神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
253 / 1,955

パレードの準備に参加決定

しおりを挟む


「ふむ、そうね。生き残る事で、強い兵士になる……と考える事もできるんだけど。……一度ヴェンツェル達と話し合ってみるわ」
「まぁ、俺の意見は素人考えだから、参考程度にしてよ」
「わかったわ。新兵を大事にするか、既存の訓練された兵士を大事にするか……ね」
「そこまで考えてた事じゃないんだけどね……」

 ワイバーンの皮を剥ぎ取る時に、ヴェンツェルさんが連れて来た新兵さん達は、規律とかはしっかりしてそうだけど、まだ体の動かし方があまりしっかりしてないように見えた。
 ハーロルトさんやヴェンツェルさんと比べると、はっきり言うと弱そうに見えたんだ。
 ……比べる相手が軍のトップとかっていうのは、間違ってるかもしれないけどね。

 でも、あれだと魔物と戦ってもすぐにやられてしまいそうに見えたからね。
 それなら、やられないように防具を強化して、じっくり訓練できればなぁ……と考えた。
 ワイバーンの皮を使う事以外にも、他に方法はあるかもしれないけど……今回はたまたまワイバーンの皮を使たとしたら……というだけだね。

「それにしても、りっくんが軍の事を考えるなんてねぇ……?」
「……何か、おかしいかな?」
「おかしいとまでは言わないけど、そこまで考えられるようになったんだな……ってね」
「ははは、まぁ、俺もこの世界に来て色々経験してるからね」
「確かにね。魔物の集団を何度も殲滅する経験なんて、冒険者でもそういないわね」

 やりたくて、何度も魔物の集団と戦ってるわけじゃないんだけどね……。
 昔の……小さい頃の俺を知っている姉さんにとっては、俺の成長に感慨深いものがあるようだ。
 ……成長、で良いんだよね?

「あ、そうそう。りっくん」
「どうしたの?」

 感慨深そうにしていた姉さんが、急に何かを思い出したようだ。

「明日から、しばらくこの城にいてね?」
「何かあったっけ?」
「パレードよ、パレード。忘れたの? りっくんのための催しなのに……」
「……あぁ、そう言えば」

 出来れば忘れておきたかったパレード……。
 大通りを闊歩して、俺が王都の人達相手に見世物になる催しだね。

「パレードは、今日から3日後に行われる事になったわ。ちょっと予定より遅くなっちゃったけど、開催は確実ね」
「……そうなんだ……3日後。でも、どうしてそれまで城にいなきゃいけないの?」
「りっくんは冒険者だからよ。放っておいたら、また依頼とか言ってどこかへ行きそうだしね。それに、パレードの練習もしなきゃ」
「パレードの練習? 何か特別な事でもあるの?」

 パレードが行われるのは良いんだけど、そのための練習ってなんなんだろう?
 大通りを通って、見物人に手を振ったりすれば良いだけなんじゃないの?
 まぁ、姉さんの言うように、暇だから冒険者ギルドで何か依頼を……となりそうなのは否定できないね。

「特別な事はないわ。基本的には大通りなんかを含む、城下町の主要な通りを通って、民達へのお披露目ね」
「そうなんだ。それじゃ、なんで練習なんているの?」
「りっくん……馬に乗れないでしょ? それに、いつもの服装……というより、その鎧じゃねぇ?」
「馬……確かに乗った事ないね……。この鎧じゃ駄目なの?」
「駄目よ、全然駄目。もっと見栄えの良い恰好にしなきゃ。 フルプレートとまでは言わないけど、それなりに良い鎧を着なきゃ」

 馬の練習は、確かに必要だと思う。
 この世界に来た最初の頃に、乗合馬車に乗った以外はずっとエルサに頼りきりだ。
 馬に何て、こっちの世界に来る前にも乗った経験なんてないからなぁ。
 でも、鎧は皮の鎧のままでも良いんじゃないかなぁ?
 これでも結構格好良いのに……。

