436 / 1,955
魔法の維持
しおりを挟む「とりあえず、取り乱した事は謝るわ、ごめんなさい」
「私も、ごめんなさい」
「うん、それはいいんだけど……どうしてマギアプソプションは、ガラスの埋まってる地中を気にしてたんだろう? 魔力を蓄えてるって言っても、魔力溜まりでもないんだし……」
冷静になって、興奮状態のまま俺に迫った事を謝るフィリーナとモニカさん。
特にモニカさんは、俺に顔を寄せ過ぎた事を恥ずかしく思っているのか、顔が赤い。
おっきなお胸様が、俺の体に当たってたような当たってなかったようなくらいだったから、それも関係してるのかもしれない。
あ、フィリーナの方は特にそんな事は……止めておこう、考えるのも危険だ。
「何か、不愉快な事を考えてるような気がするけど……まぁいいわ」
やはり、感づかれる寸前だったようだ。
危ない危ない。
デリケートな事は、あまり考えたり言ったりしない方がいいね。
「ともかく、マギアプソプションが気にしてたのは、このガラスで間違いないわね。というか、このガラスが魔力溜まりの発生源ね」
「え? ガラスが、なの?」
「これだけの量の魔力を蓄えたまま、放置されていたのよ? 魔力溜まりの一つも発生するわよ。それに、リクの魔法やゴブリンの魔力残滓も、合わさって、魔力溜まりが異常なまでの濃さになってるんでしょうね」
「という事は……?」
「魔力溜まりの発生は、リクがガラスを地中に埋めたから……という事も考えられるわ。それがなくても、発生した可能性も高いけどね。まぁ、悪い事ばかりじゃないし、農地として使うのなら、こうなって良かったとも言えるから、罪の意識は感じなくてもいいと思うわよ」
「そう言われてもね……」
結局のところ、俺がガラスを埋めた事が原因の可能性もあるという事だ。
フィリーナがフォローしてくるれてるし、魔法を使った事や、ゴブリン達も関係してる事は間違いないんだろうけど……さすがに後悔してしまう。
確かに農地として、土の状態は魔力溜まりができた方が良い物になるんだろうけど……そうじゃなくても農地を作る事はできただろうし、マギアプソプションも呼び寄せちゃってるしなぁ……。
「ともかく、今はこのガラスをどうするかだね」
頭を振って気持ちを切り替え、目の前に積まれているガラスを見る。
自己嫌悪やら、自分を責めるのはいつでもできるんだから、まずはこれをどうにかしないといけない。
今更後悔したって、目の前の事は変わらないんだしね。
まぁ、さすがに反省はするけど……。
「そうねぇ……やっぱり埋め直すのが正解かしら? でも、そうすると魔力溜まりが解消される事はないでだろうし……」
「持って帰って、冒険者ギルドで管理してもらうのは? ヤンさん達なら、変な事に使わないと思うし……リクさんお頼みなら聞いてくれるでしょ?」
「ふむ……私は、魔力溜まりを囲むように埋めるのがいいと思うがな。そうしたら、魔力も分散されるし、ただまとめて埋めるよりも、解消されるのが早いだろう。それに、魔力溜まりがあれば農地としても良い状態を維持できる」
「んー……どうするのがいいんだろうか……?」
フィリーナ、モニカさん、ソフィーがそれぞれ意見をしてるけど、皆の意見が別れてしまった。
どうするのが一番いいのだろうか……?
そう考えていたところで、ふとちょっとした事を思いついた。
「エルサ。結界があるだろ?」
「あるのだわ。どうしたのだわ?」
「あれって、外と中を完全に隔離するじゃないか。だとしたら、大きな結界で包めばガラスから魔力が漏れる事もないし、マギアプソプションが来る事もなくなったりは……しないか?」
ちょっとした思い付きの一つだけど、実効性が高い事のように思えた。
頭にくっ付いてるエルサに問いかけ、可能かどうかを聞く。
こういう時は、長く生きてて知識が豊富……と思われるエルサに聞くのが一番かな。
ユノに聞いても良さそうだけど……こういう事で助言をしようとは考えてないみたいだからね。
「可能か不可能かで言えば、可能なのだわ」
「だったら……」
「でも、結界を維持するのはどうするのだわ? あれは、発動している間中ずっと魔力を消費するのだわ。私やリクのように、魔力豊富で結界が使える存在がいなければ、小規模でも短時間。大規模なら一瞬でなくなるのだわ」
「むぅ……維持は確かに難しそうだ……」
「魔法の維持ねぇ……それって、他の人達じゃできないの? 例えば、魔法だけ発動してもらって、それに必要な魔力を、他から補うとか」
結界は、包み込めば外と中を完全に遮断できる。
だから、ガラスを包んでおけば、魔力が外に漏れる事もなく、魔力溜まりが維持される時間も減るだろうと考えたんだ。
それに、魔力溜まりそのものを囲めば、魔力溜まりの気配が外に漏れたりする事もなくなって、マギアプソプションが集まって来ない……という考えだね。
エルサに確認すると、それは可能らしい。
けれど、魔法の維持が問題で、結界を維持できなければ結局はすぐに魔法が解けてしまうため、意味がないのだそうだ。
結界が使えるのは、俺とエルサくらいだし……難しそうだ。
眉間に皺を寄せ、どうしたらいいのか考えていると、他の案を考えていたはずのフィリーナが、俺やエルサに質問して来る。
どうやら、考えながらも俺とエルサの話を聞いていたらしい。
ふむ、他の人の魔力で代用……か。
「それも可能なのだわ。けど、人間やエルフじゃ、一人や二人ではとてもじゃないけど維持できないのだわ。私やリクからすれば、大した事のない魔力消費でも、他からすればとんでもないのだわ。それに、ガラスだけならまだしもだわ、畑全体を覆うとなったら、私でも無理なのだわ」
「エルサ様でも賄えない魔力量……あまり考えたくないわね」
「いい案だと思ったんだけどなぁ……」
「実行したとして、維持できるのがリクだけな時点で、無理な話ね」
他の人だと、必要な魔力量が多過ぎて、不可能らしい。
一人や二人でどうにかできない程の魔力量が必要なら、魔力溜まりを解消させるように、人を集めた方が現実的なのかもしれない。
「……ガラスに蓄えられてる魔力を、結界に使えるなら……しばらくは可能なのだわ」
難しい顔をして考え込む俺やフィリーナを見かねたのか、エルサがボソっと呟く。
ガラスの魔力……?
