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マックスさん達お勧めのお店
しおりを挟む確かに、さっきのギルドでは、ギルドマスターのマティルデさんを始め、ヘルサルとセンテのギルドマスターも承諾してくれたからAランクに昇格したんだったね。
「私達は、依頼をしっかりこなしていても、ギルドマスターの目にとどまる事は無かったの。一部では知れた名前でも、ギルドマスターまで名前が届かなかったらAランクにはなれないわ」
「王都だけでなく、ヘルサル、センテ……他にも色々な場所で活動をしたが……複数のギルドマスターからランク昇格の許可を貰う事は出来なかったな」
「リクと違って、街一つ救うような事も無かったしね」
「あぁ。名を知らしめる大きな出来事が無かったというのも、大きな要因だろうな。ま、運も実力のうちというからな。俺達がAランクになれなかったのは仕方ない事なんだろう」
マックスさんとマリーさんは、少しだけ悔しさを滲ませつつも、明るい表情でAランクになれなかった理由を話している。
結局Bランクのまま冒険者を引退したわけだけど、その事が二人の後悔にはあまりなっていないようで安心した。
細かい事は笑い飛ばすようなこの二人には、そういうのは似合いそうにないからね。
「お待たせしました」
「お、来たな」
「見た目は……以前と変わらない気がするわね」
「美味しそうなのー」
「食欲をそそる匂いね」
「キューが無いのだわ……けど、これはこれで美味しそうなのだわ」
それぞれが声を出しながら、店員さんが配膳してくれる料理を見る。
美味しそうなドレッシングのかかったサラダや、見た目だけではわかりずらいけど、なにかしら工夫がしてありそうなパンとスープ。
それに何と言っても、人の顔くらい大きいステーキだ。
ここの店の売りは、豪快なステーキらしい……オシャレな店内に似合わない気もするけど、それだと確かに冒険者時代のマックスさん達がよく来てたというのも頷ける。
少々量が多いように見えるけど、食欲をそそる肉の焼ける匂いと、その上にかけられているソースは、残す事なく食べられそうだ。
「……ング……ふむ……味は変わっていない……いや以前より深みが増した……か?」
「前より美味しく感じるわ。きっと何年も作り続けて試行錯誤を繰り返したのね」
「美味しいわねぇ」
「美味しいの!」
「ング……ハグ……ングング……だわ」
「獅子亭の料理ともまた違って、美味しいですね!」
マックスさんとマリーさんは、味わうように食べて以前との違いを吟味しているようだね。
何となく、食べ物屋をやっている職業病のようなものなのかもしれない……もちろん、昔と比べてるという事もあるんだろうけど。
モニカさんとユノは、顔を綻ばせてお肉を頬張っているし、エルサに至っては夢中になって食べている。
俺も勢いよく食べてる……空腹とこのソースは、食が進み過ぎる。
「……色々話が逸れたが……リク、さっきの話だ、これからどうするんだ?」
ある程度皆が食事を進め、少し落ち着いて来た辺りでマックスさんが先程の話を始めた。
これから……かぁ。
「今はまだ決めていませんね……とりあえず、明日までは王都にいますけど。……姉さ……女王様に、昨日の魔物襲撃の事も含めて、明日まではいるように言われていますから」
「陛下直々に、か。さすがは英雄だな」
「まぁ……とりあえず、明日になってから色々考えてみたいと思います」
「そうか。ちゃんと考えるならそれで良い。……モニカの事もあるしな」
「この人、モニカが王都にとどまるんじゃないかと、気が気じゃないのよ」
明日は姉さん達が今回の事に対して、会議をする日だったはずだ。
俺の事も話すとか言っていたから、最低でも明日までいないとまずいだろう。
マックスさんは、俺がどうするかちゃんと考えるよう促すためにこの話を出したのかもしれない……と思っていたら、横からマリーさんが笑いながら補足した。
