神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
560 / 1,955

初めての二日酔い

しおりを挟む


「いやでも、エルサと出会ってから、ほとんどいつも一緒だったから……。寝る前の事を覚えていないけど、何かあったんだっけ? うーん……っ!」

 どうしてエルサがここにいないのかを考えながらも、とにかく朝の支度をしようと体を起こす。
 ソフィーやエアラハールさんに聞けば、何かわかるかもしれないし、もしかしたらそちらに言っているのかもしてないしね。
 そう思ったんだけど、体を起こした途端に襲ってきた頭痛によって、頭を抑えて固まった。

「っぅ~……! なんだこれ、頭痛……風邪かな? でも、喉が痛かったり咳は出ていないし、熱もなさそう……かな……っ……はぁ~……んしょっ」

 頭痛に耐えつつ、ゆっくりと体を動かしてベッドの淵に腰かける。
 風邪かと思い、自分の体調を確かめてみるも、のどの痛みや咳はないし、熱があるような体の熱さも感じない。
 断続的に襲って来る頭痛に、どうしたものかと思いつつ、地図の近くに置いてある水差しに気付いた。

「っ……っ……ん……ふぅ……」

 頭痛がひどくならないよう、ゆっくりとした動きでテーブルまで移動し、水差しから一緒に置いてあるカップへと注いで一口飲む。
 ほんの少しだけ、頭痛が収まった気がするね……ただ、内臓がムカムカするというか、吐き気に近い気持ち悪さも感じる。
 とりあえず、残りの水を飲み干すと、まだ気持ち悪さや頭痛はあるにせよ、さっきまでよりはマシになった。
 いつも通りとはいかないけど、これなんとか動けるかな。

「……リク、入るぞ?」
「……っ……ソフィー……?」
「リク、起きていたか。大丈夫か?」

 エルサを探すため、少しだけ調子が上向いたので、部屋を出ようと考えていたらソフィーが部屋を訪ねて来てくれた。
 その腕にはエルサが抱かれている。
 良かった……エルサは昨日、ソフィーのところで寝ていたのか。
 部屋へと入ってきたソフィーは、すぐに俺が起きていた事に気付くと、心配そうな面持ちになって大丈夫かどうか聞かれた。

「……うーん、ちょっと頭痛がするかな。あと気持ち悪さも。さっき水を飲んだら、少しだけマシにはなったけどね。でも、昨日何があったんだろう? こんなになる程、何かをしたようには思えないんだけど……というか、記憶にないし。ソフィー、何か覚えてる?」
「記憶にない、か。まぁ、あれだけ酔っていたら仕方ないのかもしれんな……」
「酔って? あぁ、そういえば、酒場でお酒を飲んだのは覚えてるね。でも、その後どうなったんだっけ……? あ、エルサ。昨日はソフィーの方へ行っていたんだな。とりあえずこっちに……」
「嫌なのだわ! リクにはしばらく近付かないのだわ!」
「っ~……! ちょっと、大きい声は止めてくれ……」
「……典型的な、二日酔いというやつだな」

 一応、頭痛や気持ち悪さはあるけど、なんとか大丈夫とソフィーへ伝えながら、昨日何があったのかを聞く。
 酔っていたと言われて、そういえば酒場に行っていた事を思い出した。
 苦いエールを飲んだ事は覚えてるけど……あれ? 最後の方は結局慣れて美味しく感じていたような?
 ともあれ、思い出せない記憶を探りながら、ソフィーが抱いているエルサに向かって手を伸ばし、モフモフを感じようとこちらへ来るように言ったら、大きな声を出して拒否された。

 拒否された事自体もショックだけど、その声が頭に響いて痛みが増した事の方が辛かった。
 ソフィーがやれやれといった様子で呟いている。
 ……二日酔い? これが二日酔いってやつなのかな?
 確か、お酒を飲み過ぎた翌日とかに、頭痛や気持ち悪さが襲って来るとかなんとか……あぁ、今の俺の状況そのままじゃないか。

「これが二日酔いかぁ……って事は俺ってやっぱりあの後?」
「そ、そうだな。確かに酔ってはいた……というより、酔っていると考えないといつものリクとは違い過ぎてな……」

 妙な関心をしながら、頭痛を堪えてソフィーに視線を向けると、何やら少し歯切れが悪そうにしていた。
 俺が酔っていたというのは間違いなさそうだけど、何かあったんだろうか?
 確か……体が熱くなって、頭が回らなくなってソフィーが分身したり、視界がぐるぐるしたりしていたような気がするのは、なんとなく覚えてる。
 あと、妙に楽しい気分だったのもね。

「俺、酔っている時どうしてたんだっけ……っ……いててて……」

 詳しい事を思い出そうと、首を傾げて頭を傾けるとまた襲って来る強烈な頭痛。
 我慢できない程じゃないけど、急に来るとちょっと狼狽えてしまう。

「……案の定、苦しんでおるようじゃの。ほれ、新しい水じゃ。たっぷり飲めば多少は良くなるじゃろう。……それとも、迎え酒でもするかの?」
「エアラハールさん。……ありがとうございます。さすがにこの状態でお酒を飲もうとは思いませんよ。お水だけ頂きます」
「そうかのう……起きてすぐに飲む酒も上手いんじゃが……」
「エアラハールさん、またリクが酔っ払ったらどうするんですか!」
「そうなのだわ。昨日みたいな事はもう嫌なのだわ!」
「……んっ……ふぅ、さっきよりはまだマシかな? それでもまだ調子悪いけど……というより、昨日の俺って酔って何かしたの? エルサには避けられるし……」

 いつの間に来ていたのか、部屋の入り口からエアラハールさんから声をかけられる。
 そのまま、カップに並々と注がれた水をテーブルに置いてくれた。
 さらに、迎え酒と言いながら別に持っていた、革袋を見せながら俺へと視線を向けた。
 革袋の中身は見ずとかではなくお酒なのか……エアラハールさんは随分呑兵衛なんだな……。

 迎え酒って言うのは、何となく聞いた事がある。
 確か、お酒に酔っ払った翌日、襲って来る二日酔いを解消するためにまたお酒を飲むとかなんとか……。
 効果があるのかは知らないけど、飲み過ぎたから二日酔いになっているのに、そのうえまたお酒を飲むなんて正気の沙汰じゃないと思うのは、俺がまだお酒に慣れていないためかもしれない。
 ともあれ、お酒は断りつつ持って来てもらったお水をありがたく頂き、一気に飲み干す。

 頭痛や気持ち悪さであまり感じなかったけど、喉も乾いていたようで、さっきは味わう余裕もなかった水が、今は美味しい。
 俺が水を飲んでいるのとは別に、ソフィーとエルサが慌ててエアラハールさんがお酒を飲ませようとしているのを止めていた。
 その反応って事は、昨日の俺は酔っ払って何かした様子のようにも思えるけど……何かしたんだろうか?
 もしかしたら、記憶にない部分で俺が何かをしたから、エルサに避けられているのかもしれない。

「あー……そうだな。リクは酔っ払っていてな? まぁその……」
「中々面白かったぞ? まぁ、命の危険は感じたがの……」
「そんなにですか!? ……っ」
「落ち着けリク。ちゃんと説明するから……慌てると辛いだろう」
「しばらく、お酒は飲ませないのだわ。やっぱりドラゴンにとって、お酒は警戒するべき物なのだわ」

 歯切れの悪い言い方をするソフィーに、何をしたのかと不安になった後、エアラハールさんが命の危険とまで言ったので驚いてしまった。
 大きな声を出してしまい、頭に響いて激しい頭痛に襲われる。
 ソフィーが宥めるように言ってくれて、なんとか落ち着いたけど……一体俺は何をしたんだろうか?
 というか、エルサに禁止されるように言われているし、絶対何かやらかしてるよね、これ……。


しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜

難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」 高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。 だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや—— 「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」 「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」 剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める! 魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」 魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」 神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」 次々と編み出される新技術に、世界は驚愕! やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め—— 「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」 最強の頭脳戦が今、幕を開ける——! これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語! ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる

暁刀魚
ファンタジー
 社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。  なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。  食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。  そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」  コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。  かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。  もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。  なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。  カクヨム様にも投稿しています。

処理中です...