完全に混乱していた。
あの時ソフィーヤ様は自らの意思で悪魔の支配を脱却した……正直に言えば最初はあまり好きになれない人だなと思っていたが、あの時の彼女は確実に聖女を体現した意志の強さを見せてくれた。
本物の聖女だ……それだけの資格がある人なのだ、そんな人をここで死なせるわけにはいかない……わたくしは震える手で彼女の体を温めようとさすりながら何度も修復をかけていく。
だめだ、死ぬな……わたくしの視界が涙で歪むが、そんなわたくしを見てソフィーヤ様が驚いたような表情を浮かべると、苦笑して小さな声で呟く。
「……やめてよ、私あなたのこと……殺そうとしたのよ?」
「貴女の言葉でわたくしはあの悪魔を倒すことができました……貴女の意思がわたくしを動かしました……だから死なないでください……」
「……本当に優しいわね、だからクリストフェル様も……」
少し荒い息のままソフィーヤ様は軽くため息をつくと、わたくしが必死に体を温めようとする手を軽く握ってから柔らかく微笑んだ。
その手の冷たさからどんどん命の火が彼女から失われていくのがわかる……どうすればいい? どうすれば命を救えるのだ。
わたくしがボロボロと涙をこぼしながら彼女の手を握ると、ソフィーヤ様は力なくその手を再び握り返してから血まみれの手でわたくしの頬をそっと撫でる。
「……何であんなに嫌いだったのかしら……今じゃこんなに可愛いって思えるのに」
「……ダメです……気持ちを強く……!」
「……でもダメよ、私貴女のこと嫌いだって言い続けたんだもの……だから憎まれた方が……」
「ソフィーヤ様ッ! 目を開けて!」
「……もう眠い……ごめんね泥棒猫ちゃん……今度は貴女と……友……」
その言葉と同時にソフィーヤ様の全身から力が抜ける……がっくりと腕の中で消えていく命がわたくしの喉の奥から声にならない呻き声を絞り出していく。
確かに全力で戦った……だけど殺したいと思ったわけじゃない、できれば元に戻したいと思っていた……戻せるとも、勇者としての力で救えるのだと。
プリムローズ様のように救えると思ってたんだ……わたくしは冷たくなった彼女の亡骸を抱えながら、溢れ出る涙を堪えられずに声を上げずに泣き続けた。
その時彼女の体から光がふわりと浮き出ていく……それは美しく純白に輝く光、神聖な力と魂を載せてふわりと空へと舞い上がっていく。
涙で濡れた目でわたくしはその光が空へと舞い上がっていくのをじっと見つめ、そしてポツリと消えゆく光がふとわたくしに語りかけたような気がして再び彼女の亡骸に顔を埋めた。
『……シャルロッタ・インテリペリ……クリストフェル殿下をよろしくね……』
「……戦闘の音が消えたな……ご無事なのだろうか……」
それまでクラカト丘陵を責め立てていた第一王子派の軍勢の中で、唯一混乱を治め整然と隊列を組んでいた神聖騎士団騎士隊長ディル・アトキンスはそれまでの異変が嘘のように静まり返った丘陵へと視線を向ける。
あの時ソフィーヤ嬢は戦場に向かうと宣言すると、神聖騎士団を前に撤退の号令をかけていた……『貴女たちはお父様の大事な騎士、私と共に戦う必要はありません』と。
それまで少し不気味な雰囲気を醸し出していたはずの彼女は、優しく微笑みまさに慈愛の女神のような表情で彼らへと別れを告げていた。
「死ぬ気だったのかもしれない……いや、そんなことは……」
ディルは懐に忍ばせたソフィーヤ嬢が渡してきた書状のあたりをそっと撫でる……これを父へと渡せと、彼女は真剣な眼差しで手渡してきた。
思えばあの時すでにソフィーヤ嬢は死ぬ覚悟を決めたのかもしれない……幼少期から素晴らしい司祭としての力量を発揮し、聖女としての才覚を見せていた。
多少わがままで制御の効かない部分はあったものの、公爵家の令嬢としては及第点であり社交の場においても高位貴族の風格を漂わせる素晴らしい淑女でもあった。
だからこそ……神聖騎士団はハルフォード公爵家の令嬢のために身を粉にして戦っていた。
彼らが怪我をした際には親身になって治療にあたっていた姿を彼らは全て覚えており、少し我儘だが愛すべき聖女のために命をかけていたのだ。
確かに彼女は騎士団の預かり知らぬところで人を犠牲にしていた……だが、それが本心だったのか、それとも何者かに操られてそうしたのかはすでにもうわからない。
ディルは意気消沈しながらも整然と隊列を組んで王都へと撤退していく神聖騎士団の騎士たちを叱咤しつつ、必ず皆の元へと戻るであろう聖女ソフィーヤ・ハルフォードのために祈りを捧げた。
「……女神よ、我らがお嬢様が無事に本懐を遂げられるように……お守りください」
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