「それって、魔法具としてガラスを使うって事?」
「そうなのだわ。結界はリクが発動させる。ガラスの魔力はリクの魔力でできているし、親和性は高いのだら。それなら、しばらく維持する事は可能なのだわ」
「成る程……魔法具は、使用者の魔力を適正に関わらず、吸い取って魔法を発動させる。結界とガラスを繋げて、それ自体を一つの魔法具のように……という事かぁ」
「それって……できるの?」
ガラスから魔力を供給する。
フィリーナの言う通りなら、ガラスには相当な魔力があるため、結界を維持するために必要な魔力量も補えるのかもしれない。
けど、それと結界を繋げるって……どうなんだろう?
11
あなたにおすすめの小説
「餌代の無駄」と追放されたテイマー、家族(ペット)が装備に祝福を与えていた。辺境で美少女化する家族とスローライフ
天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:男性HOT18位】Sランクパーティ『紅蓮の剣』で、戦闘力のない「生産系テイマー」として雑用をこなす心優しい青年、レイン。
彼の育てる愛らしい魔物たちが、実はパーティの装備に【神の祝福】を与え、その強さの根源となっていることに誰も気づかず、仲間からは「餌代ばかりかかる寄生虫」と蔑まれていた。
「お前はもういらない」
ついに理不尽な追放宣告を受けるレイン。
だが、彼と魔物たちがパーティを去った瞬間、最強だったはずの勇者の聖剣はただの鉄クズに成り果てた。祝福を失った彼らは、格下のモンスターに惨敗を喫する。
――彼らはまだ、自分たちが捨てたものが、どれほど偉大な宝だったのかを知らない。
一方、レインは愛する魔物たち(スライム、ゴブリン、コカトリス、マンドラゴラ)との穏やかな生活を求め、人里離れた辺境の地で新たな暮らしを始める。
生活のためにギルドへ持ち込んだ素材は、実は大陸の歴史を塗り替えるほどの「神話級」のアイテムばかりだった!?
彼の元にはエルフやドワーフが集い、静かな湖畔の廃屋は、いつしか世界が注目する「聖域」へと姿を変えていく。
そして、レインはまだ知らない。
夜な夜な、彼が寝静まった後、愛らしい魔物たちが【美少女】の姿となり、
「れーんは、きょーも優しかったの! だからぽるん、いーっぱいきらきらジェル、あげたんだよー!」
「わ、私、今日もちゃんと硬い石、置けました…! レイン様、これがあれば、きっともう危ない目に遭いませんよね…?」
と、彼を巡って秘密のお茶会を繰り広げていることを。
そして、彼が築く穏やかな理想郷が、やがて大国の巨大な陰謀に巻き込まれていく運命にあることを――。
理不尽に全てを奪われた心優しいテイマーが、健気な“家族”と共に、やがて世界を動かす主となる。
王道追放ざまぁ × 成り上がりスローライフ × 人外ハーモニー!
HOT男性49位(2025年9月3日0時47分)
→37位(2025年9月3日5時59分)→18位(2025年9月5日10時16分)
科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜
難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」
高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。
だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや——
「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」
「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」
剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める!
魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」
魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」
神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」
次々と編み出される新技術に、世界は驚愕!
やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め——
「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」
最強の頭脳戦が今、幕を開ける——!
これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語!
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
異世界に降り立った刀匠の孫─真打─
リゥル
ファンタジー
異世界に降り立った刀匠の孫─影打─が読みやすく修正され戻ってきました。ストーリーの続きも連載されます、是非お楽しみに!
主人公、帯刀奏。彼は刀鍛冶の人間国宝である、帯刀響の孫である。
亡くなった祖父の刀を握り泣いていると、突然異世界へと召喚されてしまう。
召喚されたものの、周囲の人々の期待とは裏腹に、彼の能力が期待していたものと違い、かけ離れて脆弱だったことを知る。
そして失敗と罵られ、彼の祖父が打った形見の刀まで侮辱された。
それに怒りを覚えたカナデは、形見の刀を抜刀。
過去に、勇者が使っていたと言われる聖剣に切りかかる。
――この物語は、冒険や物作り、によって成長していく少年たちを描く物語。
カナデは、人々と触れ合い、世界を知り、祖父を超える一振りを打つことが出来るのだろうか……。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・
Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・
転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。
そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。
<script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる