神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
596 / 1,955

ソフィーの体験談

しおりを挟む

「んー……塩辛い……」
「まぁ、塩を付けて干しただけだからな。慣れれば、これが美味く感じるものだがな」
「あまり食べなれてないからだろうね……」

 もらった干し肉をかじって、口の中に入れる。
 咀嚼するごとに滲み出て来る、しみ込んだ塩味。
 というより、塩辛さしか感じなくて、肉の旨みというのはあまりわからない。
 ソフィーの言う通り、慣れたら微かな旨みとか、塩辛さが癖になったりするんだろうか……?

 確かに、エアラハールさんはお酒好きだから、おつまみにはいいのかもしれないけどね。
 干し肉は、見た目は日本でも売っているジャーキーにそっくりだけど、噛み応えはあれ以上にあって硬い。
 そのうえ、色々と味付けしたジャーキーとは違って、塩のみを使っているんだろう。
 まぁ、保存食として考えると無駄な調味料を使うような事はされないか……味なんて二の次だろうしね。

「そういえば、ソフィーはこういった状況には慣れているの?」
「……塩辛いのだわー」
「ははは、ほら、口直しにキューをお食べ。――ん? そうだな……慣れているという程ではないが、経験をした事くらいはあるな。一人でいる事が多かったから、あまり遠くへの依頼は受けなかったがな」

 考えてみれば、俺達とパーティを組む以前のソフィーの事はよく知らなかった。
 干し肉を食べ慣れている様子をみて、ふとそんな考えが浮かび、聞いてみる。
 俺達が食べている事で興味を持ったエルサが、干し肉を渡され齧って俺と同じ反応をした事に笑いながら、ソフィーが少し考えながら答えてくれた。
 一人だと、確かにあまり遠くへは行けないかもね。

 野宿するにしても、持てる荷物には限りがあるし、夜に見張りをするにも交代できないから。
 初めて会った時は、ヘルサルからセンテへ移動する馬車の中でだったけど、あれくらいの距離を移動するくらいなのが多かったのかもしれない。
 冒険者で戦えるといったって、どうしても無防備な時はあるし、女性だから一人だとさらに不用心だしなぁ……と思うのは、俺が日本での感覚をまだ持っているからかもしれない。

「リクとパーティを組んでからも、あまり過酷な事は多くないから、冒険者としてはそういった経験が浅い方なんだろうな」
「野宿をする事もあるけど、移動が基本的にエルサが担当してくれるからね。本当ならもっと時間がかかる場所でも、そんなに時間がかからないし」

 エルフの集落へ行った時が、特に助かったかなと思う。
 本来なら、十日以上かかるような距離の移動を、二日程度で済ませてしまうんだから。
 それこそ、全力のエルサだとアテトリア王国内なら一日もかからないだろうし……まぁ、全力飛行は通常ではしないけども。
 そう考えると、過酷な旅とかを経験していないのは、冒険者としてまだまだ経験豊富とは言えないのかもしれない。
 進んで経験しないといけないという程の事ではないだろうけど、もしもの時のために学んでおく必要はあるのかもね。

「あぁそうだ。リクと出会う以前なんだが、冒険者になったのを後悔するほどの事はあったな。あれがあったからこそ、リクとパーティを組むように考えたのかもしれないな……」
「そうなの? それは、どんな事だろう?」
「そうだなぁ……あれはリクと会った日から、数十日は前の事か……」

 ふと懐かしそうに、昔を思い出している様子になったソフィー。
 ソフィーはいつも冒険者として……というより、剣を扱う者として向上心に溢れているようにも見えるから、冒険者になった事を後悔するなんて想像できない。
 それだけ大変な目にあったという事なんだろうけど、それがどれほどの事だったのか……。
 ちょっとした興味を感じて、首を傾げながら聞くと、顔を上にあげて天井を見ながら思い出して話し始めた。

 ちなみに、興味を惹かれていても警戒はちゃんとしているし、干し肉も引き続き食べている。
 硬くて歯ごたえが十分過ぎる程だから、中々食べ切れないけどね……塩辛い。

「あれは確か、魔物討伐の依頼だったな。センテからさらに東へ行ったところで、農場を荒らす魔物が出たんだ」
「農場かぁ。一生懸命作っている物を荒らされたりするのは、辛いよね」
「そうだな。まぁ、魔物自体は特別強くはなかったので、討伐自体はすぐに終わったんだ。だが……帰りに乗ろうと思っていた馬車を逃してしまってな?」
「近くから馬車がでてるの?」
「センテとヘルサルを繋ぐ乗合馬車のように、定期的に出ている物ではないんだ。農地からの収穫物を乗せた荷馬車だな。だが、頼めば乗せてくれたりもするぞ」

 魔物の討伐自体はあっさり終わったようだけど、予想外に時間がかかってしまったのか、それとも他の事をして遅れてしまったのか……ともかく、ソフィーは帰りに乗ろうと思っていた馬車を逃してしまったらしい。
 残業とか飲み会で、終電を逃してしまったのと似たような事かな?
 定期的に出ている乗合馬車とは違って、荷馬車だろうから時間厳守という事もなく、ソフィーが考えていたよりも早く出発していたのかもしれない。

「まぁ、目的の魔物がいた場所の近くに村があるから、そこで宿を取れば良かったんだが……馬で一日程度の距離であれば、歩くのも悪くないと思ってな」
「歩いて帰っちゃったんだ……次の馬車が出る時まで待ったしなかったの?」
「そうだ。ある程度旅には慣れていたから、大丈夫だと過信してしまったんだろうな……。荷馬車は、収穫した物を出荷するためだからな。毎日出ている物でもないし、多分早くとも数日はかかっただろう」
「それもそうかぁ」

 出荷するための荷馬車が、毎日村と街を往復しているなんて事はないか。
 時期にもよるけど、収穫物がない日があるのは当然だしね。
 馬車を待っていると、センテへ帰るのが遅くなるから、歩いて帰ろうと思ったんだろう。

「馬車や他の旅人が通る街道を通れば、それでも普通に帰れたんだろうが……少し近道をしようと思ってな。森の中を通る事にしたんだ。あぁ、センテとヘルサルの間にある森とは、違う森だぞ? しかし、慣れない森の中を突っ切ろうとするものだから、案の定迷ってな。中に入って進んでいたのが日が暮れ始めたくらいだったというのも原因だろう」
「あ~、森の中は暗いからね。日が沈んだら、照明のない坑道とほとんど変わらないだろうし」
「あぁ。結局、歩いて進んでいるはずだが、暗いためにどちらに進んでいるのかもわからなくてな。しばらくして諦め、野宿したんだ。翌日は明るくなってから行動をしたのだが……前日闇雲に歩いていたのが災いして、さらに迷ってしまった」
「日の位置とかで、方向はわからなかったの?」
「木々の合間から見えるから、方向はわかるんだが、その森はあまり高くないが山にもなっていてな。迂闊に上だけ見て歩いていると、突然の崖で落下してしまうおそれがある」
「あぁ……それは危険だね」

 森というか山を歩く時の鉄則だけど、木々があって薄暗かったり、視界が悪い時は崖への落下を注意しないといけない。
 確か、迷ってどうしようもない時は、坂道を上るように移動するのがいいんだったっけ?
 上るという事は、崖にぶち当たる可能性が低くなるし、高い場所に行けば見下ろして目指す場所がわかりやすいとかなんとか。
 全ての山に通用する事なのかまでは、詳しくない俺にはわからないけどね――。


しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

「餌代の無駄」と追放されたテイマー、家族(ペット)が装備に祝福を与えていた。辺境で美少女化する家族とスローライフ

天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:男性HOT18位】Sランクパーティ『紅蓮の剣』で、戦闘力のない「生産系テイマー」として雑用をこなす心優しい青年、レイン。 彼の育てる愛らしい魔物たちが、実はパーティの装備に【神の祝福】を与え、その強さの根源となっていることに誰も気づかず、仲間からは「餌代ばかりかかる寄生虫」と蔑まれていた。 「お前はもういらない」 ついに理不尽な追放宣告を受けるレイン。 だが、彼と魔物たちがパーティを去った瞬間、最強だったはずの勇者の聖剣はただの鉄クズに成り果てた。祝福を失った彼らは、格下のモンスターに惨敗を喫する。 ――彼らはまだ、自分たちが捨てたものが、どれほど偉大な宝だったのかを知らない。 一方、レインは愛する魔物たち(スライム、ゴブリン、コカトリス、マンドラゴラ)との穏やかな生活を求め、人里離れた辺境の地で新たな暮らしを始める。 生活のためにギルドへ持ち込んだ素材は、実は大陸の歴史を塗り替えるほどの「神話級」のアイテムばかりだった!? 彼の元にはエルフやドワーフが集い、静かな湖畔の廃屋は、いつしか世界が注目する「聖域」へと姿を変えていく。 そして、レインはまだ知らない。 夜な夜な、彼が寝静まった後、愛らしい魔物たちが【美少女】の姿となり、 「れーんは、きょーも優しかったの! だからぽるん、いーっぱいきらきらジェル、あげたんだよー!」 「わ、私、今日もちゃんと硬い石、置けました…! レイン様、これがあれば、きっともう危ない目に遭いませんよね…?」 と、彼を巡って秘密のお茶会を繰り広げていることを。 そして、彼が築く穏やかな理想郷が、やがて大国の巨大な陰謀に巻き込まれていく運命にあることを――。 理不尽に全てを奪われた心優しいテイマーが、健気な“家族”と共に、やがて世界を動かす主となる。 王道追放ざまぁ × 成り上がりスローライフ × 人外ハーモニー! HOT男性49位(2025年9月3日0時47分) →37位(2025年9月3日5時59分)→18位(2025年9月5日10時16分)

科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜

難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」 高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。 だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや—— 「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」 「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」 剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める! 魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」 魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」 神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」 次々と編み出される新技術に、世界は驚愕! やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め—— 「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」 最強の頭脳戦が今、幕を開ける——! これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語! ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

異世界に降り立った刀匠の孫─真打─

リゥル
ファンタジー
 異世界に降り立った刀匠の孫─影打─が読みやすく修正され戻ってきました。ストーリーの続きも連載されます、是非お楽しみに!  主人公、帯刀奏。彼は刀鍛冶の人間国宝である、帯刀響の孫である。  亡くなった祖父の刀を握り泣いていると、突然異世界へと召喚されてしまう。  召喚されたものの、周囲の人々の期待とは裏腹に、彼の能力が期待していたものと違い、かけ離れて脆弱だったことを知る。  そして失敗と罵られ、彼の祖父が打った形見の刀まで侮辱された。  それに怒りを覚えたカナデは、形見の刀を抜刀。  過去に、勇者が使っていたと言われる聖剣に切りかかる。 ――この物語は、冒険や物作り、によって成長していく少年たちを描く物語。  カナデは、人々と触れ合い、世界を知り、祖父を超える一振りを打つことが出来るのだろうか……。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

処理中です...