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第0章 神在月の占い師(かみなきせかいのうらないし)
第32話 冒険者たち
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俺は一人、冒険者ギルドの1階で晩飯を食べていた。
ティファは自宅に戻って支度でもしているのだろう。
待ち合わせは明日の朝になっていた。
この辺では上質な牛肉が手に入るとかで、厚さも味も文句なしのステーキを麦酒で流し込んでいた。
血のしたたるようなステーキという表現がピッタリだが、きめ細かい脂が入っていて、ナイフが何の抵抗も無く入っていく。
口の中に入れればひと噛みごとに溢れ出る旨味たっぷりの肉汁、そして数回噛むと口の中から無くなってしまう柔らかさ。
この牛は筋を忘れて産まれてきてしまったのだろうか…
とにかく最高だった。
「ねぇ、貴方、私達の事避けてないかしら?」
気配は感じていたが、話しかけられるとは思っていなかった。
振り向くとリディアが俺を見下ろしていた。
リディアの事は知っているつもりだが、彼女にしては声のボリュームを下げているようだ。
「避けるも何も初対面の筈だけど?」
「そうね、やけに腕の立つSランク冒険者、でも誰も貴方の事を知らないわ」
リディアはそう言うと俺をざっと観察した。
「その剣と指輪、見覚えがあるわ、貴方最近アシハラに寄ったみたいね?」
あぁ、そうか、リディア達アシハラの冒険者の間ではちょっと有名だったな、コレ。
「あ、あぁ、俺には都合が良かったからね」
「2週間前、私達がアシハラを出た時はまだ売れ残っていたのよね、いつ買ったのかしら?」
「えーっと、先週ちょっとアシハラに寄る用事があって…」
「そう、丁度その頃、アシハラはオーガの襲撃を受けたのよね、貴方は無事だったようね?」
なるほど、確かに色々と知っているリディアから見れば俺はかなりの不審者に見えるだろう。
しかし残念ながら俺は何も覚えていない。
少し趣向を変えてみよう。
「貴女が知っているかは分からないけど、なぜあの二人を連れて冒険しているんだ? リュウはともかく、オルガやユキは優秀そうに見えたんだけどどうなった?」
リディアは俺の言葉を聞いて酷く狼狽えた表情を見せた。
「どうしてその子達の事を?」
どうやらいきなり引き当ててしまったらしい。
結果余計に疑われてしまっているようだ。
「まぁ良いわ、単刀直入に聞くけど、貴方先週転生したばかりでは無くて?」
「御明察」
俺は素直に頷いた。
「貴方の装備を見たら、それしか説明がつかないのよね」
リディアはそう言うともう一度俺の装備を確認した。
「普通はSランクになる頃には大体装備なんて揃っているものなのよ。 逆に装備が揃っていないのにSランク昇格の実績をどうやったら上げられるのかちょっと理解出来ないわ」
リディアはそう言うと、後ろを振り返った。
彼女の視線の先にはアイリスとラナの姿がある。
「詳しい情報交換は後日にしましょう、あの子達の耳に入れるには早過ぎるわ」
彼女はさりげない仕草で俺の耳の近くで囁き、立ち去って行った。
「あ、あぁ」
リディアはもう俺の返事が届く範囲にはいなかったが、一応返事を返しておいた。
あの子達の耳に早過ぎるなら俺にだって早過ぎるだろう…
しかし、もしかしたら誰か一人くらい俺の事覚えているかもしれない、という希望は完全に消滅した。
***
翌朝、ギルドの受付前に、昨日の10人の冒険者が集まった。
装備が変わったのは俺とティファ、アイリスとラナの4人だった。
ティファは皮鎧に外套という装備だが着慣れた感がある。
俺、アイリス、ラナの3人は新調したての装備、という雰囲気だ。
装備が揃っていない駆け出し冒険者なのだから当然だが、一応俺は中堅冒険者という設定になっている。
「気分転換かしら?」
ティファが不思議そうな顔で尋ねてきた。
「案外しっくり来るのが無くてね、色々試しているのさ」
苦し紛れの言い訳だが、他のメンバーにも聞こえるように伝えられたのはある意味幸運だった。
リディアはこの件に関して詮索するつもりは無さそうだ。
アイリスは白のローブ、ラナは若草色のチュニックになっていた。
二人ともお洒落なカバンを肩から下げている。
「女性といる時、あまり他の女の子を見るものではなくてよ?」
ティファは俺の視線に気付き、そう言った。
「いや、そういうつもりじゃ無いんだけど、俺も新人っぽく見えるかな?と思って」
「そんな訳無いでしょ、S級なんて誰でもなれるものじゃないわ、貴方はみんなの憧れの的なのよ?」
「自覚は無いんだけどね」
「貴方の問題じゃないのよ」
ティファはそう言うとクスッと笑った。
「みなさん、ブリーフィング始めますよ」
受付嬢のミヅキは皆が静まったのを見計らって説明を始めた。
説明内容は以下の通り。
ケヒからモズまで海路、約190キロの旅。
目的地まで直行で所要時間は39時間程。
警護対象は全船員と全ての貨物。
想定される敵は 海洋生物、および飛翔生物。
休憩のローテーション、配置等は我々冒険者に一任する事とする。
報酬は基本手当10金貨。
他に討伐数による各種ボーナスあり。
明日の深夜23時以降の到着となる為、ギルドにて一泊、翌朝清算。
という流れになる。
「以上ですが、何か質問のある人いますか?」
「はい」
ミヅキの問いに手を挙げたのは5人組の冒険者のリーダー的な男だった。
「リックさん、どうぞ」
「海洋生物というが、魔物は居ないのだろうか?」
リーダー的な男はリックという名前らしい。
リックの言う通り、海に魔物がいたとして、その死骸の処理はどうなるんだ?