……まぁ、父親からしたら、娘が離れてしまうのは寂しく思うのも仕方ないのかもね。
「父さんったら……」
「でもモニカ、貴女もちゃんと考えないといけないわよ? 同じパーティ何だから、同じように活動する事になるんだからね」
「……そうね」
「モニカさんやソフィーさん、ユノやエルサも含めて、皆で考えてから決めますよ」
「決めるのー」
「私はリクに付いて行くだけなのだわー」
マリーさんは、モニカさんにも考える事を促すように声を掛ける。
それを聞いてモニカさんもどうするか考え始めたようだ。
なんにせよ、俺一人でパーティの事を決められる事じゃないからね。
モニカさん、ソフィーさん、ユノやエルサがどうしたいのか聞いて決めないといけないだろうと思う。
エルサだけは、暢気な様子だけど……まぁ、こいつは俺の頭にくっ付いてキューを食べていられれば満足なんだろうけど。
「ヘルサルにいて欲しいというのはあるが……やはり冒険者として活動するなら、王都の方が良いからな。よく考えて決めるんだぞ」
「はい」
「モニカが離れて行くのは寂しいけど……てのは付け加えなくて良いのかしら?」
「……そんな事恥ずかしくて言えるか」
「ははは」
「……父さんったら」
マックスさんとしては、娘であるモニカさんがヘルサルにいてくれればいつでも会えるから、安心なんだろう。
父親心だとは思うけど、それでもそう言いたいのを我慢して、俺達がやりたいように考えさせてくれるんだ、その気持ちはありがたく受け取っておきたい。
マリーさんの横やりに、恥ずかしそうにそっぽを向いたマックスさんを見て笑いながら、心の中で感謝した。
ソフィーさんとも、しっかり話して考えないとな……もとはセンテにいた冒険者だけど、王都で活動する事についてはどう考えているんだろう……?
「あ、そういえば……ソフィーさんは今日どうしてるのかな?」
「リクさん……忘れてたのね?」
「……ゴメンナサイ」
王都を観光出来る事と、予想外にマックスさん達に案内された事、Aランクへの昇格もあったからね。
……完全に忘れてたわけじゃないんだよ?
「ソフィーは、エルフ達と王都見物……だったか?」
「そうね。偶然、私達と同じ宿だったんだけど、私達とは別に初めての王都を満喫するために、フィリーナと意気揚々と出かけて行ったわ……アルネは引きずられていたけど……」
「エルフの人達ねぇ。私達に用意された宿は、貴族御用達の高級宿だから……随分奮発したんだと思うわ」
「いつもは離れたエルフの集落で暮らしているからね。フィリーナは人間が多い町が珍しいんだろうね。付き合わされるアルネはかわいそうだけど」
フィリーナとソフィーさんが二人で意気投合して、色々王都を見て回っている様子が目に浮かぶ。
昨日も色々見て回っていたようだけど、時間も少なかったし、王都は広いから1日や2日では全部見れないだろうからね。
まぁ、女性二人に連れまわされるアルネはかわいそうだけど、俺には同情するくらいしか出来ない。
……俺じゃなくて良かったぁ。
「美味しかったの!」
「満足なのだわ。デザートにキューが欲しいのだわ」
「エルサ……キューはデザートじゃないんだけどな……」
「キューは主食にもおかずにもおやつにもデザートにでも、なんにでもなる万能な食べ物なのだわ!」
「エルサちゃんのキュー好きは相変わらずねぇ」
話ながら料理を食べ進め、ユノを始め皆残さず食べきった。
量が多かったから、食べ過ぎた感はあるけど、美味しい料理に満足だ。
エルサだけは、まだお腹に入るようでキューを要求する事を忘れず、キューを熱く語っている。
それをモニカさんが微笑ましく見ているんだけど、ちょっとキューに対して固執し過ぎなんじゃないかな……?
好物があるのはわかりやすくて良いんだけど……初めて会った時にキューを食べさせたのは失敗だったかもしれない……まぁ、ありふれた食材だから、いずれ食べる事になってたんだろうけどね。
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