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第三三八話 シャルロッタ 一六歳 序曲 〇八
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「婚約者殿……この道でよろしいですか?」
「ああ、この通路は普段侍女とかしか使わないんだ……少し曲がりくねっているけど、ちゃんと謁見の間には繋がっているよ」
イングウェイ王国第二王子クリストフェル・マルムスティーンと幻獣ガルム族のユルは王宮内部に設けられた閑散とした通路の中央を進んでいた。
謁見の間へと向かう通路で貴族達が使う大きな廊下は広く清掃も行き届いたものだが、その分悪魔などの配置が予想される。
実際にスキアザンの配置されていた廊下は客間を使った貴族が謁見の間へと向かうために設けられた主要な廊下の一つになっており、クリストフェルはその廊下に数体の悪魔が配置されていると考えていた。
そこで……普段は次女などが使用している裏通りと呼ばれる廊下、ここは王宮内部でも立場の低い者が利用するとされる通路だがそこを使って一気に謁見のままで辿り着くことにしたのだ。
「連戦で消耗するのは僕らにとって不利だからね……少しでも敵を避けた方が効率が良いだろう」
「そうですな……スキアザンレベルの悪魔が配置されてるとなると、かなり苦戦しそうです」
残念ながらクリストフェルやユルはシャルロッタほどの強さを持ち合わせておらず、彼女であれば一蹴できるであろう存在にも全力でぶつからなければならない。
死病の悪魔と倒したとはいえ、敵側にはまだ首魁と思しき存在も残っており用心に越したことはないとユルも同意している。
その時城のどこかでズ、ズン! という音が響いた気がしてユルとクリストフェルは同時にその音の方向へと視線を向ける。
誰かが戦っている? この城へと突入したのはクリストフェルとユル、エルネットに侍従二人……エルネットは侍従を守るために残しているため、それ以外の誰かがいるのだろうか?
「……まさかとは思いますが、エルネット卿の方で何かあったのでは?」
「そうだったとしても今から戻るわけにはいかないよ」
クリストフェルはユルの言葉に首を横に振る……彼の記憶ではもう謁見の間は近く、ここで戻ってしまうと再びここを使う際に悪魔を配置されてしまう可能性も残っている。
そうなると今度はエルネットを連れて戦いに赴くしかなくなり、ヴィクターとマリアンがさらに危なくなる……と思っていた。
実際にはすでにヴィクターとマリアンはエルネットから離れてしまっているのだが……離れているためにその事実を知ることはない。
またクリストフェルの性格上目標を達成していない状態で簡単に後退してしまうことに迷いもあった、もう少しで実兄であるアンダースと会うことができるかもしれない。
彼はどうしても兄が本心からこのような事態を引き起こしたとは信じることができなかった……敵として戦った時ですらアンダースは姑息な方法を取ろうとしなかった。
話せばもしかしたら……というかすかな希望を捨てきれていない、幼い頃の兄の姿や記憶は優しかったのだ。
「……今戻って兄の真意や意志を確認できなくなる方が、僕はこの国のためにならないと思う」
「……シャルも同じことを言う気がしました……全く……」
ユルからすればクリストフェルの震える手が本心を表している気がしている、ヴィクターやマリアンがもしかしたら危険に晒されているかもしれないという心配は感じている。
だがそれでも、大元となる存在を滅ぼすことができれば……兄を正気に戻すことができれば、危険を一掃できる可能性がとても高い。
その思いが引き返すという気持ちを抑え込んでおり、クリストフェルは少しでも早くこの状況を好転したいとある意味思い詰めているのかもしれない。
それがわかるゆえにユルは多少なりともクリストフェルに冷静になるように伝えたいと思ったが、どうすれば諭せるのかうまく思いついていない。