「わかったよ。それじゃあ、明日からはパレードの準備だね」
「よろしくね。……ところで」
「ん?」
「何でエルサちゃんは、そんなに汚れてるの? しかも口の周りばかり……」
「あぁ、これね。ワイバーンの皮を剥ぎ取った後、残った肉を燃やしたんだけど……」
「全部私が食べたのだわ! 美味しかったのだわ!」

 パレ―ドの準備をする事に了解したところで、姉さんがエルサの汚れに気付く。
 口の周りだけ、集中的に黒く汚れてるから気になるよね。
 ほとんど焦げた部分のせいだけど、血が付いてないから怖さはない。
 赤い血で口の周りが汚れてたら……ドラゴンがそうなってるって、ちょっと怖いかな……いや、小型犬くらいの大きさで、俺の頭にべったりくっ付いてるエルサから恐怖を感じる事は無いか。
 モフモフだし。

「ワイバーンの肉を……だ、大丈夫なの?」
「ワイバーンは、人間にとって毒となる物を体内に蓄えているので、食べられないはずですが……」
「エルサは大丈夫みたいだよ? 以前にも、生で食べた事があったみたいだし。今の所、毒で苦しむ様子もないしね」
「そ、そう。そうなのね……ドラゴンって……」
「人間とは違う、という事なのでしょうね。」
「焦げた肉だったけどね。だから汚れてるんだよ。まぁ、ヴェンツェルさんが連れてた新兵さん達には、無駄に穴を掘らせちゃったけど」
「だから、ヴェンツェルについてた兵士達は、疲れた顔をしてたのね?」
「穴を掘って埋める……作業そのものは単純ですが、体への疲労は相当な物でしょう」

 姉さんとヒルダさんは、エルサがワイバーンの肉を食べることに驚いているようだ。
 ドラゴンだから……と、無理矢理納得もしてるけど。
 新兵さん達には、ちょっとかわいそうな事をしたと思う。
 先にエルサが食べられる事を知っていれば、穴を掘って処理する事もなく、作業はもう少し早く終わってたはずだからね。
 まぁ、ヴェンツェルさんが訓練になるって言ってたから良いか………量が多い分、深く広く掘ってたみたいだし、体は鍛えられるのかもしれない。

「それじゃ、俺はエルサを洗うから、お風呂に入るよ」
「準備できております」
「ありがとうございます」
「わかったわ。ちゃんとエルサちゃんを、元の綺麗なモフモフにしてあげてね。それじゃ、おやすみ」
「うん、おやすみー」
「おやすみなのだわ」

 前もって風呂の準備をしてくれていたヒルダさんにお礼を言い、部屋を出る姉さんを見送る。
 その後は、しっかり時間をかけてエルサの汚れを洗い流し、俺の方も皮を剥ぎ取るのに少し汚れてしまってたから、それも洗って風呂を出た。
 鎧とかにも、少し汚れが付いてたから、それもちゃんと洗っておいた。
 まぁ、明日からはパレードの準備で、しばらくこれを着て行動する事はなさそうだから、今のうちに洗ってしっかり乾かしておこう。

「じゃあ、ドライヤーで乾かすぞ?」
「お願いするのだわー」

 風呂から上がった後、エルサの毛をドライヤーもどきの魔法で乾かす。
 気持ち良さそうに温風を体で受けてたエルサは、いつものように途中でぱたりと横に倒れてそのまま寝てしまった。
 今日はワイバーンの焦げ肉やキューなど、エルサが満足するまでいっぱい食べたからなぁ、眠かったんだろう。
 気持ち良さそうに寝ているエルサの毛がしっかり乾き、いつも通りのモフモフになった事を確認して、ベッドに連れて行き、一緒に就寝した。
 今日もしっかりエルサのモフモフを感じながらだから、良い夢が見られるだろうね。

しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜

難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」 高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。 だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや—— 「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」 「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」 剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める! 魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」 魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」 神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」 次々と編み出される新技術に、世界は驚愕! やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め—— 「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」 最強の頭脳戦が今、幕を開ける——! これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語! ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる

暁刀魚
ファンタジー
 社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。  なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。  食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。  そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」  コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。  かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。  もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。  なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。  カクヨム様にも投稿しています。

処理中です...