『冒険者ギルドへようこそ(最強剣士と娘巫女) ~全ての謎を解き明かし、全てを救う物語~』

此木、大(しばいぬ)

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第-1章 迷星の時量剣師(めいせいのときはかし)

第10話 剣士無双

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「リセマラ出来たらまた会おうな」

不安そうな顔をするアイリスに別れを告げると、右手でバスタードソードを振り上げた。
「疾風(はやて)!」
必要かどうか分からなかったが、スキル名を叫びながらオークの群れの中に飛び込んだ。
新しい体は、前世の体と遜色のない動きやすさだが、圧倒的に…
「速い!」
オークが止まって見える程の疾さだ。

一番手前で俺を威嚇していたオークの右横に飛び込むと無防備な首が見える。
左足を地面に突き刺すイメージで軸足にして、時計回りに身体をひねり、右手一本でオークの首にバスタードソードを叩き下ろした。

おそらく骨だろう。
『ゴツッ』という手応えを感じたが、オークの首を一刀両断していた。
「虎切り(とらきり)!」
手首で刃を90度右に返し、足を使って後方に跳んだ。
剣の切っ先が地面に刺さる前に群れの方に剣戟の軌道を変える。
疾風!
今度は口に出さずに駆ける。
斜め後ろにいた2頭の前脚を狙い、バスタードソードを右後方に向かって振り抜いた。
包丁で大根を切るくらいの手応えを感じながら、オークの前脚を4本斬り落とした。

突如、背後に衝撃が来る予感がした。
それは俺の背中から腹を突き抜けるイメージだった。
不思議な感覚に戸惑ったが、回避するべく前方に跳ぶ。
次の瞬間、背中に強烈な衝撃を受けて俺の身体は宙に舞い上がった。
跳んでいなかったら背骨くらいは持っていかれていたかもしれない。
「颯竢!!」
アイリスの悲鳴が聞こえる。
空中で身体をひねり、なんとか着地すると、足元にはボロボロになったシドが転がっていた。
旋風(つむじ)!
2回転、高速回転しながら剣を横に振り払う。
シドの周りにいたオーク達の顔面をバッサリと切り裂いた。
オーク5頭が力無く倒れる。

「行け!!」
まだこちらを見ているアイリスに向かって叫ぶ。
「すぐ戻るから! 助けを呼んで戻って来るから!!」
アイリスはそう叫ぶと街に向かって走り去った。
オルガは最後に残ったユキを庇うように足早に撤退して行くが、盾が重くてあまり早くは歩けないようだ。

再び、今度は左の足元をすくわれる予感がした。
鋭い牙で切り裂かれるイメージだ。
まただ!
不思議な感覚に戸惑うが、その感覚を信じて跳躍する。
脚の裏に何かが物凄い勢いでぶつかって来た。
その何かを蹴ると空高く飛び上がり、後方2回宙返り1回ひねりを決めた。
着地点には鼻がひん曲がったオークが見える。
どうやらあいつの鼻を蹴ったらしい。
落下する勢いに全体重を乗せてオークの脳天にバスタードソードを叩き付ける。

俺はオーク共の返り血でドロドロになっていた。
ゆらりと周りを見回すと、生き残っているオークはあと10数頭の様だ。
シドを見ると、弱々しく呼吸をしている。
「全滅させるしか無いだろ…」
シドが倒れている以上、撤退はありえない。

疾風!
シドの近くにいたオークの横に滑り込み、首を下から斬り上げた。
そのまま飛び上がり、振り上げた剣を隣のオークの背中に叩きつける。
バスタードソードの刃は、オークの背中に浅くない傷をつけたが、背骨を砕いて食い込んでしまった。
抜けない!

再び、背中からオークが突進してくる予感がした。
躊躇なくバスタードソードをオークの背中に残して飛び退き、シドが落としたショートソードに飛び付いた。
そのまま前回り受け身を取って距離を取る。
「後ろ脚を狙え…」
シドが息も絶え絶えに言った。
なるほど。
そういえば野生の肉食獣は狩りをするとき、獲物の太ももを狙うと聞いたことがある。
「もう少しだけ辛抱していてくれ」
シドにそれだけ言うと、ショートソードを右手で横一文字に構え、呼吸を整えた。

俺の正面にいるオークが突進して来るのが見える。
そいつの牙が俺の腹を切り裂くイメージが視える。
疾風!
突進して来るオークの右側面をすり抜け、すれ違い様にショートソードで後ろ脚を切り裂く。
思ったより切れ味が鋭く、シドのショートソードはオークの両脚を簡単に斬り落としてしまった。

後ろと右斜め前から2頭同時に突進してくるイメージが視える。
最初はボンヤリとしていたイメージだが、段々はっきりと視えるようになってきていた。
右後方に移動してオークの突進を回避する。
疾風!
右回りに回転しながらショートソードを振り抜く。
2頭の脇腹を切り裂き、内臓を地面にぶち撒けた。
あと7頭!

ショートソードを構え直すと、牙の短いオークがくるりと向きを変えて林の中に逃げ込んだ。
それが合図だったかの様に、オーク達が次々と林の中に逃げていく。
一際大きな牙を持ったオークが最後まで残っていたが、五体満足な仲間が逃げ切ったのを確認すると、ゆっくりと林の中に消えて行った。
残ったのは俺とシド、そして絶命したオークと足を失ってもがいているオークだけだった。

「終わった…のか?」
「とどめを…刺せ!」
安堵して崩れ落ちそうになる俺にシドが言った。
見ると、脚を失った3頭のオーク達はまだ闘志を失った訳ではなさそうだった。
その闘争心に、今日一番の恐怖を感じた。
慎重に近付き順番に喉笛を斬ってまわり、3頭にとどめを刺した。
「終わったか…」

突然、後ろから太ももに牙を突き刺されるイメージが視えたが、油断していたため反応が遅れた。
右脚の太ももに鋭い痛みが走る。
振り向くと、背中にバスタードソードがめり込んだオークが俺の脚に牙を突き立てていた。
「この…!」
ショートソードを逆手に持ち替えてオークの首に突き刺すと、オークは力尽きて地面に崩れ落ちた。

思ったより傷が深く、右脚に力が入らない。
「くそ…疲れた、ぜ…」
為すすべもなく地面に倒れ込み、そこで意識を失った。

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