154 / 1,955
姉さんとの話し合い
しおりを挟む「皆、鎮まりなさい」
「はっ!」
姉さんが、そんな皆に対して声を掛けると、ハーロルトさんは直立不動になり、ヒルダさんは一礼して黙る。
モニカさん達は……喋るのを止めたくらいか。
「そう言えば、授与式はどうなったの?」
「リクさんが倒れてから大変だったのよ。参列者は騒ぎ出すし、女王様はリクさんから離れようとしないしで……」
「ヒルダさんが来て引き剥がしてくれるまで、ずっとリクの事を呼び続けてたからな。それだけ必死だったんだろう」
「授与式の方は、章飾を受け渡すところまで進行していたので、授与は完了したという扱いになっています。最後の混乱は有りましたが、無事終了しました」
「この後の、参列者の方々への説明が大変でしょうが……」
俺が気を失ってしまった後、授与式がどうなったのか聞いた。
モニカさんやソフィーさんは、姉さんをチラリと見ながら状況を説明してくれる。
ハーロルトさんは、授与式が完了した事を教えてくれた。
ヒルダさんは、溜め息を吐きそうな雰囲気だけど……確かに参列していたお偉いさん達になんて説明すれば良いのか、頭が痛いね。
「それよりリク、色々説明……してくれないかしら?」
「授与式の事より、今はこの状況の事だな」
フィリーナとアルネが姉さんを見ながら疑問顔だ。
まあ、いきなり国の最高権力者……女王様が俺を親しそうに呼んだりすれば、どういう事か気になるよな。
んー、どこをどう説明するか……。
「ちょっと待って。……姉さん、こっち」
「ん? どうしたのりっくん?」
部屋の隅に姉さんを呼んで、相談する。
「どこまで言って良いと思う? 異世界から来たとか言っても信じてくれるかな? モニカさんとソフィーさんは知ってるけど」
「そもそも私、りっくんが何でここにいるか知らないんだけど? 聞いた事ある名前だなぁとは思ってたけど、まさか本物のりっくんだとは思ってもみなかったわよ?」
「まぁ、それは俺も同じだね。姉さんがこっちに来てるなんて知らなかったし……しかも国の女王様になってるなんて……ふむ……」
皆に説明する前に、お互いの状況を把握しておかなきゃいけないようだ。
でもそのためには……ユノを起こさないとな。
「姉さん、まずは俺と……あそこで寝てるドラゴンと女の子だけで話そう。それで俺の状況も理解できると思うから」
「……わかったわ。しかしりっくんは小さな女の子が好みだったのね……姉さん悲しいわ……」
「違うから……とにかく、人払いをしよう」
まずはお互いの認識をしっかりする事が大事だ。
じゃないと、何を皆に話して良いかわからないし、不味い事を話してしまうかもしれないからね。
姉さんは、一応女王様らしいから、言ってはいけない事もあるかもしれないし……。
「ふぅ……久々のりっくん……んんっ! 皆の者、詳しい事情はまたいずれ。まずはりっく……リクと話し合う事にする」
姉さんが皆に声を掛け、部屋から出て行くように促す。
女王陛下直々に言われたら、当然皆いう事を聞かざるを得ないよね。
最後に残ったヒルダさんが、俺達のお茶を淹れてくれた後、退室して部屋には俺と姉さん、あと寝ているユノとエルサだけになった。
皆、出て行く時不満顔だったけど……後で説明するから、少しだけ我慢してね。
「さて、まずは起こさないと」
「気持ち良さそうに寝てるわねぇ……でもこっちの……ドラゴン? はりっくんの好きそうなモフモフね」
「俺がモフモフ好きになった原因って、姉さんなんだけどな」
「そうだったっけ? まぁそれは良いわ。どうやって起こすの?」
俺が小さい頃、姉さんとの色々でモフモフが好きになってしまった。
姉さんは気にしていない様子だが、俺にとっては人生を変える程の衝撃だったんだけどなぁ。
おかげで今では、モフモフが無いと落ち着かなくなってしまった……。
それはともかく、今はエルサ達を起こさないと。
「おーい、エルサ、ユノ、そろそろ起きろー」
ソファーで寝ているエルサとユノを、揺さぶりながら声を掛ける。
……おかしいな、いつもならすぐ起きるのに。
「起きないわね?」
「んー、何でだろう……いつも寝起きは良いはずなんだけど。おーい、エルサ、ユノー?」
「ん……」
「……なんなのだわー?」
「お、起きた」
再度声を掛けながら、今度は少し強めに体を揺さぶるってようやく起きた。
でもまだ眠そうだ。
「起きたか、エルサ、ユノ?」
「……まだ眠いの」
「大変だったんだから、まだ寝かせるのだわー」
両方まだ寝ていたいようだが、今は寝ている場合じゃない。
色々と把握しなきゃいけない事が多いからね。
しかし、エルサが言う大変だった事ってなんだろう?
