神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
768 / 1,955

フランクさんからのお願い

しおりを挟む


「しばらくの間、フィネを同行とまでは言いませんが、コルネリウスから距離を取らせるのに協力して頂けませんか? いったんコルネリウスと離しておき、様子を窺いたいのです。カルステンも同様にとは思いましたが、そちらは今内部の調査をさせています。それに、コルネリウスはフィネの姿が見えていたら、そちらに意識が向いてしまいそうですから」
「子爵様!?」
「先程、リク様達が来られる前のフィネは、コルネリウスといる時よりも、生き生きとした様子で報告をしていました。まぁ、模擬戦を申し込んだりと、迷惑をかけてもいたようですが……」
「……すみません」
「いえ、迷惑なんて事は。フィネさんとの模擬戦は得る事が多かったので、ありがたかったくらいですから」
「それでしたら……」

 フィネさんからの模擬戦は本当に参考になったから、迷惑なんて事はないと伝えて、フィネさんを俺に同行させる考えを、フランクさんから聞く。
 フランクさんは、コルネリウスさんとフィネさんの二人を、物理的に距離を取らせてどうなるか……というより、その吹き込んだ使用人を炙り出したいらしい。
 本人に直接聞けば……とも思うが、あのコルネリウスさんが素直に話しそうになく、吹き込んだ時に喋らないよう言っている可能性もあるうえ、直接接触した人物以外にも、協力者というか要は他にも企んでいる不届き者がいるかもしれない。
 そういった人物達を炙り出し、この機会に子爵家に仕えている人達の中で不穏な者を排除したいとの考えとの事だ。

 姉さんも言っていたが、バルテルが起こした事件の影響もあって、貴族位で空位が多く、近いうちに伯爵に陞爵する内示も出ているので、今のうちにやれる事やって内側を盤石にしたいという考えもあるらしい。
 フィネさんが近くにいると、コルネリウスさんがそちらを頼ってしまうので、炙り出しも不十分になるかのせいもあるとして、俺と同行……つまり王都へ向かわせておきたい、と言われた。

「同行と言っても、常に連れ歩く必要も、ましてやフィネをリク様と同じ冒険者のパーティに入れて欲しい……とまでは言いません。王都へ行けばフィネには自由に過ごして構わないと。今まで、子爵家に尽くそうと頑張っておりましたからな……休暇のようなものです。もちろん、逆にリク様達がフィネをパーティーにと考えたり、フィネ自信が頷くのであれば、自由に使ってくれて構いません」
「子爵様がそう仰られるのであれば、私はそれに従うまでです。いえ、リク様と同行するのは、私にも利点が大きい事だと思います。リク様がよろしければ、是非ともご一緒したいと……コルネリウス様は、少々心配ですが……」
「カルステンもいるからな。これまでは甘やかしすぎた……今回の事で、正確を捻じ曲げた使用人を追放し、改めさせるいい機会だろう」
「うーん、フランクさんのお願いで、フィネさんも了承してる。でも……どうしよう、モニカさん?」

 つまりは、フィネさんを王都へ連れて行くだけで、あとは別々になっても構わない、という事だろう。
 まぁ、女性を一人で放り出すのは気が引けるから、フィネさんが嫌でなければ一緒に行動するのは構わないかな……Bランクの冒険者だから、心配する必要はないんだろうけど。
 ともあれ、どうするかを俺一人では決めきれず、隣にいるモニカさんに聞いてみた。

「リクさんがパーティリーダーなのだから、リクさんが決めてもいいと思うのだけど……私は、フィネさんから得られる事も多いから、構わないわよ。ソフィーも同意見だと思うわ」
「モニカさんとソフィーも問題ないなら、大丈夫そうかな。まぁ、今回一緒に行動して何も問題らしい問題は……テントがあったっけ……」
「あれは、フィネさんよりも私達が原因だから……ごめんなさい」
「あはは……一応補修してくれたから、大丈夫だよ。それじゃ、フィネさんも同行して……」
「あ、リクさん。一つ気を付けないといけない事があるわ!」

 パーティリーダーだからって、なんでも勝手に決めていいわけじゃないからね。
 でも、モニカさんやソフィーも大丈夫そうなら、何も問題はないか……テントを穴だらけにしたのは置いておいて。
 それならと、フィネさんの同行に頷こうとしたら、モニカさんが遮って声を上げた……気を付けないといけない事?