「……ユルすまないな……本来は君が心配することではないだろう、彼女との契約上どうしても従わなきゃいけないというのは分かってるが……」
「いえ、シャルなら貴方を助けるでしょうし、止めはしますまい」
なんやかんや言いつつもシャルロッタはクリストフェルを助けたいと考えているし、大事な人間だとも認識している……それは契約によって深く繋がったことでより一層理解できている。
だからこそこの勇者の器を持つ次世代の勇者……今は覚醒の途中ではあるが、その彼を助けることがシャルロッタ自身の幸せや喜びにつながることをユルは感じていた。
埃っぽい通路の周囲を鋭敏な知覚と魔力探査によって調べ尽くしていく……やはりこの通路には人の気配はない、いや少し前まであったのだがなんらかの原因でその全てが駆逐されてしまっている。
おそらく虐殺が行われたのだろう……微かな血の匂いが漂っていることにクリストフェルも気がついたようだ、歯を食いしばって叫び出したいのを必死に我慢している。
「……くそ……オーヴァチュア城で殺戮なんか……」
「悪魔により駆逐されたのでしょうね……やはり早めに謁見の間にて兄上殿を……」
「……まて、なんの匂いだこれは……」
二人はほぼ同時に何かが腐敗したような、それでいてひどく嫌な匂いを嗅ぎ取るとお互いに目を見合わせる……死臭のような臭いではなく、もっと生理的に嫌悪感を感じる匂い。
それは通路の先、謁見の間の方向から漂っているようにも思える……凄まじく嫌な予感を感じクリストフェル達は咄嗟に走り出す。
左右に曲がる廊下を抜けていくに従って、その嫌な匂いの中にまるで巨大な何かが這いずるような音が聞こえてくる……それは巨大な蛇かそれとも海棲の軟体動物がのたうつような音だった。
「何が……何が起きて……」
「強い混沌の匂い……! 婚約者殿、こいつは……」
廊下を抜け切った先、謁見の間にあたる場所に二人が出るとそこには異様な光景が広がっていた……黒くヌメヌメとした外皮、そしてギョロリと謁見の間への侵入者を見つめる数多くの瞳は金色に光っている。
皮膚の表面は蛇のような、それでいて軟体動物のように鈍い光沢を持っているが、そのところどころが突然ボコン、と音を立てて湧き立ち破裂しているのが見え、その度に嫌な匂いを撒き散らしている。
謁見の間の天井までも伸びたその触手とも液体ともつかない不定形の腫瘍は、ところどころが脈打つように痙攣を繰り返すと、外皮にできた穴に唇が生まれ呻き声をあげる。
濃厚な混沌の気配……見るだけで視界が歪むような、それでいてはっきりとその狂気じみた姿を見せつけられるような、とてもではないが目を逸らすことができない存在感を放っている。
「ま、まずいですぞ……これは……濃縮された邪悪の腫瘍と言ってもいい……」
「……な、なんで……」
その巨大な腫瘍の中心に、人の顔のようなものが存在していることにクリストフェルは気がつくと大きく目を見開いた。
その顔は幼い頃より見上げていた一人の男性……意識はないようで白目を剥いてあらぬ方向へ顔を向けており、口を半開きにしたままそこで生きていた。
第一王子にして国王代理たるアンダース・マルムスティーン……肉体の大半を腫瘍に埋没されながら、その男性は呻き声をあげている。
クリストフェルは声を上げることができずにいた……彼の目には兄はまだ生きていることがわかったものの、その魔力の流れは腫瘍全体と混ぜ合わされ、もはや分離することなど難しい状態にあるからだ。
「……アンダース国王代理……ですな」
「兄上……」
クリストフェルはようやく言葉を絞り出す……少し前まで彼は人間の姿でしっかりと軍の指揮をとっている、と思い込んでいたからだ。
実際に王都に入った後クリストフェルは第一王子派の動向を聞いていたが、その時にもアンダースは少し前まで指揮をとっていたと聞かされていた。
確かに直前に確認をした時には酒浸りで引きこもっているとは聞いていたのだが……それはこのような状況になってしまっていたからだろうか?
