612 / 1,955
折れる剣
しおりを挟む「やぁっ! っと……そのまま、少し休んでて。エルサに結界を張ってもらえば、そっちに衝撃が行く事もないだろうから」
「……わかった。すまない……」
「エルサ、ソフィーを頼んだよ?」
「わかったのだわ。私を吹き飛ばしたあいつを許しちゃいけないのだわー!」
ソフィーの方を見ていた俺に、襲い掛かって来たエクスブロジオンオーガを、剣で斬って倒しつつ、すぐにその場から離脱。
爆発の衝撃を利用して、少し大きめに飛んでソフィーの近くに着地して、声をかける。
どうやら、目が回ったとか、脳が揺れたとかが原因なのか、立ち上がってもまだ足元がおぼつかないソフィー。
このまままたエクスブロジオンオーガと戦うのは危険だろうから、その場で休んでもらう事にする。
柔らか結界は張ったままだから、後ろ側は大丈夫だろうし、正面はエルサが結界を張れば近くで爆発されても大丈夫だろう。
謝るソフィーに頷きながら、エルサにも声をかけて、体勢を立て直しつつあるエクスブロジオンオーガへと向かう。
さすがに、そろそろ半分くらいの数になったかな。
というかエルサ……ソフィーと一緒に吹き飛ばされて憤慨しているようだけど、結構楽しそうな声を上げてなかったかな? まぁいいか。
「なんだ……? 吹き飛ばされていたはずの女が、途中で止まった? 何が起こっているのだ……」
「お前には、教えてやらないっと! ふっ!!」
「ギィ!」
爆発の衝撃でしりもちをつきながらも、ソフィーの方を見て先程の様子に驚いている男。
結界を知らなければ、透明で見えないから何が起こったのかわからないらしい。
とはいえ、親切に教えてやるような相手じゃないし、ゆっくり話す余裕もないため、大きく声を出しながら近くのエクスブロジオンオーガへと斬りかかる。
そのエクスブロジオンオーガは、爆発威力の小さい方だったらしく、小爆発が起こっただけなので、すぐに別の方へと剣を振り上げた。
「あっ!」
「ギ……ギ……」
しかし、集中が途切れたためか、それとも限界を超えて酷使し過ぎたのか……エクスブロジオンオーガのお腹を斬り裂くはずだった剣は、パキッという音を立てて真ん中から折れてしまった。
「くそっ!」
一瞬動きの止まった俺に対し、大きく腕を振りおろすエクスブロジオンオーガ。
すぐに横へ体ごと飛んで離れる事で、避けた。
「剣が……」
「はっはっは! どうやら、ここまでのようだな! いかにAランク、英雄と呼ばれようとも、剣がなければどうする事もできないだろう! さぁ、エクスブロジオンオーガに囲まれて、まとめて爆破するがいい!」
距離を取って、半ばからポッキリと折れてしまっている剣を見る。
同じく俺を見ていた黒装束の男は、俺が頼みの武器を使えなくなったと考え、大きく笑ってエクスブロジオンオーガへ指示を出すように、叫んで俺を示した。
まぁ、エクスブロジオンオーガ自体は、やっぱり命令を聞くわけじゃないんだけど、近くにいる標的が俺だけだからか、囲むようにして距離を詰め始めた。
さすがに、前後左右を囲まれて至近距離で威力の高い爆発をされたら、危ないかもね……。
それはともかく……
「なんて事だ……剣が折れるなんて……これで、これで……モフモフ禁止される!」
「はぁ……」
「リクは少しくらい禁止してもいいのだわ……」
わなわなと震える俺。
エアラハールさんとの約束で、剣を折らないように戦うやり方を身に付けるために、もし折ってしまったらモフモフ禁止になってしまう。
後悔するように叫ぶと、離れた場所からソフィーの溜め息や、エルサの呆れた声が聞こえた気がするけど……気にしない。
というかエルサ、モフモフが禁止されたら、風呂に入れて洗ってやる事もできないんだからな?
「何を言っている! やれ、エクスブロジオンオーガ!」
「……はぁ。こうなったら仕方ないよね。ちょっと荒っぽくなるけど……ソフィー、そっちの結界を解除するから、気を付けて」
「……これは……巻き込まれる、か?」
「リクが何をやっても、とりあえず全力で結界を張るのだわ!」
「巻き込むと言う程ではないと……いや、巻き込むとも言えるのかな?」
俺がワナワナと震えている間にも、またエクスブロジオンオーガに指示を叫ぶ黒装束の男。
やっぱり命令を聞くわけじゃない様子だけど、それはともかく、剣がなくなった以上別の方法で戦わないといけない。
穴を通る時の事を思い出して、ちょっとしたやり方を思いついてしまったけど、少し荒っぽいため一応ソフィーにも注意を促しておく。
巻き込むとか、酷い事にはならないはずだけど……エクスブロジオンオーガが爆発したら、ヨハが無効に行くのは間違いないし、巻き込むと言っていいのかもしれない。
ともあれ、だ……折れて使い物にならなくなった剣の、残っている部分を鞘にしまい、イメージを開始。
「体を覆うように……息はしないといけないから、ちょっと大きめかな? それと、隙間は開けておこう」
「ギ……ギ……ギ……」
「ギィ! ギィ!」
爆発威力の高い奴も、低い奴も、混在して俺をぐるりと囲み、包囲を狭めて来るエクスブロジオンオーガ。
残りは大体二十体もいないくらいか……これが一度に爆発したら、衝撃だけでも結構酷い事になりそうだね。
囲まれていたら前後左右からの衝撃で、体が翻弄されるだろうし……お互いの衝撃が相殺し合ってくれればいいんだけど、そんな都合のいい事にはなりそうにない。
エクスブロジオンオーガの様子を窺いながら、魔法を発動させるためにイメージを固めて行く。
使おうとしている魔法はそんなに難しいものじゃないし、よく使っているのだから失敗はしないだろう。
「ふははははは! 剣も折れ、もう一人は動けない! いかなAランク冒険者といえど、どうしようもあるまい!」
黒装束の男は、ソフィーが動けなくなったと見て勝ち誇っている。
確かに、剣が折れてしまったから直接戦う戦力は低下したように見えるだろうけど……元々手加減用の剣だったしなぁ。
ため息が出そうになる程、勝手な事を言っている男の声を無視して、イメージに集中する。
んー……息をしないといけないから、十センチ以上の空間は必要だね。
それと、全力で飛ぶエルサに乗った時の応用で、少しだけ隙間というか穴のようなものを作っておかないと……。
爆発の衝撃が入り込む可能性もあるだろうけど、針の穴のように小さな穴を一か所じゃなく、色んな箇所に散らばらせておけば大分軽減されるだろう。
よし……イメージはできた、あとは発動させるだけだ。
「そろそろ危ないのではないか? そら、行け! エクスブロジオンオーガ!」
「ギ……ギ……ギ……」
「ギィー!」
「……結界!」
「ギィ?」
男の声に反応したのか、エクスブロジオンオーガが一気に距離を詰めて来る。
命令というわけではなく、ただ単に声によって勢いが付いた……という感じっぽいね。
迫って来る様子を見ながら、魔法を発動……使ったのは、頼り過ぎておなじみになっている結界だ!
「よし、大丈夫そうだね……」
1
あなたにおすすめの小説
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!
胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。
主に5大国家から成り立つ大陸である。
この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。
この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。
かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。
※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!)
※1話当たり、1200~2000文字前後です。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・
Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・
転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。
そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。
<script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>
異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ!
これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・
どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。
周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ?
俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる