神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
423 / 1,955

赤信号さんの乱入

しおりを挟む


 乱入して来たそばから叫んだのは、赤信号さん……もといルギネさんだ。
 その後ろには、他の信号……リリーフラワーのメンバーが揃ってる。

「えっと……?」
「KISIIIII!!」
「はい、ちょっとうるさいよー?」
「KISIIIAAAA!!」

 剣を振るのを止めて、走り込んで来たリリーフラワーの人達を見る。
 俺が止まった事をチャンスと見たのか、後ろから一体のマギアプソプションが体と顔を大きく振って、硬質化した角で攻撃して来たけど、右に体をずらして避け、振り向きざまに剣で体を両断。
 断末魔を上げて動かなくなったマギアプソプションを余所に、もう一度ルギネさん達の方へ視線を向けた。

「……強い魔物ではないが、それでも軽々と……さすがはAランクという所だな」
「英雄というのは本当なのねぇ。若いのに凄いわぁ」
「ふん、それでもお姉さまの方が凄いんです! ……夜の方も……」
「マギアプソプションが焦げた肉のように……気持ち悪いから違うわね」

 俺がマギアプソプションをあっさり倒した事で、足を止めて驚愕している様子のルギネさん達。
 とりあえず、ルギネさんとの夜の方なんて聞いてないからね、黄信号……グリンデさん。

「獲物が……とか言ってたけど、どうしてここに?」
「はっ! ……私達は、冒険者ギルドから依頼を受けて、マギアプソプションの討伐に来たのだ! 私達が討伐する魔物なのだから、横取りはよしてもらおうか!」
「……横取りって……」
「おい、ルギネ。何を言っている。私達も同じく討伐の依頼を受けているんだ。横取りなんかではないぞ?」

 俺が言葉をかけると、自分達がなんのためにここまで来たのかを思い出したのか、ハッとなったルギネさんが表情を引き締めて、依頼を受けた事を教えてくれた。
 うーん、そうは言っても……俺達も依頼を受けてるし、ヤンさんから見つけたら討伐してくれって言われてるしなぁ……。
 なんて考えていたら、ルギネさん達に気付いたソフィーが、フィリーナの所からこちらへ来て説明してくれた。
 フィリーナやモニカさんは、ルギネさん達の事は気にせず、地面を見て土の状態を確認しているようだ。
 ……ユノ、剣を地面に突き刺して遊んでたら、剣が駄目になるかもしれないから、止めた方がいいと思うよ?

「むぅ……しかし、私達も依頼を受けている。それを全て倒されたとあれば、リリーフラワーの名折れ! ……もうずいぶんと討伐したようだし、ここは私達に任せてもらおうか……?」
「えっと、まぁ……それはいいんだけど……後ろの人達は嫌そうですよ?」

 俺が斬って倒したマギアプソプションの残骸を見つつ、ルギネさんがここからは任せてくれと言ってる。
 俺だって、巨大ミミズの気持ち悪いマギアプソプションを相手にするのは遠慮したいくらいだから、任せられるなら任せたい。
 モニカさんやソフィーも俺にお任せみたいだし……。
 ルギネさんの顔は、マギアプソプションの気持ち悪さを気にせずやる気に満ちてる。
 けれども、その後ろにいる他の信号機……リリーフラワーのメンバーは、嫌そうな表情をしてる。

「……おい、お前達?」
「ルギネぇ……やっぱり気持ち悪いわよぉ?」
「ひぇ……半分になってもピクピクしてます……これ、死んでるんですよね?」
「触りたくないから、近づかない。これなら焦げた肉を齧っていた方がマシ」
「あぁ、ちなみにミーム。お前は魔法を使って戦うが……詳細は省くが、今ここは魔法使用が禁止の状態だ。暴発したりするのが怖いなら、止めておいた方が無難だな」
「……ルギネ、私やる事がなくなった」
「くぅ……」

 やる気満々だったルギネさんが後ろを振り返り、他のメンバーへ声をかけると、皆やる気のなさそうな声でルギネさんを止める。
 ルギネさん以外やる気のないメンバー……これでよく依頼を受けたなぁと思うけど、多分リーダーであるルギネさんが無理矢理受けたんだろうな。
 そういう所は、押しが強そうだし。
 さらにソフィーが、やる気のないミームさんに追い打ちをかけるようにやる気を削ぐ忠告。