いつからだ? いつからこのような姿に……一歩前に出ようとしたクリストフェルの動きに反応したのか、凄まじい数の黄金の瞳が一斉に彼を睨みつけると、複数ある口は彼に向かって語りかける。
『勇者の器……よくぞここまで来た』
「……ッ!」
『我の前に姿を見せたこと、まずは祝ってやろう……』
凄まじい圧力……クリストフェルの背後でユルは恐怖で体を完全に硬直させ、身動きすらとることができなくなっている。
クリストフェルは目の前の腫瘍がなんであるのか、本能的に気がついた……これは混沌の力を凝縮した堕落の種子であり、その種子は開花することで一つの存在を産み落とすのだ。
体に流れる血が、勇者としての素質がその言葉を紡ぎ出す……『魔王』……まだ復活には時間がかかるということだけはなんとなく理解できる。
クリストフェルは腰の剣を引き抜く……体に流れる血が目の前の存在を滅ぼさなければいけない、と告げていた。
「ま、魔王……ッ!? どうしてこんな場所で……」
『いかにも……我は其方達の言葉で言うところの魔王であるぞ、図が高い……』
ゴボッ……と表皮のいくつかが破裂すると、そこから流れ出る血液にも似た液体が謁見の間の床を汚す……黒い煙をあげると嫌な匂いが鼻を付き、クリストフェルは軽く咳き込んだ。
ひどい匂いだ、そして身体を締め付けるような威圧感に次第に気分が悪くなってくる……クリストフェルは喉の奥から込み上げる何かを押さえ込もうと口元を押さえた。
それを黄金の瞳がじっと見つめると、いくつかある口がまるで嘲笑うように歪む……そして腫瘍全体がブルブルと震えると同時に、謁見の間全体がグラグラと揺れる。
よほど可笑しかったのか、腫瘍の震えはしばらく止まることはなく、次第に落ち着きを見せた後に魔王の口から言葉が紡ぎ出された。
『……そうか我の代弁者達を殺して回ったのはお主ではない、そしてお主では我を殺せんよ……』
「ああ、この通路は普段侍女とかしか使わないんだ……少し曲がりくねっているけど、ちゃんと謁見の間には繋がっているよ」
イングウェイ王国第二王子クリストフェル・マルムスティーンと幻獣ガルム族のユルは王宮内部に設けられた閑散とした通路の中央を進んでいた。
謁見の間へと向かう通路で貴族達が使う大きな廊下は広く清掃も行き届いたものだが、その分悪魔などの配置が予想される。
実際にスキアザンの配置されていた廊下は客間を使った貴族が謁見の間へと向かうために設けられた主要な廊下の一つになっており、クリストフェルはその廊下に数体の悪魔が配置されていると考えていた。
そこで……普段は次女などが使用している裏通りと呼ばれる廊下、ここは王宮内部でも立場の低い者が利用するとされる通路だがそこを使って一気に謁見のままで辿り着くことにしたのだ。
「連戦で消耗するのは僕らにとって不利だからね……少しでも敵を避けた方が効率が良いだろう」
「そうですな……スキアザンレベルの悪魔が配置されてるとなると、かなり苦戦しそうです」
残念ながらクリストフェルやユルはシャルロッタほどの強さを持ち合わせておらず、彼女であれば一蹴できるであろう存在にも全力でぶつからなければならない。
死病の悪魔と倒したとはいえ、敵側にはまだ首魁と思しき存在も残っており用心に越したことはないとユルも同意している。
その時城のどこかでズ、ズン! という音が響いた気がしてユルとクリストフェルは同時にその音の方向へと視線を向ける。
誰かが戦っている? この城へと突入したのはクリストフェルとユル、エルネットに侍従二人……エルネットは侍従を守るために残しているため、それ以外の誰かがいるのだろうか?
