神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

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地下室への突入作戦

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「すぐ近くに武装兵か……どうする?」
「奥にオーガがいるので、なだれ込むにしてもちょっと不安ですね。即座に結界で対応できれば、爆発したとしても大丈夫だとは思いますけど……」
「迅速に行動する必要がありますね……オーガの方は、リク様方に任せても?」
「はい、それはもちろんです。むしろ、無暗に手を出さない方がいいと思います」

 中の様子を皆に伝え、バレないように扉を閉じて結界を張り、話し合う。
 中にいるオーガはもちろん赤い肌をしていて、爆発すると思われるオーガだったし、見える範囲でも複数いたから見えない部分も考えると、相当数がいると思う。
 ヴェンツェルさんと一緒に、話し合いに参加している兵士さん(小隊長らしい)から問われて頷く。
 オーガ一体でも安全に対処するなら、兵士さん二、三人で対応する必要があるため厄介なのに、さらに爆発するんだ、兵士さんには他の人間の対処を任せて、俺を含めた単独で対応できる人が戦った方がいいだろう。

 できればオーガを取り押さえて、研究内容を調べたい……とフィリーナから意見が出たけど、それは難しいだろうという結論。
 人間やオーガが多くいる中に突入するのだから、乱戦になる事が予想されるし、オーガは俺達を敵と認識して襲い掛かるだろうからね。
 怪力の持ち主でもあるオーガを、そんなかで取り押さえるのは難しいだろうし、場合によっては爆発する危険がある。
 余裕ができれば、俺が結界で閉じ込めたりエルサが凍らせて……という事も可能だろうけど、とりあえず優先順位は低い事項となった。

「それでは、まずは我々が。扉の前にいる武装兵と近くにいる者達を拘束します」
「はい、よろしくお願いします」
「そこから、私やリク殿、モニカ殿達がなだれ込み、状況開始だな」
「そうですね。一旦、状況を把握するために、取り押さえた人達も含めて、こちら側とあちら側の間に結界で壁を作ります。その後は……」

 ある程度の話し合いを経て、それぞれの行動を決めていく。
 まずは兵士さんを突入させて、迅速に武装した人を取り押さえ、向こうがこちらに気付いて動き始めた頃合いで俺が前に出て結界を張る。
 オーガが突撃して来る可能性があるし、人間の中には魔法が使える人がいる可能性もあるので、そのための防御だね。
 その後は、取り押さえた武装兵の周辺を中心に、左右を開けてそれぞれ奥へと侵攻する事になった。

 俺とソフィーは別々で行動し、モニカさんとフィネさんは槍と投げ斧でソフィーの援護、ヴェンツェルさんは俺と一緒にとにかく奥へ突き進む役だ。
 ソフィーにはエルサがくっ付き、オーガが爆発した時に結界を張るため、俺とは別行動になる。
 左右で押し込みながら、俺とヴェンツェルさんが点で突き進んでいる中、ソフィー達が兵士さん達と協力して人間の確保、制圧をしながら面で進む……という作戦。
 実はこの作戦で一番重要な役割を任されたのは、フィリーナだ。

 基本的にフィリーナは中心から動かない事となっているけど、結界が透明な事を利用し、広い視野で地下室を見通して後ろから指示を飛ばす役目となっている。
 戦闘に夢中になって、俺やヴェンツェルさんが進む方向が変わったり、怪しい動きをしていたり危険な個所を指摘するという役目を担っている。
 本人は、指示役を任されて事に対して「後方でのんびり支援しようとしてただけだったのに……」なんて呟いていたけど、エルフの中でも特殊な目を持っている事で、全体を見渡す役になってしまった。
 まぁ、突撃するだけならまだしも、全体を見渡して的確な指示を出すのは俺にはできそうにないから、フィリーナには頑張って欲しい。

「それじゃ、合図と一緒に……」
「はっ」
「あぁ」

 声が漏れないように張っていた結界を解除しつつ、皆に声をかけながら見渡す。
 戦闘の小隊長さんが短く応えて、一緒に突入する兵士さんが頷く。
 ヴェンツェルさんも声を出して頷いてあと、モニカさん達も含めた全員が頷くのを確認した。
 皆、準備万端のようだ……フィリーナだけは、任された役目の大きさに渋い顔をしていたけど……。

「っ!」

 手を頭上に掲げ、正面で止まるよう振り下ろし、全員に突入の指示を出した……その瞬間、小隊長を始めとしたこちらの兵士さん達が、扉に体当たりをするようにして一気に開き、中へとなだれ込んでいく!

「な、なんだ!?」
「いきなり扉が開い……ぐっ!」
「がっ……」
「ぐあっ!」
「確保完了しました!」

 中の人間にバレないよう注意していたおかげか、いきなり開いた扉に戸惑う武装した人達。
 扉に背を向けていた事もあって、一瞬で肉薄した兵士さん達にそれぞれが後ろから掴まり、別の兵士さんに殴られたり剣の鞘や柄で頭を小突かれたりして、引き倒されて行く。
 電撃作戦、というと大袈裟かもしれないけど、突入初期の作戦は上手くいったようで、すぐに数人の兵士さんに寄って地面に倒され拘束されて行くのを確認し、小隊長さんが大きな声で俺達へと報告。
 さて、ここからが俺達の出番だね。

「……結界! よし、フィリーナはこっちへ! ソフィー達は向こう、俺とヴェンツェルさんはこっちです!」
「わかったわ!」
「右側は任せろ!」
「リクさんも気を付けて」
「承りました!」
「行くぞリク殿!」

 取り押さえられた人の近くまで駆け寄りながら、結界のイメージを固めて発動。
 突入してきた俺達に気付いて、何人かとオーガがこちらに向かって来ていたけど、バラバラに動いていたし途中にある机や物があるため、こちら側には到達しない。
 ある程度早く動き出せた人は、ようやく到達した俺達の近くで結界に阻まれて激突したりしていた。
 中の様子を見ながら、結界を張り変えて左右の壁近くを人間が通れるようにあけ、後続に指示を出す。

 フィリーナが俺の近くに駆け寄ったので、そちらと交代し、右側はソフィーに任せて俺はヴェンツェルさんと左側へ。
 左右のどちらを担当するかは、突入してから判断する事になっていた……扉から覗き込んだ際には視野が狭くて、よく見えない部分が多かったからだ。
 俺が結界を張りながら、どちらがどちらを担当するかを判断して指示をする事になっていた。
 左側は通路になっているのか、パッと見た感じでは机などが少なく、障害物となりそうな物が少なかったので突き進むには最適と判断して自分はあちらへ行く事を決める。
 対して右側は、雑多な物が多くて障害物が多そうだったので、剣だけでなく槍や投げ斧を使ってじっくり戦うには適しているだろうと、ソフィー達に担当してもらう。

 物が多いという事は、中にオーガがいる可能性の高い試験管も当然あるけど、だからこそじっくり侵攻するソフィー達に適しているだろうからね。
 試験管さえ壊さなければ、中からオーガが出て来る可能性は低いし、俺やヴェンツェルさんだと勢いで壊してしまいそうだったから。

「邪魔!」
「ぐっ!」
「お前も邪魔だ! 私達の行く手を阻めると思うなよ!」
「ふぐっ!」

 左側の壁と結界の隙間から中へと走り込み、途中にいる人間の顔面を殴り飛ばす。
 すぐに対応できる体制を整えた、武装した人間を殴り飛ばす俺の横では、白衣に身を包んだ研究者風の人を、ヴェンツェルさんが腹部に拳をめり込ませていた――。


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