 フィリーナの言う事が正しければ、今ここで魔法を使うと、思ったよりも威力が出過ぎたり弱かったりと、難しい状態らしいから、確かにミームさんはやる事がないか……というかやっぱり、ミームさんは魔法を使う人なんだね。
 あと、グリンデさん……短剣で俺が斬ったマギアプソプションの下半身を、ツンツンするのは止めよう。
 体が半分に斬られても、しばらくピクピクと脈動してるけど、気持ち悪いなら近付かなきゃいいのに……怖いもの知らずなのかな? 
 ユノと気が合いそうだ……そっちの趣味にはさせたくないけど。

 魔物の近くにいるというのに、気持ち悪がって近付かなかったり、やる気を見せないメンバーにがっくりしたルギネさん。
 その気持ちは、よくわかる。
 さっき、モニカさんやソフィーに送り出された俺と一緒だからなぁ……。
 まぁ、一応こちらは武器を出して戦う準備をして、討ち漏らしたマギアプソプションくらいは相手にしようとしてたから、まだマシか。

「お前達! それでも冒険者か! 相手が気持ち悪かろうと、依頼を受けた討伐対象の魔物である限り、戦うんだ!」
「そうは言われてもねぇ……ほら、リクさんを見ると、戦いたくなくなるわよぉ? ほら、あの革の鎧……」
「うわぁ……変な色の液体が付いてます……」
「焦げた肉より変な色……あれは嫌」
「うっ……!」
「あははは……これは仕方ないですよ……」
「リク……少し匂うか?」

 メンバーを奮起させるため、叱咤するルギネさんだけど、アンリさん達は俺の来ている革の鎧を示して、嫌そうな顔。
 女性に嫌がられると言うのは、精神的にちょっと苦しいけど、今の俺の状態はそうなっても仕方ない。
 マギアプソプションは体が柔らかく、軽々と斬り裂けるのはいいんだけど、両断する時にどうしても血のような物をまき散らす。
 それを返り血のように、全て避け切る事もできずに見に付けてる鎧に付着したってわけ。

 けど、俺も気持ち悪いので、顔なんかの、何も見に付けていない部分には付かないように気を付けてる。
 だって……マギアプソプションの血って、緑色なんだ……。
 俺を改めて見たルギネさんは、鎧に付着した緑色の液体を見て、さすがにうろたえた。
 まぁ、男性のような振る舞いをしていても、根は女性……こんな気持ち悪い液体を浴びたりはしたくないよね。
 とりあえず、俺に任せてただけのソフィーは、後で文句の一つでも言っておこうと思う。
 ……マギアプソプションの血って、変な匂いがするんだなぁ。

「えぇい、もういい! 私だけでもマギアプソプションを討伐するぞ!」
「あ、ルギネ!」
「お姉さま!?」
「私は役立たず。離れて焦げた肉を齧る……」

 気持ちの悪い液体を見て、うろたえていたルギネさんだけど、すぐに気を取り直して、一人でマギアプソプションの群れへと駆けて行った。
 俺が数体倒して、少し数は減ってるとは言え、大丈夫かなぁ?
 アンリさんとグリンデさんは、止めようと叫ぶが、ルギネさんを追いかけたりはしない……うん、リリーフラワーはそう言う趣味の集まりでも、結束が固いとは言えない……のかな?
 ミームさんは、フィリーナ達の方へ行って一緒に地面を見ながら、本当に焦げた肉のような干し肉を出して、齧り始めたし……マイペースだなぁ……。


しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜

難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」 高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。 だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや—— 「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」 「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」 剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める! 魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」 魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」 神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」 次々と編み出される新技術に、世界は驚愕! やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め—— 「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」 最強の頭脳戦が今、幕を開ける——! これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語! ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる

暁刀魚
ファンタジー
 社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。  なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。  食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。  そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」  コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。  かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。  もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。  なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。  カクヨム様にも投稿しています。

処理中です...