「……まさかとは思いますが、エルネット卿の方で何かあったのでは?」
「そうだったとしても今から戻るわけにはいかないよ」
クリストフェルはユルの言葉に首を横に振る……彼の記憶ではもう謁見の間は近く、ここで戻ってしまうと再びここを使う際に悪魔を配置されてしまう可能性も残っている。
そうなると今度はエルネットを連れて戦いに赴くしかなくなり、ヴィクターとマリアンがさらに危なくなる……と思っていた。
実際にはすでにヴィクターとマリアンはエルネットから離れてしまっているのだが……離れているためにその事実を知ることはない。
またクリストフェルの性格上目標を達成していない状態で簡単に後退してしまうことに迷いもあった、もう少しで実兄であるアンダースと会うことができるかもしれない。
彼はどうしても兄が本心からこのような事態を引き起こしたとは信じることができなかった……敵として戦った時ですらアンダースは姑息な方法を取ろうとしなかった。
話せばもしかしたら……というかすかな希望を捨てきれていない、幼い頃の兄の姿や記憶は優しかったのだ。
「……今戻って兄の真意や意志を確認できなくなる方が、僕はこの国のためにならないと思う」
「……シャルも同じことを言う気がしました……全く……」
ユルからすればクリストフェルの震える手が本心を表している気がしている、ヴィクターやマリアンがもしかしたら危険に晒されているかもしれないという心配は感じている。
だがそれでも、大元となる存在を滅ぼすことができれば……兄を正気に戻すことができれば、危険を一掃できる可能性がとても高い。
その思いが引き返すという気持ちを抑え込んでおり、クリストフェルは少しでも早くこの状況を好転したいとある意味思い詰めているのかもしれない。
それがわかるゆえにユルは多少なりともクリストフェルに冷静になるように伝えたいと思ったが、どうすれば諭せるのかうまく思いついていない。
「……ユルすまないな……本来は君が心配することではないだろう、彼女との契約上どうしても従わなきゃいけないというのは分かってるが……」
「いえ、シャルなら貴方を助けるでしょうし、止めはしますまい」
なんやかんや言いつつもシャルロッタはクリストフェルを助けたいと考えているし、大事な人間だとも認識している……それは契約によって深く繋がったことでより一層理解できている。
だからこそこの勇者の器を持つ次世代の勇者……今は覚醒の途中ではあるが、その彼を助けることがシャルロッタ自身の幸せや喜びにつながることをユルは感じていた。
埃っぽい通路の周囲を鋭敏な知覚と魔力探査によって調べ尽くしていく……やはりこの通路には人の気配はない、いや少し前まであったのだがなんらかの原因でその全てが駆逐されてしまっている。
おそらく虐殺が行われたのだろう……微かな血の匂いが漂っていることにクリストフェルも気がついたようだ、歯を食いしばって叫び出したいのを必死に我慢している。
「……くそ……オーヴァチュア城で殺戮なんか……」
「悪魔により駆逐されたのでしょうね……やはり早めに謁見の間にて兄上殿を……」
「……まて、なんの匂いだこれは……」
二人はほぼ同時に何かが腐敗したような、それでいてひどく嫌な匂いを嗅ぎ取るとお互いに目を見合わせる……死臭のような臭いではなく、もっと生理的に嫌悪感を感じる匂い。
それは通路の先、謁見の間の方向から漂っているようにも思える……凄まじく嫌な予感を感じクリストフェル達は咄嗟に走り出す。
左右に曲がる廊下を抜けていくに従って、その嫌な匂いの中にまるで巨大な何かが這いずるような音が聞こえてくる……それは巨大な蛇かそれとも海棲の軟体動物がのたうつような音だった。
「何が……何が起きて……」
「強い混沌の匂い……! 婚約者殿、こいつは……」
廊下を抜け切った先、謁見の間にあたる場所に二人が出るとそこには異様な光景が広がっていた……黒くヌメヌメとした外皮、そしてギョロリと謁見の間への侵入者を見つめる数多くの瞳は金色に光っている。