「もちろんいます、海は管理が出来ないから魔境と言っても良いでしょうね、でも不思議とそんなに多くは無いのです」
ミヅキが指摘するように、海で魔物が死んだ時その肉を他の魚が食うのを止める事は出来ず、魔物が大量発生し魔境の様相を呈するであろう事は想像に難くない。
しかし、魔物がそれ程多くないと言うのは確かに不思議な話ではある。
「海で攻撃的な性格の子はすぐに捕食されてしまうのでしょうね」
なるほど、逆に海の生態系の頂点にいる生物は高確率で魔落ちしているという事か。
「今まで海産物とか普通に食べてたけど大丈夫なの?」
5人組の魔法使い的な男が手を挙げながらミヅキに尋ねる。
「フォーゲルさん、魚は目を見ればすぐに分かるので安心ですよ、安心して食べて下さいね」
魔法使い的な男はフォーゲルという名らしい。
5人組のもう一人の魔法使い的な男が手を挙げる。
「ディアルさん、どうぞ」
ミヅキが魔法使いに声を掛ける。
「取り敢えず初対面の人もいる事ですし、自己紹介でもしませんか?」
ディアルはミヅキにではなく、集まった冒険者達の顔を見回してそう進言した。
「そうね、私もそろそろ提案しようと思っていた所よ」
リディアはそう言ってニコリと笑うと続けた。
「私はリディア、アシハラ出身のヒーラーでランクはSS、訳あって今はこの娘達と旅をしているわ」
リディアはそう言うとアイリスとラナに手のひらを向けた。
「私はラナ、一応ヒーラーです。転生したばかりでリディア先生に色々と教わっています。宜しくお願いします」
ラナはそう言うと頭を下げた。
「私はアイリス、ラナさんと同期です。風属性の魔法を練習中です、よろしくお願いします」
アイリスもラナの隣で頭を下げた。
「俺はリック、タンクをしている。このAランクパーティのリーダーだ。もうすぐSランクになるんでよろしく」
リックはそう言うと白い歯を輝かせて笑った。
メンバー中で一番平均的な身長で170cmくらいだろう。
思ったより好青年のようだ。
「俺はアルベルト、アタッカーだ、よろしく」
アルベルトは落ち着いた雰囲気でリックより年上に見える。
身長190cmくらいあり、メンバーの中で一番背が高い。
筋骨隆々といった感じだ。
「俺はドナルド、剣と盾を使う攻防の要だ。困った事があれば声を掛けてくれ」
身長はリックより少し低め。
このメンバーの中ではもっとも年齢が上に見える。
恐らく今回の冒険者メンバーの中でも最年長だろう。
「これが最後の依頼にならない様に頑張るからよろしくな」
ドナルドはあまり笑えないジョークを飛ばすが、ティファもリディアも神妙な面持ちで頷く。
「僕はフォーゲル、水属性の魔法使いだ、よろしくね」
フォーゲルは主に女性陣に向かって微笑んだ。
フォーゲルはこのメンバーの中では一番背が低い。
165cmくらいだろう。
愛嬌のある顔立ちで嫌味はない。
「私はディアル、回復魔法を専門にしています。よろしくお願いします」
回復魔法専門というのは良く分からないが、攻撃はしないと言う意味で理解した。
身長は180cm前後で華奢なイメージの中年だった。
全員の視線が俺とティファに集まるのを感じた。
次は俺達の番だという事だろう。
「私はティファ、占いと神代魔法の使い手、よろしくね」
ティファはニコリともせずそう言うが、何故か高圧的にも攻撃的にも感じない。
不思議な柔らかさがあった。
アルベルトと俺以外ではティファの背の高さは突出して見える。
気が付けば全員の視線が俺に集まっている。
「えっと、俺は颯竢、剣士をやってて諸国を巡っている」