「ユノちゃんも大丈夫だろうけど、問題はエアラハールさんよ、リクさん!」
「あー……確かにそうですね。フィネさんを見たら……」
「え、なんでしょう?」
「んんっ! リクさん……?」
「おっと……えっと、フィネさん……その、一緒に行動している人の中で一人お爺さんがいるんですけど……」
「えぇ、エアラハールさんと言いましたか。何度か、モニカさん達と一緒にいるのを見かけました」
「その人の事で……」

 ユノが止めてくれるだろう、と思いつつも注意喚起はしておいた方がいい。
 いつでも女性に触る機会を窺っているので、ユノが油断したり、離れている時にやってしまうかもしれないからね……。
 モニカさんの指摘にエアラハールさんの、ある意味手癖の悪さを思い出し、フィネさんに伝えた。

「そのような事をする方だったのですか……只者ではないとは感じていましたが、元Aランクとは」
「まぁ、今はその実力を変な方向に生かしていますが……」
「わかりました、リク様のご心配ありがたいですが、それなりに対処する事を許可して頂けるなら、問題はないかと。防いだり避けたりできるようになるのも、修行と考えます」
「……そこまで真剣に考えなくてもいいと思うんですけどね。一応、いつもはユノが見張っていますから。それじゃ、フィネさんができる範囲で対処するという事で、とりあえず王都まで同行しましょう。その後は、相談次第とこれから次第という事で」
「はい。よろしくお願い致します。足を引っ張り、迷惑をおかけする事がないよう、気を付けます」
「よろしくね、フィネさん」

 フィネさんに手を差し出し、同行の許可とこれからよろしくという意味を込めて握手。
 モニカさんもフィネさんと握手をする。
 女性陣は仲良さそうにしていたから、問題はなさそうだね……でも、また女性が増えたなぁ……できれば男性の、それこそカルステンさんとかも一緒にいてくれたら、心休まるのになぁ。
 そう思っても、フランクさんがカルステンさんには別の事を任せているので、無理に連れて行く事もできない……王城に戻ったら、エフライムやアルネを捕まえて、愚痴らせてもらおう。
 アルネは研究に夢中になると、話を聞いてもらえるかわからないけど……。


 フランクさんとの話を終え、フィネさんの同行が決まった後、ソフィー達と合流して冒険者ギルドを出る。
 ちなみにフィネさんは、数日の同行ではなく拠点移動とか引っ越しに近いので、準備があるからとギルドの建物を出てすぐ別行動になった。
 合流した際、改めて皆にフィネさんを紹介すると、手を伸ばしそうだったエアラハールさんの前でユノがにっこり笑って、引き下がらせていた……その際に、また剣の柄に手を添えていたのが効いたんだろう。
 フィネさんは、苦笑というか若干引き気味ではあったけど……まぁ、すぐに慣れてくれると思う――。


しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。  主に5大国家から成り立つ大陸である。  この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。  この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。 かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。 ※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!) ※1話当たり、1200~2000文字前後です。

科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜

難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」 高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。 だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや—— 「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」 「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」 剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める! 魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」 魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」 神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」 次々と編み出される新技術に、世界は驚愕! やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め—— 「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」 最強の頭脳戦が今、幕を開ける——! これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語! ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

湖畔の賢者

そらまめ
ファンタジー
 秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。  ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。  彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。 「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」  そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。  楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。  目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。  そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。

処理中です...