神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
509 / 1,955

同時に調査依頼を受けらるための提案

しおりを挟む


 モニカさん達と二つある依頼書を確認したけど、どちらにせよ両方ともの依頼で、時間がかかるだろうというのは簡単に想像できた。
 これは、さすがに一緒に依頼を受ける事はできさそうだなぁ……。

「うーん、どちらを受けるかかぁ……緊急性という意味では鉱山調査の方が、高いかな?」
「そうね。どちらも、近隣含めての冒険者ギルドに滞在している冒険者だと、ランクの関係で依頼できないというのもあって王都のギルドに持って来られたけど、鉱山の方が緊急性が高いと言えるわね。実際に魔物と遭遇しているみたいだし。もう一つの方は、今のところ遠巻きに眺める程度で済ませているみたいだし……散発的に戦闘があっても、冒険者が仕掛けているんだろうし、こちらは今すぐ行かなければという程でもないわね」

 悩みながら依頼書を見比べていると、マティルデさんから注釈が入った。
 鉱山の方は、実際に魔物と遭遇して危険度が増しているみたいだし、こちらの方を優先かな。
 両方、王都から離れている場所らしく、依頼がこちらへ持って来られるまで日数もかかっていそうだし、鉱山の方は魔物が多くいたら、そこで働く人たちに直接影響が出ていると考えられるしね。
 森付近へ魔物が集結……というのは、今のところ本当に集結しているのかどうかははっきりしないようだし、依頼が出されたときから状況が変わっていると考えても、今すぐといった緊急性はなさそうだ。

 一応、両方とも現地の冒険者さんが多少なりとも対処しているようだけど、集結の可能性が予測される方は集まる魔物を討伐して、時間稼ぎをお願いする事もできるだろうし、俺達とは違う冒険者を向かわせる事もできると思う。
 王都には、俺達以外にも冒険者さんが多いはずだからね。

「それじゃ、鉱山の方の依頼を……」
「待ってくれリク」
「どうしたの、ソフィー?」

 モニカさん達は、依頼を受ける事を承諾してくれているので、緊急性が高そうな鉱山の調査をする依頼を受けるため、マティルデさんに言おうとしたところでソフィーに遮られた。
 何か気になった事でもあるのだろうか?
 俺も含め、皆の視線がソフィーへ注目する……エアラハールさん以外は、だけども。

「いやな? この鉱山と魔物が集結する可能性があると言って来ている街だが……あまり離れていないのではないか?」
「んー……どうだろう?」
「そうね……マティルデさん、すみませんが地図はありますか?」
「あるわよ。――ミルダ?」
「はい。えっと……あったあった。……こちらになります」

 ソフィーの言葉を聞いて、首を傾げる俺。
 モニカさんはマティルデさんにお願いして、地図を見て確認するようだ。
 声をかけられたミルダさんが、依頼書があった棚とは別の棚から大きな地図を取り出し、机に広げた。
 広範囲に活動している組織だけあって、地図の用意もあるんだなぁ。

「えーと……鉱山がここで……もう一つの街はこっちね?」
「……そのようだ」
「比較的近い位置にあるとは言っても、馬ですら三日以上はかかると思うわよ?」

 モニカさんが依頼書を見ながら、地図上の場所を示す。
 街の方は王都から北東の位置にあり、鉱山はその街からさらに北へ行った場所だ。
 東にあるヘルサルからは、真っ直ぐ北に行った場所になるかな。
 地図で見ると、直線距離でヘルサルの方が近いように感じるけど、川や山、他にも森がいくつかあるようで、整備されていそうな街道がある王都からの方が、結果的に早く到着できると思う。
 というより、いくつかの森や山があって、さらに川にも遮られているためなのか、ヘルサルからは直接街道が繋がっていないようだね。

「三日以上……リク、エルサに乗れば、そんなに時間がかからずに行き来できるのではないか?」
「そうだね……エルサなら真っ直ぐ進めるし、馬よりも早いからね」

 それこそ、本来なら山を越えたりする事もあって、一カ月近くかかるヘルサルとエルフの集落間でも、エルサなら頑張れば片道二日もかからないからね。
 馬で片道三日なら……多分、往復数時間ってところじゃないかな?
 一日に何度も往復をする事はできないだろうけど、ある程度気軽には行き来できると思う。

「そうだった……リク君にはそのドラゴン様が付いていたんだったわね……。ほとんど動かず、リク君の頭にくっ付いているだけだから、あまり意識していなかったけど」

 マティルデさんが、俺の頭の上で暢気に寝ているエルサに視線を向け、存在を思い出したようだ。
 ワイバーンの皮を持って来た時にも、ある程度説明したけど、エルサで空を飛んで移動するというのは普通ではありえない事だから、もはや俺が身に付けてる帽子のようになっているエルサの事を、あまり意識していなかったんだろうと思う。
 冒険者は俺達だけじゃないし、他の冒険者やギルドの仕事があったりで、意識していない事まで覚えていられないんだろう。
 王都に複数ある冒険者ギルドを統括するギルドマスターだから、忙しいだろうしね。

「エルサに乗れば、二つの依頼を同時に……という事はできないだろうか?」
「できればリク君に受けてもらいたい依頼だから、両方やってもらえるならありがたいわ。でも、大丈夫かしら? 両方の調査ともなると、常にリク君が見ていられるわけでもないでしょ?」
「まぁ、俺の体は一つですからね」

 二つの依頼書と、地図を見比べながら首を傾げるソフィー。
 それに対して、マティルデさんは頷くけど、同時に俺が両方を常に見ていられない事を不安に感じているようだ。
 分身とかできれば違うだろうけど、そんな事はできないだろうしね。
 ……本当にできないんだろうか?

 いや、変な事になるかもしれないし、今回はあまり考えないでおこう。
 失敗してもいけないしね。
 ……いつか、お試しでイメージしてみても……いいかもしれないけど……。

「例えば、ユノを集結しそうな魔物の調査に当てて、リクは鉱山の方へ……というのはどうだ? 時折、リクがエルサに乗って魔法で魔物の探査にも協力するのも前提だが。リクの探査魔法は、今回の場合両方に使えそうだが、鉱山の方が入り組んでいて視界が悪い可能性が高いからな……そちらの方を担当した方がいいだろう」
「んーと……それなら確かに、大丈夫かもね」
「ユノはそれもいいの! 魔物の事を見守るの!」

 ソフィーの提案は、俺が坑道が入り組んでいそうな鉱山で探査魔法を使い、魔物の調査を詳しくする。
 探査魔法は、実際に視界では見えない部分もある程度わかるから、鉱山内部に使った方が効果的だと考えたんだろう。
 代わりに、高ランクの魔物が既に確認されている、森付近へ集結している様子の魔物は、大抵の魔物なら対処できるユノが主に担当する事で、役割を分けようという事かな。
 森の中ではなくあくまで森付近なので、見晴らしがよく遠くまで見渡せるだろうし、時折俺が行って魔法探査で詳しい魔物の位置を確認すれば、あとは時間をかけるだけかなと思う。

 この方法なら、戦力を分ける事にはなるけど、同時に二つの依頼をこなせそうだ。
 まぁ、そこまではいいんだけど……ユノ、魔物は集結しているのかを確認するくらいで、見守るわけじゃないからな?

しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。  主に5大国家から成り立つ大陸である。  この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。  この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。 かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。 ※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!) ※1話当たり、1200~2000文字前後です。

科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜

難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」 高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。 だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや—— 「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」 「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」 剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める! 魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」 魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」 神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」 次々と編み出される新技術に、世界は驚愕! やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め—— 「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」 最強の頭脳戦が今、幕を開ける——! これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語! ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

湖畔の賢者

そらまめ
ファンタジー
 秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。  ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。  彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。 「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」  そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。  楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。  目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。  そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。

処理中です...