という事になっている。
「今回はたまたまこの船に乗る事になったけど、良く分かってないので宜しくお願いします」
俺の挨拶を聞いてフォーゲルが『ズルっ』と転びそうなリアクションを見せた。
「なんだよ、大将、締まらないな、一応俺達の目標なんだからもっとビシッとしてくれよな」
フォーゲルの言葉に他のメンバーも頷く。
「正直、抜け駆けは無いだろと思ったけど、エッジさんに言われたよ。俺達が行ってたら死んでたって」
リックはそう言って頭をかいた。
アヤメの件だろう。
いきさつは全く分からないが、俺は抜け駆けしたのか…
「だから今回の冒険では勉強させて貰うつもりだ」
リックはそう言って俺に右手を差し出して来た。
「よろしく、颯竢さん」
彼らに睨まれていると感じたのは気のせいで、意識されていたという事だったのか…
「呼び捨てで、颯竢で良いよ、リック」
俺はリックの手を握り返した。
「それにしてもなぜそんな防具なんだい?」
アルベルトが俺の皮鎧を見て不思議そうに尋ねて来た。
彼らは頑丈そうな鉄鎧を着こんでいるが…
「今回の依頼は海の上だから、錆びる、揺れたら転びやすい、落ちたら沈む、といったリスクがある。だから軽い革製の鎧位が丁度良いんだ」
という事にしてこの場を乗り切る計画だったが
「おお、なるほど、依頼に適した装備に交換しているのか…俺達はただお気に入りというだけでこの装備だったけど、急に恥ずかしくなってきたな…」
「さすがS級、鎧をまるで使い捨ての道具のように乗り換えてるの渋過ぎるだろ…」
妙に感心するA級冒険者パーティに囲まれ質問攻めにあっている中、リディアがティファに耳打ちしているのが見えた。
何を話しているのかは聞こえないが、ティファが首を横に振るとリディアが頷いた。
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待ち合わせは明日の朝になっていた。
この辺では上質な牛肉が手に入るとかで、厚さも味も文句なしのステーキを麦酒で流し込んでいた。
血のしたたるようなステーキという表現がピッタリだが、きめ細かい脂が入っていて、ナイフが何の抵抗も無く入っていく。
口の中に入れればひと噛みごとに溢れ出る旨味たっぷりの肉汁、そして数回噛むと口の中から無くなってしまう柔らかさ。
この牛は筋を忘れて産まれてきてしまったのだろうか…
とにかく最高だった。
「ねぇ、貴方、私達の事避けてないかしら?」
気配は感じていたが、話しかけられるとは思っていなかった。
振り向くとリディアが俺を見下ろしていた。
リディアの事は知っているつもりだが、彼女にしては声のボリュームを下げているようだ。
「避けるも何も初対面の筈だけど?」
「そうね、やけに腕の立つSランク冒険者、でも誰も貴方の事を知らないわ」
リディアはそう言うと俺をざっと観察した。
「その剣と指輪、見覚えがあるわ、貴方最近アシハラに寄ったみたいね?」
あぁ、そうか、リディア達アシハラの冒険者の間ではちょっと有名だったな、コレ。
「あ、あぁ、俺には都合が良かったからね」
「2週間前、私達がアシハラを出た時はまだ売れ残っていたのよね、いつ買ったのかしら?」
「えーっと、先週ちょっとアシハラに寄る用事があって…」
「そう、丁度その頃、アシハラはオーガの襲撃を受けたのよね、貴方は無事だったようね?」
なるほど、確かに色々と知っているリディアから見れば俺はかなりの不審者に見えるだろう。
しかし残念ながら俺は何も覚えていない。
少し趣向を変えてみよう。
「貴女が知っているかは分からないけど、なぜあの二人を連れて冒険しているんだ? リュウはともかく、オルガやユキは優秀そうに見えたんだけどどうなった?」
リディアは俺の言葉を聞いて酷く狼狽えた表情を見せた。
「どうしてその子達の事を?」
どうやらいきなり引き当ててしまったらしい。
結果余計に疑われてしまっているようだ。
「まぁ良いわ、単刀直入に聞くけど、貴方先週転生したばかりでは無くて?」
「御明察」
俺は素直に頷いた。
「貴方の装備を見たら、それしか説明がつかないのよね」
リディアはそう言うともう一度俺の装備を確認した。
「普通はSランクになる頃には大体装備なんて揃っているものなのよ。 逆に装備が揃っていないのにSランク昇格の実績をどうやったら上げられるのかちょっと理解出来ないわ」
リディアはそう言うと、後ろを振り返った。
彼女の視線の先にはアイリスとラナの姿がある。
「詳しい情報交換は後日にしましょう、あの子達の耳に入れるには早過ぎるわ」
彼女はさりげない仕草で俺の耳の近くで囁き、立ち去って行った。
「あ、あぁ」
リディアはもう俺の返事が届く範囲にはいなかったが、一応返事を返しておいた。
あの子達の耳に早過ぎるなら俺にだって早過ぎるだろう…
しかし、もしかしたら誰か一人くらい俺の事覚えているかもしれない、という希望は完全に消滅した。
***
翌朝、ギルドの受付前に、昨日の10人の冒険者が集まった。
装備が変わったのは俺とティファ、アイリスとラナの4人だった。
ティファは皮鎧に外套という装備だが着慣れた感がある。
俺、アイリス、ラナの3人は新調したての装備、という雰囲気だ。
装備が揃っていない駆け出し冒険者なのだから当然だが、一応俺は中堅冒険者という設定になっている。
「気分転換かしら?」
ティファが不思議そうな顔で尋ねてきた。
「案外しっくり来るのが無くてね、色々試しているのさ」
苦し紛れの言い訳だが、他のメンバーにも聞こえるように伝えられたのはある意味幸運だった。
リディアはこの件に関して詮索するつもりは無さそうだ。
アイリスは白のローブ、ラナは若草色のチュニックになっていた。
二人ともお洒落なカバンを肩から下げている。
「女性といる時、あまり他の女の子を見るものではなくてよ?」
ティファは俺の視線に気付き、そう言った。
「いや、そういうつもりじゃ無いんだけど、俺も新人っぽく見えるかな?と思って」
「そんな訳無いでしょ、S級なんて誰でもなれるものじゃないわ、貴方はみんなの憧れの的なのよ?」
「自覚は無いんだけどね」
「貴方の問題じゃないのよ」
ティファはそう言うとクスッと笑った。
「みなさん、ブリーフィング始めますよ」
受付嬢のミヅキは皆が静まったのを見計らって説明を始めた。
説明内容は以下の通り。
ケヒからモズまで海路、約190キロの旅。
目的地まで直行で所要時間は39時間程。
警護対象は全船員と全ての貨物。
想定される敵は 海洋生物、および飛翔生物。
休憩のローテーション、配置等は我々冒険者に一任する事とする。
報酬は基本手当10金貨。
他に討伐数による各種ボーナスあり。
明日の深夜23時以降の到着となる為、ギルドにて一泊、翌朝清算。
という流れになる。
「以上ですが、何か質問のある人いますか?」
「はい」
ミヅキの問いに手を挙げたのは5人組の冒険者のリーダー的な男だった。
「リックさん、どうぞ」
「海洋生物というが、魔物は居ないのだろうか?」
リーダー的な男はリックという名前らしい。
リックの言う通り、海に魔物がいたとして、その死骸の処理はどうなるんだ?
「もちろんいます、海は管理が出来ないから魔境と言っても良いでしょうね、でも不思議とそんなに多くは無いのです」
ミヅキが指摘するように、海で魔物が死んだ時その肉を他の魚が食うのを止める事は出来ず、魔物が大量発生し魔境の様相を呈するであろう事は想像に難くない。
しかし、魔物がそれ程多くないと言うのは確かに不思議な話ではある。
「海で攻撃的な性格の子はすぐに捕食されてしまうのでしょうね」
なるほど、逆に海の生態系の頂点にいる生物は高確率で魔落ちしているという事か。
「今まで海産物とか普通に食べてたけど大丈夫なの?」
5人組の魔法使い的な男が手を挙げながらミヅキに尋ねる。
「フォーゲルさん、魚は目を見ればすぐに分かるので安心ですよ、安心して食べて下さいね」
魔法使い的な男はフォーゲルという名らしい。
5人組のもう一人の魔法使い的な男が手を挙げる。
「ディアルさん、どうぞ」
ミヅキが魔法使いに声を掛ける。
「取り敢えず初対面の人もいる事ですし、自己紹介でもしませんか?」
ディアルはミヅキにではなく、集まった冒険者達の顔を見回してそう進言した。
「そうね、私もそろそろ提案しようと思っていた所よ」
リディアはそう言ってニコリと笑うと続けた。
「私はリディア、アシハラ出身のヒーラーでランクはSS、訳あって今はこの娘達と旅をしているわ」
リディアはそう言うとアイリスとラナに手のひらを向けた。
「私はラナ、一応ヒーラーです。転生したばかりでリディア先生に色々と教わっています。宜しくお願いします」
ラナはそう言うと頭を下げた。
「私はアイリス、ラナさんと同期です。風属性の魔法を練習中です、よろしくお願いします」
アイリスもラナの隣で頭を下げた。
「俺はリック、タンクをしている。このAランクパーティのリーダーだ。もうすぐSランクになるんでよろしく」
リックはそう言うと白い歯を輝かせて笑った。
メンバー中で一番平均的な身長で170cmくらいだろう。
思ったより好青年のようだ。
「俺はアルベルト、アタッカーだ、よろしく」
アルベルトは落ち着いた雰囲気でリックより年上に見える。
身長190cmくらいあり、メンバーの中で一番背が高い。
筋骨隆々といった感じだ。
「俺はドナルド、剣と盾を使う攻防の要だ。困った事があれば声を掛けてくれ」
身長はリックより少し低め。
このメンバーの中ではもっとも年齢が上に見える。
恐らく今回の冒険者メンバーの中でも最年長だろう。
「これが最後の依頼にならない様に頑張るからよろしくな」
ドナルドはあまり笑えないジョークを飛ばすが、ティファもリディアも神妙な面持ちで頷く。
「僕はフォーゲル、水属性の魔法使いだ、よろしくね」
フォーゲルは主に女性陣に向かって微笑んだ。
フォーゲルはこのメンバーの中では一番背が低い。
165cmくらいだろう。
愛嬌のある顔立ちで嫌味はない。
「私はディアル、回復魔法を専門にしています。よろしくお願いします」
回復魔法専門というのは良く分からないが、攻撃はしないと言う意味で理解した。
身長は180cm前後で華奢なイメージの中年だった。
全員の視線が俺とティファに集まるのを感じた。
次は俺達の番だという事だろう。
「私はティファ、占いと神代魔法の使い手、よろしくね」
ティファはニコリともせずそう言うが、何故か高圧的にも攻撃的にも感じない。
不思議な柔らかさがあった。
アルベルトと俺以外ではティファの背の高さは突出して見える。
気が付けば全員の視線が俺に集まっている。
「えっと、俺は颯竢、剣士をやってて諸国を巡っている」
という事になっている。
「今回はたまたまこの船に乗る事になったけど、良く分かってないので宜しくお願いします」
俺の挨拶を聞いてフォーゲルが『ズルっ』と転びそうなリアクションを見せた。
「なんだよ、大将、締まらないな、一応俺達の目標なんだからもっとビシッとしてくれよな」
フォーゲルの言葉に他のメンバーも頷く。
「正直、抜け駆けは無いだろと思ったけど、エッジさんに言われたよ。俺達が行ってたら死んでたって」
リックはそう言って頭をかいた。
アヤメの件だろう。
いきさつは全く分からないが、俺は抜け駆けしたのか…
「だから今回の冒険では勉強させて貰うつもりだ」
リックはそう言って俺に右手を差し出して来た。
「よろしく、颯竢さん」
彼らに睨まれていると感じたのは気のせいで、意識されていたという事だったのか…
「呼び捨てで、颯竢で良いよ、リック」
俺はリックの手を握り返した。
「それにしてもなぜそんな防具なんだい?」
アルベルトが俺の皮鎧を見て不思議そうに尋ねて来た。
彼らは頑丈そうな鉄鎧を着こんでいるが…
「今回の依頼は海の上だから、錆びる、揺れたら転びやすい、落ちたら沈む、といったリスクがある。だから軽い革製の鎧位が丁度良いんだ」
という事にしてこの場を乗り切る計画だったが
「おお、なるほど、依頼に適した装備に交換しているのか…俺達はただお気に入りというだけでこの装備だったけど、急に恥ずかしくなってきたな…」
「さすがS級、鎧をまるで使い捨ての道具のように乗り換えてるの渋過ぎるだろ…」
妙に感心するA級冒険者パーティに囲まれ質問攻めにあっている中、リディアがティファに耳打ちしているのが見えた。
何を話しているのかは聞こえないが、ティファが首を横に振るとリディアが頷いた。
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