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不思議な夢と現実と餌
2年前の話
しおりを挟む意味が分からない。正体不明の人物から連絡を受けた父親は、ジム仲間の友人からのものと思い込んだのか、それとも単なる人違いなのか。
「思うに、これは多分仕組まれたものだと思う」
「仕組まれたって。え、まさか意図的な連絡だと言いたいのか?」
「そうだよ。連絡の経緯は例えば、こうだ。父親の友人がジムに向かう。ジムで汗を流しているときにロッカーを開けた奴がいる。スマホを勝手に拝借して友人のフリをする。父親に通報後、通話歴を消してからスマホをロッカーに戻す」
「なんだそれ!」
「ナインズによるものなのか、岸光牙自身が狙ってやったのか、それとも嫉妬したパンファミのメンバー内で嫌がらせ的に仕掛けたのか、防犯カメラは更衣室にはないから目撃者もいなくて確かめようがなかった」
「他に証拠とか見つからなかったのか?」
「電話の相手が誰だったのかを調べるのに、更衣室に入る直前の出入り口の様子なら防犯カメラは取り付けてあった。でも何かを盗られたわけじゃないから警察に相談も難しいだろう。ジムの施設側に問い合わせても一般人には見せてくれない。俺の力をもってしてもダメだった。そもそも防犯カメラのデータは既にないんだよ」
「ないのか……」
「浮気を調査する対象期間は2023年の一年間。既に2年前の話だしな」
碧山が探れないとするなら諦めるしかない。岸か与田が電話の工作に関与していたのか自ら話してくれないと、これはハッキリしないだろう。
「じゃあ離婚以降はどうしたんだ?」
「追跡調査したところ当時付き合っていた女たちは、いずれも今は誰とも繋がっていない。女遊びを現状はしていないようだ。まぁ、女の影がなくなったというか、あるいは慎重に本命と密かに付き合い始めたのか、色々考えられるが俺の調査員たちのリサーチには引っ掛からなくなった」
女性関係を完全に清算したということだろうか。スキャンダルを恐れてハデな遊びをしなくなったのかもしれないが、単に仕事に忙殺されて遊べるほどの時間がないだけかもしれない。
「リーダーの女関係については分かったよ。で、報告は他にもあるんだろ?」
「ある。もう一つは、小城家についてだ。念のため、もう一度聞くけど小城のことは覚えているのか?」
「おぎ……えっと、誰だっけ?」
俺の脳内には引っかからない人物だ。
「そうか。やっぱり前回の報告分は丸々抜けているようだな。ラッキーファイブのことを」
その瞬間、思い出した。
「あ、それなら知ってる! リーダーの元妻が見舞いに来てくれたときに教えてくれたんだ。そうだ。宇多野の奴、何もかもを元妻にぶちまけて計画がおじゃんになったんだよ!」
俺は興奮して立ち上がろうとした。足に痛みが走り呻いた。
「おい。二川、落ち着けよ!」
俺は、元妻と宇多野の間に起きた出来事を碧山に話した。
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