皮膚の表面は蛇のような、それでいて軟体動物のように鈍い光沢を持っているが、そのところどころが突然ボコン、と音を立てて湧き立ち破裂しているのが見え、その度に嫌な匂いを撒き散らしている。
謁見の間の天井までも伸びたその触手とも液体ともつかない不定形の腫瘍は、ところどころが脈打つように痙攣を繰り返すと、外皮にできた穴に唇が生まれ呻き声をあげる。
濃厚な混沌の気配……見るだけで視界が歪むような、それでいてはっきりとその狂気じみた姿を見せつけられるような、とてもではないが目を逸らすことができない存在感を放っている。
「ま、まずいですぞ……これは……濃縮された邪悪の腫瘍と言ってもいい……」
「……な、なんで……」
その巨大な腫瘍の中心に、人の顔のようなものが存在していることにクリストフェルは気がつくと大きく目を見開いた。
その顔は幼い頃より見上げていた一人の男性……意識はないようで白目を剥いてあらぬ方向へ顔を向けており、口を半開きにしたままそこで生きていた。
第一王子にして国王代理たるアンダース・マルムスティーン……肉体の大半を腫瘍に埋没されながら、その男性は呻き声をあげている。
クリストフェルは声を上げることができずにいた……彼の目には兄はまだ生きていることがわかったものの、その魔力の流れは腫瘍全体と混ぜ合わされ、もはや分離することなど難しい状態にあるからだ。
「……アンダース国王代理……ですな」
「兄上……」
クリストフェルはようやく言葉を絞り出す……少し前まで彼は人間の姿でしっかりと軍の指揮をとっている、と思い込んでいたからだ。
実際に王都に入った後クリストフェルは第一王子派の動向を聞いていたが、その時にもアンダースは少し前まで指揮をとっていたと聞かされていた。
確かに直前に確認をした時には酒浸りで引きこもっているとは聞いていたのだが……それはこのような状況になってしまっていたからだろうか?
いつからだ? いつからこのような姿に……一歩前に出ようとしたクリストフェルの動きに反応したのか、凄まじい数の黄金の瞳が一斉に彼を睨みつけると、複数ある口は彼に向かって語りかける。
『勇者の器……よくぞここまで来た』
「……ッ!」
『我の前に姿を見せたこと、まずは祝ってやろう……』
凄まじい圧力……クリストフェルの背後でユルは恐怖で体を完全に硬直させ、身動きすらとることができなくなっている。
クリストフェルは目の前の腫瘍がなんであるのか、本能的に気がついた……これは混沌の力を凝縮した堕落の種子であり、その種子は開花することで一つの存在を産み落とすのだ。
体に流れる血が、勇者としての素質がその言葉を紡ぎ出す……『魔王』……まだ復活には時間がかかるということだけはなんとなく理解できる。
クリストフェルは腰の剣を引き抜く……体に流れる血が目の前の存在を滅ぼさなければいけない、と告げていた。
「ま、魔王……ッ!? どうしてこんな場所で……」
『いかにも……我は其方達の言葉で言うところの魔王であるぞ、図が高い……』
ゴボッ……と表皮のいくつかが破裂すると、そこから流れ出る血液にも似た液体が謁見の間の床を汚す……黒い煙をあげると嫌な匂いが鼻を付き、クリストフェルは軽く咳き込んだ。
ひどい匂いだ、そして身体を締め付けるような威圧感に次第に気分が悪くなってくる……クリストフェルは喉の奥から込み上げる何かを押さえ込もうと口元を押さえた。
それを黄金の瞳がじっと見つめると、いくつかある口がまるで嘲笑うように歪む……そして腫瘍全体がブルブルと震えると同時に、謁見の間全体がグラグラと揺れる。
よほど可笑しかったのか、腫瘍の震えはしばらく止まることはなく、次第に落ち着きを見せた後に魔王の口から言葉が紡ぎ出された。
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