「可愛いわねぇ……小さい頃のりっくんを思い出すわぁ」
「俺、こんなに寝起き悪かったっけ?」
昔を知ってる姉さんだけに、少しだけやりづらい。
「んー……起きたの!」
「仕方ないのだわ、起きるのだわ」
「おはよう」
ソファーから起き上がって、伸びをするユノ。
ようやく起きたようだね。
「リクのお姉さん、久しぶりなの!」
「え? 私はユノちゃん……? にはあった事無いはずなんだけど」
「ユノは姉さんを知ってるのか?」
授与式にはユノもいたから、見ているのは間違いないが……久しぶりと言うのはどういう事だ?
「それにはまず私の事を説明しないといけないの。良い、リク?」
「そうだな……姉さんがここにいる理由も聞かないといけないし、仕方ないな」
「ユノちゃんに何があるの? 見た感じ普通の女の子にしか見えないけど」
俺の事を説明するためにも、ユノの事は教えておきたい。
姉さんの事にも関わってるみたいだしね。
「姉さん、すぐに信じられないと思うけど……ユノはね、神様なんだ」
「え? りっくんの言う事だから、信じてあげたいけど……ちょっと何を言ってるのかわからないわ」
そりゃそうだ、いきなり神様とか言われてもすぐに信じる事なんて出来ないと思う。
特に、俺や姉さんのような日本に住んでた人なら尚更ね。
「本当なの。今はちょっと違うけど、ユノは元々神だったの!」
ユノが姉さんにそう言って、ユノの事、俺がこの世界にいる理由を姉さんに話した。
姉さんは、俺がトラックに轢かれるという所で取り乱しかけたが、死んだわけでは無いと聞いて安心したようだ。
しかし……そこで姉さんが取り乱すのか……まぁ、仕方ないと言えるのかもしれないな……。
「そう……そんな事があったのね……。ユノちゃん、りっくんを助けてくれてありがとう」
「気にしなくて良いの。元々私が助けられたの」
「信じてくれたかな?」
「そうね……正直信じられない話だとは思うけど、信じないといけないわね。私自身がここにいるんだもの」
「そうだ、姉さんは何でこの世界にいるんだ? しかも、女王様だなんて……」
俺とユノの事を全部話して、姉さんは信じてくれたようだ。
しかし姉さんの方は、何故この世界にいるのだろう?
見た目とか、記憶にある姉さんとは全く違うし、女王様なんて事をやっているし……まぁ、以前も美人だった事は、弟から見ても間違いなかったけど……。
……でも姉さん、俺の記憶が確かなら……あの時……。
「リク、思い出したの?」
「……あぁ、思い出した。姉さんがどうして日本にいなかったのかを……」
「まぁ、会えば思い出すと思ってたのだわ。けど、辛い思い出だから出来れば、思い出して欲しく無かったのだわ」
「ユノとエルサは知ってたのか……ありがとうな、気遣ってくれて。でも大丈夫。思い出して、姉さんもここにいる。辛い事は乗り越えられるんだよ」
「それならよかったの」
「さすが私の契約者なのだわ」
21
あなたにおすすめの小説
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜
難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」
高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。
だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや——
「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」
「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」
剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める!
魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」
魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」
神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」
次々と編み出される新技術に、世界は驚愕!
やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め——
「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」
最強の頭脳戦が今、幕を開ける——!
これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語!
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・
Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・
転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。
そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。
<script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>
異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ!
これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・
どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。
周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ?
俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる
暁刀魚
ファンタジー
社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。
なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。
食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。
そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」
コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。
かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。
もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。
なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。
カクヨム様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる