236 / 1,955
魔法具発動
しおりを挟む「はぁ……はぁ……」
「さすがに……はぁ……疲れて来たな……」
「そうね……魔法も結構使ったし……」
「王都での戦いよりは……マシ……だが……」
4人共、息を荒くしながらも戦い続ける。
戦い始めて、大体2時間くらいが経った頃だろうか。
その間、ずっと休むことなく襲い掛かって来る魔物を相手に、気を緩める事なく戦い続けるのは、身体的にも、精神的にも疲れると思う。
冒険者ギルト側は、こんなに魔物がいるとまでは、さすがに把握していなかったと思うけど、この量の魔物を相手にするとなると、確かにCランク以上の依頼になるのも無理はないね。
「……まだ出て来る……のっ!」
「まだまだいるようだ……ブレイド!」
「終わるような気配はない……なっ!」
「そうね……カッター!」
荒い息を吐き、話しながらも迫って来る魔物を倒す4人。
……えーと。
「手助けした方が、良いかな?」
「皆辛そうなの。助けるの!」
ユノに呟くと、あちらはやる気満々のようだ。
皆が辛そうにしているのがわかって、助けたくなってるだろう、俺もそうだしね。
「……モニカさん、ソフィー、手助けを……」
「大丈夫よ! リクさんは後ろで見てて!」
「そうだ! これは私達の戦いだ!」
「……わかった」
手助けをしようと声を掛けたら、モニカさんとソフィーには強い口調で止められた。
辛そうには見えるけど、まだ戦えるようで、限界ではないようだ。
もしかすると、王都に行く前のヘルサルでの特訓のおかげかもしれない。
「リクさんにばかり……ふっ! 戦わせてたら……はぁ!」
「何のための……パーティなの……かっ! わからない……からなっ!」
「私達は、パーティじゃないけど……カッター! それでも、リクにばかり良い恰好はさせないわ……カッターダブル!」
「そうだな……ブレイド! リクには敵わないが、俺達だって……戦えるん、だ……ブレイドトリプル!」
4人は、俺が声を掛けたことで、さっきまでより真剣に魔物を倒し始めた。
さっきも真剣だったけど、今は弱い魔物と侮る事を止め、王都での戦いと同じように強い魔物と戦うような雰囲気だ。
……多分、これなら大丈夫……かな?
もし、誰かが怪我を負ったり、危ない事になれば、即座に助けるつもりだけど。
「……しつこいわね! はぁ! はい! たぁ!」
モニカさんが頭上から飛びかかって来るエアーラットを、槍を横に振って2体叩き落す。
さらに手元に槍を引いて重なってた2体をまとめて貫き、もう1体を穂先にエアーラットを付けたまま、横に振って一緒に地面へ叩き付けて潰す。
「こっちもいるのか……ブレイド! ブレイド! ブレイドトリプル!」
アルネの方は、背後からモニカさんに襲い掛かって来ていたエアーラットの処理だ。
1体、2体と不可視の魔法で突き刺した後、3体をまとめて風の魔法で真っ二つに斬った。
「もう……まだいるのね。カッター! カッターダブル! カッターダブル!」
フィリーナは木の幹や地面に擬態しているモジャラを担当。
擬態して見えにくい相手を、ソフィーが見逃してしまわないように、不可視の刃で1体を排除。
その後、地面の2体、ソフィーの左右にある木にそれぞれ不可視の刃を放って、真っ二つにする。
「援護助かる! リーチは短いが、こちらの方が切れ味が良いん……だっ! はぁ! ふん!」
ソフィーはフィリーナに例を言いつつ、並んでいたコボルトの体を2体同時に切断。
その後ろから襲い掛かって来た、ウルフのお腹に剣を突き刺し、そのまま別のコボルトに剣を振って突き刺さったウルフを飛ばす。
「ソフィー、このままじゃ埒が明かないわ!」
「仕方ない……この程度の魔物に使いたくは無かったが……」
「数が多過ぎるわ! 使わないとこっちが疲弊するだけよ?」
「わかった」
「……お?」
何か狙いがあるのかモニカさんはソフィーに声を掛け、仕方なくそれに頷くソフィー。
どうやら、コボルトやエアーラットといった、低ランクの魔物相手には使いたくなかった事みたいだけど、何か奥の手とかがあるのかな?
「アルネ、フィリーナ! しばらくエアーラットは任せたわ!」
「何か考えがあるのね。わかったわ」
「了解だ!」
「剣よ! 奴らを凍らせろ!」
モニカさんがアルネとフィリーナに声を掛け、それを了承した事で、しばらく頭上から来るエアーラットは、魔法で処理される。
その後、ソフィーが剣を顔の前に持って来て、力を込めながら叫んだ。
「おぉ!」
ソフィーが叫んだ瞬間、剣から放たれた魔力……魔法により、コボルトやウルフを始めとした、地面に足を付けている魔物の足先が凍る。
凍らされた魔物は、足を動かそうとしてもがいている。
思わず声が出てしまった……。
「今だ、モニカ!」
「ええ! お願いね……炎よ! ついでにこれも……フレイム!」
今度はソフィーがモニカさんに声を掛け、モニカが頷く。
自分の持っていた槍を魔物達に向けたまま体を制止させ、足が凍ってすぐには動けない魔物達へ叫ぶ。
「おぉー!」
こっちも思わず声が出てしまった俺。
モニカさんが叫んだ直後、槍の穂先から炎が迸り、動けない魔物達を焼き始める。
さらに、それだけでは足りないと思ったのか、モニカさんが追加で火の魔法を発動。
……多分、これはマリーさんとの厳しい特訓の成果だろうね。
「「「GIGYAAAA!」」」
悲鳴を上げて焼かれて行く魔物達。
さっきより、余程魔物を倒す速度が速く、数も巻き込めるているようだ。
「よし、いけるわね」
「これくらいの魔物相手なら、当然だろうな」
「やるわね……こっちも負けてられないわ、アルネ。……カッター!」
「そうだな。ブレイド!」
モニカさんんとソフィーが魔法具の武器と魔法を使い、魔物達を殲滅し始めたのを見て、ソフィーとアルネも奮起。
二人で頭上から来るエアーラットを漏らさず処理している。
……チームワークもできてるし、これなら、任せていても大丈夫かな?
「俺達が行かなくても、大丈夫そうだな」
「……戦いたかったの」
「ユノはキマイラの時、存分に戦っただろ? 今回は我慢だ」
「仕方ないの」
この調子なら、俺が手助けをする必要はなさそうだ。
最初の頃よりも、魔物が奥から出て来る数が減って来てるから……そろそろ打ち止めになると思うしね。
俺は戦えなくて軽く拗ねるユノの頭を撫でながら、安心してモニカさん達の戦いを見ている事にした。
「はぁ……ぜぇ……はぁ……」
「終わった……か……はぁ……はぁ……」
「そう……みたい……ね……ふぅ……」
「さすがに……そろそろ……魔力も……限界だ……はぁ……」
森の奥から魔物が出て来なくなって少し、4人は乱れた呼吸を整えながら、まだ辺りの警戒をしている。
「……もう……来ないみたい……ね……はぁ……」
「そう……だな……」
「終わった……のね……?」
「みたい……だ……」
しばらく警戒して、魔物が出て来ない事を確認した4人は、終わりを確信したようで、警戒を解いて地面に座り込んだ。
「終わったー!」
「今回はさすがに疲れた!」
「はー、あんなにいるなんてねー!」
「集落の時程では無いが、それでも多かったな!」
座り込んでそれぞれが声を上げる。
皆の顔は、やり遂げた満足感で笑顔だ。
「皆、お疲れ様!」
「リクさん、ありがとう」
「すまない、助かる」
「あぁ、生き返るわぁ」
「ん……はぁ……助かった」
俺は、疲れて座り込んでいる皆に、荷物の中から取り出したタオルと水筒を渡す。
皆汗だくだから、汗を拭いて水分補給をしないとね。
11
あなたにおすすめの小説
「餌代の無駄」と追放されたテイマー、家族(ペット)が装備に祝福を与えていた。辺境で美少女化する家族とスローライフ
天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:男性HOT18位】Sランクパーティ『紅蓮の剣』で、戦闘力のない「生産系テイマー」として雑用をこなす心優しい青年、レイン。
彼の育てる愛らしい魔物たちが、実はパーティの装備に【神の祝福】を与え、その強さの根源となっていることに誰も気づかず、仲間からは「餌代ばかりかかる寄生虫」と蔑まれていた。
「お前はもういらない」
ついに理不尽な追放宣告を受けるレイン。
だが、彼と魔物たちがパーティを去った瞬間、最強だったはずの勇者の聖剣はただの鉄クズに成り果てた。祝福を失った彼らは、格下のモンスターに惨敗を喫する。
――彼らはまだ、自分たちが捨てたものが、どれほど偉大な宝だったのかを知らない。
一方、レインは愛する魔物たち(スライム、ゴブリン、コカトリス、マンドラゴラ)との穏やかな生活を求め、人里離れた辺境の地で新たな暮らしを始める。
生活のためにギルドへ持ち込んだ素材は、実は大陸の歴史を塗り替えるほどの「神話級」のアイテムばかりだった!?
彼の元にはエルフやドワーフが集い、静かな湖畔の廃屋は、いつしか世界が注目する「聖域」へと姿を変えていく。
そして、レインはまだ知らない。
夜な夜な、彼が寝静まった後、愛らしい魔物たちが【美少女】の姿となり、
「れーんは、きょーも優しかったの! だからぽるん、いーっぱいきらきらジェル、あげたんだよー!」
「わ、私、今日もちゃんと硬い石、置けました…! レイン様、これがあれば、きっともう危ない目に遭いませんよね…?」
と、彼を巡って秘密のお茶会を繰り広げていることを。
そして、彼が築く穏やかな理想郷が、やがて大国の巨大な陰謀に巻き込まれていく運命にあることを――。
理不尽に全てを奪われた心優しいテイマーが、健気な“家族”と共に、やがて世界を動かす主となる。
王道追放ざまぁ × 成り上がりスローライフ × 人外ハーモニー!
HOT男性49位(2025年9月3日0時47分)
→37位(2025年9月3日5時59分)→18位(2025年9月5日10時16分)
科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜
難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」
高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。
だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや——
「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」
「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」
剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める!
魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」
魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」
神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」
次々と編み出される新技術に、世界は驚愕!
やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め——
「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」
最強の頭脳戦が今、幕を開ける——!
これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語!
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
異世界に降り立った刀匠の孫─真打─
リゥル
ファンタジー
異世界に降り立った刀匠の孫─影打─が読みやすく修正され戻ってきました。ストーリーの続きも連載されます、是非お楽しみに!
主人公、帯刀奏。彼は刀鍛冶の人間国宝である、帯刀響の孫である。
亡くなった祖父の刀を握り泣いていると、突然異世界へと召喚されてしまう。
召喚されたものの、周囲の人々の期待とは裏腹に、彼の能力が期待していたものと違い、かけ離れて脆弱だったことを知る。
そして失敗と罵られ、彼の祖父が打った形見の刀まで侮辱された。
それに怒りを覚えたカナデは、形見の刀を抜刀。
過去に、勇者が使っていたと言われる聖剣に切りかかる。
――この物語は、冒険や物作り、によって成長していく少年たちを描く物語。
カナデは、人々と触れ合い、世界を知り、祖父を超える一振りを打つことが出来るのだろうか……。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・
Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・
転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。
そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。
<script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる