119 / 1,955
長老達の傲慢な誘い
しおりを挟む「何だこの人間達は」
「人間がこの集落に長い間いられるわけがないだろう」
「まったく、汚らわしい。さっさと集落を出て行きなさい」
長老達は顔をしかめながら、フィリーナの言っていた人間嫌いを全面に出してる。
「リク様、こんな人間達は放っておいて、我々エルフのためにここにいて下さい」
「そうですよ。リク様は契約者、人間達とは隔離された存在なのです。我々エルフのような者と一緒に居る方が相応しいに決まってます」
「不自由な生活はさせませんよ? 見た所リク様はまだお若い……そうですな……そこのフィリーナを自由にして良い事にしましょうか。もしそれでも不満であれば、適当な若いエルフをあてがいますが」
「なっ!」
「フィリーナを勝手に物扱いだと! いくら長老でもそれは!」
長老達の言葉にフィリーナは絶句し、アルネは物扱いされた妹を庇うように前に出た。
「うるさいエルフの事は放っておいて、リク様……いかがですかな?」
「人間達よりもエルフといた方が良いでしょう?」
「全てのエルフを傅かせて生活する……楽しそうでしょう?」
長老達は異議を唱えるアルネを無視し、フィリーナを物扱い。
さらに汚らわしいとしてモニカさんやソフィーさん、ユノの言葉も聞かない。
三人は俺に詰め寄りながら答えを急かす。
何を言っても無駄だと悟ったんだろう。
他の皆は俺がどう答えるかだけに注目して俺を見てる。
広場に集まったエルフ達も俺を見てる。
……こんな雰囲気の中で答えるのはちょっと緊張するけど……俺の返答は決まってる。
「……はぁ……お断りします」
「なっ!?」
「なんですと!?」
「何を!?」
俺が一旦溜め息を吐いて、満面の笑みを浮かべながら断った事に長老達は驚きの表情を浮かべてる。
というか、あんな誘い方で俺が靡くとでも思ったのかなぁ……?
思ったんだろうな……自分達の事しか考えて無いような長老達だから、そんな事まで考えられないのかもしれないね。
「リク様は我々より人間を選ぶというのか!?」
「汚らわしい人間を!? そんな馬鹿な選択!」
「貴方は間違った選択をするのか!?」
驚いたあまりに敬語が取れてるけど、まぁ俺は敬語だとかそんなのはどうでもいい。
そんな偉そうな態度をしたいんなら、そもそも魔物達が襲撃して来た時にエヴァルトさんのよう皆を守ろうと必死に動いてから言えよなぁ。
何もしなかった長老達に何を言われようと、俺はここにいる事を魅力的だとは思わない。
尚も詰め寄る長老達には満面の笑みを浮かべながら言い切る。
「貴方達……少なくとも長老と言われる貴方達エルフと一緒にいる事は有り得ません。エヴァルトさんやフィリーナ、アルネに頼まれたのであれば少しは考えたでしょうけどね」
俺の言葉に絶句して固まる長老達。
それを見たフィリーナやアルネは楽しそうな表情をしてるけど……良いのかな?
一応、君達の集落で偉い……のかもしれない長老に言ってる事なんだけどなぁ。
とりあえず、こんな用事ならもうここに長居する必要はないね。
俺は最後に言いたい事を言って、その場を去る事にした。
「ちなみにですが、長老さん達。俺は貴方達長老衆というのが、今のやり取りで嫌いになりました。今後一切関わらないで欲しい。俺にも、俺の周囲にいる皆にも、です。あと言い忘れてましたが、俺も貴方達が嫌う人間ですから」
それだけを言って、未だ固まったままの長老達を残して踵を返し、俺は石の家に戻るために広場を後にした。
後ろから慌てて追いかけて来る皆を連れて。
……勢いでその場を去ったけど、フィリーナ達が付いて来てくれてよかった……まだ石の家までの道……覚えて無いんだよなぁ……いい加減覚えないといけないかな……。
俺達が離れて移動中、広場の方でエルフ達の歓声が上がったようだった。
家について、居間で一息。
長老達の誘いを断るのは良いけど、あんな言い方をした分ちょっと精神的に疲れたからね、休憩しないと。
広場を出た時からずっとだけど、居間に来てからもフィリーナとアルネは興奮気味だった。
よっぽど、俺が長老に言いたい事を言ったのが楽しかったらしい。
「リクはほんとすごいわね! 私達エルフじゃあんな事言えないわ!」
「エルフとして正しいのかはわからないが、すごくスッとした気分だな!」
「いいんじゃないの、あんな失礼なエルフ達。私達人間の事を見下して……」
「モニカ、言い過ぎだぞ。この集落の長老だ、エルフ全体の侮辱になってしまうだろう」
「……ごめんなさい」
「いや、エルフとしても集落の者としても、あの長老達の物言いには憤っても仕方ないだろう」
「むしろ私達の方が謝りたいわ。ごめんなさい、モニカ、ソフィー」
モニカさんは、あの長老達の言い分にご立腹なようだ。
ソフィーさんに諫められてフィリーナ達へ謝ってるけど、逆にフィリーナの方がモニカさん達に謝る。
まぁ、明らかに人間を見下してて、そのうえフィリーナや他のエルフ達も物扱いだったからね、皆が怒るのもわかる。
長老達は人間に偏見を持たない若いエルフすら見下してるようだった……ああいう手合いは相手にしたくない。
「リク、ありがとう。言いたい事を言ってくれて」
「まぁ、人間を見下してたし、フィリーナも物扱い。同族であるエルフすら見下して自分達が一番って考えが気に入らなかっただけだよ」
「リクが去る時の長老達の顔は見物だったな。広場にいた他のエルフ達も今頃笑ってるんじゃないか?」
「広場から離れた後、大きな歓声が沸いてたわね。集落の長老って偉い立場のようだけど、嫌われてるのね」
長老で集落を代表する立場なら発言にも色々気を付けないといけないと思う。
フィリーナもアルネも、俺が断った時に長老達が固まった顔を思い出したのか、クスクスと笑ってる。
モニカさんの言う通り、集落の皆から嫌われてるんだろうなぁ。
「一応、集落の中でも発言力があって偉い事には違いないわ。でも、人間との交流を断絶して、エルフ至上主義にするべきだってうるさいのよ」
「人間と交流できたおかげで、この集落は森の外に家を作って生活できているのにな。長老たちは絶対森の中から出ようとはしないが」
「そうなんだ。でもよくそれで人間に助けを求めようと決められたね?」
「集落の代表者が集まった会議でね、長老達以外の若いエルフ達が全員助けを求めるべきと主張したの。もちろん長老達は最後まで反対してたわ」
「長老たちの数も少なくなって来たからな。若い世代が増えて意見を通す事が出来たんだ」
エルフとは言え、不老不死じゃない。
長寿だけど必ずいつか寿命が訪れる。
人間嫌いのエルフ達の数も少なくなって来て、人間と交流を持とうというエルフが増えて来たおかげだろう、それでアルネとフィリーナは集落を離れて人間に助けを求める事が出来たし、その途中で俺達と出会うことも出来た。
まぁ、エヴァルトさんからしたら間に合わないのも覚悟だったみたいだけどね。
実際、俺達が来なければ魔物達の襲撃でこの集落はもう無くなってたかもしれない。
フィリーナとアルネだけだと、俺達が来てすぐにあった明け方の魔物襲撃には間に合わなかっただろう。
そんな事を考えつつ、フィリーナ達の話す事に耳を傾けた。
11
あなたにおすすめの小説
【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!
胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。
主に5大国家から成り立つ大陸である。
この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。
この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。
かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。
※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!)
※1話当たり、1200~2000文字前後です。
科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜
難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」
高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。
だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや——
「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」
「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」
剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める!
魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」
魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」
神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」
次々と編み出される新技術に、世界は驚愕!
やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め——
「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」
最強の頭脳戦が今、幕を開ける——!
これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語!
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
湖畔の賢者
そらまめ
ファンタジー
秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。
ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。
彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。
「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」
そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。
楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。
目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。
そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる